ミニレビュー

ウォークマンAをカバンに入れたまま操作。スリム&快適なBluetoothリモコン

 '16年10月に発売されたハイレゾ対応ウォークマン「NW-A30」は、タッチパネル採用やヘッドフォン出力の強化など、従来モデルのA10/A20に比べて大きく進化した。ただ、機能が充実した分、本体は分厚く、横幅が広くなったのも事実。ポケットに入れると、今までよりもかさばるようになってしまった。そこで使ってみたのが、ウォークマンをカバンなどに入れたままでも操作できるBluetoothリモコン「RMT-NWS20」だ。

ウォークマン「NW-A30」(左)と「RMT-NWS20」(右)

 このリモコンで使える機能はシンプルで、Bluetoothでワイヤレス接続した対応ウォークマンの再生/一時停止、曲送り/戻し、ボリューム増減という基本的な操作のみ。

 操作できる機種は、ハイエンドウォークマンの「NW-WM1Z」と「NW-WM1A」と、エントリーの「A30」シリーズ。WM1Z/Aの場合は、重量が約267g(WM1A)、約455g(WM1Z)で、幅や厚みもあるため、服装によってはポケットに入れて持ち運ぶのがかなり難しい。そこで、この「RMT-NWS20」(以下NWS20)を使うと、ウォークマンをカバンに入れたままでも操作ができるのがメリット。直販価格は4,880円。

RMT-NWS20

 このリモコンは、WM1Z/Aと組み合わせるアクセサリとして、同製品のリリース(Signatureシリーズ)の中で発表されたため、最初はWM1シリーズ専用のオプションだと思っていた。しかし、NWS20の製品情報サイトで対応機種を確認すると、A30シリーズも含まれている。

大型筐体のウォークマンWM1シリーズの場合、コンパクトなリモコンが特に役立ちそうだ

 ウォークマンA30は、WM1に比べると小型ながらもタッチパネルと物理ボタンの両方を備えており、ポケットに入れたままの操作も苦ではない。ただ、本体が従来のA10などに比べて厚みがあるだけに、ポケットに入れると膨らむのが、あまり格好良くなく「リュックやトートバッグなどにいれたまま操作できれば……」と思っていた。もし、リモコン操作がiPhoneアプリなどでできれは理想的だと思っていたが、今のところそういったアプリは無さそうだ。

 ヘッドフォンがBluetoothのAVRCP対応モデルなら、ウォークマンがカバンの中にあってもヘッドフォン側のボタンで操作できる。しかし、手持ちの有線ヘッドフォン/イヤフォンにリモコンが無くても、リモコンのNWS20を追加することで同様の使い方が可能になるわけだ。今回は、NW-A30HN(ノイズキャンセルイヤフォン付きモデル)と組み合わせて使ってみた。

RMT-NWS20のパッケージ

ポケットや服に留めて快適に操作

 必要な準備は、持ち運び時のアタッチメント選びと、ウォークマンとのペアリングのみ。アタッチメントは3種類で、「ケーブルアタッチメント」は、細いケーブル用と、太いケーブル用の2種類。イヤフォンのケーブル部にNWS20を固定できる。ウォークマンの付属イヤフォンの場合、細いケーブル用が適しているようだ。「クリップアタッチメント」は、リモコンを胸ポケットなどに留められるクリップを背面に装備。いずれも、簡単に付け替えて利用できる。

アタッチメントは3種類。左がクリップアタッチメント、中央の2つがケーブルアタッチメントで、左側は細いケーブル用、右は太いケーブル用

 リモコンの一番大きな四角いボタンは、上下でボリューム増減、左右で曲送り/戻しとなっており、その下には細長い再生/一時停止ボタン。さらに下には誤操作を防ぐためのホールドスイッチがある。

薄型の本体にシンプルなボタン構成。ボリュームと曲送り/戻しのボタンは一体型

 ペアリングはウォークマンの設定画面で、[Bluetooth]項目の[リモコン設定]を選び、ONにしてから[リモコン登録]をタップすると、周囲にあるリモコンを検索開始。NWS20側のボタンをどれか押すとペアリングが完了した。リモコンをONにしてから15秒もたたない間にペアリングできた。

ウォークマンの設定でリモコン登録を開始、リモコン側にあるボタンのどれかを押すとペアリング

 ウォークマンをカバンに入れて、そこからケーブルを出す形でイヤフォンを耳に装着。リモコンのアタッチメントはクリップ型を使い、コートの内ポケットや第2ボタンの場所あたりに留めた。服へ留める時にイヤフォンケーブルのクリップとしても兼用すると、歩いている時もケーブルが揺れて邪魔にならない。サイズは万年筆よりも少し幅広い程度なので、ジャケットやシャツの胸ポケットなどに入れてもあまり目立たない。

コートにクリップで装着。ボタンが手前になるように挟むと、リモコンが外に出っ張らず、親指で押しやすい

 ボタンはどれも小さめで、使い始めは、ボリュームを上げようと思ったら曲送りだった、というような押し間違いはあったものの、シンプルな操作系なので、1時間も使わないうちにほとんど誤操作することはなくなった。手袋をしたままでもボタンは押せた。

