ニュース

シャープ、CES向け説明会で4K「AQUOS Ultra HD」発表

IGZO強調、4Kは「ハイエンドのICCと普及型AQUOS」で

日本でも発表済みの「ICC PURIOS」がアメリカでも発表に。パネルも性能も基本的には同等という

 米シャープは7日(米国時間)、International CES開催前にプレスカンファレンスを開催。IGZOを含む今後の技術戦略を説明したほか、米国市場向けに大型パネルを使った製品を発表した。

 同社が発表したのは、「AQUOS Ultra HD」ブランドと「ICC PURIOS」ブランド。両方の4Kクラステレビのほか、80型、70型、60型の米国向け製品も披露。既に日本で導入済みの製品に相当するものが基本だが、4Kの「AQUOS Ultra HD」については初お披露目となり、日本でも「ICC PURIOSとは異なるラインとして製品化を予定している。他社がインチ1万円という以上、競争力のある価格で展開したい」(シャープ副社長執行役員 商品事業担当 兼 グローバルマーケティング本部長の高橋興三氏)としている。

アイキューブドの4K映像創造技術「ICC」(Integrated Cognitive Creation)を搭載した「ICC PURIOS」
4KクラスのAQUOSとなる、「AQUOS Ultra HD」。ICC PURIOSとの2ブランド展開で、こちらも映像エンジンなどは4K世代の新しいものが採用されている
シャープ副社長執行役員 商品事業担当 兼 グローバルマーケティング本部長の高橋興三氏



大型シフトで存在感アップ、4K AQUOSは「新世代エンジン」

 同社は2010年以降、堺工場の生産力を生かせるよう、一貫して大型パネルを使った製品を展開してきたが、結果、 2012年度は北米において「60型以上の市場でトップとなり、収益は2倍になった」(高橋氏)という。

 元々、60型を商品化した際は「それ以上のサイズの計画をもっていなかった」というが、結果、市場の要望に答える形で、90型までを製品化している。90型について、同社は「通常、市場で手に入る最大のサイズ(特別な受注生産ではない、という意味)」としている。結果、この市場で20%の成長を達成したが、2013年度は40%の成長を見込むという。なお、90型より上については、「現状、通常の製品としての予定はない」(高橋氏)とする。

60型以上のジャンルでは北米トップに。まだ数量が少ない市場だが、そこで堅調に伸びているとする
2013年度の予測として、60型以上のカテゴリで40%の成長を見込んでいる
アメリカ市場でのパネル大型化について解説。60型からスタートし、現状では90型までが市場投入されている

 トップエンドの商品として紹介されたのは、2つの4K(UHD)クラスの製品。日本で発表済みのICC PURIOSに加え、AQUOSブランドの「AQUOS Ultra HD」をラインナップする。こちらはICCを使っていないが、「4Kはいままでとまったく違う世界であるので、映像エンジンとしてはまったくの新世代」(シャープ関係者)になるという。

 アメリカ市場向けの主力ラインとしては、価格毎に6シリーズ・7シリーズ・8シリーズの3ラインナップを用意し、それぞれにサイズ毎にラインを設ける。すべてにネット接続を使ったスマートTV機能「Smart Central」を搭載する。

アメリカ市場向けに発表された、メインストリームの製品。80・70・60型の3サイズを中心に展開。アメリカ市場での発売は3月以降
スマートTV機能「Smart Central」を搭載。HTML5とFlashに対応し、それらの動画などが見られる。iOSやAndroidのスマートフォンとの連携機能は標準搭載
Smart Centralの機能として、Netflixのセカンドスクリーンが実現される。スマートフォンで探した映像を、ワンタッチでテレビ側に送って再生する



自社技術としてIGZOをアピール、次世代クアトロンでは縦方向解像度を改善

 また将来の技術として、特にIGZOを強くアピールした。発表内容は日本でのものと同じだが、すでに日本でデバイスが登場していることも紹介。「世界で最初に量産に成功した」という点を強調しており、シャープとしての力の入れようもわかる。今回の話題の中心を、ここに持ってきたいという思いが伝わるカンファレンスとなった。

日本でも発表済みの、IGZOを使った32型・4K2Kのパネルを紹介。主に業務向けの需要を狙う
日本でも出荷/発表済みのIGZO搭載製品、「AQUOS PHONE ZETA SH-09D」「AQUOS PHONE Xx 106SH」「AQUOS PAD SHT21」を紹介

 特に「2014年以降の技術」として紹介したのが、パネルへの映り込みを大幅に低減する「モスアイ」と「次世代クアトロン」だ。前者はすでに日本で発売済みだが、後者は今回新たに発表されたものだ。

 元々クアトロンは、4色の画素をサブピクセルレベルでコントロールすることで、精細度を高める仕組みを持っているが、現状は水平方向のみに限られていた。次世代クアトロンでは垂直方向にも制御可能とすることで、特に、文字に関する精細度が高まり、「Ultra HDと同じような効果をもっと低コストに実現する」と謳っている。

 また、液晶向けガラスで知られるコーニング ガラステクノロジーのプレジデント、ジェームス・クラッピン氏も登壇。シャープとの長年にわたる協力と、今後の最適化に関してもアピールした。

2014年中に展開を予定している新クアトロン。サブピクセル制御を垂直方向でも導入することで、低コストに解像感向上を狙う
コーニング ガラステクノロジーのプレジデント、ジェームス・クラッピン氏も登壇。シャープとの良好な関係と今後の協力をアピールした

(西田 宗千佳)