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【レビュー】「nasne」ファーストインプレッション

−ネットワーク録画機ならではの操作感


nasne(ナスネ)「CECH-ZNR1J」

 19日に発売予定だったソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)の地上/BS/110度CSデジタル放送対応レコーダ兼メディアストレージ「nasne(ナスネ)」。しかし既報の通り、まさに販売直前に「一部出荷製品の内蔵HDDに輸送時に発生したと思われる破損が確認された」として回収、発売延期となってしまった。

 ネット通販などでは、回収が間に合わずにそのまま出荷しているところもあり、万一不具合が発生した場合は、「ナスネ特設窓口」への相談を呼びかけている。

 発売を目前に躓いてしまったnasneだが、16,980円という低価格で3波デジタルレコーダが入手できること、そしてHDMIなどの映像出力を持たないネットワークレコーダという点など、レコーダやホームネットワークにおける新提案として期待値は高い。

 AV Watch編集部でも、レビュー用に19日に2台確保した。しかし、いずれもHDDが原因と思われる起動不能状態となってしまった(うち1台はすでに分解してしまったが……)。ただし、Impress Watchのスタッフが個人的に購入した1台が動作したため、その機材でnasneのファーストインプレッションをお届けする。

 なお、19日に予定されていたDLNAメディアサーバー機能対応を含むnasne本体システムソフトウェアVer.1.50へのアップデートは中止されてしまった。この点については後日レポートしたい。また、VAIO用のnasne管理/視聴ソフト「VAIO TV with nasne」など、関連ソフトウェアの公開も延期されている。nasneの機能をフルで体験したり、機器連携など本領を発揮するのは、これらの環境が整ってから。そのためにも早期の販売再開と環境整備を期待したい。


■ シンプルなデザイン

同梱品

 付属品はACアダプタとB-CASカード、Ethernetケーブル、torneソフトウェアなど。曲面を活かしたシンプルなデザインで、外形寸法は43×189×136mm(幅×奥行き×高さ)。重量は約460gで、レコーダとしては小型だ。

 本体前面上部には電源ランプ、前面下部にはRECランプ、IPステータスランプ、HDD、アクセスランプを用意。背面には、上部のアーチ状の部分に電源ボタン、その下にIP RESETボタンを装備。その他EthernetやUSB端子、アンテナ入力、出力、DC入力を装備する。本体下部にゴム状の滑り止めを備えているため、ケーブルを軽く引っ張った程度でずれたりしないなど、細かい点での工夫が感じられる。


nasne nasne前面。LEDでステータスを案内 背面。EthernetやUSBなどを装備する
向かって右側面。Sonyとnasneロゴ 左側面にB-CASスロット。ネジ穴カバーも B-CASカード
流線型のボディ 下面にゴムを配置して、滑りにくくなっている パッケージ

 注意したいのは、アンテナ入力がBS/110度CSと地上デジタルの混合となっていること。最近の集合住宅ではBSも地デジも1系統に混合されているものが多く、その場合は問題ないが、BSと地デジが別系統になっている場合は、別途混合機などが必要になる場合もある。なお、アンテナのスルー出力も備えているため、複数台のnasne利用時にはnasneの出力から、次のnasneにといった接続も可能となる。



■ NASのような設定方法。レスポンスは良好

 シンプルなデザインだが、nasneで重要なのは、ネットワーク環境が「必須」という点だ。録画機として単体で動作するが、映像出力端子を備えていないため、映像出力にはホームネットワーク環境が必要となるのだ。また、リモコンなどが付属せず、操作もPlayStation 3(PS3)のtorneアプリなどから行なう。

 PS3のtorneアプリ以外にも、VAIO用アプリ「VAIO TV with nasne」や、Sony Tabletの「レコプラ」などから操作可能になるはずなのだが、7月19日現在どちらのアプリケーションもnasne対応版が提供開始されていない。そのため、今回はPS3のtorne(アプリ)での利用を中心にテストした。

 nasneと従来のtorne(PS3用地上デジタルチューナ)との大きな違いは、PS3無しでもレコーダとして動作するという点。もう一点の大きな違いは、地上デジタルだけでなく、BS/110度CSデジタルチューナにも対応するということだ。

XMB上にnasneアイコンが現れる

 今回はPS3、nasneを同一のLAN内に配置。設定も主にPS3から行なった。PS3とnasneの電源を入れてしばらくすると、PS3のXMB(クロスメディアバー)上にnasneのアイコンが表示される。このnasneアイコンから、nasneのシステムソフトウェアアップデートなどが可能となっている。

