レビュー

ドコモの低価格10型タブレット「dtab」の実力は?

価格とサービス連携が魅力。ドコモユーザーは9,975円

dtab

 NTTドコモの「dtab」は、10.1インチサイズ、1,280×800ドットの液晶ディスプレイを搭載したファーウェイ製のAndroid 4.1タブレット。他のNTTドコモ製スマートフォンやタブレットと違いNTTドコモ限定発売の製品で、NTTドコモのオンラインストアで3月27日より販売を開始、ドコモショップでも4月18日から取り扱いを開始する。

ドコモユーザーは1万円以下で購入可能

 dtab最大の特徴はなんと言ってもその価格。単体価格は25,725円と、10インチサイズのタブレットとしてはこれでも十分にリーズナブルだが、NTTドコモの回線契約およびspモード契約、定額制の動画配信サービス「dビデオ」の6カ月契約を条件としたキャンペーンを適用することで、9,975円という1万円を下回る価格で購入できる。

 条件のうち、NTTドコモの回線契約およびspモード契約は、NTTドコモのスマートフォンを利用していればほぼ必然的に満たすことになる。dビデオはオプションサービスではあるが、すでに契約済みのユーザーも特別価格の対象。6カ月以内の解約は12,600円の解約金が必要になる。

 なお、dtabを購入するためだけにdビデオを契約する場合、満6カ月を満たすためには最低でも7カ月の契約が必要。また、NTTドコモのdtab製品ページには「購入日から翌月末日までが1か月目とし、購入日が1日の場合は当月を1か月目とします」とあるため、毎月1日以外に契約するとその次の月を含めて1カ月と見なされるため、実質8カ月の契約が必要だ。

低価格ながら充実したスペック

 低価格ながらスペックも充実。プロセッサはファーウェイの「K3V2T」で、1.2GHzのクアッドコア。メモリは1GB、内蔵ストレージは8GBと、ハイスペックモデルに比べると物足りなさはあるものの実用には十分だ。また、外部ストレージとして最大32GBまでのmicroSDHCカードにも対応する。

 カメラは背面に約300万画素、前面に約130万画素を搭載。Bluetooth 3.0+HSに対応し、Bluetoothキーボードやマウスも利用できる。充電やデータ転送はマイクロUSB経由で行ない、USBホスト機能を利用してUSBキーボードを使うことも可能だ。無線LANはIEEE 802.11a/b/g/nに対応する。

本体前面
本体背面。カメラとスピーカーを搭載
本体上にmicroSDカードスロット
横にはmicroSIMカードスロットもあるがふさがれている
右側面に電源ボタンと音量ボタン
左側面にイヤフォンジャックとマイクロUSB端子

 スピーカーは音響技術「audyssey」と「Dolby Digital Plus」を搭載しており、dビデオなどの動画コンテンツを迫力ある音響で楽しめる。HDMIは備えていないが、MHL端子を装備。別売のMHLケーブルを利用することで、dtabの画面をテレビに映し出すことも可能となっている。なお、防水や防塵には対応していない。

【訂正】
記事初出時に「HDMIは備えておらず、テレビ出力はできない」としておりましたが、誤りでした。MHL端子を装備しており、別売のMHLケーブルを利用することでHDMI出力が可能です。お詫びして訂正します。

 本体サイズは約176×257×9.9mm(縦×横×厚み)、重量は約633g。大きさとしては10インチタブレットとしてはほぼ標準サイズ。重量もARROWS Tab F-05Eの580gと比べると若干の重さを感じるが、Wi-Fi版のiPad Retinaディスプレイモデルの652gと比べると軽く、iPad 2の601gより若干重い程度。6,020mAhの大容量バッテリを搭載している。

 マイクロUSBケーブル、マイクロUSBケーブルと接続して利用するACアダプタのほかにdtabを立てるスタンドも同梱。シンプルな作りだが縦置きでも問題なく立てられるので便利だ。

スタンドとACアダプタ
本体を立てるスタンド
縦置きでも表示可能。電子書籍などを読むときに便利

 dtabと同時に購入できる専用シリコンケースは背面および前面の本体周囲を包み込むタイプで、液晶保護フィルムも付属する。背面の素材が汚れやすく、手に持っても滑りやすいため、ケースを装着した方が安定して手に持つことができる。また、ドコモのみ販売する製品ではあるものの、バッファローからdtab専用のレザーケースも発売されており、こちらはシリコンケースより価格が高いものの、ケースのみでスタンドとして利用することも可能だ。

