オンキヨー、フラッグシップ9.1ch AVアンプ「TX-NA5008」
-3D/ARC/iPodデジタル入力/DLNA対応。「TX-NA1008」も
オンキヨーは、一体型AVアンプの最上位モデル「TX-NA5008」を8月7日に発売する。価格は367,500円。また、同製品に次ぐ上位モデル「TX-NA1008」を7月17日に発売する。価格は262,500円。カラーはいずれもブラック(B)。
TX-NA1008 |
いずれもHDMIのVer.1.4aに対応した9.1chのAVアンプ。3D対応テレビ/BDプレーヤー間で伝送される3D映像のパススルーが可能なほか、オーディオリターンチャンネル(ARC)に対応し、アンプとARC対応テレビの接続がHDMIケーブル1本のみで行なえる。HDMI入力の数はNA5008が8系統、NA1008が7系統。出力はどちらも2系統。
定格出力はNA5008が200W×9ch、最大出力は280W×9ch。NA1008の定格出力は145W×9ch、最大出力は230W×9ch(いずれも6Ω時)。NA5008はマルチルーム出力が行なえるZONE 2/3出力端子も搭載。
TX-NA5008 | TX-NA1008 |
従来モデルからOSDメニューを改良。再生中の映像/音声フォーマットや、使用中のサラウンドモードが、再生を止めずにオーバーレイで表示できるようになった。ただし、両モデルの表示方法には違いがあり、NA1008は透過型のメニュー表示が画面を横断する形となっているが、NA5008は透過型ではなく、画面の右下隅に黒い背景のメニューが表示される。また、NA1008は日本語表示に対応するが、NA5008は日本語表示に非対応(設定メニューは日本語対応)。こうした違いは、フラッグシップのNA5008が画質をメインに据えた製品で、映像チップが異なることによるもの。
NA5008のOSDメニューの例。再生しながら、画面右下隅に表示できる |
iPod touchなどを接続し、デジタル入力が可能 |
USB端子を備え、iPod/iPhoneのDockコネクタとiPod/iPhone付属ケーブルで接続することにより、楽曲のデジタル伝送/再生にも対応。対応iPod/iPhoneは第5世代iPodと、iPod nano/classic/touch、iPhone 3G/3GS。また、USBメモリなどに収めた楽曲ファイルも再生できる。なお、NA5008はUSBを前面/背面に各1系統備えているが、iPod/iPhoneデジタル入力への対応は前面端子のみとなる。
また、DLNAに対応し、LAN接続したパソコンなどからの音楽を再生可能。対応ファイルはWAV/WMA(DRM対応)/WMA Lossless/MP3/AAC/FLAC/Ogg Vorbisなどで、24bit/96kHzのファイルもサポートする。また、Windows 7に対応し、PCの音声を高音質で再生する「Play To」機能を備えている。さらに、インターネットラジオの聴取も可能。
なお、iPod/iPhoneやPC内の楽曲再生時は、TX-NA808など下位モデルでは日本語表示に対応していなかったが、NA5008では日本語も表示可能となっている。
iPod touchの楽曲再生画面。ジャケットなども表示され、日本語表示も可能 | PCからのDLNA再生画面 | インターネットラジオの画面 |
Blu-ray Discビデオに収録されたドルビーTrue HDやDTS-HD Master AudioなどHDオーディオのデコードに対応。水平方向だけでなく、垂直方向も含む三次元的な空間表現を行なうというドルビーのサラウンド技術「ドルビープロロジック IIz」や、フロントワイド/フロントハイスピーカーを加えて、より大きなサラウンド空間を実現できる「Audyssey DSX(Dynamic Surround Expansion)」にも対応。DSXモード使用時は、音場の広さ/高さを-3~+3の範囲で調整できる。また、NA5008はTHX Ultra2 Plusに、NA1008はTHX Select2 Plusにそれぞれ準拠している。
音質面では、独自のアナログ信号生成技術「VLSC」を搭載。また、パワーアンプ部は歪み率や周波数特性などを改善するためNFBを最小限とした独自のワイドレンジアンプ技術「WRAT」によるディスクリート構成を基本とし、電源部の部のブリッジダイオードと電解コンデンサをパワーアンプ直近に配置。電解コンデンサからパワーアンプ回路までを銅バスプレートで接続している。最上位のNA5008は、22,000μF×2の大容量コンデンサを採用している。音声DACは32bit/192kHz対応のTI「PCM1795」ステレオチップを6個搭載。
