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クリプトン、約25万円のPC/BDP向け小型スピーカー「ハイレゾセブン」。デジタルバイアンプ内蔵
(2014/9/12 16:31)
クリプトンは12日、ハイレゾ対応のUSB DDCとバイアンプ構成のデジタルアンプを内蔵、PCだけでなく、HDMIでBDプレーヤーとも接続できるアクティブスピーカー「KS-7HQM」を10月上旬に発売する。価格はオープンプラスで、店頭予想価格は25万円前後。愛称は「ハイレゾセブン」。
PCやBDプレーヤー、ポータブルプレーヤーなど、様々な聴きと接続できるオールインワンタイプのオーディオシステム。クリプトンが展開しているハイレゾ音楽配信サービス「HQM Store」などで購入したハイレゾ音源を、手軽に楽しむためのシステムとして、2010年6月に発売した「KS-1HQM」、2012年10月の「KS-3HQM」などが開発され、「KS-7HQM」はそれに続く第3世代モデルとなる。
2ウェイの小型スピーカーで、最大の特徴はDACではなく新開発のDDCを内蔵している事。このDDCはフルデジタルアンプと直結されており、ユニットの直前までアナログ変換を行なわずに処理をする事で、変換ロスを抑え、ハイレゾ音源を忠実に再現できるとする。
フルデジタルアンプは、FPGA(ファームウェアを読み込ませることで回路構成を自由に変えることができる汎用性の高いLSI)を使ったDSPと、バイアンプのデジタルアンプで構成されている。
デジタル音声データはDDC回路に入力され、FPGAを使ったDSPへと入力される。DSPでは、デジタルアンプの折り返し歪を徹底的に排除。2ウェイのクロスオーバーネットワークもデジタルで処理。デジタルアンプを介し、アナログにしてスピーカーユニットをドライブする。出力はツイータ用、ウーファ用どちらも40W。左右のスピーカーで合計4chのデジタルアンプを搭載している。
入力端子はUSB B、光デジタル、アナログ音声(ステレオミニ)、HDMIの4系統搭載。出力はHDMI×1を備えている。USBでPCと接続し、USB DAC/スピーカーとして動作し、192kHz/24bitまでのPCMデータに対応。DSDはサポートしていない。光デジタル入力も192kHz/24bitまでサポートする予定。
HDMI入出力は、Blu-rayプレーヤーとの接続を想定したもの。映像は最低限の収録とし、192kHz/24bitなどの高音質音声をメインに収録したBlu-ray Discオーディオなどを再生し、KS-7HQMで高音質に再生、KS-7HQMのHDMIスルー出力から映像はテレビへと出力する形となる。なお、Blu-ray DiscオーディオはBDビデオ規格に沿ったソフトであるため、通常のBDプレーヤーで再生できる。
光デジタル入力やステレオミニのアナログ入力も備えているため、ポータブルプレーヤーやCDプレーヤーなどとも接続できる。
ディスプレイは備えていないが、フロントにLEDを複数搭載。48kHz系のデータが入力されるとオレンジに、44.1kHz系ではグリーンに光る。さらに、LEDの個数で、1つが48kHz/24bit、2つで96kHz/24bit、3つで192kHz/24bitと、サンプリング周波数を表現。LEDの色と数で、簡単にどのようなハイレゾデータを再生しているのか判断できる。LEDは消す事も可能。
スピーカーとしての基本性能にもこだわり
ユニットは、30mm径のリング型振動板のツイータ(vifa製)、84mm径のウーファ(Tymphany/旧Peerless製)を採用。ツイータをリング型としたのは、高域周波数のレンジを拡大させ、ハイレゾ対応スピーカーとするためで、砲弾型イコライザも中央に搭載している。
筐体はオールアルミで、厚さを8mmとし、高剛性を実現。共振を抑えるほか、ラウンドフォルムとすることで回析も低減している。
リアバスレフ型で、ダクトは折り曲げたものを内蔵。低域再生限界周波数(f0)を下げ、筐体内の共鳴音をホールデッドダクトを通して位相反転させ、ピュアな低域再生を可能にするとしている。システム全体の再生周波数帯域は60Hz~60kHz。クロスオーバー周波数は3,500Hz。
小型スピーカーであるため、デスクトップに配置する事が多くなるが、壁などの近くに置くとミラー効果で低音の量感が変化し、思った以上に低音が膨らみ過ぎるという事も起こる。それを防ぐために、リモコンで低音量の大/小が選択できる。
底部に、スピーカーの底面と形状を合わせた、板状のインシュレータを用意。素材にはネオフェードカーボンマトリックス3層材を採用。ネオフェードには振動を熱に変える高価がある。
外形寸法は、インシュレータも含めて130×170×200mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は左が約2.9kg、右が約3kg。リモコンも付属する。
濱田正久社長は、「ハイレゾ音楽を簡単に聴けるシステムとして、第3世代まで作ってきた。ハイレゾセブンは、2年をかけて我々がやりたかった“ハイレゾのオーディオシステムの今の姿”として開発したもの。サイズを大きくしてしまうと、作る意味が無くなってしまう。音に妥協せず、独自のデジタルアンプなどを投入し、最終的なチューニングにもこだわり、この小さなスタイルで世界最高のパフォーマンスを追求した」と、新モデルへの自信を見せた。
音を聴いてみる
発表会が行なわれたKCSスタジオ KRIPTON LABOで試聴した。
第1世代の「KS-1HQM」、第2世代の「KS-3HQM」と、いわゆる“PCスピーカー”という枠に収まらない音質で話題となったシリーズだが、KS-7HQMでは、“スケール感”のある再生も可能にしたのが特徴だ。その結果、片手で持てるサイズでありながら、ピュアオーディオ用スピーカーに肉薄するようなサウンドを実現している。
これまでのモデルとの大きな違いは低域で、サイズからは想像できないほど豊かで、深く沈む低音がズシンと飛び出してくる。しかし、低音がブイブイと主張するような派手な音ではなく、中高域は極めてクリアで、雑味が無く、音像も、個々の音の輪郭もシャープ。大音量でも音像ばボヤけず、ピシッとハイレゾの情報量を描写しつつ、低域も迫力満点という、小型ながらオールマイティーなサウンドを実現している。DDC直結のデジタルバイアンプの効果も感じられる。
サイズ的には机の上などに設置し、ニアフィールドでまた、小型であり、2ウェイユニットの配置間隔も短い事から、ニアフィールドで聴いてもまとまりが良く、定位に優れた再生となる。ピュアオーディオ用のブックシェルフスピーカーよりも小型で、より近距離で楽しむピュアオーディオスピーカーとして、独自の魅力を感じる製品だ。