シャープ、“IGZO”採用の中小型液晶を世界初実用化

-開口率向上で消費電力低減。亀山第2で生産


IGZOの開発概要

 シャープは、酸化物半導体(IGZO)を採用した中小型液晶パネルを開発し、2011年中に亀山第2工場で生産開始する。世界的に需要が急拡大しているスマートフォンやタブレット端末向けに展開予定で、IGZOを採用した液晶パネルの実用化は世界初となる。

 IGZOは、In:インジウム、Ga:ガリウム、Zn:亜鉛から構成される酸化物。新材料であるIGZOを用いた薄膜トランジスタを半導体エネルギー研究所と共同で開発し、世界で初めて実用化する。従来は、アモルファスシリコンで被膜トランジスタを形成していたが、IGZOの高い電子移動度を活かすことで、薄膜トランジスタを小型化できる。このことから1画素あたりの光の透過量が高まり、液晶の高開口率化が図れるため、低消費電力化や高精細化が図れる点が特徴となる。

 また、既存のアモルファスの設備の多くを活用し、一部の改良で導入できることから、既存ラインからの転用時に設備投資を抑えることができるなど、コスト面でのメリットも大きいという。

IGZOは高い電子移動度を持つため、トランジスタの小型化=液晶の高開口率化が可能となる電子移動度はアモルファスの約20~30倍一般的な薄膜トランジスタ
試作品では約1/3の低消費電力化を実現

 UV2A技術を採用することで、中小型のパネルを実現。試作した10型FWXGAパネルでは、従来比で1/3の消費電力削減が行なえたという。

 従来テレビ向けのパネルを作っていた亀山第2工場の既存ラインを活用することで、第8世代マザーガラスによる高効率でコスト競争力を高めた生産が可能になる。なお、亀山第2では引き続き大型テレビ用のパネル生産も行なう。新ラインの生産規模や投資額については、「当社の今後の戦略、供給先の戦略にかかわる問題なので、答えられない」とした。

 中小型から生産を開始する理由については、「現在旺盛な需要があるため、プライオリティを置いている」と説明。今後の大型化については「技術レベルに応じて適用していく」と述べるに留めた。

 また、シャープは、アモルファスより100倍以上電子移動度が高く、IGZOよりも高い「CGシリコン液晶」も中小型液晶で展開している。CGシリコンは高精細化にも適しているため、「300ppi以上はCGシリコンを、それ以下はIGZOを使っていく」という方針。専用ラインを構築する必要があるCGシリコンに対して、IGZOでは既存ラインを応用できるコスト面での優位性があるとする。

IGZOの特徴今後の取り組み

(2011年 4月 21日)

[AV Watch編集部 臼田勤哉]