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シャープが第5世代IGZOを開発、8K液晶パネル拡充へ。有機ELにも応用

シャープは24日、より滑らかな表示と低消費電力を実現した液晶パネルの「第5世代IGZO(IGZO5)」を開発したと発表した。8Kディスプレイや、モバイル、プロ用モニターのほか、中型有機ELディスプレイへの応用なども進める。

IGZO5を新開発

同社は2012年3月、ディスプレイを駆動するTFT(薄膜トランジスタ)に、In(インジウム)、Ga(ガリウム)、Zn(亜鉛)、O(酸素)で構成される酸化物半導体IGZOを用いた液晶パネルの量産化に世界で初めて成功。その後、改良を重ねて今回のIGZO5を開発した。昨年11月に発売した80型8Kチューナー内蔵液晶テレビ向けに搭載したほか、中小型液晶モジュールの量産技術の開発を完了。モバイルから大型パネルサイズまでをカバーするIGZO5の幅広いラインナップ展開が可能になったという。

IGZO5搭載の8Kチューナー内蔵テレビ「AQUOS 8K 8T-C80AX1」

新たに開発したIGZO5は、製膜などのプロセス条件の工夫により、液晶パネルの駆動性能を左右する電子移動度を前世代IGZO比で約1.5倍に向上。大型ディスプレイの駆動用TFTとして一般的なアモルファスシリコンの約30倍の電子移動度を実現した。

8Kなど高精細の中~大型ディスプレイや超高精細モバイルディスプレイを120Hz以上で高速駆動させ、低消費電力でも滑らかな表示を可能とした。また、電子移動度の高さからTFTサイズの小型化が可能となり、ディスプレイの輝度向上に寄与。周辺回路のサイズダウンによる超狭額縁化や、タッチパネルなどのセンサ機能の搭載などが容易になるという。

さらに、低消費電力や大画面化が可能となることから有機ELディスプレイの駆動用TFTとしても適しており、今後の有機ELディスプレイの展開への応用も見込まれている。

IGZOを用いた液晶パネルは、2012年にスマートフォンへ搭載して以降、IGZOの特徴である電子移動度の高さやトランジスタ駆動時のリーク電流(トランジスタに電流を流さない状態でも漏れ出してしまう電流)の少なさなどを活かし、タブレット、PC、モニター、大型8Kテレビ、車載ディスプレイなどに展開してきた。

8Kや5Gの普及に伴い送受信される高速大容量データを高品位に表示可能。今後、IGZO5の技術を活用し、8Kディスプレイのラインナップ拡充や、超低消費電力モバイル、超高速駆動/高画質のプロ用モニター、中型有機ELディスプレイなどへの応用を進める。