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BDA、「Blu-ray Discマイスター感謝祭」を開催

AV評論家や福井晴敏氏らがお気に入りBDを語る

 Blu-ray Disc Association(BDA)が開設している、Blu-ray Discに関する知識検定サイト「ブルーレイディスクマイスタークイズ」が昨年末にファイナル・シーズンを終了した事を記念し、関係者を集めた「BDマイスター感謝祭」が16日、都内で開催され、特別ゲストとしてクイズを監修したAV評論家の麻倉怜士氏、AV&ITジャーナリストの本田雅一氏、さらに「ガンダムUC」などを手がけ、AVマニアとしても知られる小説家の福井晴敏氏、さらに大のアニメ好きでもあるモデルで女優の結(ゆい)さんも登壇した。

会場の様子

 「ブルーレイディスクマイスタークイズ」は、Blu-rayに関する知識をクイズ形式で学べるもので、BDへの理解を深められ、普及促進にもつなげる事を目的としており、誰でも簡単に挑戦できるようになっている。ゲスト利用で「初級」や「アドバンストクイズ」に挑戦でき、利用者登録をすると「中級クイズ」や「マイスタークイズ」にチャレンジでき、ランキング発表や、上位入賞者を表彰するといった特典も用意されていた(4月にサイトリニューアルが予定されており、マイスター検定も再開される予定。現在はお試しクイズができる)。

マイスターへの授賞式も行なわれた

 クイズだけでなく、BD化して欲しい作品についてユーザーからの投票を募り、その結果をもとにメーカーへBD化の交渉を行ない、BD発売の実現につなげるBD化プロジェクトも実施。アニメの「とらドラ!」など、様々な作品のBD化を実現してきた経緯もある。なお、現在も同プロジェクトは進行している。

 今回のイベントは、これまで参加していたマイスターや、盛り上げたブロガーなど、様々な人達が参加。クイズのファーストシーズンを監修した麻倉氏は全体を振り返り、「BDの情報を座学のように上から伝えるのではなく、参加者が自分で勉強して挑戦するという企画が面白くて、目の付け所が良いと感じました。ソフトからハード、マーケティングも含め、問題が広範囲だったところもユニーク」と評価。

麻倉怜士氏と本田雅一氏もゲストとして参加

 セカンドシーズンを監修した本田氏も、「DVDとBDでは何が違うのか、BDはこんなところが良いんだよという事を知ってもらう、それをエンターテイメントにしたのが凄いところ」と振り返る。

 本田氏は、印象に残っている問題として「(担当しているBDAのABI氏から)『本田さんが飼っている猫の名前はなんですか?』と聞かれたんですよ。『猫の名前なんて問題にするの!?』って驚きました。真面目なBDのプロモーションサイトなのか、ABIさんの趣味のサイトなのか迷いました」と笑う。

 麻倉氏も、「“私(麻倉氏)の家のホームシアターにあるコンセントの数”って質問が印象に残っている。僕もわかりませんでしたよ(笑)。知識だったら勉強すれば大丈夫ですが、絶対にわからない、確率で当たるような問題も出す事で、もう一度チャレンジしようという気になる」と振り返る。なお、こうした超難問(?)は、アドバンストクイズの中に登場していた。

 狙いについてABI氏は、「当初はBDを販売する店員さんに、主に使っていただこうと考えていたのですが、その際、当たり前のスペックを伝えるよりも、お客さんとの話をはずませるネタにする問題があってもいいかなと考えたんです。『オーディオ評論家の家には、100個もコンセントがある人もいるらしいですよ』と(笑)。それでも何回も合格してくださる方もいて、我々としては非常に嬉しかったです」と振り返った。

BDAのABI氏
マイスターサイトの第5シーズンクイズで、妹キャラクターの声を担当、「そこ☆あに」でパーソナリティを務める田中美樹さんも司会として参加

ゲストのお気に入りBDは?

福井晴敏氏

 福井晴敏氏は、同サイトでお気に入りのBDを紹介する「マイフェイバリットブルーレイ」コーナーの第1回目に登場。大ファンで、BD化を待ち望んでいたというエイリアンのBD-BOXについての想いを、映画ファンならではのこだわりを交えて語るとともに、現在福井氏が手がけている「ガンダムUC」シリーズについて、「おかげさまで去年一番売れたBDだったらしく、本来6話で終わるはずが、7本目も作れる事になりました。少しお待たせしてしまいますが、これまでの1話約1時間を軽々と超えるボリュームになります」と報告。続きを待ち望むファンから大きな拍手を浴びた。

 ちなみに福井氏は、3DCG映画として秋頃公開が予定されている「キャプテン・ハーロック -SPACE PIRATE CAPTAIN HARLOCK-(仮)」でも脚色脚本を担当。「上映も基本3Dで行ない、気持ちとしてはアバターに負けずとも劣らないつもりで、凄いお金をかけて作っています」とアピール。トレーラーも上映した。

