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モバキャス、料金値下げやサービス拡充でNOTTVに続く放送事業者の参入拡大へ

モバキャスのロゴ

 ジャパン・モバイルキャスティングは1日、V-Highマルチメディア放送「モバキャス」に、より多くの放送事業者が参入できるよう、提供条件を見直すと発表した。

 モバキャスは、地上アナログ放送終了後の207.5~222MHzの14.5MHzの帯域幅を利用したスマートフォン/タブレット向けの放送サービス。現在はソフト事業者としてmmbiの1社のみ参入し、NTTドコモのスマートフォン/タブレット(対応端末32機種)向けに「NOTTV」を展開している。ジャパン・モバイルキャスティングは唯一のハード事業者で、前述したモバキャス用の周波数を使い、ソフト事業者から受け取った番組やコンテンツを、国内のモバキャス用送信所42か所(33都道府県)から放送している。

 今回の見直しでは、放送事業者がモバキャスに参入するためのコストを低減し、新規参入しやすい環境を提供することを目的に、「サービス提供範囲の拡大」、「現行料金プラン(固定)の料金改定」、「売上連動プランの新設」の3つを行なう。これらの施策によって、2015年4月に放送事業者がサービス提供できるよう準備を進めていくという。

 「サービス提供範囲の拡大」については、現行のサービス提供範囲がモバキャスの全国放送網である「モバキャスサービス」のみだが、これに加えて要望の多かったという視聴者との契約/課金/決済サービス、番組情報管理機能、エンコーダなどの送信機能を含む「モバキャス付随サービス」の提供を予定。放送事業者の運営に必要となる多くの機能を拡大して提供することで、参入にかかる放送事業者の負担を軽減する。

提供サービスの見直し内容

 「現行料金プラン(固定)の料金改定」は、固定料金プランとして定められているモバキャスサービス(全国放送網)の利用料金を値下げするもの。現行の固定プランでは、1セグメント取得時の料金は年間5億400万円(A種1セグメント/割引なし)なのに対し、新固定プランでは2億7,000万円まで大幅に値下げする。利用セグメント数の少ない放送事業者向けに、より参入しやすい料金にするとしている。なお、利用セグメントが多い場合は値上げとなる場合がある。

 新設される「売上連動プラン」は、新固定プラン料金の一部を視聴料金(売上)と連動するレベニューシェア方式とするもの。前述のモバキャス付随サービス契約(共通・送信・課金の全て)を契約することにより選択可能となる。売上連動プランで1セグメント/1ch利用時の料金は、課金サービス(売上連動20%)と共通/送信サービスの3,000万円/年の契約が必須となるが、固定料金の2億7,000万円/年が、2億円減の7,000万円まで抑えられるという。

 なお、ジャパン・モバイルキャスティングは、新規参入を検討している放送事業者向けに対して7月31日に説明会を実施。81社が参加したという。

現行の固定プラン(左)と新固定プラン(右)
新固定プラン(左)と、売上連動プラン(右)

(中林暁)