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第121回:“オールインワン”でも画質に妥協なし

BDレコーダ内蔵AQUOS新モデル。シャープ「LC-40DX2」


AQUOS DX2「LC-40DX2」

 いまやテレビに録画機能は珍しくなくなりつつあり、その録画メディアとしてHDDを採用しているものは「見たら消す」を前提とした使い方を想定している。一方で、Blu-ray Discレコーダーを内蔵させたAQUOS DXシリーズはBDに録画し、これを手軽にマイ・ビデオ・ライブラリとしてコレクションしていける楽しみを提供し、多くのファンを獲得した。

 そのBlu-rayレコーダ内蔵型AQUOSは、2009年9月、第2世代モデル「DX2」としてモデルチェンジを行なった。今回の大画面☆マニアはこのDX2シリーズの中から、フルハイビジョンモデル中もっともリーズナブルな「LC-40DX2」を評価する。

 


■ 設置性チェック 〜設置感覚は普通の液晶テレビ

 今回評価したLC-40DX2ではディスプレイパネル部の寸法は992×129×646mm(幅×奥行き×高さ)。BDレコーダ内蔵と言うことでかなりマッチョなボディを想像していたのだが、意外にもスリムだ。厚み約13cmだが、背面を見るとBDドライブの搭載箇所だけボコっと出っ張っており、ここが最厚部の約13cm。それ以外の部分は約9cm強程度だ。

 デジタルチューナ、BDドライブ、レコーダ制御システムなどを全て内蔵していることを考えると、最厚部約13cmに押さえ込めたのは立派。ちなみに、画面サイズによらず、DX2は26~52型の全モデルで最厚部が厚さ約13cmとなっている。

Blu-rayドライブのところだけボコっと膨らんでいるが、それ以外は無難なサイズに収められている

 重さもディスプレイパネル部だけならば約19kg。オールインワンのテレビの割にこの重量は「軽い」と言っていいだろう。階段を上がったりする場合はやはり2人以上が楽だが、1人でも運べる程度。今回筆者宅での設置ケースでは、階上までは2人で運んでいるが、スタンド部とディスプレイ部の合体させる組み立て作業は筆者1人で行なえた。なお、スタンド単体の重さは約3kg。スタンドとディスプレイ部とは4本の六角ネジで締め付けて固定することになり、専用工具の六角レンチが付属する。組み立ては簡単だ。

 スタンドは左右に20度ずつ向きを変えられる手動式の首振り機構を持つ。上下方向の首振り機構はなし。設置台と画面表示部の下辺までの距離は約14.5cm。設置台が低いと画面は結構下に来るという印象だ。

スタンドは左右に20度の首振り機構を持つ

 壁掛け設置用の取り付け金具は純正オプションが設定されている。LC-40DX2に適合するのは「AN-52AG6」(26,250円)これを用いて壁掛け設置した場合、壁から表示面までの距離は176mmとなる。金具の重さは約8.3kg。

 ボディ外周部から映像表示部までの、いわゆる額縁の厚さは上が約4.0cm、左右が約4.5cm、下がスピーカ部を含んで約10cm。額縁部は光沢感があり、筆者宅では天井照明が上辺の額縁に映り込む。映像パネル自体はノングレアタイプなので、周囲の映り込みはない。

 スピーカーはディスプレイ部下部にレイアウトされるアンダースピーカーデザインなのだが、その存在感はあえて排除してある。一見するとスピーカーがどこにあるか分からないデザインだ。

 ディスプレイ部側面の下部に目をやるとエアダクトがあいていることに気がつくが、これはバスレフ効果をもたらすためのもの。たしかに小口径スピーカーの割にはこもらずしっかりした低音が出ている。音量を大きめに設定しても“ビビリ”はなく、音質は可聴範囲周波数全域にわたって音像の輪郭をくっきりと描き出すクリア系のチューニングが施されている。

 シャープお得意のフルデジタル1ビットアンプ、そしてAQUOS DS6シリーズと同等のスピーカー防振機構の相乗効果はたしかに音質に現れているようだ。番組本編とCMとの音量差を均一化するオートボリューム機能も搭載。ただし、デフォルトでは「切」設定になっている。

