トピック

Chord「Mojo2」に4.4mm端子、FIIOポータブルCDにR2R DAC。ポタフェスではFIIOハイコスパヘッドフォンにも注目

Chord Electronics「Mojo2(4.4mm端子搭載モデル)」

エミライは、12月13、14日に開催される「ポタフェス 2025冬 秋葉原」に先駆け、イベントに出展する製品をメディア向けに公開。Chord ElectronicsのDAC兼ヘッドフォンアンプ「Mojo 2」に、4.4mm端子を搭載したモデルや、FIIOの新製品としてR2R DACを搭載したポータブルCDプレーヤー「DM15 R2R」などが紹介された。

Chord Electronics「Mojo2(4.4mm端子搭載モデル)」

右が4.4mm端子になった

今冬発売予定で、海外での予価は税別395GBP(英ポンド)。既存のMojo2と、サイズや主な機能は同じだが、従来のMojo2がアナログ出力として3.5mmのシングルエンド×2を備えているのに対して、Mojo2(4.4mm端子搭載モデル)は、1系統が4.4mm出力に変更されている。

なお、端子は4.4mmだが、バランス駆動ではなく、4線シングルエンド方式の4.4mm出力となっいている。新たな機能として、4.4mm出力にイヤフォンなどを接続すると、それを検出し、前回設定した音量、DSP、クロスフェードに自動的に切り替える機能を備えている。

これにより、例えば3.5mm出力をデスクトップオーディオ環境で使い、外出時に4.4mm出力でヘッドフォンを聴くといった使い方をした際に、便利になっている。

左がMojo2(4.4mm端子搭載モデル)、右が従来のMojo2。ロゴの色が濃くなった

内部の主な仕様は従来モデルを踏襲。独自のFPGA技術により、汎用DACチップでは到達困難という高精度な変換を実現。入力のUSB-C端子はデータ/充電の両方に対応。光デジタル、同軸デジタル、MicroUSBも含め4系統の入力を備えている。

入力端子部は既存モデルと同じ

FIIO「DM15 R2R」

FIIO「DM15 R2R」

FIIOの新たなポータブルCDプレーヤーとして、今冬発売予定なのが「DM15 R2R」。海外での予価は税抜き249.99ドル。

既存の「DM13 BT」に、自社開発のR2R DACを搭載し、ヘッドフォン出力が1,150mW(バランス出力)へとパワーアップされた。

R2R DACは、384kHz/32bitやDSD256に対応。USB DAC機能も備えている。ヘッドフォン出力の強化により、高インピーダンスのハイエンドヘッドフォンもパワフルに駆動できる。ヘッドフォン出力は前面に3.5mmアンバランス、4.4mmバランスを備える。

特別にカスタマイズされたCDプレーヤー機構部により、読み取り精度を向上。ディスク損傷リスクも低減している。Bluetooth送信機能は、aptx Adaptiveコーデックをサポートする。

FIIO「JH13」

FIIO「JH13」

FIIOの新たなエントリークラスIEM「JH13」が、今冬発売予定。海外での予価は税別29.99ドル。

天然ゼブラウッドのフェースプレートを採用し、内部には10mmのダイナミックドライバーと、2黄のBAを搭載したハイブリッド構成。10Hz~40kHzの広い周波数特性で、様々な音楽を表現力豊かに再生できるという。

FIIO「Snowsky TINY A/B」

左2列がSnowsky TINY A/B

SnowskyシリーズのDAC内蔵ドングルヘッドフォンアンプ第2弾。今冬発売予定で、海外での予価(税別)は19.99ドル。

接続ケーブル不要のダイレクトプラグイン設計。TINY Aは7g、TINY Bは10gと軽量設計も特徴。

ハイレゾ認証取得、PCM 384kHz/DSD 256のデコードが可能。エントリーモデルながら本格仕様の「10バンドPEQ」を搭載する。

カラーバリエーションは3色。高級感のあるメタルボディを採用。TINY Aは、3.5mmと充電用USB Type-C端子を搭載(リスニング中の充電可能)。TINY Bは、3.5mmと4.4mmヘッドフォンジャックを搭載。4.4mmは非バランスとなっている。

iFi「iDSD Valkyrie」ブラックモデル

「iDSD Valkyrie」ブラックモデル

iFi audioのUSB DAC内蔵ポータブルヘッドフォンアンプ「iDSD Valkyrie(ヴァルキリー)」に、新色のブラックが2026年春に登場予定。価格は未定。

K2HDテクノロジー、DSDリマスタリング、6種類のデジタル・フィルターなど、豊富な機能を盛り込んだDAC内蔵ポータブルヘッドフォンアンプ。ヘッドフォンアンプとしては、最大5,700mWの最大出力を実現。MEMSを使用したIEMもサポートし、専用のイコライザーと最適な電圧で駆動できるという。

iFi audio「xDSD Gryphon Black」

xDSD Gryphon Black

DACを内蔵し、Bluetooth受信も可能なポータブルDACアンプ「xDSD Gryphon」に、新色のブラックが2026年春に登場予定。価格は未定。

「プレミアムDAC、強力アンプ、ハイレゾBluetooth、英国設計の技術を手のひらサイズに凝縮した」というポータブルアンプ。バーブラウンのDACチップを搭載し、低ジッターGMTクロックも搭載。iFi独自のPureWave増幅回路を採用し、320で1,000mW、最大6.7Vという出力も実現。

USBと光デジタル入力に加え、Bluetooth受信では、コーデックとしてLDAC、aptX Adaptive、aptX HDなどに対応する。

その他

他にも、既発売の製品として、ポケットサイズに完全バランス設計とバーブラウンDACを搭載したiFiのポータブルヘッドフォンアンプ「hip dac 3 Black」や 有線イヤフォンをBluetoothでワイヤレス化するアダプターで、K2HDも搭載したiFi audio「Go pod MAX」なども体験可能。

