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'14年の映像ソフト市場は前年比96%の5,004億円。有料配信利用率は「ほぼ横ばい」

 日本映像ソフト協会(JVA)とデジタル・エンターテイメント・グループ・ジャパン(DEG)は、2014年の映像ソフト市場規模とユーザー動向の調査結果を発表。Blu-ray Disc/DVDビデオと、有料動画配信サービスを合わせた映像ソフト全体の市場規模は前年比96%の5,004億円だった。

映像ソフトの市場規模の推移(出典:JVA)

 調査は'15年1月にインターネットで行なわれ、対象者は全国の16~69歳の男女。BD/DVDのビデオソフト及び有料動画配信サービスの利用について調査した「一般調査」と有料動画配信利用者のみを対象とした「有料動画配信調査」の2つを行ない、一般調査については1,500人、有料動画配信サービスについては300人の回答をサンプルとして回収。その集計データに、ビデオリサーチが毎年実施している「ACR調査」の調査結果を補正データに用いて、一般個人のデータとして推計している。

 今回の調査では一般調査のサンプル数は昨年の1,200人から300人増加。これにより、BD/DVDのセル・レンタル・有料配信の各市場の関係性をより明確にすることを試みたとしている。

 なお、調査対象となる有料動画配信サービスについては、VOD及びEST(Electronic Sell Through:視聴期限無しのセルスルー)に定め、有料放送局やポータルサイトに付随する動画配信サービスなどは含んでいない。

セル・レンタル市場ともに減少傾向。有料配信サービスの利用率は約6%

ビデオソフトの購入率、レンタル利用率、有料動画配信サービス利用率(出典:JVA)

 2014年の映像ソフトの市場規模は、BD/DVD市場が4,390億円(前年比95.1%)、有料動画配信サービス市場が614億円(同102.5%)で、合計5,004億円と推計。

 BD/DVDの内訳は、セル市場が2,287億円で前年比94.1%、レンタル市場は2,103億円で同96.3%と減少。BD/DVDの購入率は18.2%、レンタル利用率は37.1%と、いずれも前年比で上昇している(2013年調査結果ではそれぞれ16.3%、34.6%)。有料配信の利用率は5.9%で、前年(同6.3%)と比較してほぼ横ばいとなった。

 各分野での購入・利用者1人当たりの年間平均消費金額は、ソフトの購入がトップで17,745円(前年比259円減)、次いで有料配信利用が8,657円、レンタル利用が3,943円。なお、ビデオソフトの年間平均レンタル利用枚数は前年の26.9枚から4.3枚減の22.6枚(前年比84%)と減少傾向だが、1枚当たりの単価が前年の139.9円から174.1円に増加したため、年間利用金額は前年比104.5%に増加している。

セル購入者/レンタル利用者の7割近くが「有料配信は利用したいと思わない」

ビデオソフトの購入、レンタル、有料動画配信サービス利用者の分布状況(出典:JVA)

 今回の調査では、BD/DVDのセル購入者、レンタル利用者と、有料配信利用者の関係が焦点となっている。

 セル購入者、レンタル利用者、有料配信利用者の分布状況を見ると、セル購入と有料配信を利用するユーザーが1.9%、レンタル利用と有料配信を利用するユーザーが3.2%で、有料配信のみを利用するユーザーは1.7%。「映像ソフト利用者の利用率を押し上げるほどには至っていない」と見ている。

 視聴ジャンル別では、セル購入者は「日本の音楽ビデオ」(29.4%)の購入率が高く、レンタル利用者は「海外の映画」(58.9%)、「日本の映画」(56.3%)の利用が多い。有料配信利用者はレンタル同様「海外の映画」(51.2%)や「日本の映画」(49.9%)の人気が高い。また、「海外のテレビドラマ(アジアを除く)」(38.1%)、「日本のテレビドラマ」(34.0%)、「日本のアニメーション」(35.7%)などが、セル購入者やレンタル利用者よりポイントが高くなっている。

 有料配信の利用意向についても調査。「とても利用したい」と「まあ利用したい」と回答した率を合わせると、セル購入者の18.6%、レンタル利用者の16.7%が、それぞれ有料配信サービスを利用したいと考え、有料配信を利用していないユーザーで利用したいと考える率(11.5%)を上回っている。一方でセル購入者の69%、レンタル利用者の73.7%が有料配信を「あまり利用したいと思わない」、「まったく利用したいと思わない」と回答しており、JVAでは「映像ソフトのユーザー層の構造が有料動画配信サービスによって大幅に変動する様子は見られない」という。

 また、有料配信を利用していないユーザーに利用しない理由を聞いたところ、「無料放送を見るだけで十分」(36.6%)、「無料テレビ放送を見る機会が増えた」(22.7%)、「動画を有料で見るという習慣がない」(22.0%)、「動画配信サービスは無料のもので十分」(20.7%)などが上位に上がり、「(動画配信サービスの)無料と有料の間の高い壁を感じさせる結果」としている。

ビデオソフトの購入、レンタル、有料動画配信サービス利用者の視聴ジャンル(複数回答)(出典:JVA)
ビデオソフトの購入者、レンタル利用者、有料動画配信非利用者の有料動画配信サービスの利用意向(出典:JVA)

(庄司亮一)