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“NAGRAの血統”新ハイレゾポータブル「Lotoo PAWGold」や、HiFiMAN/iFI-Audio新モデル

 TOP WINGは5日、北京informediaのオーディオブランド・Lotoo(ロトゥー)のハイレゾ対応ポータブルプレーヤー「PAWGold」と、HiFiMANのハイレゾプレーヤー低価格モデル「HM-650」、さらにiFI-Audioのハイレゾ対応コンポ「Stereo 50 Retro System」を発表した。

 発売日と価格は、「PAWGold」が12月19日でオープンプライス、店頭予想価格は263,888円前後。「HM-650」も12月19日発売でオープンプライス、アンプカード無しモデルは42,000円前後。

Lotooのハイレゾ対応ポータブルプレーヤー「PAWGold」

Lotoo PAWGold

 スイスのオーディオメーカー、NAGRAのポータブルレコーダなどをODMで手掛けている
informediaのオーディオブランド・Lotooのハイレゾプレーヤー。informediaは中国国内のデジタル放送機器の75%のシェアを誇るメーカーで、長年、NAGRAの製品も設計から手掛けているという。そのため、今回のハイレゾプレーヤー「PAWGold」も、“NAGRAの血統”といえる高音質を実現したとアピールしている。

informediaはNAGRA製品のODMを担当している
Lotoo PAWGold。有機ELディスプレイを装備する

 内蔵メモリは非搭載。SDHC/SDXCもサポートするSDカードスロットを備え、最大2TBまでのカードが利用可能。PCからの楽曲転送用にUSB 3.0(Micro B)を備えており、高速な転送ができるという。

 筐体は航空機グレードのアルミニウム合金を使い、ディスプレイは1.8型の有機ELで、解像度は160×128ドット。ディスプレイの表面にはサファイアガラスを使っている。

天面。ステレオミニ出力、ライン出力を備えている。また、ボリュームツマミにガードがついている
側面。USB 3.0(Micro B)端子が見える
背面

 音楽ファイルはWAV/FLAC/APE/ALAC(Apple Lossless)、AAC、MP3、WMAなどをサポート。PCMデータは192kHzまでの再生に対応。DSDもサポートしており、5.6MHzまでのネイティブ再生に対応する。

ブログ「Music To Go」を運営し、ライターとしても活躍している佐々木 喜洋氏が解説。佐々木氏は、「聴くとハッとするほどの音質。音像の描き出し、ピアノやギターの音の輪郭が鮮明。超低域でもキチンと音を出してくれる、帯域性能の高さも特徴」という

 DACチップはバーブラウンの「PCM1792」を採用。ジッタは5ps、クロック精度は5ppmと高い基本性能を持っている。オーディオ用低ノイズオペアンプのTI「OPA1642」や、高出力ヘッドフォンアンプIC(バッファ)の「LME49600」なども搭載。出力インピーダンスは0.1Ω以下を実現している。

 DSPには、「スタジオ品質」というADIのBlackfin 514 DSPを採用。パラメトリックイコライザも備え、設定の中にAKG K701や、beyerdynamic DT 990 PRO用のパラメータも用意されているという。

 基本ソフトには、組み込み機器に強いinformediaが得意とするRTOSを採用。Androidを採用したプレーヤーと比べ、起動が高速で安定性が高く、オーディオに向いているとする。

 出力はステレオミニのヘッドフォン出力と、ステレオミニのライン出力を各1系統装備。バッテリは3,000mAhで、11時間の動作が可能。バッテリ残量はパーセント表示に加え、残り再生可能時間でも表示してくれる。外形寸法は104×60×25.4mm(縦×横×厚さ)で、重量は280g。

DACチップはバーブラウンの「PCM1792」
操作ボタンは円形になっているが、これはPAWGold設計のシンボル、ゼウスの子、アポロンをあしらったもので、輝きと力強さの象徴だという
バッテリ残量を、残り再生可能時間で表示してくれる

HiFiMAN HM-650

 別売のアンプカードを搭載、および交換する事で、音質などを強化できるポータブルプレーヤー。ハイエンドモデルのHM-901/802と同じ、新ユーザーインターフェイスを搭載しつつ、コストパフォーマンスに優れたモデルとなる。操作面では、上位2機種が搭載しているホイール式のコントローラーを十字キーに変更している。