右がiFiのポータブルヘッドフォンアンプ「hip dac 3 Black」

10月に発売したばかりのiFi audio「Go blu Air」は、31gと軽量なBluetooth DACアンプ。LDAC、aptX Adaptiveなどの高解像度コーデックに対応し、最大10時間の長時間再生も可能になっている。

左がiFi audio「Go blu Air」

13、14日に開催される「ポタフェス 2025冬 秋葉原」では、FIIOのポータブルヘッドフォンアンプも各種体験できる。9月から発売の「QX13」は、KA17の上位モデルであり、ポータブルながらデスクトップアンプクラスである900mWの高出力が可能。ESSの第二世代フラッグシップDAC「ES9027PRO」を搭載し、1.99インチ大型IPSディスプレイも搭載する。実売は39,600円前後。

QX13 Titanium Gold

「Snowsky MELODY」(実売7,920円前後)は、エントリーながら高音質設計と高いデザイン性を両立した、USB DAC内蔵ヘッドホンアンプ。Cirrus Logicの「C543131」DACチップをデュアルで搭載。筐体には北米産天然木を使っている。

Snowsky MELODY

FIIOのハイコストパフォーマンスなヘッドフォンにも注目

「ポタフェス 2025冬 秋葉原」では、登場したばかりの「JT7」も含め、FIIOのコストパフォーマンスに優れたヘッドフォンを一気に体験できるのが魅力だ。イベントに先駆けて行なわれたメディア向け取材会で、短時間ではあるが、注目モデルの試聴も行なった。

エントリーヘッドフォン「JT1」

まず、昨年から発売されているエントリーヘッドフォン「JT1」は、実売13,200円前後の密閉型。価格を抑えているが、振動板に高温熱可塑性プラスチック(PEK)とポリウレタン(PU)、アルミ箔複合ポリマーを使った50mm径の大口径ドライバーを搭載しているほか、高性能N52マグネットや、軽量かつ導電性に優れる銅クラッドアルミ線(CCAW)のボイスコイルも採用している。

FIIOのDAP「M27」で試聴してみると、非常にパワフルな低音が出て驚かされる。それも、単に膨らんだ低音ではなく、タイトさと情報量を併せ持つ低音であり、剛性の高い振動板と高性能な磁気回路を組み合わせた利点を感じさせる。中高域の抜けも良好。エントリーらしく、ダイナミックで元気のあるサウンドが持ち味だ。

開放型ヘッドフォンのエントリーモデ「JT3」

11月21日に発売されたばかりの「JT3」は、開放型ヘッドフォンのエントリーモデル。実売13,200円前後と、こちらもリーズナブルだ。

前述の密閉型JT1の基本設計を踏襲しつつ、開放型としたもので、50mm大口径ダイナミックドライバー、PEK+PU複合振動板、TILボビン+CCAW導線ボイスコイル、N52マグネットを搭載している。

JT1とJT3を聴き比べてみると、音が広がる空間の広さ、開放感はJT3の方が優れていると感じる。しかし、開放型としては、やや空間の制約も感じられる。それに付随した効果かどうかは不明だが、開放型としては低域がパワフルで肉厚に描写され、開放感と迫力の両方を追求したサウンドになっている。人の声などの質感はややドライだ。

独自開発の95×86mm平面磁界ドライバーを搭載した開放型ヘッドフォン「JT7」

12月12日発売の「JT7」は、独自開発の95×86mm平面磁界ドライバーを搭載した開放型ヘッドフォン。価格はオープンで、市場想定価格は19,800円前後と、平面磁界ドライバー採用モデルとしてはかなり低価格だ。

95×86mm平面磁界ドライバーは、振動板の開発からボイスコイル、磁気回路の制御まで、FIIOが一貫して独自設計を行ない、ブランドとして求めるサウンドを細部までコントロール。広大なサウンドステージと、堂々とした低域表現を実現したという。

実際に聴いてみると、実売2万円を切るとは思えない圧巻のクオリティ。JT7の時に少し感じられたこもりも無く、音場がどこまでも広がる、開放的な空間に、平面磁界ドライバーらしい繊細なサウンドがハイスピードに描写される。

高性能な双方向ネオジム鉄ホウ素磁石によって生成される強力な磁場で、平面ドライバーをしっかり描写する事で、中低域にも厚みがあり、全体のバランスも良好。平面磁界ドライバーに興味がある初心者はもちろんだが、高級ヘッドフォンを既に所有しているマニアも、聴けばコストパフォーマンスの高さに驚くだろう。

新フラッグシップヘッドフォン「FT7 Black」

平面磁界でコストパフォーマンスという面では、7月から発売されている新フラッグシップヘッドフォン「FT7 Black」も聴き逃せない。FIIOが独自開発した106mm大型平面磁界ドライバーを搭載する開放型で、実売は125,400円前後。

薄さをとことん追求しつつ、サイズも大型な平面磁界ドライバーを搭載。振動板の基板にはPETを使っているが、そこに、豪華に24K金と純銀を厳選して塗布。振動板の減衰力を向上させ、中低域がリラックスしたサウンドになるそうだ。

実際に聴いてみると、とにかくワイドレンジかつ色付けが少なく、ナチュラルなサウンド。ベースの低音もしっかりと深く沈み、高域もキツくながらず、弦楽器の質感も丁寧に描写できる。10万円を超えるヘッドフォンではあるが、他社の数十万円するハイエンドヘッドフォンとも戦えるサウンドを実現しており、ハイエンド機としてのコストパフォーマンスの高さは一級品だ。

山崎健太郎