別売のシリコンケース
シリコンケース装着時

ホーム画面はdtab専用。Google Playで自由にカスタマイズ可能

 ホーム画面はNTTドコモの「docomo Palette UI」をdtab用にカスタマイズ。右側にはdマーケットを初めとするNTTドコモ公式サービスが常に表示されており、左側がウィジェットやアプリを設定できるエリアになっている。初期設定では画面いっぱいにdマーケットのオススメ情報が表示されているが、長押しでホーム画面から削除することも可能。また、ホーム画面は2画面構成になっているので、右側の画面にアプリやウィジェットを置くこともできる。

dtab専用にカスタマイズされたdocomo Palette UI
画面は2画面構成
アプリケーション一覧
Twonky Beamも利用可能

 ドコモのサービス向け端末ではあるが、Google Playを使ってアプリを自由にインストールすることも可能。ホーム画面をアプリで入れ替えれば市販のタブレットと変わらない使い方ができる。専用端末ながらもこの自由度の高さは嬉しいポイントだ。アプリ「Twonky Beam」のインストールや、nasneからの番組再生も可能だ。

ADW.Launcherにホーム画面を入れ替えたところ

 また、dマーケットを初めとしたNTTドコモのスマートフォン向けサービスはNTTドコモのSIM回線が装着されている端末でなければ利用できない制限が課されているが、dtabは専用端末ということもあり、docomo IDでログインするだけでNTTドコモの各種サービスも利用できるのも隠れた特長だ。

 つまり、dtabの各サービス利用のためにSIM回線は不要で、必要なのはdocomo IDだけだ。現在のNTTドコモスマートフォンのように、ドコモの端末であってもSIMが装着していないと各種サービスが利用できないというのはユーザーにとっても不便であり、せっかくの有料サービスを使う機会も減ることになってしまう。こうしたオープンな仕様はぜひ今後のスマートフォンでも対応して欲しいところだ。

 ベンチマーク測定アプリ「Quadrant Professional」の測定結果は4,780、「MOBILE GPUMARK」の測定結果は35,139。同じくクアッドコアCPUであるTegra 3搭載の「ARROWS Tab F-05E」でも測定結果は3,667、20,109と比べると数値では上回っているものの、操作感は数値ほど高くはなく、ブラウザでいくつもサイトをタブで開いていくと若干もたつきがある。とはいえホーム画面などは十分キビキビとした動作で利用できるので、実用上は問題ないだろう。

MOBILE GPUMARKの測定結果
Quadrant Professionalの測定結果

コストパフォーマンスの高い定額制動画配信サービス

オンラインショッピング「dショッピング」

 対応するNTTドコモのサービスは、アプリ配信の「dマーケット」のほか、オンラインショッピング「dショッピング」、電子書籍「dブック」、動画配信サービス「dビデオ」「dアニメストア」、音楽配信サービス「dミュージック」、「dヒッツ」、ゲームアプリ配信サービス「dゲーム」のほか、アプリ紹介サイト「dアプリ&レビュー」、アプリ開発者向けサービス「dクリエイターズ」などが並ぶ。

 dstickと同様、右側のサービス一覧は余白が残されており、ここに新たなサービスが追加されることが予想される。

定額制の音楽配信サービス「dヒッツ」
dクリエイターズは開発者を募集中
dゲーム、dアプリ&レビューはサイトのリンク
月額525円で見放題のdビデオ

 さまざまなサービスが並ぶ中で魅力的なのは定額制の動画配信サービス「dビデオ」、「dアニメストア」だ。

 定額制の動画配信サービスと言えば「Hulu」が有名だが、dビデオは視聴できる端末がNTTドコモ製に限られるものの、月額525円という料金はHuluの月額980円と比べて半額程度。ラインアップは約7,000タイトル約57,000本としているが、この大半がカラオケコンテンツのため、実質視聴できる作品数は2万に満たないものの、1,000本以上の映画、1万話以上のドラマを謳うHuluと比べても十分対抗力のある数と言える。

 個人的におすすめなのはdアニメストア。dtabのキャンペーン対象ではないが、約600タイトル約9,000話というラインアップを月額420円で視聴できる。アニメの見放題サービスではバンダイチャンネルも提供しているが、こちらは月額1,050円で500作品以上と、タイトル数はほぼ同じ程度ながらも料金は半額以下。また、数こそ似た数値ながら配信されている作品は大幅に異なり、dアニメストアのみ定額で視聴できる作品も多く用意されている。

