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スカパー、'15年は4K/オンデマンド推進。Netflixには“ライブ”で対抗
(2015/2/5 17:20)
スカパーJSATは5日、2014年度第3四半期(10~12月)決算説明会を開催。通期業績予測の上方修正などについて説明したほか、4K放送の今後の展開や、オンデマンドや有料多チャンネル放送の強化策などを明らかにした。
第3四半期決算(第1~3四半期累計)は、売上高が1,225億6,800万円(前年同期比1.3%減)、営業利益が175億9,200万円(同3.6%増)、当期純利益は129億3,600万円(同27.4%増)で、減収増益となった。
視聴料収入が増加したが、MPEG-2のSDサービス終了による業務手数料収入や放送トランスポンダ収入の減少により、売上高は微減となった。一方でHDサービス加入移行費用や減価償却費の減少により、営業利益は増加している。
このため通期業績予想も上方修正。売上高は当初予想比0.3%増の1,640億円、営業利益は同8.3%増の195億円、純利益は同16.7%増の140億円を見込む。
4K放送のハリウッド参加へ交渉中。プレミアムサービスの価値向上を
3月1日に開局する4K専門チャンネル「スカパー!4K 映画」と「スカパー!4K 総合」についても放送予定の番組を発表。詳しくは別記事で紹介しているが、映画はペイ・パー・ビュー(PPV)で、1作品あたり500円~700円を想定。総合はスカパー!プレミアムサービスのチャンネルまたはパック・セットなどの加入により追加料金不要で視聴できる。
映画は、大自然の神秘を4K撮影した「ネイチャー」、オリジナルフィルムを4Kスキャンした松田優作主演2作品、SFファンタジー「時をかける少女」などを編成する。
洋画の超大作など、ハリウッド作品は当初はラインナップされていないが、「著作権保護などについて、ハリウッドと調達交渉に時間がかかっている」(スカパーJSAT 高田真治社長)とし、当初は邦画を中心としたラインナップでの展開となる。ただし、「4Kでは、人気の映画が待望されているはず。できるだけ早く放送するべく準備している」と早期の放送開始に自信を見せた。
スカパーJSATの仁藤雅夫取締役は、「4K放送を初めてすぐに採算を取るということは考えていない。まずは(124/128度CSの)プレミアムサービスの付加価値増大を目指す。現状提供している“多チャンネル”に加え、質の上でもプレミアムを感じてもらえるサービスにしていきたい。また、124/128度のチューナを内蔵したテレビを多く発売していただければ、プレミアムサービスの加入もしやすくなる。サービス全体の価値向上を狙って行きたい」と、4K放送の狙いを説明した。
オンデマンドを中核に。Netflixには「ライブで対応!」
また、同社が成長分野として期待をかけているのが、ビデオオンデマンド(VOD)の「スカパー! オンデマンド」。'14年12月末現在で累計登録者は40万2,360件と増加傾向だが、さらなる利用者拡大や認知度向上に向け、2月14日から100番組以上をPCとスマホで無料視聴できるキャンペーン「TRY! スカパー! オンデマンド」をスタートする。
仁藤取締役は、「スカパー! オンデマンドを中核サービスに育てる」と宣言し、他チャンネル放送のコンテンツを配信するだけでなく、独自性を持ったサービスとして展開することを強調。放送契約無しでもスカパー! サービスを契約してもらえるよう、対応を進めていくという。
独自展開の一例として、「ル・マン24時間レースでは、CS放送は最初と最後だけだったが、オンデマンドは24時間流しっぱなしで配信した。新たな楽しみかたができるサービスにしていきたい。オンデマンドという名前ですが、実はライブスポーツに強い。いつでもどこでもスカパー!が見られ、解約防止につながるという側面もあるが、それにとどまらずオンデマンドだけで楽しめるように推進していきたい」と語った。
なお、5日には米国の映像配信大手「Netflix」の2015年秋の国内参入が発表された。仁藤取締役は「スマートフォンやタブレットなどを使った有料配信サービスは伸びており、市場の刺激になる。スカパー!では、特徴あるスポーツやイベントを持っており、ライブイベントに強みがある。通常の番組だけでなく、それらを組み合わせた強みを見せていきたい」と、スカパーの独自性を強調。高田社長も「Netflixはやらないライブの強みを活かしていきたい」と語った。
スカパー! セレクト5でARPUが増加
有料多チャンネル事業については、売上高が前年比759億円増の924億7,100万円、営業利益は7.6%増の45億900万円となった。
収益増を支えたのは、ハイビジョンサービス視聴収入の増加(63億円)など。特に、'14年3月から販売開始した「スカパー! セレクト5」が、新規顧客開拓と視聴料単価の向上に寄与した。セレクト5は、45チャンネルの中から5チャンネルを選んで月額1,980円で視聴できるパックで、同パックの導入や、MPEG-2サービスの終了による基本契約のみの顧客減などにより、2014年3Q累計のARPU(1契約あたりの売上)は2,223円と、2013年3Q累計の1,987円から11.9%増加している。
ただし2014年度の加入者数は30.2万件の純減で341万5,000件と、減少傾向が続いている。
第3四半期までの加入実績は、110度CSの「スカパー!」が純増8,266件の206万3,838件、124/128度CS「スカパー! プレミアムサービス」が純減30万8,712件の126万2,175件、FTTHの「プレミアムサービス光」が純減1,577件の8万8,568件。
スカパー! については、新規加入は鈍化しているものの、純増基調となっており、プレミアムサービスも5月末のMPEG-2終了での大きな減少を除けば、低解約率を維持している。プレミアムサービス光は計画を下回って推移している。
加入獲得強化として、新たにJリーグのプレシーズンマッチも「Jリーグ・スカパー! ニューイヤーカップ」と題して、イベント化。これにより、Jリーグシーズン開幕前からのサッカーファン加入増を目指す。同様にプロ野球についてもキャンプやオープン戦などの情報を強化し、通年での野球、サッカーファン獲得を図る。また、スカパー! 初という音楽祭も開催予定で、これらの施策やオンデマンドの利便性訴求などで加入獲得と解約減少を目指す。