ミニレビュー

Nintendo Switchの「niconico」アプリを試す。動画とSwitchの相性の良さ

 ドワンゴは、任天堂のゲーム機「Nintendo Switch」向けに、映像配信サービス「niconico」アプリの配信を7月13日に開始した。アプリは無料で、Nintendo Switch向けのコンテンツ配信サービス「ニンテンドーeショップ」からダウンロードできる。

Nintendo Switchがniconico対応

 最近の家庭用ゲーム機では、映像配信サービス対応は標準的な機能になっている。同じ任天堂のゲーム機であるWii Uを含め、PlayStation 4(PS4)やXbox Oneなどさまざまなゲームで、映画やネット動画を見ている人も多いだろう。Nintendo Switchにおいても、映像配信サービス対応が待たれる中で、niconicoが一番乗りとなった。

タッチとJoy-Con両方操作に対応。シンプルでわかりやすい画面構成

 利用時はniconicoのアカウントに加えてニンテンドーアカウントが必要。といってもニンテンドーアカウントはNintendo Switchのオンライン機能を利用するためにそもそも必要なため、niconicoのアカウントさえあれば利用は可能だ。ニンテンドーアカウントのログイン情報からプロフィールやID、生年月日、メールアドレスをniconicoアプリに提供することでniconicoが利用可能になる。

利用にはニンテンドーアカウントが必要
niconicoとニンテンドーアカウントを連携させる

 画面はNintendo Switch用のインターフェイスになっており、オススメや特集、ランキングといったジャンルが縦、ジャンルに属する動画がリストとなって横に並ぶ。検索も用意されており、任意のキーワードで動画を探すことも可能だ。

niconicoの動画一覧画面
左のアイコンはジャンル表示

 画面内の移動はタッチ操作のほか、Joy-ConのLスティック、方向ボタンでも可能。また、リスト画面ではXボタンを押すと画面左のカテゴリを表示、+ボタンでマイリスト登録というショートカットが用意されているほか、LRボタンでリスト内の動画を4つ単位で移動できる。

 画面はシンプルでわかりやすいがジャンル表示がアイコンのみのため、今表示している動画のジャンルを確認するには慣れが必要だ。また、操作についてはタッチ操作のほうが画面の移動量も大きく、動画を選択した際に再生するかマイリストにするかを選択できるため、操作性の面ではタッチ操作がオススメだ。

 投稿動画のほかにテレビ放映中の作品を含むアニメも用意されている。ただし、Nintendo Switchのみで視聴できるのは無料配信のみで、有料作品についてはチャンネルページへアクセスして購入する必要がある。

アニメ作品も視聴可能
有料作品は別途購入の必要
チャンネルページで作品を購入

 余談だが、Nintendo Switchは標準でブラウザアプリを提供していないものの、チャンネルページへのアクセスは内蔵のブラウザ機能でWebページを表示している。そのためniconicoの動画と関係ないページも表示できた。一部表示できないページもあり、URL指定もできないので、ブラウザとしての機能は十分ではないのだが、ズームや移動のスムーズさは非常に使いやすい。ぜひブラウザ機能も標準で提供して欲しいところだ。

ブラウザ機能でniconicoのトップページを表示
テキストコンテンツであるブロマガを表示

コメントを強化した「ながら見」「はみ出し表示」

 動画再生は3種類のモードが用意されており、再生や一時停止などのメニューが表示されたプレーヤー画面、動画のみを全画面表示するフルスクリーンに加えて、動画一覧画面の右下で動画を再生する「ながら見」が用意されており、Yボタンで動画の表示モードを切り替えられる。

プレーヤー画面
フルスクリーン
動画一覧を表示しながら右下で動画を再生できる「ながら見」

 動画再生中は再生・一時停止のほか、10秒スキップ送り・戻し、チャプタースキップがといったトリックプレイが利用可能。フルスクリーン表示では画面をタッチするとメニューが表示され、これらの操作を選択できる。

 また、niconicoの特徴でもあるコメント機能も表示、非表示に加えて「はみ出し表示」を搭載。はみ出し表示では動画の表示エリア以外にも全画面にコメントが表示されるため、ながら見モードで動画を再生しながら他の動画を探している時も、常にコメントを画面に流すことができる。

はみ出し表示は動画の外にもコメントを画面いっぱいに表示

 コメントは表示だけでなく入力も可能だが、コメント入力中は動画が一時停止され、動画を見ながらコメント入力はできない。コメントするたびに動画を止める必要があるため、やや気がそがれる感はあるものの、パソコンやスマートフォンに比べると文字入力に時間がかかるNintendo Switchでは仕方のないところだ。コメントはあくまで補助的な機能で、基本的には視聴に集中するのがNintendo Switchでのniconicoの使い方なのだろう。

 操作性は快適で、動画の再生や視聴はもたつきを感じずスムーズに操作できる。また、Nintendo Switchの特徴であるプレイモードも動画視聴とはとても相性がいい。ドックに接続すれば大画面で動画を楽しむことができ、途中でドックから取り出せば続きを好きなところで視聴できる。テレビがない場所ではJoy-Conを取り外してテーブルモードとし、Joy-Conをリモコン代わりにすればみんなで動画を楽しむこともできる。

テーブルモード
TVモード
携帯モード

 niconicoの特徴であるコメントについては、ながら見やはみ出し表示といった機能により、コメントをより楽しむことができる。ながら見とはみ出し表示を両方オンにして動画を再生すると、コメントを見ながら他の動画を探すことができる。動画の上にコメントを重ねるという独自の文化を築いてきたniconicoならではの機能だ。

 一方でniconicoアプリそのものの操作性は、基本的なことは一通りできるものの細かなところで使いにくさも感じる。例えば動画を再生中はAボタンに機能が割り当てられておらず、一時停止はプレーヤー画面のアイコンから選択しなければ止められない。また、ながら見の場合は動画をタッチするとフルスクリーンに切り替えられるが、フルスクリーンからプレーヤーやながら見に切り替えるのはメニューのボタンを選択する必要があるなど、タッチ操作があまり活かされてないようにも感じた。

動画視聴にも魅力的なSwitch。他の動画サービス対応に期待

 Nintendo Switchとして初の動画配信サービス対応となったniconico。動画再生自体はオーソドックスな仕様ではあるものの、niconicoの特徴でもあるコメントについて、ながら見やはみ出し表示など非常にユニークな対応がなされている。niconicoのコメント文化が好きなユーザーなら楽しめるだろう。一部有料コンテンツは別途購入が必要ではあるものの、テレビアニメを視聴できるのも嬉しい。

 実際に使ってみるとNintendo Switchと映像配信サービスとの相性の良さを強く感じた。テレビに接続した大画面再生はもちろん、タブレットクラスの画面サイズである6.2インチディスプレイはモバイル時でも動画をしっかり楽しむことができる。また、テレビで複数人で見るときも、Joy-Conをリモコン代わりに使うことで、画面に近寄ることなく操作できるというのもうれしい。

Joy-Conをリモコン代わりにテレビでniconico

 Nintendo Switchは3月に発売されたばかりの新ハードで、人気タイトルもあるとはいえタイトルの絶対数は多いとは言えない状況だ。niconicoだけでなく、YouTubeやAbemaTV、Huluなど、映像配信サービス対応が進むとさらに魅力を増しそうだ。

甲斐祐樹

Impress Watch記者から現在はフリーライターに。Watch時代にネットワーク関連を担当していたこともあり、DTCP-IP周りのネット連携や動画配信サービスなどが興味分野。ライター以外にもネット家電ベンチャー「Cerevo」スタッフとして活動中。個人ブログは「カイ士伝」)