モデルで女優の結さん。出演している、高橋泉監督作品「あたしは世界なんかじゃないから」が4月にテアトル新宿で上映される。「自分が出ている作品がBDになるのが1つの夢」だという

 モデルで女優の結さんは、お気に入りのBD 1位に「とらドラ!」を挙げるほどのアニメ好き。BDAから取材を受けた際も、「言いたいことが沢山あって、1時間の取材が本当にあっという間で、もういいんですか? 本当にいいんですか? って聞いてしまうくらいでした」と笑う。

 最近のお気に入りは、「少女革命ウテナ」のBD-BOXで、「TVで見ていた小学生時代はLDのCMをやっていて、大富豪じゃないと買えない!! 大人になったら買うんだと思っていました(笑)。BD-BOXが出て大歓喜で、やっと手に入って大人になったなと感じました。取材を受けた時もBD化して欲しいと言っていたので、もし一言でも、その声が届いてBD化に一役買えたのなら、こんなに嬉しい事はないです」と喜びを語った。

 本田氏は、新作のモノクロ無声映画として話題を集めた「アーティスト」をお気に入りのBDとして挙げる。「モノクロでBDってどうなんだと思いましたが、画質が良い。音も、オーケストラが映画に合わせて演奏する、下から上に沸き上がってくるような音楽が本当に素晴らしい。最後にちょっと声が出るんですが、何も声が無かった世界に、声がポッと現れるのも魅力的。無声映画だからこそBDの良さが感じられます」と紹介。音楽作品では、クリス・ボッティの「Chris Botti in Boston」を挙げ、「一流のミュージシャンが集まったライヴの空間を保存して、自分の目の前に再現してくれるようなソフト」と評価した。

 麻倉氏は、邦楽BDのお気に入りとして「平井堅/Ken Hirai Live Tour 2008 FAKIN' POP」を紹介。「絵が良くても音が悪かったり、音が良くてもサラウンドがイマイチといったソフトもある中、三拍子四拍子揃った作品。家でよく再生するんですが、(麻倉氏のシアターを訪れた)お客さんの目に涙が浮かぶ事もある」という。

 新作では、輸入盤を一足先に入手したという「007/スカイフォール」も、「ノイズが少なく、なおかつ解像度も高く、コントラストも階調性も良い。クオリティにビックリした」と評価。旧作では、65mmのオリジナルフィルムを8Kでスキャン、4Kの映像をフルHDに4分割して、1年に渡ってレストアが行なわれた「アラビアのロレンス」を紹介。「砂漠の砂の1粒1粒が見える。家庭での鑑賞が、劇場を超えた作品」と讃えた。アニメでは「青空も素晴らしく、ストーリーもユーミンの歌も良い」という「魔女の宅急便」がお気に入りだという。

さらなる普及や4K BDへの期待も

 本田氏は、「BDに携わる人達それぞれが、“好きだからやっている”という事を知って欲しい」と語る。「新しいディスクの規格を作って、それに対応したテレビやプレーヤーを売りつけようとしているというイメージを持つ人も多いみたいですが、作り手側は、ハイクオリティな映像や音質の作品を作り、それを楽しみたい、消費者と共有したいと思って作っているんです。3Dテレビを売るために3Dソフトが生まれたなんて事もありません。監督が3Dで見せたいと思う作品を作り、3Dの映画が生まれ、それを家庭でも楽しんで欲しいという想いから、3Dソフトやテレビが生まれたんです。素晴らしいコンテンツを消費者に届けたいという熱意を知って欲しいです」と説明。

 また、台頭しているネット配信について、「ピラミッドの下の方は配信に変わっていくかもしれない」とした上で、「先日も麻倉先生が『配信は貯蔵としては効率が良いけれど、所有した事にならないと』おっしゃってましたが、その通りだと思います。全ての映像が同じように好きなわけじゃないですよね? 『これは見たいけれど、欲しいわけじゃない』という作品があり、『見たいだけじゃなく、欲しい』という作品もある。これからも素晴らしいコンテンツを楽しむために、作り手側も、楽しむ側も、コンテンツを愛し、相互に影響しあうことで、BDには今後も発展していって欲しい」と語る

麻倉氏

 麻倉氏は、4Kのプロジェクタで投写する際も、フルHDながら、情報量の多いBDソフトが4K表示にマッチすると“4K時代のBDの魅力”を説明。また、現在の映画は4Kマスタリングが多いことから、「4KのBlu-rayにも期待したい」という。

 また、デジタル・エンターテインメント・グループ・ジャパン(DEGジャパン)の調査で、2012年のBD/DVDセル市場において、BDの構成比が31.6%と、アメリカの26.7%を抜いて世界一になった事も紹介。「世界一とはいえ、まだまだ3割。来年には5割行くと思いますが、まだまだ皆さんのような先進的なユーザーさんの果たす役割は大きい」と会場に集まったマイスターや関係者に語ると共に、マイスターサイトの今後にも期待を寄せた。

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(山崎健太郎)