HiFiMAN HM-650

 HM-901は、DACにESSの「ES9018」を2基搭載しているが、HM-650はWolfsonの「WM8740」を2基採用。左右チャンネルそれぞれに1基のDACを使っている。オペアンプには「OPA627」を採用した。

 WAV、FLAC、Apple Losslessの再生が可能で、PCMは192kHz/24bitまでの再生に対応。MP3、AAC、WMA、OGG、APEの再生にも対応する。

左側面。SDカードスロットを備えている
底面には独自のドック端子
右側面にはゲイン切り替えなどを備えている

 ステレオミニのヘッドフォン出力を備え、端子の脇にバランス出力への切り替えスイッチを搭載。このスイッチをスライドさせる事で、3.5mmのステレオミニ(アンバランス)出力が、3.5mm 4極のバランス出力に切り替わり、HiFiMANが発売している3.5mm 4極バランス接続対応のイヤフォン/ヘッドフォンと組み合わせられる。

側面に備えたスライドスイッチで、3.5mmのアンバランス、バランス出力を切り替えられる
メニュー画面

 ストレージとして、SDメモリーカードスロットを装備。128GBまでのカードが利用可能。バッテリの持続時間は約9時間。外形寸法は117×72×29mm(縦×横×厚さ)、重量は250g。

 付属品や別売アクセサリ、使用できるアンプカードはHM-901/HM-802と同じ。ハイエンドタイプのアンプカードが30,857円(税込)、スタンダードタイプが10,286円(税込)、「IEMアンプカード(イヤフォン用)が23,657円(税込)、MiniBoxアンプカードが25,714円(税込)などを用意する。

 なお、会場にはHiFiMANのプレーヤーとドック端子で接続し、ライン出力などを可能にする「Dock1」も参考展示。2015年1月頃の発売を予定しており、価格は55,000円程度を予定している。

HiFiMANのプレーヤーとドック端子で接続する「Dock1」

iFI-Audio Stereo 50 Retro System

 iFI-Audioの「Stereo 50 Retro System」は、USB DACやBluetoothレシーバ機能、アンプなどを搭載した一体型ユニットと、ブックシェルフ型スピーカーで構成。セットでの予定価格は28万円程度、本体のみでは16万円程度、スピーカーのみでは14万円での発売を予定している。発売時期は2015年2月下旬を目指している。

iFI-Audio Stereo 50 Retro System
メインユニット。伝説的な名機「マランツ#7」からインスピレーションを受けたデザインだという

 デジタル技術と真空管アナログ技術を融合させているのが特徴。USB入力を備え、USB DAC機能はDSD 512(24.6MHz)や、DSD 256(11.2MHz)、PCMは768kHzまでサポート。バーブラウンのDACチップを採用している。PCだけでなく、iPhone/iPad、USB-OTGケーブルを介してAndroidデバイスとも接続可能。

 192kHzまで対応する同軸/光デジタル入力や、aptX/NFC対応のBluetoothレシーバ機能も搭載。アナログRCA/ステレオミニの入力も2系統、MM、MC対応のPhono入力も搭載。「iPhono」の回路を採用しており、4系統のゲイン、6系統のEQカーブを設定できる。

 ヘッドフォンアンプも搭載。標準のヘッドフォン出力は最大出力8,000mWで、電力を多く必要とするAudeze、HiFiMAN、ゼンハイザーのHD800などに対応。ステレオミニの出力は、能率の高いヘッドフォンやカスタムイヤフォンに対応するという。「3Dホログラフィック機能」も備え、イヤフォンとスピーカーのどちらでも利用でき、ヘッドフォンの接続で自動的に切り替わる。

スピーカーは横置きも可能
メインユニット部
メインユニットの背面

 アンプ部には、真空管を使用。EL84×4本、ECF82×2本の構成で、リモコン操作が可能なALPS製のアナログボリュームも使っている。出力は25W。

 スピーカーは28mm口径のシルクドームツイータと、115mmのペーパーコーンユニットを搭載。クロスオーバーネットワークは搭載していない。筐体は竹製。「アクティブアクースティックチューニング(AAT)」により、「聴く人を音楽に引き込むサウンド」を実現したという。

スピーカーにネットワークは搭載していない

 各製品の詳細は追って掲載する。

(山崎健太郎)