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2基のMEMS搭載のSoranikイヤフォン、Melody Wings「Venus」、XDuooの小型ストリーマーにも注目
2025年7月5日 17:10
フジヤエービック主催、「夏のヘッドフォン祭mini 2025」が7月5日にステーションコンファレンス東京で開催。フォステクスが、TH900シリーズの新モデルになるという、未発表ヘッドホン2機種を参考出品した。
飯田ピアノ
飯田ピアノが国内での取扱を開始する、ベトナム・ホーチミン発のブランド「Soranik(ソラニック)」のイヤフォンを参考展示している。Soranikは、MEMSドライバー技術をいち早く実用化したブランドの一つで、第一弾として、MEMSドライバー搭載の「MEMS-3」「MEMS-3S 2025」の日本導入を予定しているとのこと。イベント会場には「MEMS-3S 2025」が出展された。
筐体は、白い大理石からインスピレーションを得たデザインになっており、その内部に、xMEMSとUSound、2基のフルレンジMEMSスピーカーを同軸かつアイソバリック構成で搭載。音響チャンバーを専用設計する事で、2つの出力を正確に融合させ、「帯域の一部を犠牲にすることなく、両者の特性を余すことなく引き出している」という。
xMEMSのものは、シリコン基板上に形成されたモノリシックMEMSスピーカー。超高速なレスポンスと高域の伸びが特徴という。USoundのものは、最大80kHzの超広帯域再生に対応するMEMSトランスデューサー。中低域の描写力に優れ、立体的で触感的な音像を生み出すとのこと。
これらのMEMSスピーカーに加え、低域用として6mmのフルレンジ・ダイナミックドライバーと、10mmのサブウーファーも内蔵。ミッドベースからローエンドまでを補完している。
なお、MEMSスピーカーは、一般的なIEMドライバーとは異なる駆動方式を採用しているため、専用の駆動機構が必要。MEMS-3S 2025には、MEMSのために専用設計されたポータブル・エナジャイザーがセットになっている。MEMSドライバーの性能を最大限に引き出す設計を採用しつつ、持ち運びしやすいサイズに仕上げたという。
なお、他のMEMSイヤフォンでは、MEMSと従来型ドライバーの双方を正常に動作させるために特殊な多芯コネクタが必要とされることが一般的だが、MEMS-3S 2025ではSoranik独自の技術により、従来の2ピン(0.78mm)および4.4mmバランス端子に対応。特別な配線や専用ケーブルが不要で、一般的なIEM用ケーブルと同様に自由なリケーブルが可能なのも特徴となっている。
セルビアのブランド、Soltanus acousticsの静電型ヘッドフォン「Euridiche L-SX」も登場。Soltanus acousticsは、静電型にこだわり、本国では静電型スピーカーも展開しているブランド。
Euridiche L-SXは、静電型ヘッドフォンの最上位クラスに位置づけられており、大口径104mmの振動板と、独自の構造により、スピーカーのような立体的な音場と低歪を両立しているという。
感度も従来比2倍に高め、幅広い静電型アンプで鳴らしやすいのが特徴という。
HeartFieldの新モデル「CU8」は、新たな「Referenceシリーズ」として展開するイヤフォン。価格は未定だが6~7万円ほどのイメージだという。
HeartFieldは、これまで“滑らかで心地よい音”を追求するチューニングをしてきたが、3年前に、ある録音エンジニアが「低域が強調されすぎていて、スネアドラムのヘッドが震える細かいニュアンスが埋もれてしまっている。自分が求めているのは、すべてのディテールを正確に描き出す“ツール”であって、雰囲気を演出するためのイヤフォンではない」という意見があったという。
これをキッカケに、音づくりのアプローチを見直し、これまでのサウンドを基盤としつつ、“心地よい音”でも“測定値だけの製品”でもなく、“リスニングとモニタリングのあいだ”にある、ニュートラルで制御された音響再現を追求したモデルとして開発した新機軸のイヤフォンが「CU8」なのだという。
サウンドアース
サウンドアースのブースでは、新ブランドMelody Wingsの第1弾イヤフォン「Venus」を聴くことができる。7月4日に発売されたばかりで、価格はオープン、市場想定価格は27,980円前後。アンバサダーとして、アニメソング歌手のELISAが起用されている。
10年以上の音響構造設計経験を持ち、音響と材料特性に精通、深い専門知識と長年の実践的な蓄積を備えたシニア構造エンジニアがイヤフォンを手掛けているブランド。
筐体は3Dモデリングソフトを使って開発され、フィット感や快適な装着性を追求。素材は樹脂で、高精度3Dプリンターで造形されている。造形の際には、シャープネスとサイズを正確にコントロールすることで0.136mmという業界最高水準の細部印刷を実現。素材にはHeyGears PAU20樹脂を厳選し、シェルの曲げ強度や耐性性、耐変形性を高めている。
バーチ材の木製フェイスプレートを採用。内部にダイナミックドライバー×1、バランスド・アーマチュア(BA)×3を搭載。10mmのダイナミック型の振動板には、ベリリウムメッキダイアフラムを採用。BAはカスタムしたものを使っており、1基が中域を、2基が高域を担当。3ウェイクロスオーバーも備えている。
正確なチューニングにより、4つのユニットは一貫した音色と3つの周波数のスムーズなつながりを実現。Venusの中低域の表現力を際立たせている。ノズルは高品質のステンレス鋼。
