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ソニー、ベータビデオカセットを'16年3月に出荷終了

40年の歴史に幕。マイクロMVテープも

 ソニーは10日、ベータビデオカセットとマイクロMVカセットの出荷を2016年3月で終了すると発表した。「アナログ地上波放送の終了や、需要の推移など市場の状況を鑑みて、販売を終了する」としている。

ベータビデオカセット「EL-500B」(左)、「500MHGB」(右)

 ベータビデオカセットは、家庭用のビデオ記録用途に向け開発した磁気テープ記録方式「ベータマックスフォーマット」の記録メディアで、1975年より生産してきた。なお、同フォーマット対応のビデオテープレコーダ機器の生産は2002年に完了している。

 マイクロMVカセットは、デジタルビデオカメラの「マイクロMVフォーマット」記録用テープメディアで、同フォーマット対応ビデオカメラの生産は2005年に完了している。

マイクロMVカセット「MGR60」

 今回の出荷完了により、ソニーにおけるベータマックスフォーマットの記録メディアやマイクロMVフォーマットの記録メディアの出荷は、全て終了することになる。なお、需要状況によっては予定時期以前に終了する場合もあるという。

出荷終了となる記録メディア

    【ベータビデオカセット】
  • EL-500B
  • 2L-500MHGB
  • 2L-750MHGB
  • L-25CLP(ベータビデオ用クリーニングテープ)

【マイクロMVカセット】

  • MGR60
  • MGRCLD(マイクロMV用クリーニングテープ)

ベータマックスVTRは累計1,800万台以上販売。テープはピーク時に年間約5,000万巻

 ベータマックスは、テレビ放送録画/再生用途を想定し、家庭用ビデオ記録用として開発された磁気テープ記録方式。ソニーは、1975年にベータマックス方式の一号機となる家庭用ビデオテープレコーダー(VTR)「SL-6300」と、対応する記録用テープメディアのベータビデオカセット「K-60」(60分用)、「K-30」(30分用)を発売した。ベータマックスVTR機器の累計販売台数は全世界で約1,800万台以上としており、ベータビデオカセットはピーク時の1984年度当時に、年間で約5,000万巻を出荷した。

1975年発売のベータビデオカセット「K-60」

 ベータマックスVTR機器の販売は、ベータマックスフォーマットの拡張方式であるEDベータ方式のVTR機器「EDV-9000」と、ハイバンドベータハイファイ方式のVTR機器「SL-200D」の2機種の生産終了をもって2002年に終了したが、ベータビデオカセットの販売については継続していた。

 マイクロMVは、DV方式比で約3倍の高密度記録/再生技術を実現した、デジタルビデオカメラ向け磁気テープ記録方式。2001年に初めてソニーがマイクロMV方式ビデオカメラ「DCR-IP7」を発売した以降、4機種のマイクロMV方式ビデオカメラを発売した。

 2005年の「DCR-IP1K」生産終了により、マイクロMV方式ビデオカメラ機器の販売は終了。その後も記録用テープメディアのマイクロMVカセットの販売は継続していたが、「需要の推移など市場の状況を鑑みて、マイクロMVカセットにおいても販売を終了する」という。

(中林暁)