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'17年春に「OTOTEN」開催。会場は東京国際フォーラム、アーティスト連携強化も

 日本オーディオ協会は、'17年5月13日~14日に東京国際フォーラムで開催予定の展示会「OTOTEN」(従来のオーディオ・ホームシアター展/音展から名称変更)や、それに先駆けて'16年10月21日~22日に秋葉原で行なうプレイベント「音のサロン&カンファレンス」の概要を発表した。

イベントのロゴを刷新して「OTOTEN」に

 26日に日本オーディオ協会は'16年度の事業説明会を開催。この中で、今後のイベント予定について発表したほか、オーディオ市場を取り巻く動向や、ハイレゾの動向などについて校條亮治会長が説明した。'17年は“改革、刷新”を大きく打ち出し、若年層や女性の取り込みを含めた新しい市場創造を目指すという。

校條亮治会長

展示会を再構築。アーティスト連携強化やミスマッチ解消へ

 既報の通り、同協会が毎年開催しているオーディオ・ビジュアル関連の総合展示会「オーディオ・ホームシアター展」(音展)は、'16年はイベント形式で試聴などを行なう「音のサロン」と、技術的視点の「カンファレンス」という2つの企画に絞り、秋葉原で10月21日(金)と22日(土)に開催。2017年は、イベントを秋から春へ変更し、再び大規模な「OTOTEN」として開催。会期は2017年5月13日(土)、14日(日)。東京駅にも近い東京国際フォーラムへ会場変更することで、昨年までのお台場(タイム24)に比べて、多くの人が来場しやすくなる。

OTOTEN会場のイメージ
日程や使用スペースなど

 オーディオ協会は現状のイベントの認識として「若年層開発の停滞」、「女性層拡大に至っていない」、「年代別来場者が1世代上がった(構成比の最大が'14年は45~49歳、'15年は50~54歳)」、「マニア層に集約されつつある」という4つを指摘。長年の課題とされている、新規顧客層の拡大が今も実現していない結果となっている。

 そこで、協会は展示会の“再構築”を図り、'17年は「OTOTEN Reform」(改革、刷新)を打ち出す。展示内容や会場作り、ロゴなども一新して新しい世代の来場を促進する。

「OTOTEN Reform」を打ち出す
主な変更内容

 ハードウェアなどに関心の高いマニア層への訴求を維持しながら、より幅広く、普段の生活の中で音楽を聴く20~40代の“音楽リスナー”もターゲットとし、音楽業界やアーティストとの連携強化を進めることでイベントの認知と来場者数の拡大を追求する。

 音楽ソフト分野との連携として、イベントに賛同するアーティストを募集して、独自音源や賛同コメントの提供を受けることなどを計画。SNSなどを通じてアーティストのファンへの認知も図っていく。

 展示については、「主な展示アイテム」と「デモ視聴:音楽ジャンル」をアイコンで表現し、ブースに入らなくても概況が一目でわかるようにするという。また、来場者の受付時に興味のある音楽ジャンルなどをイベント側が把握しておくことで、来場者と出展社のミスマッチを低減し、その人に適したブースへスムーズに入れるようにするという。入場パスで、来場者の興味を識別できるようにすることも検討している。

来場者と出展社のマッチング
カテゴリ構成とゾーニング
フロア別カテゴリ構成とゾーニング

 東京国際フォーラムのガラス棟の地下1階と4~7階で展示を行ない、D棟をセミナーや販売スペースとして利用。7回は参加型の「イベント広場」、5~6階は「ホームオーディオエリア」として試聴ブースを中心に展開。
 4階は「ハイレゾ」プロモートゾーンと位置づけ、ヘッドフォン/イヤフォンやポータブルアンプ/DAC、ネットワークオーディオ、コンポ、ポータブルスピーカーなどを用意。ドアを開放した入りやすいスペースとする。

 地下1階は総合受付とコンシェルジェ・カウンターを設置するほか、オープンスペースにデモカーを用意し、カーオーディオエリアとして展開する。D棟は、オーディオ協会や専門誌によるセミナーを行なうほか、物販エリアでは、書籍やCD、アナログLPなどを販売する予定。

'16年秋に「音のサロン&カンファレンス」

 OTOTENに先駆けて2016年秋に行なうプレイベントは、「音のサロン&カンファレンス」として、試聴などを行なう「音のサロン」と、技術的視点の「カンファレンス」という2つの企画に絞って開催。会場は秋葉原の富士ソフト アキバプラザ。

 来場者層は、「マニア」と「オーディオに興味がある音楽好き」の2つを想定して企画を用意。最新技術のセミナーや、レコード試聴会、スピーカー比較試聴などのほか、「朗読と音楽のコラボレーション」や、「女性(学生)向け音楽ジャンル別コンポの魅力」、「ミュージックバード公開収録」なども実施する。

会場5階の平面図
会場6階の平面図
来場者ターゲット
プロモーション

「ハイレゾ」や「音楽リスナー」にフォーカス。“ホームシアター”は見直し

校條亮治会長

 オーディオ協会のイベントは、'52年の「第1回全日本オーディオフェア」以来、「オーディオフェア」、「オーディオエキスポ」、「A&Vフェスタ」と名称を変更しながら継続。A&Vフェスタは横浜みなとみらいで開催されていたが、「音展」として秋葉原へと移動。さらに、2013年からは東京・お台場の「タイム24ビル」で開催していた。

 校條亮治会長は、消費税増税後の消費動向や、生産人口の減少といった国内経済への認識を交えつつ、'16年の事業計画を説明。オーディオを取り巻く事業環境に厳しさが増す中で、同協会はイベントについて従来と視点を変えて検討してきたことを強調した。

 '16年度の基本方針は「国内における新たなオーディオ市場の創造を図る」とし、具体的には、ハイレゾカテゴリの伸びによる市場拡大や、「アナログからハイレゾまでの融合」、「ビギナーからマニアまでの融合化」などを掲げた。また、地方の展示会への支援も積極的に行なうことを計画。現在、地方の販売店などが行なっているオーディオイベントに対して支援はしていないが、今後はメーカーの枠を取り払ったイベントとして後援していく方針を示した。

'16年度の基本方針
ハイレゾ関連の最新動向

 '17年10月のOTOTENは、開催時期や場所など大きな変更を伴うもので、“市場創造展示会”として、今までにない「OTOTEN」を目指すという。コンセプトは「自分好みのリスニングスタイルに出会える展示会」としている。なお、出展募集は7月27日から9月末まで受け付ける。出展料は検討中としているが、「タイム24と比較して、1日あたりのm2単価は、ほぼ同水準の予定」としている。

 新たなOTOTENロゴの下には「AUDIO・VISUAL EXHIBITION 2017」の文字が入っているが、従来のイベント名に含まれていた「ホームシアター」は含まれていない。これについて校條会長は「日本のホームシアターは瀕死の状況。人は映画館には行っているが、大型のAVアンプは(売上が)止まっている。ホームシアターは、マーケティングゼロベースで取り組む」との考えを示している。

“展示会の大改革”を行なう

(中林暁)