ミニレビュー

進化するスマホ風BDプレーヤー? ハイレゾDLNA再生もできるソニー「BDP-S6500」

 ソニーが6月20日に発売したBlu-ray Discプレーヤー「BDP-S6500」は、BDやDVD、SACD/CDのディスク再生に加え、DLNAや動画配信サービスなどのネットワーク機能も豊富に搭載したモデル。今年秋に国内でサービス開始されるNetflixにも対応予定だ。

BDP-S6500

 現在、筆者の仕事部屋では4K対応テレビのREGZA 40J9XをメインPCのディスプレイとして使う一方、デジタル音楽データの保存先をMP3もハイレゾも全てSynologyのNAS「D215j」に移行するなど、PC/AV周りの大きな変更を始めている。そんな中で悩んでいたのが、各種コンテンツを再生するプレーヤーをどうするかということだった。

 もちろんPCを使えばいいのだが、仕事で使っているため余計な負荷をかけたくない。また、再起動やバージョンアップ、アプリのインストールが多く、落ち着いて音楽や動画を再生することに向いていない。

 そこで目を付けたのが、今回レビューするソニーの「BDP-S6500」。BDだけでなく、SACDの再生に対応していること、そしてDSD形式も含めたハイレゾ音楽が再生でき、DLNAプレーヤーとしても活用できそうなところに惹かれた。そこで「BDP-S6500」を借りて実際に仕事部屋で使ってみることにした。

BDP-S6500

 最初に目を惹くのはコンパクトな本体。外形寸法は255×39×192mm(幅×奥行き×高さ)で、昨年7月に発売された従来モデル「BDP-S6200」の幅360mmに比べて10cm以上も小さくなっている。コンパクト化したことでAVラックの1段を大きく占有することなく、薄型テレビのスタンド横など、場所を選ばずに設置できそうだ。なお、従来モデルは天面が尖った多面体デザインが特徴的だったが、新モデルではフラットなボディに変更されている。価格はオープンプライスで、実売は2万円前後だ。

正面から見たところ左側がBlu-ray Discのトレイとなっており、右側にUSB端子、電源ボタンなどが並ぶ
背面には有線LAN端子、HDMI端子、同軸デジタル音声出力端子を配置。

UIはアプリスタイルに大幅変更。動画サービスは一部非対応に

 変化したのがボディサイズだけではないのは、実際に起動してみるとすぐにわかる。これまでのソニー製BDプレーヤーやPlayStation 3などは、縦/横軸で機能を選択するGUIのクロスメディアバー(XMB)を基本としている。しかし、S6500ではこれを一新、HTML5をベースにしたアプリベースのインターフェイスとなった。要は、スマートフォン画面に近い操作になったということだ。

 HTML5ベースとなった新ホーム画面は左側に「おすすめアプリ」を表示、右側にユーザーが登録できる「マイアプリ」を配置。その下に固定でディスク、USB、Miracastのボタンが並ぶ。画面に表示されるアプリの一覧から使いたい機能を選択するだけで利用でき、これまでよりもわかりやすくなったと感じる。

BDP-S6500のホーム画面。アプリボタンが並ぶ
画面上からすべてのアプリを表示したところ
設定画面は、従来と同様のXMB風だ

 マイアプリエリアにある「+」ボタンを押すと好みのボタンを「マイアプリ」内に表示することが可能。DLNAサーバー機能や、PlayStation Video、そしてWebブラウザなどの機能をここから追加することができた。

 操作は分かりやすいが、大きな問題がひとつあった。従来モデルのS6500では利用可能だったHuluやDMM、U-NEXTなどの動画視聴サービスが利用できなくなっているのだ。これはHTML5ベースに変更したことによるもので、今後、対応アプリが提供されれば機能を追加することは可能とのこと。早くこれらのサービスが対応することに期待したい。

 標準搭載されている動画サービスは、YouTubeや、秋に開始予定の「Netflix」以外に、有料配信の「PlayStation Video」とボードスポーツの動画などが無料で見られる「Billabong」、ベルリンフィルの有料配信サービス「BERLINER PHILHARMNIKER」があった。

 ちなみに、付属リモコンの大きな変化として「Netflixボタン」が搭載されているが、サービスが始まっていない現段階では、このボタンを押してもPCでNetflixのサイトへアクセスした時と同様に「まもなく日本でサービスを開始いたします!」というページが表示された。

PlayStation Videoにアクセス。多くの動画コンテンツを用意
オーストラリアのサーフブランドが展開するチャンネル
ベルリンフィル

 まずはBlu-ray Discの映画と、SACDの再生を試してみる。リモコンと本体の両方にディスクオープンのボタンがあり、本体にディスクを挿入する。Blu-ray Discを入れると画面が自動的に切り替わり、素早くオープニング画面が表示される。リモコンによる操作も非常に反応がよく、スムーズに操作できた。

 Blu-ray Discの視聴は、REGZAの4K対応モデル「40J9X」に接続して行なった。S6500ではBDなどの動画をアップスケーリングして4K/24pで出力する機能を搭載している。設定画面で4Kアップスケーリング機能のオンオフができるほか、ソニー製テレビに接続した場合は4Kアップスケーリングしないという設定も可能。例えばテレビ側でアップスケーリングしたいときなどに使える機能のようだ。

