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アキュフェーズ、高周波テクノロジとデジタル技術を融合させたFM専用チューナ「T-1300」

FM専用ステレオチューナー「T-1300」

アキュフェーズは、高周波テクノロジーとデジタル技術を融合し、高感度と高SN比を実現したFM専用ステレオチューナー「T-1300」を発売する。ワイドFMの受信にも対応している。

最大の特徴は、中間周波数(IF)段以降の可変IF帯域フィルター、マルチパス・リダクション機能、デジタルFM復調、DS-DCステレオ復調を、DSPによるデジタル信号処理で行なうことで、優れた受信特性を達成している事。

また、フロントエンドは微弱な電波の選択や、電界強度の強い放送局に対しても、混信やひずみの発生を抑えながら中間周波数(IF)へ変換することが重要。そこで、高周波増幅器の前に選択度特性の良い複同調回路を搭載し、混変調やブロッキング現象などの大入力妨害信号を予め防いでいる。

さらに、高周波増幅器の後にも複同調回路を配置した2段複同調回路により、良好な感度と選択度を確保。ミキサー部は差動入力のダブルバランスドミキサーを2段で構成したダブルスーパーヘテロダイン方式を採用。妨害信号の侵入を防止しながらIFへ変換する。

ミキサーでは受信信号と局部発振器の信号を混合して中間周波数(IF)に変換。また、局部発振器の信号生成にDDSを採用。通常のPLL(Phase Locked Loop)回路は帰還により周波数を安定させるため、周波数変調成分が残ってしまいSN比が悪化してしまう。DDSでは、水晶発振器の出力を分周して作り出したデジタル信号で正弦波データを読み出し、DACでアナログ波形を作り出すため、周波数変調成分が発生せず、極めて高いSN比を実現する高純度な信号を生成できる。

可変IF帯域フィルター:BAND WIDTH機能により、フィルターの中心周波数に対して、IF帯域幅を6段階(50、75、100、150、250、500kHz)に切り替えて選択できる。IF帯域幅を可変するIF帯域フィルターに、完全直線位相特性の「FIR(Finite Impulse Response)型デジタル・フィルター」を採用。IF帯域フィルターの位相ひずみを限りなく少なくすることに成功した。

マルチパス信号の中の反射波を抑制するマルチパス・リダクション機能を、適応型フィルターの技術を応用して実現。妨害波を大幅に抑制し、直接波だけを受信することで、高品位な音声出力を可能にしている。

FM復調部では、デジタル化されたFM波の虚数成分を実数成分で除算することにより、位相角(θ)の正接(tangent:タンジェント)成分を抽出。それを逆正接(arctangent:アークタンジェント)演算することで位相角が獲得。さらに微分演算によって位相角の時間変化を取り出すことにより、FM復調出力(オーディオ出力)を得ている。

ステレオ復調部には、アキュフェーズ・オリジナルのDS-DC(Direct Synthesis - Double Cancellation)方式を採用。全ての処理をDSP上のソフトウェアにより演算を行なうことで、演算誤差の少ない理想的なステレオ復調を可能とし、高いチャンネル・セパレーションを達成した。

出力はアナログRCに加え、XLRバランス、同軸デジタル出力も備えている。消費電力は20W、外形寸法は465×406×151mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は13.1kg。