【IFA 2012】ソニー、NFC対応Xperiaや4K BRAVIAを披露

-無線LAN搭載のNEX、新HMD。"Kando"を世界に


平井一夫社長兼CEO

 「IFA(国際コンシューマエレクトロニクス展) 2012」が8月31日~5日(現地時間)にドイツ・ベルリンのメッセ・ベルリン見本市会場にて行なわれる。

 開幕2日前となる29日、ソニーが新製品などを紹介するプレスカンファレンスを開催。ソニー社長兼CEOの平井一夫氏が登壇した。

 会見では、「BRAVIA」の84型/4Kテレビを披露。3,840×2,160ドットの液晶パネルと、超解像高画質回路「4K X-Reality PRO」を搭載し、フルHDなど4Kに満たない解像度の映像も4Kにアップコンバートして高画質に表示可能。日本を含む世界全地域で年内より順次発売する。欧州での価格は25,000ユーロの見込み。なお、製品の主な仕様は既報の通り。

 また、Androidタブレットの新モデルも発表された。これまで同社タブレットは「Sony Tablet」として展開してきたが、新モデルからはスマートフォンと共通のブランドを冠した「Xperia Tablet」となる。スマートフォンは、NFC(Near Field Communication)を搭載してワンタッチで対応ヘッドフォンやスピーカーと連携できる「Xperia T」(一部地域ではXperia TXという名前で販売)や、LTE対応の「Xperia V」、スタイリッシュなデザインが特徴の「Xperia J」の3モデルが発表された。Xperia Tは近日中にグローバルで発売され、Xperia V/Sは2012年第4四半期に同じくグローバルで販売。なお、日本での発売時期は未定。

4Kテレビを紹介する平井氏タブレットは「Xperia Tablet」というシリーズ名にXperiaの新製品


■ 「感動」を世界に提供。HMDの後継機やアクションカメラも発表

日本語の「感動」という言葉を紹介

 平井一夫氏は2011年のIFAにも登壇していたが、当時は副社長としてのプレゼンテーションだった。今回はソニーの社長兼CEOに就任してから最初の大型展示会での登場となった。

 平井氏は冒頭、「One Sony」を示す一つのビジョンとして、日本語の「感動」(Kando)という言葉を世界のプレスに向けて紹介。「今回発表する製品が世界の人々に感動を与える」とした。

 ソニーのこれまでの歴史で、より豊かなユーザー体験の追求を続け、技術革新によりエンターテインメントビジネスを拡大してきたが、市場の変化などを受けて「今こそソニーが変わるとき」と宣言。社長就任時から示してきた3つのコア領域「ゲーム」、「モバイル」、「デジタルイメージング」へ集中していくことを強調した。

 モバイルは、前述の「Xperia Tablet S」や、スマートフォンのXperiaを紹介。タブレットもXperiaシリーズに加えたことに合わせて、これまでスマートフォンで培ったデザインや機器連携、ネットワークサービスなどのユーザー体験をタブレットにも拡大していくことを発表した。これらの製品は、共通のメディアアプリ「Sony's media application」を搭載し、動画や音楽、写真などのコンテンツのインターフェイスを共通化している。

 デジタルイメージングでは、レンズ交換式デジタルカメラ「α」のミラーレスモデル新機種「NEX-5R」を紹介。αとして初めて無線LANを搭載し、スマホ/タブレットから露出補正やシャッターなどの操作が行なえる。さらに、カメラの撮影機能を購入後にも進化させられるというアプリケーションダウンロードサービス「Play Memories Camera Apps」の導入も発表した。

 ゲームでは、今秋にスタートする「Wonderbook」を紹介。モーションコントロールの「PlayStation Eye」とAR(拡張現実)技術を利用して、杖で魔法を操るような体験のできるゲームで、第1弾の作品として「ハリー・ポッターシリーズ」のJ.K.ローリングとコラボレーションした「Book of Spells」を投入する。

新しい3つのコアに据えられたゲーム、モバイル、デジタルイメージングαで初の無線LAN搭載モデル「NEX-5R」モーションコントロールとARを組み合わせたゲーム「Wonderbook」のプレイイメージ

 これらのコア領域だけでなく、「テレビ」、「オーディオ」の新製品も発表。前述の4K解像度のテレビについては、これまでCineAltaカメラ「F65」や、デジタルシネマプロジェクタなどの製品で4K映像制作の市場開拓をリードしてきたことに言及。2011年に発表したホームシアター用4Kプロジェクタ「VPL-VW1000ES」に続き、家庭用テレビにも4Kモデルを投入することで、4K映像を家庭に広げていくという狙いを示した。

 オーディオでは、ソニー・ミュージックエンタテインメントとの協力で開発したヘッドフォン「MDR-1」シリーズを紹介。また、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団との協業関係を拡大。ソニーの撮影/編集機材をベルリン・フィルに導入することで今後フルHDでのコンサート映像を家庭用ホームエンタテインメント製品に配信していくことや、ベルリン・フィルのトーンマイスターと共に音質評価や製品の開発を行なっていくことでホームシアター製品の展開につなげることなどを明らかにした。

BRAVIAの4KモデルヘッドフォンのMDR-1ベルリン・フィルのデモ映像も流れ、会場から拍手が起こった



HMDの新製品「HMZ-T2」

 そのほか、発売中のヘッドマウントディスプレイ「HMZ-T1」の後継で、本体を25%軽量化した「HMZ-T2」や、重低音の再現性などを向上させたヘッドフォン「MDR-1」シリーズなどをブース内に展示した。HMZ-T2は欧州で11月に発売。価格は1,000ユーロ前後。MDR-1は10月発売で250ユーロ前後。

 7月に欧州で発表されたAndroid搭載ウォークマンの新モデル「F800シリーズ」も展示。新たにAndroid 4.0を搭載し、FLACの再生にも対応したことが大きな特徴。クラウド型音楽配信のMusic Unlimitedにも対応している。

 さらに、1080/30pフルHD動画撮影対応のスポーツ向けビデオカメラ「HDR-AS15」も紹介。スマートフォンと無線LAN接続でき、画角の確認や撮影の開始/停止、解像度の変更といった操作も可能。裏面照射型CMOSを搭載し、暗いシーンでも画質を損なわずに撮影できることも特徴としている。10月中旬に発売予定。

初代モデルのHMZ-T1はヘッドフォン付きだったが、T2は手持ちのイヤフォン/ヘッドフォンを接続して使えるFLAC対応ウォークマンのF800シリーズスポーツ向けビデオカメラ「HDR-AS15」
Xperia Tを持つ平井氏

 平井氏はプレゼンテーションの最後に「これまで、ソニーの“変化”の方向性をみていただいた。各製品がつながっていくことで、特別なユーザー体験を提供できる。これがソニーならでは強さ。どうぞ皆さん、4KのBRAVIAテレビを観て、ベルリン・フィルの音楽をホームシアターで聴いて、スマートフォン/タブレットやVAIO/プレイステーションで遊んで、素敵な写真をカメラで撮ってください。我々は本当の意味で『One Sony』になろうとしており、全ての人々に“感動”を与えるために魅力的な製品やユーザー体験を提供していく」と締めくくった。



(2012年 8月 30日)

[AV Watch編集部 中林暁]