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TASCAM、Wi-Fi搭載のPCMレコーダ2機種。スマホ操作で自由なレコーディング
(2014/9/17 15:51)
ティアックは、TASCAMブランドの新製品として、無線LAN搭載でスマートフォンから操作できるリニアPCMレコーダ「DR-44WL」と、「DR-22WL」を10月上旬に発売する。価格はオープンプライスで、店頭予想価格(税込)は、4トラック録音対応の上位モデルDR-44WLが35,800円前後、録音シーンモードをダイヤルで切り替えるシンプル操作が特徴のDR-22WLが17,800円前後。
XY型ステレオコンデンサマイクを搭載するオーディオレコーダ。最高96kHz/24bitのリニアPCM(WAVまたは業務用BWF形式)や、MP3で録音可能。PCM/MP3の同時録音も行なえ、その場合はPCMから本体内でMP3に変換しながら記録する。記録メディアはmicroSD/SDHC/SDXCカード(最大128GB)を使用。4GBのmicroSDHCカードが付属する。
両機種とも無線LAN(Wi-Fi)を内蔵し、スマホやタブレットとダイレクト接続してリモート操作やストリーミング再生、ファイル転送などが可能な点が特徴。iOS/Android用アプリ「TASCAM DR CONTROL」(10月上旬公開/無料)を使って録音/再生や設定変更などの操作が行なえる。スマホ/タブレットだけでなく、Windws/Macにファイル転送などができるソフトも提供予定。
ワイヤレスで操作できるため、レコーディングで重要とされるマイキング(マイク位置の選定)が自由に行なえ、手の届かない場所や、観客が触れない場所などにマイクを設置でき、録音形式の変更や入力レベル、フィルタといった設定がスマホからも可能。レベルメーター表示も行なえる。本体に触れずに操作できるため、タッチノイズも防げる。
さらに、録音したファイルを無線LAN経由でスマホからストリーミング再生できるほか、ファイルとして転送することも可能。アプリから音楽ファイル共有サービスの「SoundCloud」へアップロードでき、FacebookなどのSNSで共有しやすいという。なお、ストリーミング再生できるのは録音後のファイルのみで、スタンバイ/録音中にリアルタイムでスマホからモニタリングすることはできない。
上位機種「DR-44WL」の特徴は、マイク部に振動などを吸収するショックマウント機構や、専用マイクケース(ハウジング)を備え、耐高音圧設計を採用している点など。また、レベル調節専用回路のPGA(Programmable Gain Amplifier)を備え、ノイズの低減を図っている。ADCはシーラス・ロジック製。これらのパーツを自社内で音質評価して製品化している。
さらに、DR-44WLにはXLR/TRSコンボジャックの入力(ファントム電源対応)も備え、外部入力を加えた4ch録音も可能。楽曲制作用に4トラックのMTRモードや、リバーブエフェクトも搭載する。プロのレコーディングや楽曲制作、リハーサル/ライブ録音、フィールドレコーディングなどの用途を想定している。
「DR-22WL」の特徴は、使いやすさを追求したシンプルな操作性が特徴。管弦楽器やピアノ、アコースティックギターなど、アコースティック楽器を中心とした音楽録音に最適としている。小型のボディを活かし、デジタル一眼レフカメラの動画撮影時の音声記録などの用途も想定している。
録音モード(2ch)は共通で、PCMが44.1kHz/48kHz/96kHz、16bit/24bit。MP3は44.1kHz/48kHzで、ビットレートは32/64/96/128/192/256/320kbps。ステレオミニのヘッドフォン/ライン兼用出力を装備。DR-22WLは出力0.3Wのモノラルスピーカーも内蔵する。パソコンとの接続はUSBで行なう。
電源は、DR-44WLが単3電池4本で、DR-22WLが単3電池2本。アルカリ電池使用時の連続録音時間は、44WLが約16時間(MIC入力選択、ファントム未使用)、22WLが約17.5時間(内蔵マイク使用)。外形寸法と重量(電池含む)は、44WLが162.2×79×42.5mm(縦×横×厚さ)、346g。22WLが155×52.2×36.6mm(同)、170g。
両機種ともUSBケーブルなどが付属するほか、44WLには専用ACアダプタや、ウィンドスクリーン、マイクスタンドアダプタ、デジカメ用のシューマウントアダプタ、ソフトケースも同梱する。
自由なマイキングで、レコーダが進化
ティアックのTASCAM製品を担当する音響機器事業部 ミュージック インダストリー ビジネスユニット 事業企画部 企画・販売促進課の小泉貴裕課長は、従来のTASCAMレコーダを振り返り、96kHz/24bitのハイレゾ対応や可動式マイク採用、耐音圧性能の強化など先進機能の搭載を続けてきたことを説明。
一方で、まだ解決されていない課題として「手の届く場所でしか設定できなかった」という点を指摘。いい音が録れるかどうかを左右するマイキングでは、手の届かない場所に置きたいというニーズが高いが、赤外線リモコンでは動作の確実性に不安があり、細かな操作まではカバーできないという問題もあった。そのため、「自由なマイキングができれば、ハンディレコーダは進化するのでは考えた」として、無線LAN採用に至ったという。