スマホLIFE
全面刷新されたradikoのiPhone/Androidアプリを試す
見やすくなった番組表。オンエア曲の購入も簡単に
(2013/5/1 11:00)
地上波ラジオの無料サイマル配信「radiko.jp」が4月よりリニューアルした。1日からはパソコン用のWebサイト画面が一新。スマートフォン向けアプリは当初4月8日のアップデート予定とされ、一度延期されたが、4月22日にはiOS/Android版ともにVer.4.0へアップデートされた。
今回のアプリバージョンアップにおける大きな変更点は、ユーザーインターフェイスの改善。番組表が、放送局ごとの表示ではなく、一覧で見比べられるようになった。このほかにも、キーワードでの番組検索や、オンエアされた楽曲の購入機能なども新たに追加されている。
今回はiPhone 4Sと第3世代iPad、ウォークマンF(F807)を利用して、スマホアプリの従来バージョンとの違いや、iOS/Android版の機能差などを中心に紹介する。
テレビ風の番組表にデザイン変更
アプリを起動すると、従来と同様に地域判定をして、聴取可能な放送局一覧が表示される。3GやLTE、無線LAN通信に対応する。なお、Android端末利用時の基地局による位置判定は、ドコモ回線で、spモード契約している場合のみ利用できる。au/ソフトバンクなどドコモ以外のAndroid端末では、従来通りGPSまたは無線LANのIPアドレスでしか位置判定を行なえないので注意したい。
アップデートしてまず分かるのは、番組表レイアウトの大きな変更。従来のスマートフォンアプリでは、番組表は1画面で1つの放送局しか表示できず、他局の番組表を見るには、画面上部の局名部分を左右にフリックして切り替える必要があった。例えば放送中ではない時間帯の番組表を見ていて、他局の同時間帯と見比べようとした時、局を変えると自動で現在の時間帯に戻ってしまったため、そこから目的の時間帯へ再度移動する必要があった。
新バージョンでは縦軸が時間、横軸が放送局というテレビのEPGに近い構成になり、上下左右へ自由にフリックして番組を探せる。これにより、同じ時間帯に他の局では何を放送しているかが見比べやすくなった。番組表自体は白地に黒色の文字で、そのうち放送中の番組は青地に白ヌキの文字で表示する。番組名をタップすると、各番組の詳細情報を表示。それが放送中の番組(青地の表示)であればそのまま選局して、放送前/後の番組(白地)であれば、聴取中の局は変わらず番組情報ページを閲覧するのみとなる。
上下左右のスクロールもなめらか。iPhone 4Sでは、左右のフリック(局の変更)でひっかかることもあったが、上下(時間)の移動はスムーズで、何度も大きく動かしても止まることはなかった。ウォークマンF807はプロセッサがやや古いTegra 2で、他の一部アプリで動作が遅くなる場合もあるが、radikoアプリの動作に関しては、iPhone 4Sや5よりもスムーズに動くように感じた。なお、テレビのEPGだと、番組表の左右端まで行くと、一周して反対側の端にあった局までスクロールするのが一般的だが、radikoアプリでは端まで行くとそれ以上進むことはできない。
従来と同じように「選局」のボタンも備え、ここをタップすると、聴取できる局名アイコンを一覧で表示。ここから選ぶと、各局で現在放送中の番組をすぐ聴くことができる。また、アプリの機能ではないが、iPhoneで聴取している放送を、AirPlayでApple TVなどにワイヤレス伝送してテレビで聴くことも、これまでと同様にできる。
各番組のページも機能追加やレイアウト変更などを行なっている。画面上部にナビゲーションボタンを配置しており、再生/停止のほか、番組表への移動、聴取中番組への移動が1タップで行なえる。その下には「タイムライン」と「番組情報」、「オンエア曲」がタブで切り替えられるようになっている。タイムラインでは、Twitter/Facebook/mixiアカウントで書き込まれたコメントを表示する。番組情報は、従来と同様に写真とテキストで番組内容などが紹介されている。
iOSアプリは、アップデートによりiPhone 5にも対応した。iPhone 4Sと5を見比べると、5の縦長のディスプレイの方が番組表や番組情報で表示される行数がやや多く、便利だと感じた。
一方、従来の画面で表示されていた、通信の状況を示す虹色のバー(長いほど良好に通信できていることを示す)は、アプリのアップデートに伴い廃止された。最近は、都内の地下鉄でも3G通信できるエリアが一気に拡大したため、常に通信状況を示す必要は無くなったとの判断だろう。なお、地下などでも回線が途切れにくくするためのバッファ機能は引き続き設定可能。バッファ時間は15秒/30秒/1分/3分から選択でき、長いほど実際の放送とのタイムラグも長くなるが、音声が途切れにくくなる。今回試している中で、地下鉄の階段付近など一時的に圏外となる場所では、画面に「バッファ中」と表示されたが、圏外の時間が短ければ音声は途切れず聴こえた。
