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“フルスペック”4K TV「REGZA Z10X」。4Kチューナ内蔵
音声スマート検索+4K高画質。全録12TBの東芝最上位
(2014/10/1 14:00)
東芝ライフスタイルは、4K放送チューナを搭載した初の4Kテレビ「REGZA Z10Xシリーズ」を10月11日より発売する。4K REGZAのフラッグシップシリーズとなり、65型「65Z10X」、58型「58Z10X」、50型「50Z10X」の3モデルで展開する。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は65型が70万円前後、58型が47万円前後、50型が38万円前後。
基本的な画質/機能は5月発売の4K REGZA「Z9Xシリーズ」を継承しながら進化させた最上位4K REGZA。Z10Xシリーズでは、新たに4K放送チューナをテレビとして初めて内蔵し、本体だけで4K放送を視聴可能とした。また、6チャンネルの地デジ番組を常時録画できる「タイムシフトマシン」機能を強化し、GUIを一新。リモコンやスマートフォンから音声で録画番組などを検索できる「ざんまいスマートアクセス」を新搭載した。
4Kチューナとざんまいスマートアクセスの2つの大きな機能強化だけでなく、広色域+全面直下型LEDの採用に加え、4Kリマスターファインや新超解像技術などの導入により画質を向上した。また、HEVCデコーダを内蔵し、ひかりTV 4Kなどの4K映像配信サービスにも対応可能となった。
Z10Xシリーズは4K REGZA最上位と位置づけられるが、Z9Xシリーズも4Kチューナ無しのタイムシフト対応機として、引き続き販売。40型4Kの「40J9X」も併売される。
また、4Kチューナとタイムシフトを省いた4K REGZA「J10Xシリーズ」も11月中旬から発売。43型「43J10X」、49型「49J10X」、55型「55J10X」の3モデルで展開する。J10Xシリーズについては別記事で紹介する。
4Kチューナ内蔵の「4Kフルスペック」REGZA
Z10Xシリーズでは、テレビとして初めて4Kチューナを搭載。HEVCデコーダも内蔵しており、6月からスタートしている4K試験放送「Channel 4K」のほか、スカパーJSATが2015年3月1日からスタートする4K専門チャンネル(本格放送/チャンネル名未定)にも対応する。
なお、4K放送の視聴のためには、124/128度CSアンテナと、Channnel 4Kやスカパーへの申し込みが必要で、申込み後ICカードが自宅に配送される。
REGZAの商品企画を担当する東芝ライフスタイル ビジュアルソリューション事業本部VS第一事業部 地域第一部 国内商品企画担当 参事の本村裕史氏は、「これまでの4Kパネル採用テレビは、業界で“4K対応テレビ”と呼んでいた。4Kチューナが搭載されていないものはそう呼ぶ決まり(JEITAの定義ではチューナ内蔵を4Kテレビ、チューナ内蔵していない製品は4K対応テレビと呼ぶ)になっているから。4Kチューナを内蔵したZ10Xは『4Kフルスペックモデル』で正真正銘の4Kテレビ」とアピールする。
なお発売当初は、Z10Xシリーズでは4K放送の録画はできず、リアルタイム視聴のみとなる。Channel 4Kの録画については2015年春のソフトウェア・アップデートにより対応予定。また、スカパー! プレミアムの4K専門チャンネルの録画は「未定」としている。
4Kチューナの搭載にあわせて、リモコンに[スカパー]ボタンも装備。スカパープレミアムチューナ2K/4Kはこのボタンで呼び出し可能となっている。なお、110度CSデジタルのスカパーについては、[CS]ボタンから呼び出す形で、このボタン名称や配置については、スカパーと協議の末決めたという。
無線LANとEthernetを装備し、ひかりTVがスタート予定の4K VOD「ひかりTV 4K」にも対応予定(2015年春のアップデートで対応)。Z10Xで直接ひかりTV 4Kを受信して、視聴可能になるなど、4K放送/VODの双方に標準対応するのがZ10Xの大きな特徴といえる。
全面直下型LEDパネル+広色域。バックライト制御も一新
