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ソニー、BA+ダイナミックのハイブリッドイヤフォン3機種を刷新。「XBA-A2」もハイレゾ対応に

 ソニーは、バランスド・アーマチュアユニットとダイナミック型を両方搭載した、ハイブリッドタイプのイヤフォン新モデルとして、「XBA-A1」、「XBA-A2」、「XBA-A3」の3機種を10月24日より発売する。価格は全てオープンプライス、店頭予想価格は「XBA-A1」が15,000円前後、「XBA-A2」が26,000円前後、「XBA-A3」が36,000円前後。

左上から時計回りにXBA-A1 XBA-A2 XBA-A3。右下は上位モデルのZ5

 ユニット構成は、「XBA-A1」がフルレンジのBA×1、9mm径のダイナミック型×1。「XBA-A2」はフルレンジBA×1、BAのHDスーパーツイータ×1、12mm径ダイナミック型×1。「XBA-A3」はフルレンジBA×1、BAのHDスーパーツイータ×1、16mm径ダイナミック型×1となる。HDスーパーツイータを搭載したXBA-A2、XBA-A3はハイレゾ対応モデルとなる。

XBA-A1
XBA-A2
XBA-A3

 バランスド・アーマチュアユニットの仕様は3モデル共通。ソニーのバランスド・アーマチュア(BA)ユニットは、独自開発したものだが、そのユニットをさらに改良。シンメトリックアーマチュアとダイレクトドライブ構造を新たに投入している。

 シンメトリックアーマチュアは、BAユニット内部にあるアーマチュアが、従来はU型だったものを、T型に変更したもの。上下対称性を高める事で、波形再現性が向上し、リニアリティを高めたという。

 このアーマチュアに、従来は連結ロットを取り付け、その先端に振動板を取り付けていたが、新たなBAユニットでは振動板と連結ロッドを一体化。アーマチュアの動きがダイレクトに振動板に伝わり駆動ロスを低減、より忠実に駆動できるという。

従来のBAユニット。黄緑色のアーマチュアがU型になっており、連結ロットで紫色の振動板と接続されている
新BAユニット。アーマチュアがT型になり、紫の振動板と連結ロッドが一体化しているのがわかる
XBA-A1
XBA-A1

 A2/A3に搭載されているHDスーパーツイータは、振動板にアルミ系合金を採用。軽量さと剛性の高さを兼ね備えているという。

 ダイナミック型ドライバは3機種でサイズが異なる。A2/A3に搭載しているユニットは、振動板の可動性を高めた「ハイコンプライアンス振動板」を採用。素材は、液晶ポリマーフィルムを使っている。

 制振ハウジングを採用し、ビートレスポンスコントロールも搭載する。

XBA-A2
XBA-A3

 ケーブルは銀コートのOFC線を使用。付属ケーブルはアンバランスタイプだが、グランドの扱いが通常のケーブルと異なる。通常のヘッドフォンでは、LとRからのグランドの帰り道を、ユニットの近くでまとめてしまっているが、付属アンバランスケーブルはLRのグランドを分けた4芯構造となっており、グランドが2本のケーブルに分かれたままステレオミニの入力端子まで戻っている。端子部分では1つにまとまるが、左右の分離が改善され、音の広がりと、引き締まった低音を実現するとしている。入力端子は4芯となっている。

 A2/3はケーブルの着脱も可能。イヤフォン側の端子はMMCXをソニーが独自にカスタマイズしたものを採用。サポートはされていないが、通常のMMCXケーブルであれば接続可能の見込み。

 バランス駆動にも対応する。ソニー純正ケーブルは入力端子が3極のステレオミニ×2本となっており、別売のバランス駆動対応ポータブルヘッドフォンアンプ「PHA-3」と接続できる。

 重量はA1が約7g、A2が約9g、A3が約10g。

 なお、XBAシリーズ向けに、交換用ケーブルも用意。均等により合わせた4本の導体のうち、それぞれ対角線方向の2本を並列に接続、2対の導体それぞれを往路・復路に使うことで、電流ノイズの影響を低減したスターカッド構造を採用している。

 ラインナップは、2mでバランス接続対応の「MUC-M20BL1」(10月18日発売/オープンプライス/実売11,000円前後)、1.2mでアンバランスのステレオミニ「MUC-M12SM1」(同8,000円前後)を用意する。

ファーストインプレッション

 3機種に共通するのは、中低域の膨らみがタイトになり、よりモニターライクでニュートラルなサウンドに変化した事だ。BAはもともと、細かな音をシャープに描写するが、ダイナミック型の低域も解像感がアップした事で、全体のバランスがとれ、オールマイティーに使える音質に仕上がっている。

 3機種の内、A3、A2はHDスーパーツイータを搭載。超高域の細かな表現も詳しく聴きとれる。しかし、中低域の自然なサウンドと比べると、HDスーパーツイータの超高域はやや固さがあり、金属質な質感だ。BAらしいサウンドと言えるが、A3/A2とA1では、その部分の印象に違いがある。

 3機種のキャラクターは、A3はモニターライクな仕上がりで、上位モデルのZ5と比べると、低域の量感はタイト。スッキリしたサウンドながら、ワイドレンジに仕上がっている。

 A2は3機種の中では派手目で、中低域の張り出しもパワフル。ロックなどとの相性が良さそうだ。

 個人的に最も完成度が高いと感じたのは低価格なA1。新開発BAのニュートラルかつハイスピードなサウンドが良く聴き取れ、全帯域に渡ってクリアで色付けの少ないサウンドに仕上がっている。低価格ながら、楽曲を選ばない実力者だ。

(山崎健太郎)