月額420円で見放題のdアニメストア

 NTTドコモ自体もdアニメストアに力を入れているのか、dビデオにはない公式Twitterをdアニメストアでは開設(@docomo_anime)。アニメの話題を積極的に投稿している。dビデオとdアニメストア、両方を契約しても月額945円となり、バンダイチャンネル、Huluそれぞれを契約するよりも安い。視聴履歴や続きを見る機能も備えているため、外出中にスマートフォンで視聴した動画の続きを家ではdtabで見る、といった使い分けもできる。dtabを活用するためにはぜひ契約しておきたいサービスだ。

 動画の画質は「普通」「きれい」「すごくきれい」の3種類用意されているが、Wi-Fi接続前提のdtabであれば常に「すごくきれい」で十分。ビットレートはdビデオ、dアニメストアともに1.5Mbps程度だが、1,280×800ドット液晶の画面であれば十分綺麗に視聴できる。スピーカーもaudysseyとDolby Digital Plus搭載のおかげで迫力ある音が楽しめるため、動画コンテンツの視聴には最適なタブレットだ。

 一方、電子書籍や音楽配信といったその他のサービスは、定額製の動画配信サービスと違って他にも競合サービスが多く存在しており、NTTドコモ以外の端末やPCでも利用できる。例えば電子書籍サービス「BookLive」であればAndroidやiPad、iPhone、Windows Phoneに加えてPCでも閲覧が可能だ。NTTドコモ製の端末であっても、dtab以外のスマートフォンやタブレットではSIMを装着していなければ利用できないなど制限も多いため使い勝手では課題も多い。

 しかし、音楽配信サービス「dミュージック」はDRMフリーかつ320kbpsエンコードのAACファイルがダウンロードできるため、端末に縛られることなく利用が可能。着うたも配信されているので、着信音に設定したいユーザーにはお勧めだ。

dミュージック
通常楽曲のほか着うたもダウンロードできる

 画面が大きいため電子書籍にも利用しやすい。容量の大きいコミックでも十分スムーズな読書が可能だった。

dブック
画面が大きいため読みやすい

カメラや文字入力はシンプルながら機能充実

 NTTドコモのサービス以外の機能も触れておこう。カメラは300万画素と画質はさほど高くなく、オートフォーカスも備えていないが、「白黒反転」「セピア」「モノクロ」といったフィルター機能、パノラマ撮影や連写撮影、タイマー機能など充実。スナップ撮影やソーシャルメディアへの投稿程度であれば十分便利に使えそうだ。

【dtab写真サンプル】

 文字入力はFSKARENを搭載し、10キーとQWERTYキーに加えて手書きや50オン、音声入力にも対応。ドラッグでキーボードサイズを変更する機能、コピーや切り取り、貼り付け機能など、こちらも充実している。

文字入力はFSKARENを搭載
設定画面
十字ボタンやコピー、切り取り、貼り付けボタンなどを表示したところ
プリインストールのファイル管理アプリ「ファイルマネージャー」

 NTTドコモ関連以外の独自サービスはプリインストールされていないが、端末内のファイルにアクセスできるファイルマネージャーアプリを標準搭載。地味ながらも端末に保存したファイルを活用するためには便利な機能だ。

コストパフォーマンスの高さとオープン性が魅力

 低価格ながらスペックも高く、Google Playを使って自由にカスタマイズできるなど非常にコストパフォーマンスの高いタブレット。NTTドコモのサービスを活用するユーザーにとっても、SIMに縛られることなくサービスを利用できるのが嬉しい。スピーカーの品質も高いため動画を楽しむのに向いた1台だ。

 価格を考えれば十分すぎるほどのスペックで、これといって弱点もないが、あえて贅沢を言えば防水に非対応な点。定額制の動画を楽しむという意味で風呂場でも使えるとより活用できたのだが、値段から考えれば贅沢すぎる要望だろう。dtabの第2弾が発売されるのであればそうした上位機種も期待したいところだ。

 また、繰り返しになるがSIMに縛られないdtabの仕様はぜひ今後のドコモ製品でも反映して欲しい。dtabの仕様を見る限り、docomo IDさえ取得していれば端末を問わず利用することも可能なため、今後はNTTドコモ以外の製品でも利用できるようになることも合わせて期待したい。

甲斐祐樹

Impress Watch記者から現在はフリーライターに。Watch時代にネットワーク関連を担当していたこともあり、DTCP-IP周りのネット連携や動画配信サービスなどが興味分野。ライター以外にもネット家電ベンチャー「Cerevo」スタッフとして活動中。個人ブログは「カイ士伝」)