電解コンデンサを中心に8ch分のパワーアンプ回路を左右対称にレイアウト、その上でドライバ回路を縦基板上に配置することで9.1chの電源供給経路を短縮。電源供給効率の向上とグランド電位の安定化を実現したという。
また、低インピーダンス化を図るため、独自の3段インバーテッドダーリントン回路も装備。ドラムやピアノのアタック音など瞬時の立ち上がりにおいて、原信号に近い再生能力を獲得したとしている。電源部の電源トランスには大容量のものを搭載しており、特にNA5008では大容量トロイダルタイプを使用。また、映像回路用とデジタル回路用には、それぞれ独立した専用のEIトランスを2基搭載する。
筐体内でプリアンプ部とパワーアンプ部を分離してレイアウトしたほか、デジタル/ビデオのプリアンプ部とパワーアンプ部をブロック化して分割。同一筐体内で2つのコンポーネントを格納するという「ケース内コンポーネント」思想を徹底し、音質に影響を及ぼす電気的・電磁的な干渉を防いでいる。
さらに、振動の折り返しを低減するフラットシャーシや、振動を回避するためのパワートランス下へのベースを採用。制振性の高いアルミ素材のフロントパネルやボリュームノブの採用などで音質向上を追求している。
また、ジッタの影響を低減するため、PLL方式によるジッタクリーナーも採用。さらに、HDMI信号を制御するICチップ内の回路も含め、回路基板のパターンをできるだけ等長に保っている。
NA5008の筐体内部 | NA5008は映像チップに「HQV Reon-VX」を搭載 | 大容量トロイダルトランスを搭載する |
HDMI入力端子はNA5008が8系統、NA1008が7系統で、うち1系統は前面に装備する。出力はいずれも2系統備え、同時出力も可能。解像度が異なるディスプレイに同時出力する場合は、メイン/サブディスプレイのどちらの解像度に合わせるかを選べる。なお、ARCはメインディスプレイ用の出力端子のみ対応し、こちらをテレビに接続することを想定している。CEC機能で同社が連動を確認したテレビ/レコーダは、パナソニックのVIERA/DIGA、東芝のREGZA、シャープのAQUOS('08年4月以降の液晶テレビ)。
アナログ映像入力をアップスケーリングしてHDMIから1080pで出力することも可能。NA5008は「HQV Reon-VX」を、NA1008は「DCDiシネマ」回路を搭載する。10bit画像処理を行ない、ジャギーやモスキートノイズ、ブロックノイズを低減する。ISFビデオ・キャリブレ-ション機能も利用できる。
新たにアナログRGB(D-Sub 15ピン)の映像入力も装備し、パソコンと接続可能。アナログ入力信号の1080pアップスケーリングにも対応する。また、ACインレットのパーツは、従来は筐体内部から背面パネルに取り付ける方式だったが、新モデルでは、外側からはめ込んで取り付ける方法に変更。電源ケーブル接続時の強度を高めている。
そのほかの入出力端子やサイズなどは下表の通り。NA5008にはマクロ対応双方向リモコンが、NA1008にはマクロ対応リモコンが付属する。
背面端子(NA5008) | ACインレットのパーツが変更されている | 背面端子(NA1008) |
前面パネル内側の端子や操作ボタン部(NA5008) | NA1008の前面パネル | 付属リモコン。左がNA5008のもの、右がNA1008のもの |
モデル名 | TX-NA5008 | TX-NA1008 |
定格出力 (6Ω時) | 200W×9ch | 145W×9ch |
実用最大出力 (6Ω時) | 280W×9ch | 230W×9ch |
HDMI端子 | 入力×8 出力×2 (同時出力対応) | 入力×7 出力×2 (同時出力対応) |
映像入力 | D4×3 コンポーネント×3 S映像×4 コンポジット×5 アナログRGB(D-Sub 15ピン)×1 | D4×2 コンポーネント×2 S映像×4 コンポジット×5 アナログRGB(D-Sub 15ピン)×1 |
映像出力 | D4×1 コンポーネント×1 S映像×2 コンポジット×2 | |
音声入力 | 光デジタル×4 同軸デジタル×3 アナログ×10 アナログ7.1ch×1 | 光デジタル×3 同軸デジタル×3 アナログ×8 アナログ7.1ch×1 |
音声出力 | アナログ×2 アナログ9ch×1 サブウーファ×2 ZONE2(2ch)×1 ZONE3(2ch)×1 | アナログ×1 アナログ9ch×1 サブウーファ×2 |
外形寸法 (幅×奥行き×高さ) | 435×463.5×198.5mm | 435×435.5×198.5mm |
重量 | 25kg | 18.7kg |
(2010年 6月 28日)
[AV Watch編集部 中林暁]