画質もZ9X世代から進化。液晶パネルは、65/58/50型のいずれも3,840×2,160ドットの4K解像度で、VA方式。Z9Xシリーズと同様に、広色域パネルと直下型LEDバックライトの採用による、豊かな色彩表現や輝き感、コントラスト感などが特徴となる。映像エンジンは「レグザエンジンCEVO 4K」。
パネルの全面にLEDを配置しているため、東芝はZ10Xシリーズから「全面直下LED」と命名。直下型のため、700nitの高輝度表現が可能なほか、LEDエリア制御技術も搭載。LEDのエリア制御は、映像の部分にあわせて最適なLED制御し、メリハリある映像を実現可能とするものだが、輝度検出/エリア制御のアルゴリズムをZ9X世代から一新し、コントラスト感や暗部の階調表現などが改善されたとする。
色については、DCI(デジタルシネマ)-P3規格に迫る広色域化を実現。Z9Xと同様に、放送の色域(BT.709)に圧縮された色を、パネルの最大色域まで拡大する「4K広色域復元」に対応。レグザエンジンCEVOの処理能力を活かし、6,144項目のデータベース参照と、64の色軸による分析/制御により自然で鮮やかな色を再現する。4K放送などで導入が見込まれる広色域規格のBT.2020の映像表示にも対応する。
パネルの色域の広さと、全面直下LEDによる輝度レンジの広さにより、色の鮮やかさの表現力を向上。明部の輝きや暗部のディテール再現力がZ10Xシリーズの画質面の特徴となる。新たに撮影するカメラによって丸め込まれてしまう高輝度領域を高精度に復元し、白く輝く部分を立体感をもって再現するという「インテリジェント・ハイダイナミックレンジ復元」を搭載。「インテリジェント質感リアライザー」では、3,388個の輝度入出力変換テーブルを用意し、高精度に映像ヒストグラムを分析。直下型LEDのダイナミックレンジを最大限に引き出して、暗部階調性や明るいシーンの立体感やコントラストを高めている。
レグザエンジンCEVOの処理能力を活かし、放送やBDなど映像ソースを問わずに高画質化する「4Kマスターリファイン」を搭載。同社の超解像などの高画質化技術の総称となっており、Z9Xなどと同様に絵柄解析再構成型超解像技術や微細テクスチャー復元、自己合同性型超解像、複数フレーム型超解像、色超解像、光解析 輝き復元、カラーテクスチャー復元などを搭載する。
Z10Xでは、4Kチューナの搭載にあわせて、新たに「2K/4K放送ノイズエリア解析超解像」を搭載。2Kだけでなく、4K放送に対しても、エッジ部や平坦部の特徴を検出し、隣接する平坦部のノイズを低減。また、デジタル放送のノイズパターンにあった処理を実施して、効果的にノイズを除去する。さらにエリアごとの超解像処理を加えることで、映像全体の鮮明さと文字の見やすさ向上を図る。
「4K放送映像周波数解析オートピクチャー」も新搭載。4K放送や4K配信、PCからの4K出力、BDプレーヤーからの4Kアップコンバート出力など、解像感の異なる4K映像の映像特性を正確に解析し、最適な超解像処理を加える事で、精細感や立体感、奥行き感ある4K映像を再現するという。4K入力時と、CEVO 4K直結の1080p入力時(ピュアダイレクト時を除く、ハイビットBDモード時)に動作する。
また、4K放送受信時には、自動的に4K放送専用モードに変更(コンテンツモード オート時)。4K放送のEPGジャンル情報に応じて、適正な画質へ調整できる。
HDMI入力は4系統で、そのうち1系統(HDMI 3)は4K/60pに対応、4K放送チューナの信号にも対応する。HDMI 2.0の3,840×2,160ドット/60fpsや、著作権保護技術のHDCP 2.2もサポート。HDMI 1/2は、HDCP 1.4対応。HDMI 4は4K映像には対応しない。
4:4:4信号の1080p映像を、前段の映像処理などを一切介さずに、レグザエンジンCEVO 4Kにダイレクトに入力して、ALL 12bit 4:4:4で映像処理して素材の美しさを最大限に引き出す「ピュアダイレクトモード」も搭載。パナソニックのBDレコーダ「DIGA」や、ジブリのBDディスクなどで採用している「MGVC」など、各色最大12bitで収録したBDディスクの映像を高品位に再現できる「ハイビットBD」は、従来と同様のコンテンツモード「アニメ」だけでなく、「ビデオ」、「シネマ」でも選択可能になった。