 オールインワン機器だけに動作音が気になる人も少なくないだろう。背面には無数のスリットがあるが騒音はほとんどなし。BDのディスクを読み込ませたときや、録画時などにおいても、耳障りなノイズはなし。静粛性は優秀だ。定格消費電力は235W。40V型の液晶テレビとしては標準的な値。BD搭載も極端な消費電力増加はもたらしてはいないようだ。

 


■ 接続性チェック 〜HDMI3系統配備。アナログRGBのPC入力端子も実装

 接続端子パネルは正面向かって右側側面および背面側にある。Blu-rayレコーダが内蔵されているにもかかわらず、外部機器接続端子は充実している。

 HDMI端子は側面に1系統、背面に2系統ある。HDMIはPlayStation 3(PS3)と接続した際には入力機器名に「PS3」が表示される。残念ながらHDMIのRGB階調の設定項目はなし。ちなみに、筆者が確認したところでは、PS3とAQUOS DX2とを接続した時のPS3側のHDMI階調設定は「RGBフルレンジ(HDMI)=リミテッド(16-235モードに相当)」設定が正解。

 アナログビデオ系入力も一通りが揃っている。D5入力端子が背面と側面に1系統ずつ。S映像入力端子は1系統のみ。コンポジットビデオ入力端子は側面に1系統、背面に1系統ずつあるが、前述の2系統のD5入力端子と排他利用となる。また、これらの端子群はRCAピンプラグのアナログオーディオ入力も共有している。D5入力端子はともかく、S端子やコンポジットビデオ入力端子の扱いはいまやバックアップ要員といった風情で、その役目を終えようとしている感じだ。

接続端子パネル IPTV、アクトビラなどのデジタル双方向通信用のネットワーク端子とは別系統でBD-LIVE専用端子も設けている

 PC入力端子は、D-Sub15ピンのアナログRGB入力を1系統装備。最近ではアナログRGB入力端子を省略するテレビ製品が増えているので、地味ながら、この点は「AQUOS(DX2)ならではの接続性」と言うことになる。PC向け音声入力端子としてステレオミニプラグが1系統背面にあり、これはHDMI入力"2"に割り当てることも出来る。デフォルトではD-Sub15ピンのPC入力とペアになるように設定されていて、設定はHDMI入力"2"かPC入力に切り換えてからでないと変更できない。これはマニュアルに記載されていなかったので留意して欲しい。

入力6/モニター音声出力端子の活用方法の設定画面 ステレオミニプラグ音声端子はPC入力時に活用できるが、その設定は自分で行わないとダメ

 光デジタル音声出力端子は、デジタル放送の音声を出力するためだけでなく、内蔵のBlu-rayレコーダにてBlu-rayディスクを再生したときの音声トラックのデジタル出力にも利用される。LC-40DX2を中核にしたBlu-rayホームシアターを構築する場合、この光デジタル音声出力端子をAVアンプ等に接続することになる。光デジタル音声出力端子からはデコード前のビットストリームデータ、あるいはステレオ2chのPCM音声が出力をするかを設定できる。デフォルトではPCM設定になっているのでサラウンドサウンドを楽しむ場合には設定を「ビットストリーム」へと切り換える必要がある。なお、HDMI経由でドルビーTrueHDなどのロスレスオーディオを出力する手段は備えていない。

 


■ 操作性チェック〜 BDはもちろんDVD再生品質も良好

 リモコンは前方が薄く、手前側が太い縦長デザイン。チャンネル切換用の数字キーはやや小さめだが、数字の刻印は大きめ。下部にはBlu-rayを操作するための専用ボタンも並び、DX2シリーズ専用のリモコンであることが外観からも伝わってくる。使用電池は単三電池2個。

AQUOS DX2シリーズ用のリモコン。下に並ぶボタン群はBlu-ray操作専用 蓋を開けた下には各種機能設定ボタンとファミリンク機器の操作ボタン

 このBD操作部分は開閉式の蓋になっており、ここを開くと、画質切換の[AVポジション]、[画面サイズ]といったチューニング系のボタン群、そしてHDMI接続された外部機器を操作する「ファミリンク」系の操作ボタンが現れる。こちらの使用頻度の高い中級以上のユーザーは蓋の開閉回数が増えるはずで、蓋のヒンジ部の耐久性が心配だ。ここはスライド式の開閉扉にするともう少し扱いやすくなるだろう。

