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Astell&Kernの据置型プレーヤー「AK500N」160万円で1月受注開始。AK240ステンレスモデルも

 アユートは、iriver Astell&Kern AKシリーズの据置型ネットワークオーディオプレーヤー「AK500N」の受注を2015年1月に開始。受注から完成まで約1カ月かかる。価格は160万円(内蔵SSD 1TBモデル/税込)を予定している。カラーはブラックとシルバーを用意する。

 なお、AK500Nは据置型デスクトップオーディオのラインナップの1モデルであり、今後、スピーカー用アンプの「AK500A」、パワーサプライの「AK500P」というモデルも登場予定。詳細な発売日は未定だが、2015年にはラインナップが揃う予定で、「さほど時期は遅くならない見込み」だという。

一番上に乗っているのがネットワークオーディオプレーヤー「AK500N」、その下が「AK500A」、一番下が「AK500P」

 また、AK500Nの製品発表会場に、ハイレゾ対応ポータブルプレーヤー「AK240」のバリエーションモデルとして、筐体に既存モデルのジュラルミンではなく、ステンレスを使ったモデルが参考展示された。筐体の素材を変えることで、音質に変化があるとのことで、国内発売を行なうか否か、発売時期や価格などは未定だという。

参考展示されたAK240のステンレスモデル
側面。形状は既存のAK240と同じ
左が既存のAK240、右がステンレスモデル

AK500N

 「AK500N」は一体型のプレーヤーシステム。7月に製品の概要が発表されていたが、詳細や発売時期、価格が明らかになった。

 スロットローディング式のCDドライブと、最大4TBまで増設が可能な4ベイのSSDスロットを内部に用意している。SSD容量を注文時に指定する形となり、RAIDは0か5が選択可能。USB DAC機能、DLNA再生機能、無線LAN、Ethernet、MQS Streamingサーバー機能、ヘッドフォン出力などを内蔵している。

横から見たところ。上から「AK500N」、「AK500A」、「AK500P」
AK500N。天面に操作用ディスプレイ

 天面に7型、1,280×800ドットのタッチパネルタイプのディスプレイを備え、このディスプレイから様々な操作を行なう。

 前面にCDドライブを備えているが、CDをそのまま再生する機能は無い。CDを挿入し、リッピングしたい楽曲を選択すると、内蔵のSSDに蓄積する。その際、最高品質のリッピングができるというエンジン「cdparanoia」を最適化して使用。リッピングした上で再生するリッピングサーバー兼プレーヤーとなる。リッピングフォーマットはWAV/FLACから選択可能。

 Gracenoteのデータベースにアクセスし、楽曲情報やジャケットなどを取得し、リッピングしたファイルに付与する機能も用意する。

「AK500N」の内部。SSDのスロットが4基ある
AK500Nは1枚のアルミニウムブロックから作り出されていく
ディスプレイに表示されるホーム画面
CDを入れたところ。FLAC/WAVでリッピングできる
リッピングしたい楽曲を指定
リッピングしているところ
リッピングが完了し、WAVファイルがSSDに保存された
ユニークな入力切り替え画面。背面を模した図が表示され、端子をタップすると入力が切り替わる

 また、PCなどから音楽ファイルを内蔵SSDに転送し、再生する事もできる。再生対応フォーマットはWAV/FLAC/WMA/MP3/OGG/APE/AAC/ALAC(Apple Lossless)/AIFFで、DSD(DFF/DSF)の再生にも対応する。

 DSDは2.8MHz/5.6MHzのネイティブ再生が可能。PCM楽曲を再生する際に、DSD 64(2.8MHz)に内部で変換して再生する事も可能。最大384kHz/32bitまでのPCMを、DSDリアルタイム変換再生できる。DSD変換せず、PCMのまま再生する事も可能。PCMで再生する際は192kHz/24bitに変換して再生される。

 USB DACとして動作する際は、USB Audio Class 2.0に対応、5.6MHzまでのDSD、PCM再生をサポートする。

 将来的にはネットワークを介して、AK500Nから直接ハイレゾ楽曲を購入できるようにする構想もあるという。

天面ディスプレイ
設定画面

 ネットワーク機能はIEEE 802.11b/g/nの無線LAN機能と、Ethernet端子を装備。DLNA再生機能は、DMS、DMC、DMRに対応。サーバーとして、クライアントに音楽を配信したり、サーバー内の楽曲をAK500Nから再生する事も可能。DLNA対応アプリなどから、ワイヤレスで制御できる。