 ケーブルに装着するアタッチメントも試した。取り外しは簡単で、一度着けると不意にずれたり外れたりすることはなかったが、リモコン自体の重さで、耳に着けたイヤフォンが下に引っ張られる。イヤフォンが耳から外れるほどの重みではないものの、一般的なリモコン付きイヤフォンほどの軽さではないため、個人的にはクリップ型のアタッチメントで服に留める方が使いやすかった。

ウォークマン付属イヤフォンのケーブルに、アタッチメントを介してNWS20を装着

 リモコンで操作するのは思った通り快適で、例えばズボンなどのポケットにウォークマンを入れていると、座っている時にはとっさに操作しずらいが、リモコンを胸のあたりに留めておけば、すぐ曲を送ったり、ボリュームを下げたりできる。リモコンを上着のポケットに入れてもスペースをほとんど取らず、ポケットの中に入れた手でも操作しやすい。

 曲送り/戻しのボタンを長押しすると早送り/戻しは利用可能だが、リモコンにディスプレイはないため、再生中の曲名などは確認できないほか、シャッフル/リピートなどの細かな設定変更には非対応。あくまで再生の基本操作に特化している。そのあたりの割り切りができれば、何も問題なく使えるだろう。電源はボタン電池で、購入してから約2週間ほぼ毎日使っているが、まだ電池は切れずに使えている。

電源はボタン電池

家の中でも活躍。操作ボタンのないBluetoothスピーカーにも

 リモコンが便利だと感じたのは、外出先だけではない。この製品を買ったもう一つの目的は、自宅でウォークマン用クレードルの「BCR-NWH10」とウォークマンを組み合わせたときの利用。クレードルにのせた状態でもウォークマン本体ボタンで操作はできるが、画面タッチやハードウェアキーを押した時に下部のWM Port部がグラついて安定しないため、端子が外れないように下部を押さえながら操作するのが少し煩わしかったからだ。リモコンを使うと、ウォークマン本体に触れずに曲送りなどができて便利だった。

クレードルに装着した状態でリモコンから操作

 ウォークマンとイヤフォンの組み合わせだけでなく、Bluetooth接続したスピーカーで聴く時にも使ってみた。手持ちのポータブルスピーカー「SRS-X33」は、コンパクトながらサイズ以上の音が出て、寝室などで使うのにも便利だが、BluetoothのAVRCPには非対応で、操作ボタンもなく、ボリューム以外の操作はウォークマン側で行なう必要がある。

 ウォークマンはクレードルなどに置いて充電したままでも、Bluetoothスピーカーなら好きな場所で聴ける。NWS20を加えることで、再生/一時停止や曲送りなどの操作も可能になる。Bluetooth通信できる範囲なら、ウォークマンのある場所と別の部屋でも再生や操作ができた。

AVRCP非対応のBluetoothスピーカーとの組み合わせにも便利

 Bluetooth接続なので、ウォークマン以外のプレーヤーでも実は使えるのではと思い、試しにiPhone 6sともペアリングしてみた。一度ウォークマンとのペアリングを解除する必要はあったものの、iPhoneとも接続できて、アップル純正のミュージックアプリや、オンキヨーのHF Player、コルグiAudioGateなどの音楽プレーヤーのほか、radiko.jpやYouTubeなどでも、再生/一時停止やコンテンツの送り/戻し、ボリュームの操作が行なえた。また、手持ちのPC(Windows 8.1)でもペアリングでき、iTunesやWindows Media Playerの再生/一時停止などができた。ただし、これらはNWS20の対象機種ではないため、動作を保証するものではない。

 なお、ウォークマンAの旧製品で、対象ではないA10シリーズでも、ペアリングを試してみたが、接続できなかった。

ウォークマンとiPhoneの同時ペアリングはできないが、ウォークマン側のペアリングを解除して、接続できた
iPhoneの音楽再生アプリなどを操作
Windows 8.1 PCとBluetooth接続
ウォークマン旧モデルのA10ではペアリングできなかった

コンパクトなウォークマンAでも、リモコンの便利さを実感

 NWS20はウォークマン用ではあるものの、例えば曲名が出せたり、ノイズキャンセリングのON/OFFなど専用の設定機能はないため、約5,000円という価格は、低価格な汎用Bluetoothリモコンと比べれば高いと感じる人もいるかもしれない。ただ、重量級プレーヤーの「NW-WM1Z」や「NW-WM1A」、ポータブルアンプなどを使っている人には、小型リモコンによる恩恵は大きいはずだ。

 A30のような小型プレーヤーでも、カバンの中に入れたまま操作できるメリットはあり、家の中でも手持ちの機器と連携できたこともあって、便利さを実感できた。単純に“ポケットの中に余裕を持たせたい”という当初の目的はクリアできたので、これからも使い続けられそうだ。手持ちのイヤフォンを買い換える必要なく、リモコン操作も可能になるため、ウォークマン付属のノイズキャンセルイヤフォンを愛用している人にも勧めたい。

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RMT-NWS20

中林暁