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4K/60Hz、HDCP 2.2対応のモバイルSoC「Tegra X1」
HDMI 2.0“フル4K”対応。HEVCエンコ/デコーダも
(2015/1/5 15:00)
NVIDIAは4日(米国時間)、最新世代1チップコンピュータ(SoC)として「Tegra X1」を発表した。昨年発表されたTegra K1の後継チップセットで、スマートフォンやタブレット、情報家電、車載情報機器などへの組み込みを想定したハイスペックプロセッサになる。処理能力の向上だけでなく、HDMI 2.0の4K/60Hzや、著作権保護技術のHDCP 2.2に対応したほか、HEVC/H.265のエンコーダ/デコーダを搭載するなど、AV機能においても大きな強化が図られている。
Tegra X1はApple A8系の2倍の性能を誇る
Tegra K1の「K」は、当時のNVIDIA製最新世代GPUの開発コードネーム「Kepler」から取ったものだったが、今回のTegra X1の名前の「X」も、NVIDIA製最新GPU開発コードネームの「Maxwell」から取ったものだと説明された。なぜ「M」ではなく「X」かというと「Xの方がかっこいいから」とのこと。
Tegra X1のCPUは8コアのARM製64bitプロセッサになる。8コアの内訳は、Cortex-A57が4コア、Cortex-A53が4コアとなっている。A57とA53は共に64bitのARMv8命令セットアーキテクチャベースだが、A57がハイパフォーマンス向け、A53が電力効率重視向けで、システムに掛かる負荷具合に応じて、これら2種のプロセッサを切り換えて活用する制御が行なわれる。
Tegra X1のGPUは256シェーダプロセッサ構成で、Tegra K1の192シェーダプロセッサに対して、演算性能が高められている。また、Tegra X1はMaxwellコアのGeForceアーキテクチャを踏襲し、シェーダプロセッサの増量分以上のパフォーマンスを発揮すると説明されている。また、Tegra X1では「Streaming Multiprocessor」(SM)の2基構成とも説明されているため、128基のシェーダプロセッサを内包するSMのデュアル構成を採用していると推察される。
製造プロセスルールは20nm。Tegra X1の最大性能はTegra K1の2倍に相当し、Tegra K1と同一パフォーマンスを発揮する際に必要なTegra X1の消費電力はTegra K1の半分になると説明されている。
また、競合のアップル製iPhone6シリーズのA8、iPad Air2に採用されているA8Xと比較しても、Tegra X1は最大性能で2倍、性能対電力効率でも約2倍となっていることがアピールされた。
HDMI 2.0/HDCP 2.2対応。HEVCデコード/エンコードも
Tegra X1について、オーディオビジュアル視点で注目すべきなのは、最新のインターフェースに対応したことと、ハードウェアビデオプロセッサが刷新されたことだ。
HDMI 2.0とHDCP 2.2に対応したことで、最新の著作権保護付き60fpsの4Kコンテンツの出力をサポートした。
また、内蔵されるハードウェアビデオプロセッサも、H.265(HEVC:High Efficiency Video Coding)対応となった。色深度はDeep Color相当の10bitまで対応する。
HEVCは4K映像や8K映像のために開発されたエンコード方式で、ブルーレイなどに採用されているMPEG-4 AVC/H.264に対して「同一画質で半分のビットレート」「同一ビットレートで画質2倍」の性能を目標に開発されたコーデックだ。Tegra X1に搭載されているHEVCデコーダは4K/60fpsのリアルタイムデコードに対応し、HEVCエンコーダは4K/30fpsのリアルタイムエンコードに対応するとのこと。エンコード処理は演算量が多いこともあり、4K/60fpsには達していない。
なお、Tegra X1のハードウェアビデオプロセッサは、HEVCに加えて、HEVC相当の圧縮効率を目標にして開発されたロイヤリティフリーのコーデック「VP9」にも対応しているとのこと。
Tegra X1の採用先は、これまで通り、スマートフォンやタブレット、情報家電、車載情報機器などが想定されるが、現時点では具体的な製品名は明かされていない。NVIDIAが自社製品として投入してきたゲーミング端末「SHIELD」に採用されることは確実視されるが、今回の発表では特に予告もなかった。
なお、CESのNVIDIAブースでは、Tegra X1を活用したコンピュータビジョンや自動車運転支援機構に関する展示が行なわれる。この辺りは僚誌Car Watchなどでカバー予定だ。