レビュー

ラジオの革命! 1週間さかのぼって聞ける、radiko“タイムフリー聴取”を試す

 radiko.jpに、過去1週間に限り、いつでも“後から番組を聴取できる”「タイムフリー聴取機能」が11日に追加された。PCのブラウザと、iOS/Android版アプリの最新バージョン6.0.0で利用できるようになっている。

【11日20時追記】iOS版アプリも6.0.0にアップデートされ、タイムフリー聴取が可能になったので、追記しました

 通常のラジオはユーザーが録音していないと、放送が終わった番組は聴取できないが、「タイムフリー聴取」は過去1週間に放送された番組に限り、オンデマンド的に、ユーザーが過去の番組を選ぶとそれが聴取できるというもの。

 テレビ放送を全録レコーダで1週間録画し、再生するようなタイムシフト再生環境を、ユーザーがレコーダを用意しなくてもradiko.jpが提供してくれるようなサービスと言える。実証実験と位置付けられ、無料で利用できる。

過去番組をオンデマンドで聞く

 Androidアプリ版では、アップデートして起動させると「タイムフリー聴取機能」やシェア機能が利用できるようになったという告知画面が表示される。

 ホーム画面に移ると、選択された放送局で現在放送中の番組が表示される。上部に「タイムフリー」、「ライブ」、「エリアフリー」というボタンがあり、その内の「ライブ」が選択された状態だ。放送中番組をタップすると、番組の画面になり、その番組を聴く事ができるのは従来と同じだ。

Android版アプリ、アップデート後の初回起動。新機能の紹介が表示される
起動後の画面。ライブ放送中の番組が表示されている

 新機能の「タイムフリー」ボタンを押すと、「ライブ」と同じデザインだが、番組表が赤くなる。現在放送中の番組と、今後放送する番組が表示されているが、その画面を上にスクロールさせると、過去の番組が表示される。

 過去番組を選ぶと、ライブ放送番組と同じように再生ボタンがあり、押すと過去番組が頭から聴取できる。シークバーも表示され、再生位置は自由に変更可能だ。この機能の利用にあたり、新たな登録などは不要だ。無線LAN環境で試しているが、再生ボタンを押してバッファされ、再生がスタートするまでの時間は、通常のライブ放送で放送局を切り替えた時と大きな違いは感じない。

「タイムフリー」を押すと、番組表が赤いデザインに
過去番組を選ぶとこのようなアラートが表示される
上部中央の再生ボタンを押すと、過去番組の再生がスタートする

 上にどんどんスクロールすると、前日に遡る事もできる。また、日付部分をタップすると、1週間前の10月4日まで選択できる。サービスが開始されたのは11日だが、その1週間前からradiko.jp側でデータの蓄積はスタートしていたようだ。

 放送が終了した番組だけでなく、放送中の番組もさかのぼって再生できる。例えば11日の9時~13時まで放送している文化放送「くにまるジャパン 極」を、12時過ぎに「ライブ」画面から聴取開始。番組の冒頭が気になったので「タイムフリー」ボタンをタップすると、番組画面が赤くなり、シークバーが現れる。流れているのはライブ放送中の地点だが、そのポイントを指で冒頭に持っていけば、番組を頭から聴く事ができる。

 ただし、1番組ごとに3時間の聴取可能時間という制限がある。つまり、冒頭の9時に戻って再生を開始すると、12時のデータまでは聴くことができるというわけだ。なお、特定のタレント出演番組やスポーツ中継など権利上の問題で、一部聴取できない番組もあるという。

文化放送「くにまるジャパン 極」のライブ放送中画面。ここから「タイムフリー」を選ぶと……
タイムフリー聴取の赤いカラーになり、シークバーが現れ、冒頭に戻って再生できる

 PC版も使い方はアプリとほぼ同じ。上部のボタンでライブ、タイムフリー、エリアフリーのボタンが並び、タイムフリーを選べば画面が赤くなり、各放送局の過去番組がズラッと表示される。一覧性の高さはPCならではだ。アプリでも可能だが、番組の検索機能も利用できる。

PCのブラウザで表示したところ
タイムフリー画面。一覧性が高い

“一人で楽しむラジオ”から“シェアラジオ”へ

 タイムフリー聴取が可能になった事で、TwitterなどのSNSを用いて、「この番組を聴いてみて」と、誰かにオススメしやすくなった。これを補佐する機能として「シェア」ボタンがアプリやPC版に用意されており、過去番組ページへのリンクを手軽に投稿できるようになっている。

PCのブラウザでシェアボタンを押すと、TwitterやFacebookなどに投稿できる

 ユニークなのは、番組名とURLだけでなく、シェアボタンを押した地点から再生させられる事。「この番組の、この部分が面白かった」などというコメントと共に、ダイレクトに面白さを友人などと共有できるようになっている。

投稿されたリンクから飛んで再生する画面。シェアされたポイントから再生できる

 今回のタイムフリー聴取は、ラジオメディアの価値向上や、ラジオ番組コンテンツとの接触機会の拡大を目的として開発されたもので、リスナーの拡大、特に若年層へアピールに向けて“一人で楽しむラジオ”から“友人と共有しながら楽しむシェアラジオ”が提唱されている。タイムフリー聴取は、その“シェアラジオ”の根幹を担うサービスと言えるだろう。

 タイムシフト環境が、放送局らが参加するradiko.jpにおいて、公式のサービスとして提供される今回のアップデートは非常にインパクトが大きいものだ。テレビ放送でも、各放送局が見逃し配信などを充実させているが、1週間の放送をまるごと自由にさかのぼれるタイムフリー聴取の利便性の高さは、ラジオという放送メディアの魅力そのものを大きく高めるものになるだろう。インターネットやSNSとの連携の強化もあわせ、ラジオの“聴き方”自体を大きく変化させる可能性も秘めている。

山崎健太郎