さらに、QoAの新フラッグシップIEM「Martini(マティーニ)」も試聴可能。6mmのリキッド振動板ダイナミックドライバーと、Knowles BA×2、カスタムBA×2、さらに10mm骨伝導ドライバーも搭載している。
また、「Vesper」の後継機として開発しているというプロトタイプのイヤフォンも出展。製品化時に外観は変更となるが、内部は1DD + 1BA + 1BCというユニット構成になっている。
DUNUからは、6月26日に発売したばかりの、ダイナミック型×2、BA×6を搭載。8ドライバー・ハイブリッド・アーキテクチャを採用した新モデル「Vulkan 2(2Pin)」が登場。
さらに、「DN 242」という新たなイヤフォンも紹介。こちらは2DD + 4BA + 2Planarという構成で、「DaVinciの上位モデルのイメージ」だという。
Brise Audio
Brise Audioのブースでは、新フラッグシップポータブルアンプ「WATATSUMI」や、FUGAKUシステムの試聴が可能。
さらに、このWATATSUMIの音質を最大限発揮することを目的に、“究極のラインケーブル”を目指して設計を刷新したポータブルオーディオ用ラインケーブル「OROCHI-MINI Ultimate」も登場。7月4日発売で、4.4mm to 4.4mm、4.4mm&3.5mm to 4.4mm、3.5mm to 3.5mmの全3種類。価格はオープン。直販価格は4.4mm to 4.4mm、3.5mm to 3.5mmが20万円、4.4mm&3.5mm to 4.4mmが25万円。ケーブル長は15cm(プラグ含まず)
新線材や、新たなサイズのプラグを開発したソニー・ウォークマン用の4.4mm+3.5mm接続ケーブルを用意。3.5mm接続のアンバランスケーブルも、シールドの結線方法を抜本的に見直すことで、従来の製品に比べて大幅なノイズ耐性や音質の向上を実現している。
また、Brise Audio初めての量産イヤフォンケーブル「MIKAGE」も展示。量産ではあるが、Brise Audioで使用している高機能高純度銅を贅沢に使用したもので、高音質加工も簡易版ではあるが、量産型としてはかなり手間とコストをかけているという。
完実電気
完実電気のブースでは、Dan Clark Audioの開放型ヘッドフォン「Noire-XO」が登場。8月上旬頃の発売予定で、価格は未定。
プラナードライバーとAMTSを新規開発。開放型で重要なグリルの形状は、上位機のExpanseから継承し、Noire-XO用にカスタマイズしている。中低域の再生が進化し、「開放型では不可能と言われる、ハーマンカーブの中低域の再生をほぼ100%実現した」という。
Audezeからは、LCDシリーズのエントリーとして「LCD-S20」が登場。8月上旬頃の発売予定で、価格は未定だが、9万円前後のイメージだという。このモデル用に、新たに開発したプラナードライバーを搭載。最新設備を揃えたロサンゼルス郊外の本社工場で生産されている。
ホームレコーディングだけでなく、レコーディングスタジオでの使用も想定。LCD-X2021/XC2021の半額以下ながら、高い性能を実現。低域の表現力を高めるSLAMテクノロジーを、初めてプラナータイプに搭載。「プラナータイプとは思えないような抜群の低域表現力を達成した」という。
また、写真撮影はできなかったが、Meze Audioから「105Silva」というモデルが登場。8月上旬発売予定で、価格は未定。105シリーズの上級モデルと位置づけられ、50mmのダイナミック型ドライバーを搭載。デザインはミッドセンチュリーモダンをコンセプトにしている。ハウジングはウッドタイプに、PC-ABS樹脂製グリルを組み合わせている。
ピクセル
ピクセルのブースで注目を集めているのは、AcoustuneのMONITORシリーズ新作の「RS FIVE」。ベリリウムを振動板に蒸着させた新たなミリンクスドライバーを採用しているほか、筐体を高精度なプリントが可能な3Dプリンターで作っており、クリアかつ滑らかな形状も特徴。価格は4万円を切るイメージだという。
さらにAcoustuneからは、HSX1001 Jin -迅-向けとして、完成間近の洋白チャンバー「C:03」も展示されている。
オリオラス
オリオラスのブースでは、シンガポール発のIEMブランドForté Ears(フォルテ・イヤーズ)の「MEFISTO」を展示している。8月5日に発売するイヤフォンだが、フジヤエービック中野店では7月5日から先行販売を開始している。価格は456,500円。
HIFIMANで国際セールスディレクターを担当した人物で、エンジニアでありながら、音楽学者であり古琴奏者でもあるRiccardo Yeh氏が創設。MEFISTO(メフィスト)は、C.グノーの「ファウスト」と、A.ボーイトの「メフィストーフェレ」のストレートな歌声でありながら誘惑と陶酔が宿る世界観からインスピレーションを受けて作られた。
独自のナノダイアフラム平面磁界型ツイーター「ARIA」、次世代デュアルLCPダイナミックドライバーシステム、そして4基のバランスド・アーマチュアを組み合わせたトライブリッド7ドライバー構成となっている。
XDuooブランドが開発している、小型のストリーマー「DP-10」も参考出品されている。
立ち上げられる大型のディスプレイを備え、AndroidベースのOSを搭載。音楽配信サービスなどの音声を再生できるほか、SSDも内蔵し、ストレージに保存した音楽ファイルも再生可能。
有線LANポートや無線LANも搭載し、microSDカードスロットも備える。バッテリーは搭載していないため、デスクトップオーディオや、ヘッドフォンアンプと接続しての使用を想定している。