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Samsung、平面から湾曲へ“変形”する4Kテレビ

105型湾曲5Kテレビや、世界最大級110型4Kも

社長兼CEOのBK YOON氏

 Samsung Electronicsは、米ラスベガスで現地時間の1月7日より開幕する「2014 International CES」に先立ち、プレスカンファレンスを開催。平面から湾曲へ、変形できる4K液晶テレビや、105型の湾曲“5K液晶テレビ”などを発表した。

 プレスカンファレンスには、社長兼CEOのBK YOON氏が登壇。今年のテーマを「未来の家庭」(Home of the Future)とし、「Smart Home」というキーワードを掲げてプレゼンテーションを開始。洗濯機や冷蔵庫、電子レンジなどの白物家電をGALAXYブランドの携帯情報機器で統合的に管理、制御できる構想などが語られた。

 なお、既報の通り、LGもプレスカンファレンスで、メッセンジャーソフトを用いて白物家電を制御するソリューションを紹介している。

サムスンの考える「未来の家庭」…その中心にGALAXYシリーズがある
サムスンの最新白物家電製品群。写真の冷蔵庫は二重扉方式のフードショーケース型冷蔵庫。洗濯機の方はWF9000シリーズ。日本では馴染みがないが、サムスンの白物家電は北米地区で人気が高い
GALAXY Camera2、レンズ交換対応カメラの新製品NX30も合わせて発表
GALAXY Note Proの12.2型モデル、GALAXY Tab Proの12.1型モデル、10.1型モデル、8.4型モデルが全て2,560×1,600ドット解像度となった

4Kテレビの本命は湾曲型

米SamsungのExecutive Vice President JOE STINZIANO氏

 米SamsungのExecutive Vice PresidentのJOE STINZIANO氏は、2013年までのテレビの市場状況を振り返ったあと、Display Researchによる2014年以降の全世界における4Kテレビの普及予想台数を紹介。2014年は1,200万台の4Kテレビの普及が見込まれおり、2017年には6,000万台にまで達する見込みだという。

4Kテレビは、2017年には全世界で6,000万台の普及が見込まれるという
Samsungは4Kテレビ、それも湾曲型(Curved)の4Kテレビ製品を特に強く訴求していく戦略を示唆した

 その中で4Kテレビ市場のリーダーとなるべく、他社以上に4Kテレビの製品開発に力を入れていく意志をアピール。中でも、これまでの薄型テレビにはなかった湾曲型の4Kテレビ製品を積極的に行なうと宣言した。

 フラッグシップとなるのが、LGと同サイズとなる105型、アスペクト比21:9(シネマスコープ・アスペクト)の湾曲型5K液晶テレビだ。解像度もLGと同じ5,120×2,160ドット、総画素数は1,100万画素。

 具体的な製品型番や発売時期については明らかにされていないが、湾曲型5K液晶テレビでは、表示(2D)映像に対して自動的に深度制御を行なって、運動視差を作り出す「Auto Depth Enhancer」機能が搭載される。裸眼立体とも違う、3Dメガネなしでの立体的な映像体験ができるとする。

 この他、16:9で3,840×2,160ドットの4K湾曲型液晶テレビ「U9000シリーズ」も紹介。U9000シリーズは78型、65型、55型の3モデル構成で、発売が予定されているが、リリース時期は未定。

105型の湾曲型5K液晶テレビはシネマスコープ・アスペクト(2.35:1)を採用
運動視差的な効果で立体的な視覚効果をもたらす「Auto Depth Enhancer」機能は105型湾曲5K液晶テレビに搭載される見込み

 Samsungは湾曲型デザインのテレビ製品は4K(および5K)に留まらず、2K(フルHD)モデルにも展開する予定で、2Kモデルは「H8000シリーズ」として展開する。

