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PhilipsのテレビはAndroid TV化を加速。IFA GPC開催
Gibsonの新ブランドやデュアルドラム洗濯機も
(2015/4/27 09:00)
ドイツ・ベルリン国際見本市会場で9月4日~9日(現地時間)に開催される家電ショー「IFA 2015」のプレイベント「IFA 2015 Global Press Conference」(IFA GPC)がマルタ共和国で開催された。
IFA 2015の概要については別記事でレポートしているが、ここでは協力企業によるIFA 2015に向けた製品展開紹介の模様などをお伝えする。今回のプレス向け説明会に参加したのは、Philips、ハイアール、GRUNDIG、ZTE、TP Vision、Gibson Innovationsなど。昨年はパナソニックが参加していたが、2015年のIFA GPCの日本メーカー参加はなし。発表の内容も、白物家電が多く、IFAとしてもより白物に注力した展開となっている。
PhilipsブランドのAndroid TVを加速するTP Vision
Philipsブランドのテレビを展開するTP Visionは、同社のAndroid TVやUHD(4K)対応について説明した。
最大の差別化ポイントは、Philipsブランドのテレビの特徴である間接照明機能「Ambilight」(アンビライト)。すでにその登場から10年以上が経つが、調光機能などを強化しながら進化しており好評で、「81%の消費者はAmbilight搭載モデルを購入している」という。
Ambilightについては、引き続き訴求していくとともに、欧州のクラフトマンシップを活かしたデザインや、画質、サウンドなどを強化していく姿勢を示した。
2015年の大きな動きがテレビプラットフォームへの「Android TV」採用。シンプルなナビゲーションの採用とともに、Google Playなどのアプリ、映像配信などのエコシステムをテレビに取り込むことを狙いとし、'15年に発売する8割のTP Vision製テレビでAndroid TVを採用するという。
2015年モデルは同社のAndroid TV搭載製品としては第2世代となり、新たにVOD(ビデオ・オン・デマンド)体験を統合。見逃し対応(キャッチアップTV)などをテレビプラットフォーム上で実現する。
Android TVは38モデルを投入。さらにクラウドゲーミングなど、ゲーム対応も強く押し出してあたらしいスマートテレビとして提案していく。
4K(UHD)については4シリーズ。17モデルを第1四半期に発売予定で、その後も順次拡張していくという
Gibson Innovationsとはどんな会社?
Philipsブランドのヘッドフォンやスピーカー、Gibsonブランドのオーディオ製品を手がけるGibson Innovationsからは、Wiebo Vaartjes CEOが登壇。「昨年はWOOX CEOとして登壇したが、今年はGibson傘下になった」と語り、Gibson Innovationsの概要を説明した。
Gibson Innovationsは、ギターで有名なGibsonが'14年にPhilipsのオーディオ、ビデオ、マルチメディア事業を展開していたWOOX Innovationsを買収して誕生。Philipsブランド製品だけでなく、Gibsonの出資するオンキヨーやTEAC、Gibson傘下のKRKなどのディストリビューソンも担当し、様々な市場でブランド/ターゲットにあわせて商品展開する。
Gibson Innovationsという社名だが、主力製品はPhilipsブランドになる。これは、世界42位のブランド価値を持つPhilipsが「コンシューマ領域で強い力をもつため」としており、Philpsブランドの製品が当社の中核となる。
Philpsでは、ハイエンドヘッドフォンシリーズ「Fidelio」などを積極展開。多くのブランドを有するGibson Innovationsだが、Vaartjes CEOは、今後重視するブランドとして、若年層向けのヘッドフォンなどを提案する「GoGear」、スポーツヘッドフォンの「TRAINER」、そしてオンキヨーを紹介した。
TRAINERについては、スポーツ中でもズレないことは、防水性能、優れた音質などの特徴を紹介。さらに、ブランドキャラクターとして陸上100m世界記録保持者のウサイン・ボルトを起用し、「ナンバーワン」を目指す姿勢を明らかにした。
また、オンキヨーについては、ヘッドフォンやBluetoothスピーカーの世界展開などの販路拡大をGibson Innovationsが協力して展開していく。
Philipsはヘルスケア/ライティング企業に
前述のTP VisionやGibson Innovationsなどは、もともとPhilipsが展開していたもので、事業売却などにより、現在のPhilipsブランドビジネスにつながっている。
では、本家Philipsは、どこへ向かっているのか? PhilipsのBernd Laudahnマネージング・ディレクターは、同社のコア事業を「ヘルステック」、「ライティング ソリューション」と位置づけ、両事業の展開について説明した。
まずはヘルステック。ここに注力する理由が「高齢化」だ。世界における60歳以上の比率は、2000年は11%だったが、2050年には22%に拡大するという。この人口拡大に大きな成長機会を見出しているという。
もちろん単純に健康関連製品を出していくという意味ではなく、Laudahn氏が重視するのがビックデータ。病や体調などの健康関連情報をあつめて、その分析結果を同社製品やソリューションに反映させることで、新たな付加価値をヘルステック製品に生み出していくという。
Laudahn氏はデータの重要性を「データは将来の『オイル』だ」と述べて、より多くの統合されたデータの必要性を訴えた。そのために、Philipsが取り組んでいるのが、病院や医師との連携やナレッジの共有。共有したデータを一括管理して、数値の変化などを確認しながら、診察や治療、予防の精度を上げていくという。
その一例としてあげたのが、腰痛治療器具の「BlueTouch」だ。腰に着用し、青色LEDを照射することで腰痛を改善するもので、昨年のIFAで発表されたが、今回健康保険のアリアンツと協力し、腰痛治療プログラムを展開することを発表した。
そのほか、中国市場などを中心とした空気清浄機の導入、歯ブラシやエアフロスなどの展開もヘルステック事業の強化ポイントとしている。
今回のIFA GPCでは日本メーカーの出展はなく、AV系の展示よりも白物家電が目立つ内容となっていた。
その中ハイアールは、白物家電のほか、スマートフォン/スマートウォッチ展開も紹介。スマートウォッチでユニークな機能が子どもや高齢者向けの通知機能。赤色のボタンを押すと、子供がトラブルに巻き込まれているなどの情報を通知してくれるという。
また、初提案という「デュアルドラム」洗濯機も紹介。2つのドラム槽を縦に並べた洗濯機で、Haier EuropeのYannick Fierling CEOは、「洗濯機は、1年に220回使われる、一回の利用時間約3時間、年間では約1カ月洗濯機が動いていることになる」とし、2つのドラムを装備することで、より空き時間を有効に使える点をアピールしていた。
その他にもコンプレッサーやモータを不要にし、振動を抑えて容量を拡大したワインセラーなどの新提案を行なっていた。Philipsやハイアールの新製品については、家電Watchでも紹介する。
ZTEは、スマートフォン新製品などのほか、Android搭載の小型DLPプロジェクタ「Spro2」を披露した。2月のMobile World Congressで発表済みだが、米国の大手キャリアから25日より発売開始されるという。ビジネスミーティングやホームビデオの再生など様々な用途で活用できる点を訴求していた。