Eye-Fi、初期設定がスマホで行なえる無線LAN SDカード

-ドコモが販売。PCレスでスマホ転送などが可能


Eye-Fi Mobile X2 4GB for ドコモ

 アイファイジャパンは、無線LAN内蔵SDカード「Eye-Fi」の新製品として、Androidスマートフォンから簡単に初期設定できる「Eye-Fi Mobile X2 4GB for ドコモ」を4月13日より発売する。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は5,980円前後。販売はドコモショップや、家電量販店のドコモ携帯電話売場などで行なう。

 デジタルカメラからワイヤレスでパソコンやスマートフォン、写真共有サイトなどに転送/アップロードできるEye-Fiカードの新製品。特徴は、初期設定がAndroidアプリから行なえる「スマホかんたん設定」に対応し、購入後すぐにPCレスで設定可能なこと。ドコモの販売チャネルでの取扱となるが、他社のAndroidスマートフォンやタブレットでも利用できる。

 初期設定のアプリはGoogle Play(旧Android Market)でダウンロード可能。Eye-Fiカードに付属する「スタートカード」にあるQRコードの読み取りでも検索できる。続いて、スタートカードに記載された10桁の認証キーを入力。このキーはQRコードでの読み取りもできる。入力後、メールアドレスとパスワードを入力すれば初期設定が完了。スマートフォンへ直接転送する「ダイレクトモード」などが利用できる。なお、従来通りパソコン用ソフト「Eye-Fi Center」でも設定できる。

パッケージ付属するスターターカード裏面の番号を入力して、メールアドレスなどを登録すると初期設定が完了

 上記の初期設定以外に、Eye-Fiカード自体でできることは既存の「Eye-Fi Mobile X2 4GB」(直販5,980円)と同じ。スピードクラスはClass 6で、無線LANはIEEE 802.11b/g/nに対応する。ダイレクトモードの他に、PC転送や写真共有サイトへのアップロードや、エンドレスモードなども利用できる。なお、Eye-Fiカード本体は出荷時に「スマホかんたん設定」に対応した状態で出荷されるため、厳密には従来のカードと全く同じ仕様ではないという。

 また、今回の新モデルを含むEye-Fiカードは、ドコモのオンラインサービス「お便りフォトサービス」とも連携。Eye-Fiカードを収めたデジタルカメラで撮影した写真を、ワイヤレスでドコモのデジタルフォトフレーム「お便りフォトパネル」へ自動転送できる。

Eye-Fiカード購入者にガイド本(右)を無料提供するキャンペーンを実施

 「Eye-Fi Mobile X2 4GB for ドコモ」の発売に合わせてキャンペーンも実施。購入者に対して、Eye-Fiサーバーへのアップロードが無制限に行なえる有料サービス「Eye-Fi Viewプレミアム会員」(通常月額480円/年額4,800円)の3カ月無料キャンペーンも実施する。

 さらに、新製品以外も対象となるキャンペーンも10日より実施。Eye-Fiカードを同社オンラインサイトで購入すると、もれなくガイド本の「できるポケット Eye-Fi公式ガイド」が無料でプレゼント(数量限定)される。



■ 「パーソナルクラウド」拡大に期待。特許侵害についてはSDAが調査中

 NTTドコモとEye-Fiは3月に、Eye-Fiの無線LAN搭載SDカードやストレージサービスと、ドコモの「パーソナル」クラウドなどのサービス融合を目的とした業務提携に合意したことを発表している。今回の「Eye-Fi Mobile X2 4GB for ドコモ」は、協業の第1弾製品となる。

米Eye-FiのYuval Koren CEO

 発表会で米Eye-Fiの共同創立者でCEOのYuval Koren氏は、「パーソナルクラウド」の今後の発展について説明。米Forrester Researchによる「パーソナルクラウドサービスの市場規模は2016年までに120億ドルになるだろう」との予測を引用して、「我々の観点では、パーソナルクラウドにアップロードするコンテンツとしては写真やビデオに大きなチャンスがある」とした。

 新製品の「Eye-Fi Mobile X2 4GB for ドコモ」の特徴である「スマホかんたん設定」を導入した理由についても説明。「これまで、『簡単な設定方法』が欲しいという声をパートナーやユーザーからもらっていた。今回の協業は、パーソナルクラウドに対応していくための素晴らしい一歩となるだろう」とした。

 また、Eye-Fiカード対応製品の広がりについて「2007年より、先駆者としていろいろなイノベーションを提案し続けてきた。パートナー各社の対応は2008年から始まり、2012年にはパナソニックが加わった。同社製品はコンシューマ用だけでなく業務用製品も対応している」と説明。“最も大きなEye-Fi対応カメラ”として、業務用AVCCAMの「AG-AC160」を紹介した。

多くのカメラメーカーがEye-Fiに対応パナソニックも2012年に対応を表明した。写真は業務用カメラの「AG-AC160」オリンパスの「SH-25MR」は、Eye-Fiの「選択転送」が分かりやすいインターフェイスを採用しているという

 そのほか、Eye-Fiアプリの評価についても言及。カメラ本体に無線LANを搭載した製品も既に複数登場しているが、これらに対応したアプリに比べ、Eye-Fiはダウンロード数でもアプリの評価も上回っているとアピールした。Koren氏は「これからも多くの支持を得るため、通信機器メーカーやカメラメーカーなどと協力して、Eye-Fiのプラットフォームへの対応を呼びかけている」と述べ、今回の「かんたんスマホ設定」はAndroidだけでなく、iOSへの対応も検討していることを明かした。

 なお、米Eye-Fiは、SD Association(SDA)が発表した無線LAN搭載SDカードの標準規格「Wireless LAN SD」に対しては「Eye-Fiの重要な特許技術を侵害するもの」と1月に表明している。この件の現状についてKoren CEOは「SDAの標準化プロセスに意義を唱えた後、関連IP(知的財産)をSDAに提出した。現在はSDAがIPをレビューしている状況」とした。

 発表会には、NTTドコモの高原幸一ユビキタスサービス部長も登壇。Eye-Fiが「お便りフォトサービス」に連携していることを歓迎した。また、ドコモが写真/動画の領域で目指す世界として、(喜び/楽しみを)「持ち歩く」、(懐かしい日々を)「思い出す」、(デジタルカメラの写真を)「取り出す」、(喜び/楽しみを)「届ける」という4つのシーンを紹介。「カメラから取り出して、デジタルフォトフレームに届けるソリューションを考えていたところ、スマートフォンと相性のいいサービスを提案していただいた。今後もこういったサービスについて協議を続け、デジタルカメラのメーカーも共に、この世界を広げていくことを目指したい」とした。

Google Playでのダウンロード数と評価。右がEye-Fiアプリのもの、左の3つが他社のもの左から、NTTドコモの高原幸一氏、米Eye-FiのYuval Koren CEO、アイファイジャパンの田中大祐代表取締役ドコモが目指す写真/動画の世界


(2012年 4月 10日)

[AV Watch編集部 中林暁]