 実際にBDプレーヤー側の4Kアップスケーリングのオンオフを試してみたが、40型というサイズのせいか、残念ながらその違いは体感できなかった。このあたりはコンテンツと接続する4Kテレビの種類/サイズにより違いが出そうだ。

 S6500にはネット動画などのアップコンバート機能も搭載。解像度の低い動画の品質も滑らかに表現することができるという。新モデルは新たにネット動画(24pのみ)も4Kにアップコンバートできるようになったのがポイントだ。YouTubeを視聴したところ、大画面で観てもキレイな映像だと感じられた。

アプリからYouTubeを視聴
SACDを入れたときの画面。曲名などが表示されないようだ

 続いてSACD再生も試した。Blu-ray Discとは異なり、ディスクを入れても自動再生はされないようだ。ホーム画面にる「ディスク」アプリを選ぶことでディスク画面が表示され、再生がスタートする。このディスク画面では、クロスメディアバーのようなインターフェイスが使われているようでちょっと驚いた。

 SACDではヤマハ製AVアンプ「RX-V577」とJBLのフロア型スピーカー「Studio 280」を組み合わせて再生。ノラ・ジョーンズの「Come away with me」を聴いたところ、ボーカルが非常に伸びやかでクリア。生に近い臨場感のあるサウンドが楽しめた。しかし、せっかくテレビ画面に表示されているのに、SACDの再生時に曲名表示などができなかった点は残念だった。

DLNAでNASの音楽再生も。ただしDSDはUSBメモリに

 S6500を試用している間、非常に便利に使えていたのが、DLNAプレーヤー機能だ。ホーム画面から「DLNAプレーヤー」アプリを選ぶことで、ネットワーク内のDNLAサーバーが一覧できる。あとは音楽コンテンツなどを保存したNASなどを指定するだけだ。

 DLNAプレーヤーではSCEのネットワークレコーダ「nasne」の視聴にも対応。録画済み番組はもちろん、ライブ番組の視聴もできた。なお、録画リストの表示スタイルはやはりXMB風になるようだ。操作時の反応は非常に良かった。

nasneに接続したところ
録画済みテレビの再生時にオプションボタンを押したところ

 これまで使っていたプレーヤーの場合、ネットワークでの動画視聴は早送りなどのトリックプレイ時に待たされることも多かったが、S6500では、無線LAN機能として、複数のアンテナを束ねることでより安定した無線通信を実現するMIMO技術を搭載している。この効果は非常に大きく、今回試用している間にネットワーク接続を不安定に感じたり、ネットワーク経由で再生している動画や音楽が途切れるといったことはほとんどなかった。

NASに保存したハイレゾ音源を再生。メニュー動作は非常にスムーズ
SACDの場合とは異なり、曲名などの情報が細かく表示された

 S6500はネットワーク経由でのハイレゾ再生にも対応しており、NASに保存しているFLAC形式のハイレゾ音源も全く問題なく再生できた。これなら、仕事部屋のNASに保存したさまざまなコンテンツをS6500を利用して、リビングで再生するといった、ネットワークプレーヤーとして活用することもできる。

 ただし、アルバム/アーティストなどNASに保存されているフォルダをそのまま読み込まれていたため、アルバム単位や、全曲再生はできたが、ジャンル別などのソートやランダム再生、プレイリスト再生はできなかった。このあたりは従来モデルと変わらないようだ。

DSD 5.6MHz音源はUSBメモリ経由で再生できた

 DSD再生は、従来モデルは2.8MHzまでだったが、S6500は5.6MHzもサポートした。実際にDSD 5.6MHzの音楽ファイルを用意してテストしてみたところ、残念ながらネットワーク経由でのリストに表示されない。ニュースリリースによれば「DLNA経由で再生できるハイレゾ音源のファイル形式はFLAC、WAVのみ」とのこと。DSDもUSBメモリにファイルを入れることで再生できたが、ネットワーク経由でも再生できると、さらに便利だろう。

 操作は付属リモコンのほか、スマートフォン用アプリの「TV SideView」でも可能。TV SideViewからは、基本操作だけでなく、YouTubeやPlayStation Videoといった各アプリの起動なども素早く行なえた。

コンパクトなリモコン。Netflix以外にもうひとつのアプリを「お気に入り」に登録できる
スマートフォンアプリ「TV SideView」のリモコン機能からでも操作可能

“進化を続けるプレーヤー”の機能アップに期待

 本体サイズがコンパクトになり、新たにDSD 5.6MHzの再生にも対応したS6500は、ネットワークプレーヤーとしての機能も使いやすかった。新たにHTML5ベースとなったホーム画面には「サービス更新」の文字が表示されており、ネットワーク経由でアプリが追加できる仕組みとなっている。このため、今後機能がアップしたり、新しいアプリが追加される可能性がある。そういう意味ではまだ進化の余地があるともいえる。

 Blu-ray Discの再生とハイレゾを含むDLNAネットワークプレーヤー機能、そしてNetflixを含む動画配信サービスを、このコンパクトサイズで実現していることは現段階でも高く評価できるポイント。リビングのAVラックなど従来の設置方法だけでなく、寝室や書斎などのセカンドテレビ用のプレーヤーとしても活躍しそうだ。

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コヤマタカヒロ