スマホLIFE

薄型で3役の64GB無線LANストレージ「StationDrive」

動画などを外出先でも再生。大容量バッテリでスマホ充電も

 ピクセラから発売された「StationDrive」は、スマートフォン/タブレットなどと無線LANで接続できるモバイルワイヤレスストレージ。動画や音楽、文書など大容量のデータをスマホで扱うときに、本体メモリなどに収める必要なく、持ち運んで利用できる。

 本体に3,000mAhのバッテリを内蔵し、本体動作だけでなくスマートフォンなどを充電することも可能。さらに、付属アダプタを介してEthernetケーブルと接続することにより無線LANアクセスポイント(AP)としても使える。1台あれば、ストレージ/バッテリ/無線LAN APという3つの役割をこなすのが特徴だ。

 なお、SDカードなどのカードスロットは備えていないため、デジカメ写真をSDカード経由でスマホなどにコピーするという使い方はできない。あくまでスマホ/タブレット/PCの間で共有するための製品だ。価格は64GBモデルが実売13,000円前後、32GBモデルが1万円前後。大容量ストレージが内蔵されていることを考えると、カードスロット搭載モデルと比べて高いことも理解できる価格差ではある。

 今回はStationDriveの64GBモデルを使用。iPhone 4Sや第3世代iPad、Android搭載のウォークマンNW-F807と接続して使い勝手を試した。

たくさんの動画や音楽を持ち運び、スマホで再生

StationDriveの64GBモデル「PIX-FS200-64」

 本体は、3.5型液晶のiPhone 4SやウォークマンF807とほぼ同程度のサイズ。外形寸法は118.3×60×10.5mm(縦×横×厚さ)、重量は約100g。Yシャツなどの胸ポケットに入れても目立たない薄さだ。ボタンは電源のみ。点灯するインジケータで無線LAN接続やバッテリ残量(5段階)を確認できる。パソコンとUSB接続するとリムーバブルディスクとして認識されるので、ドラッグ&ドロップで写真や動画などのファイルをコピー/保存できる。

 無線LANはIEEE 802.11b/g/n(150Mbps)に対応。2.4GHz帯を使用し、セキュリティはWEP、WPA、WPA2をサポートする。まず、無料のiOS/Androidアプリ「StationDrive」をスマートフォンなどにインストール。アプリの対応OSはiOS 4.3以降とAndroid 2.2以降。なお、iPad版アプリは無かったので、iPhoneアプリを使用している。

サイズ比較。左からウォークマンF、StationDrive、iPhone 4S
ラトック「REX-WIFISD1」(左)、加賀ハイテック「MeoBankSD」(右)と比較
側面に電源ボタンを装備

 側面の電源ボタン長押し(約4秒)でStationDriveを起動。スマホの無線LAN接続先をStationDrive(SSIDは本体に記載されている)に設定する。起動してから無線LANに接続されるまでの時間を複数回測ってみたところ、平均約39秒。加賀ハイテックの「MeoBankSD」や、ラトックの「REX-WIFISD1」とほぼ互角だった。

 アプリを起動して、トップ画面から「StationDrive」を選ぶと、接続したStationDriveのストレージ内にあるファイルを表示できる。表示方法はフォルダ構造そのままで、動画や音楽などのファイル種別ごとに絞り込み表示する機能は用意されていない。再生対応ファイルの場合、ファイル名の前にJPEGやMP3などが付いたアイコンが表示される。再生対応ファイルは、動画がMP4、MOV、音楽ファイルがAAC、MP3、写真がJPEG、BMP(iOSは非対応)、PNG。そのほか、DOC、PDF、PPT、XLSの文書ファイルも閲覧できる。

USB端子や、Ethernetアダプタを接続するための専用4ピン端子などを装備
パッケージと付属品
無線LAN接続すると、インジケータが点灯
StationDriveを無線LAN接続先に設定
iPhoneアプリのトップ画面
本体メモリに保存したファイルがフォルダ構造の通り表示される