ゲーム対応モードやマスターモニターモードなども搭載。マスターモニター関連では、色温度6,500Kの「モニターD65」、9,300Kの「モニターD93」モードを備え、これを基準に細かな設定が行なえる。
4K/2Kゲームで、遅延0.6フレーム(約10ms)の低遅延化を実現する「新4Kゲーム・ターボ」も装備。HDMI入力では、4Kだけでなく、PCゲームで採用例が多い2,560×1,440ドット/60pの入力にも対応するほか、ALL 4:4:4の映像信号処理により高画質なゲーム映像再現が可能となる。従来のゲームモードの処理は10bitとなっていたが、12bit対応によりさらに高画質に再現可能になったという。
また、REGZAとして初めて「インパルス駆動モード」を搭載。60p時にあえて全消灯(全黒)のフレームを入れることで、動きの早い映像のボケ感を抑え、くっきりとした映像を再現できる。(時分割駆動の)プラズマテレビからの買い替え層も狙い今回インパルス駆動に対応したという。
3D立体視にも対応。アクティブシャッターメガネを採用したフレームシーケンシャル方式だが、3Dメガネ「FPT-AG03(J)」だけでなく、3Dトランスミッタ「FPT-AGT1」も別売となる。
音声検索&番組見ながら検索の全録「ざんまいスマートアクセス」
最大6チャンネルのデジタル放送番組を常時録画できるタイムシフトマシン機能も搭載。タイムシフト用のHDDは別売となっているが、新たに6TBまでのHDD×2に対応(従来は2TB×2)。最大12TBまで拡張可能になった。これにより、さらに長時間のタイムシフト利用が可能になる。
チューナは、タイムシフトマシン用と通常録画用に別れており、タイムシフト用は地上デジタルが6系統、通常録画用は地上デジタルが3系統、BS/110度CSデジタルが2系統。タイムシフト、通常録画ともに対応のUSB HDDを別途追加する必要がある。地デジだけでなく、BS/CSを含む任意の1chをまる録りできる「タイムシフトプラス1」に対応し、通常録画用チューナ(地デジ3ch、BS/CS 2ch)の1系統をタイムシフト(全録)に割り当てることも可能。
タイムシフトにおける新機能が、「ざんまいスマートアクセス」。リモコンの「ざんまい」ボタンを押すと、画面下に「新番組」、「いつもの番組」、「あなたにおすすめ番組」などの番組選びの切り口が表示され、左右にスクロールするだけで好みの番組にアクセス可能になる。従来の「ざんまいプレイ」では、全画面を専有するUIになっていたが、ざんまいスマートアクセスは番組を見ながら次に見る番組を探せる点が大きな特徴といえる。
リモコンの左右キーでの操作のほか、リモコンからの音声を使った対話形式での番組選択が可能。リモコンの[ボイス]ボタンを押しながら、「サッカーが見たい」、「昨日のサッカーで絞り込み」など話しかけて、タイムシフトマシンで録画した番組から、条件にあった番組を検索、再生できる。これにより、録画番組数が膨大になるタイムシフトマシンの検索性を向上している。
なお、音声解析はクラウド上で識別/照合処理を行なうため、音声検索を利用する場合はインターネット接続が必須となる。
また、新アプリ「TimeOn番組シーン検索」による番組検索も可能。TimeOn番組シーン検索は、iOS/Androidデバイスからの操作に対応。ニュースや音楽、バラエティ、スポーツなどの番組ジャンルでの検索や、キーワード検索、登録キーワードなどで録画番組(タイムシフト/通常録画)から検索可能。さらに、アプリでは、エム・データのメタデータを使って、おすすめとして表示されるシーンごとの再生も可能なため、「Perfume」などで検索すれば、音楽番組のPerfumeの出演シーンを頭出しして再生できる。
TimeOn番組シーン検索の対応OSはiOS 7.1以降と、Android 4.1以降。ただし、Android版は2015年春のリリース予定としている。Z10X/J10Xのほか、Z9X/Z8X/Z8/Z7、J9X/J8/J7、G9でも利用できる。
また、音声操作は、YouTubeのコンテンツ検索や、番組の見たいシーンの検索、将来番組の録画予約でも利用可能。タイムシフトを録画した番組をシーン検索可能な期間は、番組放送後約1カ月で、通常録画した番組は約3カ月。
