ニュース

パナソニック、'13年第1四半期決算は営業利益642億円

民放TVCM見送りの影響「無い」。携帯は戦略見直し

パナソニック 河井英明常務取締役

 パナソニックは、2013年度第1四半期(2013年4月~6月)の連結業績を発表した。売上高は前年同期比0.6%増の1兆8,245億円、営業利益は66.3%増の642億円、税引前利益は224.2%増の1,226億円、当期利益は741.8%増の1,078億円となった。

 パナソニックの河井英明常務取締役は、「現地通貨ベースでは減収。また、すべての地域で実質減収となった。全社をあげた固定費削減、合理化効果に加え、ソーラーなどの住宅関連が好調な住宅関連のエコソリューションズ、リチウムイオン電池などのエナジー関連が好調なオートモーティブ&インダストリアルシステムズが牽引し、営業利益は増益となった。だが、今後も国内外で厳しい競争環境が続くとみている」などと総括。「新たな中期経営計画を完遂すべく、その初年度をしっかりやっていきたい」と語った。

 なお、税引前利益および当期純利益が大幅な増益になった背景には、年金制度の一部変更に伴う一時益の計上によるものとした。

 また、2013年度の主要ターゲットに対する進捗状況についても言及。「課題事業の改善はほぼ社内計画通りに進捗。事業構造改革費用は年間1,200億円を見込み、事業構造の転換に向けた取り組みを加速する。財務体質はネット資金が前年度末に比べて655億円良化しており、着実に改善している」と述べた。

 地域別売上高は、円ベースで、国内が6%減の8,649億円。海外では、米州が12%増の2,723億円、欧州が5%増の1,772億円、中国が前年並みの2,522億円、アジアが13%増の2,579億円となったが、現地通貨ベースでは前年割れとなっている。

第一四半期決算概要
第一四半期主要商品別売上高分析
地域別販売概要

テレビは販売減。民放CM見送り問題は「影響なし」

セグメント別実績

 セグメント別では、今年度からは、従来の8セグメントでの発表から、5セグメントへと再編。AVCネットワークスの売上高が前年比10%減の3,605億円、営業損失は3億円悪化の167億円の赤字。製販連結では、売上高は7%減の4,053億円、営業損失は14億円改善したものの、176億円の赤字となった。

 「デジカメやテレビ、携帯電話などのBtoC製品が需要低迷と不採算機種の絞り込みによって、大きな販売減となった。だが、パネル事業は着実に改善している」と語った。

AVCネットワークスの実績

 テレビの販売台数はパネルを含めて約10%減の272万台。PDPは32万台、液晶が240万台。

 テレビ・パネル事業の連結収益は、「77億円改善したものの、115億円の赤字となった」と説明。そのうち、テレビ事業部の売上高は前年同期比9%減の879億円、営業損失は10億円悪化の6億円の赤字となった。

 年間での1,150万台(セットでは900万台)の計画は据え置いている。

 スマートVIERAのテレビCM放映を民放各局が見送ったことに関する影響については、「業績への影響は軽微であり、ほとんどなかったと判断している」と語った。

ケータイは「現在のままでいいとは考えていない」

主要課題事業の実績

 携帯電話事業を担当するパナソニックモバイルコミュニケーションズの売上高は前年同期比14%減の153億円、営業損失は17億円悪化の54億円の赤字。通期でも11億円の赤字予想としているが、第1四半期でそれを大きく上回っている。

 河井英明常務取締役は、「携帯電話事業は、継続していきたいと考えているが、現在のままでいいとは考えていない。当社独自の強みを出して行かなくてはならない。携帯電話事業は、AVC社と融合して新たな形で取り組んでいる。BtoBに取り組む。フィーチャーフォンでは利益が出ているが、ドコモのツートップ戦略の影響もあり、今年秋以降にどうするのかを検討する必要がある。堅牢性の高い製品や当社が培った通信技術を活用した製品の投入など、当社の強みが生かせる戦略を考えていく必要がある。我々の強みが生かせるのは業務用のスマートフォン。だが、これだけでデジタル事業全体の収益を改善できるとは思っていない。進化させていかなくてはならない。すでに開発体制は絞り込んでおり、収益力の回復について、リソースの活用をどうするかといったことも改めて考えていく。BtoBなどにも展開することで、領域を広げながらやっていく。今後、戦略を時間をかけてしっかりと練っていかなくてはならない。事業戦略については、別途説明をしたい。携帯電話赤字の削減については、年間を通じて取り組んでいく」と語った。

 なお、レッツノートなどのPC事業を担当するITプロダクツ事業部は、前年同期比2%減の234億円となったほか、デジタルカメラを担当するDSC事業部は、売上高は51%減の164億円。「デジタルカメラは赤字である」としたほか、「コンパクトカメラも厳しくなっている少し商品構成を変えて行かなくてはならない。もともとミラーレスに力を注いできたが、こちらの分野でも競争が激化している。だが、高級機種の領域で事業展開を考えていきたい。強みのひとつに動画がある。静止画を撮るだけでなく、動画を含めて戦えないかと考えている」と、製品戦略の転換について言及した。

アプライアンスの実績

 一方、アプライアンスの売上高は前年同期比3%増の3,133億円、営業利益は80億円減の127億円。アプライアンスの製販連結では、売上高が5%増の4,314億円、営業利益は103億円悪化の223億円となった。

 エコソリューションズは、売上高が6%増の4,116億円、営業利益が125億円増の161億円。オートモーティブ&インダストリアルシステムズは、売上高が5%増の6,643億円、営業利益は161億円増の287億円。その他事業では、売上高が12%減の1,853億円、営業損失が27億円改善したものの28億円の赤字となった。

 なお、通期見通しでは、5月10日の公表時には「消去・調整」に含めていた固定費削減施策による営業利益への効果額を各セグメントに配分。セグメント別の見通しを修正した。

エコソリューションズの実績
オートモーティブ&インダストリアルシステムズの実績
セグメント別営業利益見通しの修正

(大河原 克行)