 手持ちの動画や静止画、音楽などのファイルをPCからStationDriveに保存して、iPhoneなどで再生してみた。UIはiOSとAndroidで少し異なり、Android版はアイコンだけでなく日本語の説明もついているなど、iOS版よりも分かりやすい。

 今回試したオリンパスのミラーレス一眼「E-P3」の写真では、iPhone 4SだとJPEGで最大サイズの4,032×3,024ドット(約4MB)のファイルをそのまま開けず、「This image is too large,can not open!」とエラー表示された。試しにPCのフォトレタッチソフトで4,000×3,000ドットへわずかに縮小したところ、今度は表示された。

 同じように、ソニー「NEX-7」の写真も、JPEGで最大サイズの6,000×4,000ドット(約2.1MB)では、そのまま開けず、4,000×2,667ドット(912KB)までリサイズしたところ、開くことができた。キヤノン「EOS 40D」のJPEG最大サイズである3,888×2,592ドット(約3.7MB)のファイルは、そのまま開くことができた。一定の解像度以上だとそのまま開けないようだ。この制限は、iPhoneアプリを第3世代iPadで使っても同じだった(iPad用ではなく互換モード)。他社製ワイヤレスストレージ(ラトック「REX-WIFISD1」や加賀ハイテック「MeoBankSD」、日立マクセル「AirStash」など)の場合、各社のiPhoneアプリで前述の高解像度ファイルも開けるため、端末ではなくアプリ側の仕様だと思われる。一方、Androidアプリでは、前述した大きなサイズのJPEGも問題なく開くことができた。

静止画をリスト表示したところ
4,032×3,024ドットのJPEGは表示できなかった
Androdアプリのトップ画面
静止画リスト表示

 表示されたファイルを、スマートフォンに保存することも可能。「編集」をタップして、目的の画像などを選択すれば、まとめてコピーできる。ただし、閲覧時に動画/静止画のサムネイル表示できないので、大量の画像から選んでコピーする場合は、コピーの前にファイルを一つ一つ開いて確認する作業が生じる。前述したように、iPhoneアプリでは大きなサイズの静止画ファイルをそのまま開けないのは、この点で残念だ。

 なお、StationDriveから保存した写真などは、iOS端末だとアプリ内の「ローカル」というフォルダ内から再生可能。ただし、保存したファイルはこのアプリ内で見られるだけなので、SNS投稿など他のアプリで写真を活用するといったことはできなかった。一方、Androidアプリの場合は、「ローカル」を選ぶと、端末のフォルダ構造がそのまま表示され、任意の場所に保存できる。例えば「Picture」のフォルダに入れると、Androidの「ギャラリー」アプリに表示された。iOSアプリの場合は、あくまでファイルを「見る」専用と考えた方が良さそうだ。

 iPhoneで高解像度の画像を開いたりカメラロールに保存したりしたい場合は、アプリではなくSafariなどのブラウザからStationDriveにアクセスすることをおすすめする。SafariにStationDriveのIPアドレスを入力することで、前述のデジカメファイルも問題無く表示/保存できた。

iPhoneの場合、写真を複数選択して、アプリ内の「ローカル」にコピーできる
Androidの場合、本体内の任意のフォルダに保存できる

 動画/音楽ファイルも再生した。動画は前述の対応形式であれば、フルHDなどの大きなファイルも再生できた。音楽の再生画面はAndroidとiOSのアプリでUIが異なり、Androidでは再生中にもシークバーで曲の好きな再生位置(時間)へ移動できたが、iOSアプリは一度再生を始めると終わるまで再生位置の移動はできない。このため、ラジオを録音したものなど長いファイルを聴くのにはAndroid版アプリの方が使いやすかった。なお、Androidでは、再生対応ファイルのはずのAAC(M4A)は再生できなかったが、WAVは再生できた。この辺りは端末の仕様に左右されるのかもしれない。