全録レグザサーバー「D-M430」などや、他のタイムシフト対応REGZAなどと連携する「タイムシフトリンク」にも対応。HDMIとネットワークで連携したレグザサーバーをZ10Xのリモコンで操作でき、レグザサーバーをZ10Xのタイムシフト領域同様に操作できる。1つのリモコンで2つのタイムシフトマシンが利用可能になるため、地デジはZ10Xで、BSはレグザサーバーに割り当てるなどの役割分担が可能になる。
デザイン一新。スピーカー音質も強化
Z9Xと同様に狭額ベゼルを継承するほか、コンパネ一体型でクローム仕上げのメタルフレームスタンドの新デザインを採用している。
スピーカーは、「レグザパワーオーディオシステム」。スピーカーの向きは下側だが、ラビリンスバスレフ型のボックス構造を採用することで容積を確保しながらポートを延長。低域共振周波数を低下させ、低音再生力を向上している。出力は15W×2ch。
新アルゴリズムを採用した「新シネマサラウンド」により、奥行き感があり、音質変化の少ないサラウンド音場を実現。大入力時の歪みを低減し、厚みのある音質を実現する「インテリジェントレベルコントロール」も搭載した。
音響補正技術「レグザ サウンド イコライザー プロ」も搭載。FIRフィルタによる周波数軸補正や時間軸補正によるインパルス応答改善や、音像補正などにより、低音の分解精度の強化を図っている。壁掛け時の音質を最適化する「壁掛けモード」も備えている。
レグザクラウドサービス「TimeOn」にも対応。番組検索関連機能のほか、東芝のスマート家電と連携する「家電コンシェルジュ」にも対応し、冷蔵庫やエアコン、シーリングライトなど、家庭内の対応機器の電力使用状況を確認したり、シーリングライトの色のカスタマイズなどが行なえる。
放送/通信連携サービス「ハイブリッドキャスト(HybridCast)」に対応。レグザリンク・シェア(DLNA/DTCPサーバー)や、DLNAコントローラ/レンダラーに対応する。
入力端子はHDMI×4(1系統はMHL対応)、コンポジット映像×1、アナログ音声×1を装備。光デジタル音声出力や、ヘッドフォン出力、SDXC対応カードスロットも備える。USBは、タイムシフトマシン専用×2、通常録画/タイムシフトプラス1兼用×1、汎用×1。
消費電力は、65型が496W(リモコン待機時0.19W)、58型が427W(同)、50型が394W(同)。年間消費電力量は、65型から順に252kWh/年、232kWh/年、224kWh/年。外形寸法と重量は、65型が146.1×30.4×89.6cm(幅×奥行き×高さ)、27kg。58型が130.2×30.4×81.4cm(同)、21.5㎏。50型が112.8×24.7×70.9cm(同)、17.5kg。
今秋からリビングテレビの主役は4Kに
東芝ライフスタイル株式会社 ビジュアルソリューション事業本部 VS第一事業部 事業部長附の岡田淳氏は、Z10X、J10Xシリーズと2ラインの4Kテレビを拡充し、この年末商戦に合計11機種の4Kテレビを投入することを紹介。「東芝はこれまで以上に4Kに本気で取り組む」と語った。
テレビ市場において、4K対応機は台数ベースで5%、金額ベースでは20%を超えており、「リビングで当たり前」のものになりつつある今、ラインアップを一気に拡大し、ユーザー獲得を図る。岡田氏は、「本気」の現れとして、Z10Xにおける4Kチューナ内蔵や、スタンダード機となるJ10Xでも直下型LEDを採用することなどを紹介。「本気で4Kに取り組み、4Kの絵の素晴らしさを多くの人に届けたい」とした。
商品企画を担当する本村氏は、4Kチューナやざんまいスマートアクセス、高画質化機能などのZ10X/J10Xシリーズの特徴を紹介。「49型以上のテレビでは、4Kが台数で56%、金額では73%となっており、大型テレビの単価アップと4K化のトレンドは普遍のものとなった。4Kを選んでいる最大の理由はやはり画質。テレビの買い替えサイクルは約7~8年で、今年、来年は大きな需要の買い替え機となる。高画質、“より大画面”というニーズ、4K放送/配信の拡大により、この秋からリビングテレビの主役は4Kにシフトする」と語った。