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リコー「THETA S」。全天球でフルHD/30p対応など高画質化、HMDでの360度視聴も
(2015/9/4 01:21)
リコーは、国際コンシューマ・エレクトロニクス展「IFA 2015」(9月4日~9月9日/現地時間)の開幕前プレスカンファレンスにおいて、全天球カメラ「RICOH THETA」の新たな上位モデルとなる「RICOH THETA S」を発表した。フルHDの30fps動画撮影や、静止画のライブビューなどに対応。新イメージセンサーの採用などにより高画質化している。欧州では10月後半に発売し、価格は399ユーロ。米国での価格は349ドル。
THETA Sは、撮影者を取り巻く空間全ての「全天球イメージ」を1ショットで動画または静止画として撮影できるカメラ。サイズは'14年に発売した「THETA m15」とほぼ同等だが、新開発のレンズユニットやイメージセンサーの大型化(1/2.3型)、画像処理の強化などで高精細化したのが大きな特徴。静止画は約1,400万画素相当の記録に対応(m15は600万画素相当)する。内蔵メモリは8GBに強化された(m15は4GB)。本体カラーはブラック。
動画はフルHDの1,920×1,080ドット(記録時)の30fpsに対応し、合成後で最長25分(m15は最長5分)の撮影が可能。スマートフォン/タブレットとWi-Fi(無線LAN)接続して連携し、新たな専用アプリ「RICOH THETA S」内の動画変換ツールを使って、つなぎ目の無い全天球動画をPC不要で作成でき、画面タップやピンチイン/アウトでサイズや構図を変えて再生できる。
アプリから専用Webサイトのtheta360.comにアップロードして、SNSで共有することも可能(動画は最大5MB)。YouTubeに360度動画としてアップロードすることもできる。
THETA Sアプリは、基本フローである撮影、閲覧、投稿、管理が可能な点は従来のTHETAアプリと同じだが、通信方式が、従来のPTP-IP方式からHTTP方式に変更された。THETA S向けに、新たなAPIも用意し、本体の機能設定や操作を独自にアレンジして楽しめるオリジナルアプリも作成できる。このAPIはGoogleのOpen Spherical Camera APIに準拠しており、Google Mapsへの全天球画像の投稿が簡単に行なえるなど、Googleのサービスとの親和性が高いのが特徴。
今回のTHETA Sアプリや、静止画用に公開したTHETA+アプリに加え、動画用編集用に「THETA+Video」アプリも近日発表予定としている。
動画ライブストリーミングや、VRヘッドセットでの360度画像視聴も
また、THETA初の機能として、静止画のライブビューにも対応。スマホとWi-Fi接続時に、撮影時の設定変更結果をスマホ画面で確認しながら撮影できるようになった。表示方式は、全天球またはパノラマの2つから選択できる。
さらに、新機能として動画のライブストリーミングモードも搭載。新たにHDMIマイクロ端子も備え、USBまたはHDMIからパソコンなどに出力可能。この機能はカメラ側から撮影データをそのまま出力するもので、公式アプリやPCソフトなどではライブストリーミング配信は行なえない。前述のAPIなどを活用して開発者らが対応アプリなどを作成することで実際の配信が可能になる。リコーとしても、'15年末にかけて、ソフトウェアで合成後の映像をライブストリーミング配信できるようにすることを計画しているという。
Google Cardboardなどのヘッドマウントディスプレイで360度画像を視聴することも可能としており、様々なHMDのメーカーとアライアンスを組む予定としている。
ライブストリーミング時の解像度は、HDMI接続時が最大1,920×1,080ドット/30fpsで、ディスプレイに合わせて自動で切り替える。USBは1,280×720ドット/15fpsのみ。USB接続のライブストリーミング時は、動画形式がMotion JPEGとなる。
新型のWi-Fiモジュールを搭載したことで、転送速度を従来比最大4倍に高速化。また、静止画/動画の切り替えを電源を切らずに行なえるようになったのも特徴。