 純正アプリ以外からもファイルにアクセスできるかどうか試した。ウォークマンF807でAndroid版のTwonky Beamを起動したところ、StationDriveをサーバーとして検出。ウォークマンをコントローラとして、同じくStationDriveに無線LAN接続したDLNA対応のテレビ「BRAVIA KDL-40HX850」や、PCソフト「PowerDVD 12」をレンダラーとして再生できた。こうしたネットワークメディアサーバー的な使い方なら、使用アプリによって様々な活用ができるかもしれない。

iPhoneでの動画再生画面
iPhoneでの音楽再生画面
Androidでの音楽再生画面
Twonky Beamで、StationDriveをサーバーとして検出
BEAM再生
BRAVIA 40HX850で再生しているところ

 スマートフォンから、StationDriveにファイルをバックアップすることも可能。アプリのトップメニューで「カメラロール」を選べば、iPhone本体のカメラロールにある写真を一覧表示して、StationDriveにアップロード可能。この場合は、ファイルの複数選択はできず、1枚ずつのアップロードとなる。そのほか、「カメラ」をタップすると、その場でカメラアプリを起動して、撮影したファイルをStationDriveにアップロードできる。

 なお、iPhoneなどへの充電中も、無線LAN接続は利用できる。StationDrive本体のバッテリへの充電は、付属ケーブルを介して本体のマイクロUSB端子から行なう。なお、USB-ACアダプタなどを使って充電すれば、無線LAN機能もそのまま使えるが、パソコンに接続して充電するとUSBストレージとして動作し、その間は無線LAN機能が使えないので注意したい。

 そのほか、PCのWebブラウザやエクスプローラのフォルダを使って、StationDriveのファイルにアクセスすることも可能。WebブラウザにStationDriveのIPアドレスを入力するとメニュー画面が表示され、ファイルの閲覧やネットワーク設定などが行なえる。対応フォーマットであれば、動画などをブラウザ上で再生することもできた。

PCからWebブラウザでアクセス
PCのエクスプローラからアクセス

大容量バッテリと無線LAN AP機能でビジネスにも

iPadに充電しているところ

 内蔵バッテリは外部への給電もできるため、スマートフォンなどのバッテリが少なくなったときに充電することも可能だ。ケーブルは手持ちのスマートフォンに付属するものを使用し、USB(A端子)から充電可能。出力は5V/1Aで、手持ちのiPhone 4SやウォークマンF807、iPadにも充電できた。

 アプリの「設定」画面では、ネットワーク接続のセキュリティ設定などが行なえる。ここで「ネットワーク接続」を選ぶと、StationDriveを経由して他の無線LANルータなどへ接続(ブリッジ接続)できるので、スマートフォンをStationDriveに接続しつつインターネットも利用できる。

設定画面
基本設定で無線LAN接続時のパスワードなどを変更できる
ネットワーク設定でブリッジ接続も可能
付属アダプタを介してEthernet接続。無線LANアクセスポイントとして利用できる

 StationDriveを有線LANに接続して、無線LANのアクセスポイント(AP)として使うことも可能。付属のアダプタを介してEthernetケーブルを接続できるため、無線LANの無い部屋や、外出先のホテルなどでも、複数のスマートフォン/タブレットを無線LAN接続できる。なお、有線接続時は、アプリのネットワーク設定で「有線接続」に変更する必要がある(再び無線LAN接続する場合は「ワイヤレス」を選択)。

 StationDriveは、主にPCとスマホ/タブレット間でのファイル共有に限定されてはいるものの、最大64GBのメモリを使えて、外出先でも簡単に大容量のファイルにアクセスできるのは便利。スマートフォンのメモリ容量があまり多くないという人は特に重宝するだろう。

 それだけでなく、いざというときのスマホ充電や、無線LANアクセスポイントなど、仕事でスマホ/タブレットを活用している人にも便利な機能をこの薄型筐体に収めている点は大きい。出張などに持っていってもかさばらず、活躍しそうだ。

製品名StationDrive
発売元ピクセラ
対応機器iOS 4.3以降のiPhone/iPad/iPod touch
Android 2.2以降
発売日2013年1月中旬
実売価格「PIX-FS200-64」(64GB)13,000円前後
「PIX-FS200-32」(32GB)1万円前後
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PIX-FS200-64
(64GB)
PIX-FS200-32
(32GB)

中林暁