スマートフォンアプリのみ対応する「コンテンツクリップ機能」は、お気に入りの番組や番組で流れた楽曲をクリップ(専用ボックスに番組名や楽曲名を保存)し、お気に入りの一覧を表示できるもの。番組表から番組名をクリップすると聴取予約となり、番組が始まる前に自動的にプッシュ通知が起動するため、聴き逃しを防げる。また、楽曲再生中にクリップすると、その楽曲名が保存され、後でまとめて閲覧できる。
従来バージョンでも、番組の聴取予約や楽曲名のメモは行なえたが、これらの機能が「クリップ」として集約されており、確認する際には画面下の「クリップ」を選んで、「番組」と「オンエア曲」をタブ切り替えで表示できるようになった。そのほか、番組名やオンエア曲をFacebook/Twitter/mixiでシェアすることも、従来と同様に行なえる。
オンエア曲をiTunes/Amazonでスムーズに購入可能
新たに加わった「オンエア曲」のタブを選ぶと、番組内でオンエア中、またはオンエア後の楽曲をスマートフォンで購入することが可能。アプリのVer.4.0アップデートが発表された当初は、どの楽曲サービスで購入できるか明らかにされていなかったが、試したところ、iPhoneではAmazon.co.jpまたはiTunes Storeから、該当する曲があれば購入できた。ウォークマンFではAmazonのみ購入可能だった。なお、「オンエア曲」の項目が表示されるのはFMのみで、AMやラジオNIKKEI、放送大学では表示されなかった。
iPhoneでは、Amazonで購入する場合はSafariが、iTunes Storeの場合はiTunesアプリが起動し、ダイレクトにそのアルバム/曲の購入ページにジャンプする。ただし、各サービスに無い曲の場合は、「購入する」ボタンがグレーアウトで押せないものや、Amazonのみ、またはiTunesのみというものもあった。また、購入先にジャンプすると、オリジナルではなく別アーティストによるカバー曲が選択される場合もあったので、購入前には目的の楽曲かどうかもう一度確認した方が良さそうだ。
上記のように、オンエアされた曲が必ず購入できるわけではないが、これまでのように曲名をメモしておいて、別アプリなどで検索する場合に比べて手間が少なくなった。既に、海外のネットラジオアプリなどでは、流れる楽曲をオンラインですぐ購入できるサービスも存在するが、地上波ラジオから簡単な手続きで、メジャーサービスであるiTunesやAmazonからの購入が行なえる意味は大きい。ここまで時間はかかったが、ネットでラジオを聴くことのメリットの一つが、シンプルに体現されたといえる。
そのほかにも、「番組検索機能」を追加。番組名・出演者名等のキーワードを入力することで、好みの番組をすぐに見つけられるもの。Webブラウザなどで検索する手間が省け、より自分に合った番組が探しやすくなるだろう。試してみると、番組名や出演者以外にも、「サッカー」や「ジャズ」といったキーワードでも、該当する番組を探すことができた。検索結果は、局を問わずに番組名がリスト表示され、クリップまたはシェアできる。
iPhoneやAndroidスマートフォンで聴けるサイマルラジオアプリといえば、他にもNHKの「らじる★らじる」や、コミュニティFMの「i-コミュラジ」(iOS版)、「サイマルラジオ for Android」(Android版)などが存在する。radiko.jpはこれらに先駆けてスタートしたことや、その後も対応放送局を拡大するなど、順調にサービスを強化してユーザー数も拡大してきた。今回のアップデートによる機能強化によって、他のラジオアプリと比べて使いやすい点が増えた。楽曲購入もスムーズにできるようになったことで、「ラジオで知った曲を買う」という昔からのスタイルがスマホ時代にもフィット。改めてラジオの存在を見直すきっかけにもなりそうだ。
音質は、Ver.4.0になったことで特によくなったという印象は無い。低ビットレートのため、途切れることがほとんど無いのは便利ではあるが、開始当初に比べると、LTE対象エリアの拡大や無線LANの普及拡大など、高速通信の環境は少しずつ整いつつある。今後は配信音質のさらなる向上についても検討してほしい。
アプリ名 | radiko.jp |
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提供元 | radiko.jp App Storeで見る Google Playで見る |
対応機器 | iOS 4.3以降 Androidは端末により異なる |
価格 | 無料 |