 このXMB上のnasneアイコンから△ボタンで[設定]を呼び出すことで、[nasne HOME]の画面が立ち上がる。ここで、nasneのメディアサーバー設定、ファイルサーバー設定、レコーダ設定、ハードディスク管理、マニュアルなどの操作が可能となる。nasne HOMEは、nasneのWeb(http)サーバーの設定メニューを呼び出しているといった趣で、このあたりもNAS(LAN HDD)ぽさが感じられる。チャンネル設定やファイルサーバーとしてのnasneの名称などはここで指定できる。


nasne HOME。Webブラウザ上で動作 メディアサーバー設定 ファイルサーバー設定
レコーダ設定で、チャンネルスキャンやリモート録画予約設定が可能 HDD管理

 PS3からのnasne利用時にはアプリケーションとしてtorneアプリを利用。nasneの利用にはtorne 4.0以上へのアップデートが必須となる。torneアプリの[SETTING]-[nasne設定]から、nasneの登録や名称変更などを行なうと、torneアプリからnasneが利用可能になる。

torneアプリでnasneを設定、登録
torneアプリの番組表。nasneでは地デジだけでなく、BS、CSも選択可能に

 設定さえ済んでしまえば、操作感やぱっと見の印象は、これまでのtorne(PS3用地上デジタルチューナ)と大きな違いは感じない。PS3用コントローラやBluetoothリモコンでの操作レスポンスも非常に良い。

 ただし、決定的にこれまでと異なっているのが、番組表の右端までスクロールが終わるとBSやCSまで選べるようになったこと。BSやCS番組の視聴、録画予約が行なえる。WOWOWなどの有料チャンネルを未契約の場合は、そのチャンネルの解説文字が通常のチャンネルより薄く表示される。

 なお、放送波の切り替えは、番組表の左右スクロールだけでなく、PS3コントローラのR2ボタンを押しながらLボタンでも変更可能。この場合、地デジ、BS、110度CSデジタルを瞬時に切り替えられる。

 チャンネルの切り替え時間は約3.5秒。ネットワークを介していることを考えるとかなり高速で、使っていてもストレスは感じない。

 3波チューナとなったが、1台のnasneで同時に録画できるのは1番組のみ。ただし、PS3からは最大4台のnasneの同時録画が可能。VAIOの場合は最大8台まで対応する。今回は1台のnasneと、torne(PS3地デジチューナ)の組み合わせでテストしたが、番組を選択すると録画先として優先的にnasneを割り当て、同時刻に2つめの録画予約を行なう場合のみtorneが自動選択されていた。自分で任意のチューナを選ぶこともできるが、基本的には“おまかせ”でよさそうだ。録画モードは「高画質(DR)」と「3倍」の2種類が選択できる。

nasneとtorneの併用でも自動でnasneに録画割り当て DRと3倍の2つの画質モード

 また、スマートフォン向けのWebアプリ「Gガイド.テレビ王国CHAN-TORU」からの録画予約にも対応。外出先からスマートフォン経由で録画できるというのは魅力的だ。

CHAN-TORU nasneを登録し、スマートフォンから録画予約が可能に
シーンサーチにも対応。瞬時に等間隔(1分間など)のサムネイルが作成され、見たいポイントまで一気に飛ばすことができる

 録画番組をtorneアプリで選択すると約3秒程度で再生開始する。ネットワーク経由でnasneからHD映像をPS3に読み込んでいると考えればかなり高速な動作といえる。

 特筆すべきは、番組再生画面でPS3コントローラの△ボタンを押して立ち上げる「シーンサーチ」。押した瞬間に等間隔(1分間など)のサムネイルが生成されており、サムネイルをスクロールして選ぶだけで、任意のポイントまで頭出しできる。nasneにはCMカット/スキップ機能などは備えていないが、このシーンサーチや120倍速再生など、torneアプリの充実したトリックプレイを活用すれば、ストレスの少ない頭出しが実現できるそうだ。



■ 他社製タブレットでも録画番組再生

PS3のXMB-ビデオ-nasneから直接録画番組を再生できる

 nasneに録画した番組をPS3から視聴する場合は、torneの「ビデオ」だけでなく、torneを起動せずに、XMBの[ビデオ]からnasneを選択して、視聴すること可能だ。PS3での録画予約にはtorneアプリが必要だが、視聴のためのtorneアプリを立ち上げる必要はない。torneアプリの起動からチャンネル選択には20〜30秒ほどかかるので、これは嬉しい仕様だ。