 電源を入れてから地デジ放送の画面が表示されるまでの所要時間は約11.0秒。最近の機種にしては若干遅め。地デジ放送のチャンネル切換所要時間は約2.0秒。速度的には標準的だが、チャンネル切換の際には画面をワイプアウトするエフェクトが入り、見た目に楽しい。

 入力切換は[選局]ボタンの横にある[入力切換]ボタンを用いて、入力切換メニューを出して選択させる方式。入力名の左横に入力系統番号を表す数字も出現するが、この時数字ボタンを押しても切り替わらない。数字キーを押しても切り換えられるようにすればもっと使いやすくなると思う。入力切換の所要時間はHDMI→D5で約1.5秒、HDMI→HDMIで約3.0秒。まずまずの早さといったところか。

 アスペクト比の切換は蓋下の[画面サイズ]ボタンを押すことで出現するアスペクトメニューから選択する方式。切り替え所要時間はほぼゼロ秒で選択した瞬間に切り替わる。用意されているアスペクトモードは以下の通り。

ノーマル(HDMI) 4:3映像をアスペクト比を維持して表示する
シネマ(共通) 4:3映像にレターボックス記録された16:9映像をパネル全域に拡大表示する
ワイド(アナログ系) 16:9のアスペクトでパネル全域に表示。4:3映像の場合は左右に引き延ばされる
フル(HDMI) 16:9のアスペクトでパネル全域に表示。ただしオーバースキャンされる
DotbyDot(HDMI) 入力解像度をそのまま表示する。1,920×1,080ドットの映像の場合は入力映像解像度と表示解像度が一致するのでもっとも美しくなる
スマートズーム(アナログ系) 4:3映像の外周を引き延ばして表示するいわゆる疑似ワイドモード
アンダースキャン(アナログ系) 映像全域をパネル内に表示する。1080pソースではドットバイドットと同等の表示になる

 モードラインナップに変わったところはないのだが、アスペクトモード切替操作でアンダースキャン(DotbyDot)か、オーバースキャンかが選べるのが便利。筆者は、そもそも他機種がなぜこの切換操作をメニュー階層下の設定で行なわなければならないのかについて常々疑問を持っていたので、このAQUOS DX2の操作系こそが理想的だと感じる。

 プリセット画調モードの切り替えはこれも蓋下の[AVポジション]ボタンを押して行まう。なぜか、AVポジションの切換はメニューは開かず順送り式となっている。切り替え所要時間はほぼゼロ秒で切換操作を行なった瞬間に切り替わる。

 各種設定のためのメインメニューは、リモコンの[ホーム]ボタンを押して開く。以前のAQUOSからのメニューデザインをリニュアルし、表示画面をやや縮小しつつ右側にメニュー画面を出すというインターフェースになった。操作系は十字キーの左右で設定カテゴリを選び、上下で設定項目を選ぶというスタイルでソニーのXMBとよく似ている。操作レスポンスは家電製品とは思えないほどキビキビしていて小気味よい。

 AQUOS DX2全体に影響が及ぶグローバルな機能な設定については「設定」メニューにカテゴライズされ、現在表示している映像(入力系統)にまつわる設定については「ツール」メニューにカテゴライズされている。「設定」と「ツール」というネーミングが適切かどうかはともかく、慣れると、この振り分け方は理にかなっていてとても使いやすい。

 「ツール」-「映像調整」がいわゆる画質調整のメニューになる。

「チャンネル」メニュー 「設定」-「視聴準備」メニュー 「設定」-「映像調整」メニュー 「設定」-「音声調整」メニュー 「設定」-「安心・省エネ」メニュー 「設定」-「機能切換」メニュー
楕円の黒い部分はIrSS受光部。デジカメ、携帯電話から写真を赤外線伝送して楽しめる。中の丸い受光部は「明るさセンサー」