 AK240など、同社ハイレゾポータブルプレーヤーが対応しているMQS Streaming機能にも対応。これは、サーバーソフト「MQS Streaming server」を起動しているパソコンのHDDなどに、ハイレゾポータブルプレーヤーからアクセスし、ストリーミング再生をしたり、楽曲の転送を可能にする機能だが、AK500Nの場合はMQS Streamingのサーバーとして動作。AK500NのSSDに蓄積した楽曲を、AK240などで再生したり、ダウンロードでき、母艦のように使うことができる。

 DAC部は、シーラス・ロジックの「CS4398」を2基搭載したデュアルDAC仕様。

 デジタルの入出力は、光デジタル、同軸デジタル、BNC、AES/EBを各1系統搭載。アナログ出力は、バランス(XLR)とアンバランス(RCA)を各2系統装備する。アナログ出力は固定/可変が選択でき、AK500Nをプリアンプのように使う事もできる。筐体の右側面にはボリュームコントロールホイールも備えている。

 さらに、AKのポータブルで採用されている2.5mmの4極バランス出力、ステレオミニ、標準プラグのヘッドフォン出力、USB端子(タイプAホスト×2、タイプ×1)も備えている。

AK500N
背面端子部
背面写真
側面に2.5mmの4極バランス出力などを備えている

 ノイズを抑えるために、電源部には10,400mAhの大容量リチウムイオンバッテリを搭載。このバッテリからクリーンな電源を供給し、約7時間の動作が可能。電源ケーブルを接続した状態でもバッテリを使用し、バッテリの残量が5%以下になるとはじめてチャージを行なう。

 外形寸法は214×238×243mm(幅×奥行き×高さ)、重量は11.4kg。

アンプとパワーサプライもラインナップ

 AK500Nとマッチするデザインを採用した、コンパクトなスピーカー用パワーアンプ「AK500A」と、パワーサプライ「AK500P」を投入予定。

 どちらのモデルも詳細は未定だが、「AK500P」はAK500Nの内蔵バッテリに向けて、クリーンな電源を供給する事で、さらなるノイズ低減、高音質再生を目指すという。

中央がパワーアンプの「AK500A」、一番下がパワサプライ「AK500P」
AK500Aの背面
AK500Pの背面
3台を設置するスタンドにはLEDが埋め込まれ、コンポをライトアップしてくれる

 なお、これらを縦に重ねて設置するスタンドも展示された。スタンドにはLEDが搭載されており、キューブ型の表面が滑らかに隆起するコンポのデザインを引き立てる役割もしている。LEDの電源は、AK500N背面にある専用端子から給電する。

 このスタンドは、AK500N、AK500A、AK500Pをセットで購入すると付属する予定で、単品購入したユーザーに対してどのように対応するかは検討中としている。

デスクトップオーディオもAKブランドで

 アユートの渡辺慎一社長はAK500Nについて、「Astell&Kernといえばポータブルオーディオプレーヤーで皆さんに知られるようになったが、これらの製品開発で培った技術力を活かし、ポータブルではない据え置きのオーディオに挑戦した製品。AKシリーズの新たなチャレンジを体験していただきたい」とアピール。

 iriverのバイス・プレジデント、James Lee氏は、「ポータブルオーディオのイベントなどで日本を含めた各国を訪れると、“デスクトップオーディオを作ってくれないか?”という声を多くいただいた」と、開発の経緯を説明。

 さらに、「これまでのAKシリーズの開発では、日本のオーディオファンの皆さんからのフィードバックが非常に貢献している。AK500Nは海外では既に発表しているが、今回はアンプやパワーサプライも含めたラインナップを、世界で始めて、日本で披露したのはそのため」と語り、日本市場を重視する姿勢をアピールした。

アユートの渡辺慎一社長
iriverのバイス・プレジデント、James Lee氏

 これまでAKシリーズはポータブルプレーヤーや、ポータブルアンプなど、ポータブルオーディオをメインとしてきたが、AK500Nのようなデスクトップオーディオ機器も今後はAKブランドの一員として展開していくという。

デスクトップオーディオもAKブランドで展開していく
発表会ではオーディオビジュアル評論家の山之内正氏がAK500Nの持つ可能性への期待を語った
会場でのデモ再生では、DYNAUDIOのフロア型スピーカー「Confidence C4 Platinum」を使用。小型のコンポだが、キッチリとドライブできており、分解能の高いクリアなサウンドが体験できた

(山崎健太郎)