「トランスフォーマー」シリーズで知られるマイケル・ベイ監督。登壇するも、機材の故障でプレゼンテーションはできず

 こうした一連の湾曲型テレビに関して、SFアクション映画「トランスフォーマー」シリーズの監督して知られるマイケル・ベイ監督が登壇。「湾曲型デザインが映画鑑賞にいかに適しているか」を語る予定だったが、プレゼンテーションでベイ氏が話すべき台本表示装置が故障してしまったため、ベイ氏は笑顔のままステージから退散するという一幕もあった。

 後にSamsungから公開された情報によると、湾曲型テレビを購入したユーザーには、一般公開に先駆けて「トランスフォーマー4」の予告編を視聴できる特権が与えられるというアナウンスをする予定だったようだ。

 STINZIANO氏は、湾曲型ではない4Kテレビのラインナップも充実させていることもアピール。平面型の4Kテレビは50型、55型、60型、65型、75型、85型、110型で展開し、中でも110型は、4Kテレビとしては世界最大級であることが強くアピールされた。ただし、プレスカンファレンス会場で、実機の展示は無かった。

平面型の4Kテレビのラインナップ。50型から110型までが取り揃えられる
105型湾曲型5Kテレビ。型番は不明
78型の湾曲型4Kテレビは「U9000」という型番が与えられている。こちらはエリア駆動の際、高輝度部分を最大で2倍に発光させる「4ダイナミックレンジ拡大機能」を有しているとのこと
従来の4Kテレビユーザーのためのアップグレードキット「SAMSUNG UHD EVOLUTION KIT」

 なお、4K映像コンテンツの配信や4K/60Hzの伝送にはHDMI 2.0や、HDCP 2.2、またはHEVC H.265デコーダなどが必要になるが、Samsungの2014年モデルでは、そうした最新技術に対応するというまた、従来の4Kテレビユーザーに対しても、救済措置を提供する事を発表。「SAMSUNG UHD EVOLUTION KIT」と呼ばれるセットトップボックスのような装置で、従来の4Kテレビと組み合わせることで、2014年モデルとの機能格差が埋まるという。

 STINZIANO氏は、現在のスマートTVが、高機能化すればするほど、起動や操作レスポンスが遅くなっていることにも触れ、2014年のスマートTVでは、アプリケーションプロセッサを全て4コア化。2013年モデルと比較し、2倍のパフォーマンスが得られるようにしたことも報告。プロセッシングパワーの向上に伴い、一部のスマートフォンでも実現されているような、画面分割による複数アプリケーションやマルチ画面機能も実現している。

スマートTVでも画面分割によるマルチタスク実行が可能に

平面から湾曲へトランスフォームする4Kテレビ

 STINZIANO氏はプレゼンテーションの最後に、映像パネルが変形する「折り曲げ可変」(Bendable)液晶テレビを公開した。発売未定のショーモデルだが、ボタン1つで平面表示状態と湾曲表示状態とを相互に行き来できる変形機構を搭載。ステージ上で実際に平面状態から湾曲状態への変形デモが行なわれた。

 4K解像度でアスペクト比は16:9。画面サイズは非公開とのことだが、直前に公開された16:9、78型4K液晶テレビとほぼ同サイズと思われる。湾曲状態への変形は、平面状態から画面の左右両端が前にせり出すような形で行なわれる。

平面状態と湾曲状態を交互に行き来できる可変湾曲型4Kテレビが公開された

 湾曲表示は、画面の中央で映像を観ると自然だが、そこからズレると歪んで観えてしまう。そのため、この可変湾曲型4Kテレビでは、「大勢で見るときには平面状態」、「少人数で画面中央で観る時は湾曲状態にする」といった活用ができるわけだ。

 耐久性などが気になるところだが、現在のところ市販化の予定がないため、そのあたりの詳細は明らかになっていない。プレスカンファレンスでは、この可変湾曲型4Kテレビの公開時が、もっとも大きな歓声が上がっていた。

(トライゼット西川善司)