 XMBから番組を選択して再生する場合、再生開始までの時間は約4〜6秒と、torneアプリでの再生開始よりは若干遅い。とはいえ、「比較すれば」という程度でそれほど気にならない。ただし、シーンサーチはtorneアプリの時のように瞬時とはいかず、数秒で1枚づつサムネイが生成されるといった具合。トリックプレイを多用する番組や、長時間の番組はtorneアプリから再生したほうがいいかもしれない。

 なお、XMBからは録画中の番組にアクセス出来ない。録画中の番組の追っかけ再生は、torneアプリからのみの対応となるほか、後日公開予定の「VAIO TV with nasne」も追いかけ再生に対応予定とのことだ。

【torneアプリとXMBの録画番組再生の扱い】

- torneアプリ XMB
torneアプリ起動 20〜30秒 不要
再生開始 約3秒 約4〜6秒
追っかけ再生 -
トリックプレイ 高速 やや待たされる

 もうひとつnasneならではの機能としては、ライブチューナが挙げられる。これは、nasneで受信中の番組をそのままPS3で受信/視聴する機能で、「放送転送」とも呼ばれている。XMBの[ビデオ]-[nasne]-[ライブチューナ]から任意のチャンネルを選択すると、放送中の番組がPS3で視聴可能になる。torneアプリを起動する場合、20〜30秒ほどかかるが、ライブチューナだと5〜7秒程度でテレビを視聴できるようになる。

XMBのnasneからライブチューナを選ぶと、現在放送中の番組をPS3で視聴可能に
富士通のAndroidタブレット「ARROWS Tab Wi-Fi」でもnasneの番組を視聴可能に

 また、nasneはDTCP-IPサーバーとしても動作する。対応クライアントはSony Tabletなどのソニー製品なのだが、nasne開発者インタビューでも明言しているように、規格上はDTCP-IP対応製品であれば利用できるハズなのだ(ただし、他社製品は動作保証の対象外)。Android 3.2とDTCP-IPプレーヤー「DiXiM Player」を搭載した「ARROWS Tab Wi-Fi」を利用したところ、DTCP-IPサーバーとしてnasneを認識し、録画番組を再生できた。

 再生開始時に約8秒ほど待たされるなど、レスポンスはPS3のtorneアプリと比較すると遅くなってしまうものの、実用十分といったところ。リビングのnasneの映像を寝室のタブレットで見るといった利用も可能となるし、今回使ったARROWS Tab Wi-Fiは防水仕様なのでお風呂テレビ的にも活用できる。こうした周辺機器の特性を活かした応用例が考えられるのが、ネットワークレコーダとしてのnasneの魅力といえる。

 なお、ARROWS Tab Wi-Fiから再生できるのは録画番組のみで、ライブチューナ機能は利用できなかった。また、DTCP-IP非対応のタブレットMOTOROLA「XOOM TBi11M」とDTCP-IPプレーヤーアプリ「Twonky Beam」の組み合わせでは、音声は出力されたが、映像出力できなかった。


■ 早期の販売再開と対応製品群の充実に期待

 発売延期にあわせて、同日に予定していたDLNAメディアサーバー機能のなどnasne Ver.1.50へのアップデートが延期されたほか、VAIO TV with nasneも公開されていない。VAIO TV with nasneが公開されれば、パソコンへのDTCP-IPムーブや、パソコンのBDドライブを使ったBDダビングなども可能になる予定なので、このあたりも正式発売後に改めてレポートしたい。

 ざっと機能を紹介するだけになってしまったが、レスポンスが良い3波対応ネットワークレコーダというだけで、nasneの商品としての魅力は十分すぎるほど感じられる。これが16,980円というのは破格の価格設定だ。

 これからタブレットやVAIO向けのアプリが公開されることで、マルチデバイス対応が進み、家庭内でいつでもどこでもテレビやビデオ、パーソナルコンテンツを楽しめる環境が整備されるはずだ。また、家庭への普及率が今ひとつだったNASを、身近にしていくという意味でも面白い製品になりそうだ。発売延期は残念だが、これからの家庭内のメディア体験を大きく買える可能性があるnasneだけに、安心して購入できる日を心待ちにしたい。

Amazonで購入
nasne
(CECH-ZNR1J)

(2012年 7月 20日)

[ Reported by 臼田勤哉 ]