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NHK、放送同時のネット配信で“スポーツ生中継”を対象外に。実施基準案を総務省に申請

 NHKは、2015年度のサービス開始を目指している、放送と同時のインターネット配信について意見募集を行なった結果を発表。これらを参考に検討し、11月25日に「放送法第20条第2項第2号および第3号の業務の実施基準(案)」を総務大臣に認可申請した。この基準案では、当初の要綱に盛り込まれていた「スポーツの生中継」が、放送同時配信のサービスから省かれている。

 '14年6月に交付された改正放送法により、インターネットを活用したサービス拡張が可能になった。これにより、NHKは、放送番組などをインターネットを通じて配信することで、「放送を補完してその効果・効用を高め、国民共有の財産である放送番組等を広く国民に還元する」ことを目指している。

 放送の補完放送法第20条第2項第2号および第3号の業務の実施基準(インターネット実施基準)は、NHKがサービス開始に向けて作成し、総務大臣に認可申請したもの。なお、「第2号業務」は一般ユーザーへの直接配信、「第3号業務」は他のインターネット配信事業者を通じたサービスを指す。

 NHKは、10月29日に公開した「インターネット実施基準要綱」に対して11月11日まで意見募集を実施。NHKのサイト上(メールフォーム)からは29件、郵送では4件の合計33件が提出された。

 民放連や各放送局、業界団体、個人などからの意見を踏まえ、放送中の同時配信は、ハイブリッドキャスト(Hybridcast)サービスによる時差再生(タイムシフト再生)や、災害など緊急の情報がある場合のみに限定され、10月の要綱で提案されていた「スポーツの生中継」は省かれている。放送後の番組配信については、「特に受信料を財源として提供することが適当と認めるものに限って実施する」という。その他、NHKラジオ第1/第2とFMの「らじる☆らじる」や、国際放送なども受信料を財源とした2号業務のサービスに含まれる。

 これらの業務は受信料を財源としたもので、配信サービスのユーザーに対しては無料で提供される。なお、2号受信料財源業務の実施に要する費用は、各年度の受信料収入の2.5%が上限。また、他の事業者を介して配信される第3号受信料財源業務の費用は、年額1億円程度を上限とする。費用の内訳などは、NHKの資料(PDF)で説明している。

(中林暁)