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アクトビラ、VOD売上は'10年比2.2倍に増加。7月からPC視聴も

「マンションアクトビラ」や音声操作など新サービス

 アクトビラは25日、動画配信の「アクトビラ ビデオ」や、法人向けのプラットフォーム提供など同社サービスの'13年度実績や、今後の新サービスに関する事業方針説明会を開催した。香西卓社長は、VOD配信が'10年度比で225%に伸長するなど好調な業績をアピールしたほか、新たな取り組みとして、集合住宅向けの「マンションアクトビラ」や、スマホを使った音声操作、HTML 5対応の放送通信連携プラットフォーム構築などについて説明した。

'14年度の主な取り組み

 さらに、12月からは4K対応テレビ向けにストリーミング形式の4Kビデオ商用配信サービスを開始することも発表した。9月からはBtoB向けに配信プラットフォームを提供するサービスを開始する。4Kビデオ配信については、別記事で掲載している

3年連続増収増益、VODは'10年の2.2倍に。PC視聴も7月から対応

アクトビラの香西卓社長

 アクトビラの香西卓社長は'13年度の業績について、3年連続の増収増益と過去最高の売上高/利益、2年連続の黒字を達成したことを報告。営業利益は前年比1.6倍、当期純利益は3.1倍に伸びたという。特にBtoBtoC、BtoBなど同社における新規事業分野が好調で、同分野の売上比率は53%に達したという。

 コンシューマ向けの柱であるVODサービスも好調で、3年連続増収で、'13年度は'10年度比225%の伸びとなった。香西氏は「非公式なデータ」と断った上で、VOD市場全体の伸びが1.8倍という調査結果を紹介し、同社のVOD事業について「業界を凌ぐ伸び率」とアピールした。

 中でもSVOD(定額制)サービスが好調で、売上比率は57%(前年度は53%)となった。6月時点で、VODコンテンツ数は82,000本以上(内カラオケ23,000曲)、コンテンツを提供しているプロバイダの数は73社、月額見放題商品数は43商品(前年度比で10商品増加)、同社VODサービスに参加している「NHKオンデマンド」などのビデオストアは8社(3社増加)となった。

 アクトビラ ビデオ・フル対応機器は11社200機種以上で、累積販売台数は、アクトビラ全体の対応機器5,360万台のうち、4,960万台がフル対応となっている。スマートフォン/タブレット/PCのマルチスクリーン対応も進めており、スマホはAndroid 2.3以降、iOS 4以降の機種をサポート。

 PCでは、現在は番組の検索や購入のみ可能となっているが、PCでの視聴対応も7月より開始予定としている。

'13年度の業績
VODサービスの伸長
アクトビラの目指す姿

マンションアクトビラを今秋開始。スマホ音声操作機能も開発中

 '14年度は「新たな成長に向けて踏み出す年」(香西氏)と位置付け、新サービスとして4KビデオのIP-VOD配信や、マンションアクトビラなどを展開することを発表。

 新サービスの一つ「マンションアクトビラ」は、テレビやBDレコーダなど既存のアクトビラ対応機器を使った集合住宅向けのVOD/コンシェルジュサービスで、不動産管理会社などに向けたBtoBtoC事業。

マンションアクトビラの概要

 対応マンションの入居者は、テレビのマンションアクトビラ専用画面でVODサービスが利用できるほか、共用施設の予約や、クリーニング/宅配といった「くらし支援」サービスも、テレビのリモコン操作で利用可能となる。サービス開始は今秋を予定しており、既に大京アステージが秋からのサービス開始に向けて導入を決定した。

 マンションアクトビラのVODは入会金や基本料が無料で、映画/ドラマ/アニメなど82,000本のコンテンツを視聴可能。同サービス専用に編成した番組も用意する。

トップ画面イメージ
コンシェルジュサービス機能の例
くらし支援サービスの例

 このほか、現在開発中の機能として、既存のテレビ向けアクトビラサービスをスマホなどで音声操作する技術について紹介。VODや出前などのサービスで検索しやすくしたり、アカウント登録の簡便化を実現するという。また、エクササイズ動画を観ながらハンズフリーで早送り/巻戻しといった操作を可能にする。

音声操作機能の概要

 例として、スマホのマイクに向けて番組名を話すと検索し、検索結果の一覧で3番目の話数を「3番」と話すと再生開始するといったデモを行なった。音声操作の対応モデルは、既存のアクトビラ ビデオ・フル対応テレビ全機種で、音声入力はAndroid 2.2以降とiOS 5以降をサポート。

スマホのマイクに向かって発話
テレビ画面に検索結果などを表示する
音声操作の流れ

HTML 5放送通信連携を含む次世代プラットフォームを年内構築へ

 '14年度は、新規開発事業として「次世代プラットフォーム」の構築を目指す。その柱として、4KのIP-VOD配信による映像の高品質化や、HTML 5対応の放送通信連携プラットフォーム構築、ユーザー体験向上のためのHTML 5対応、サービス間の連携を可能にするための個人IDの事業者間連携、スマホ/タブレットなどのマルチスクリーン対応という5つの取り組みを展開。これら全てを、'14年末までに完了させる見込み。

 香西氏は、総務省による放送サービスの高度化に関する3つの取り組みに触れ、アクトビラもこれらに貢献していることを説明。「スーパーハイビジョン」(4K/8K)については、前述の4K VOD配信サービスの開始、「スマートテレビ」についてはHTML 5対応の放送通信連携プラットフォームを提供し、2月からはVODの「時差再生」機能を実装したことを挙げた。「ケーブル・プラットフォーム」については、'12年からBtoB向けに開始したIP VODの「ケーブルアクトビラ」が、6月時点で約40局に採用されていることを紹介した。

次世代プラットフォームを年末までに構築
総務省による放送の高度化に同社も貢献している点を説明

(中林暁)