 調整可能な基本的な画調パラメータとしては「明るさ」(バックライト輝度)、「映像」(ブライトネス)、「黒レベル」(コントラスト)、「色の濃さ」、「色あい」、「画質」(シャープネス)、「肌色補正」などがある。「明るさ」は一般的な画質とは別次元のバックライト輝度を調整するもの。ちなみにボディ前面下部にある「明るさセンサー」の利用を有効にすると、視聴環境の明るさに合わせた自動バックライト輝度調整を行なってくれる。昼と夜とで部屋の照度の違いが大きいユーザーには便利な機能となるだろう。

 さらにこの階層下には「プロ設定」と命名された、より高度な画質調整項目群がラインナップされている。

 「カラーマネージメント」はRGBCMY(赤、緑、青、シアン、マゼンタ、イエロー)の6軸で色相、彩度、明度を調整できるもの。たとえばフィルムの質感に似せたディープな赤表現などを再現したいというかなり上級志向のチューニングをしたい場合などには、これらの調整項目は挑戦しがいのあるものとなるはずだ。


「設定」-「プロ設定」-「カラーマネージメント-色相」メニュー 「設定」-「プロ設定」-「カラーマネージメント-彩度」メニュー 「設定」-「プロ設定」-「カラーマネージメント-明度」メニュー

 「色温度」は「高」「高中」「中」「中低」「低」の5段階調整が行なえるほか、RGBのゲイン調整によりオリジナルのホワイトバランス(色温度モード)を作り出すことも可能。前出の「カラーマネージメント」機能と共に、テレビ製品とは思えないほどの、充実の調整機能はさすが。


色温度=低 色温度=中 色温度=高

 「QS駆動(120Hz)」は、いわゆる倍速駆動を制御する設定項目だ。「アドバンス」設定とすることで、前後フレームを元に生成した補間フレームを表示に絡めるモードとなる。「スタンダード」設定はいわゆるインパルス駆動のみの設定となり、補間フレームの表示はキャンセルされる。「しない」は一切の液晶駆動の工夫をキャンセルする物になる。ゲームモニターとして活用する場合は「スタンダード」もしくは「しない」の設定をすることで表示遅延が軽減されることが筆者の取材で判明している。ゲームユーザーは覚えておこう。ちなみに、AQUOS DX2はDS6とほぼ同等の映像処理回路を搭載している(40〜52型)が、表示遅延は約1.5fpsとなっており、テレビ製品としてはかなり遅延を抑えたものとなっている。

「設定」-「プロ設定」-「色温度」メニュー 「設定」-「プロ設定」-「QS駆動」メニュー。「アドバンス」設定がいわゆる補間フレーム有り設定

 「アクティブ・コントラスト」設定はシーンの変化に応じて動的にコントラストを調整する物。「する」「しない」の二択設定しか行えない。「する」にすると大胆に明暗を付けた調整を自動的に行なうようになる。パリっとした見た目にはなるが、映像情報量は格段に減るので筆者的には「しない」を奨励。


アクティブ・コントラスト=する。コントラスト感が強くなる アクティブ・コントラスト=しない。情報量重視の画調になる

 「I/P設定」はインターレース映像のプログレッシブ化アルゴリズムを選択するもので、昔のAQUOSから伝統的に搭載されている機能。コーミングノイズ低減重視の「動画より」設定と、解像感重視の「静止画より」のどちらかを選べる。こればっかりは好みの問題だが、動画より、静止画より、双方の中間の設定も欲しい気がする。

 「フィルムモード」設定は、毎秒24コマ(24fps)映像に対しての処理を決めるもの。「しない」は2-3プルダウンによる表示、「スタンダード」は同一フレームを4回描画し96fps化して24fpsのリアル表示を実現するモード。「アドバンス」は、倍速駆動回路の補間フレーム生成機能で生成した中間フレームを挿入しながら表示するモード。フィルムジャダーを「味」と見なせるユーザーはこちらを選択すべき。一方、倍速駆動のスムーズな動きが好みならば「アドバンス」がいいだろう。


「設定」-「プロ設定」-「フィルムモード」メニュー。「アドバンス」設定が補間フレーム有り設定 「設定」-「プロ設定」-「デジタルNR」メニュー
Blu-rayドライブはスロットインタイプ。CD/DVD/BDを入れれば自動再生が始まる

 「デジタルNR」はMPEGノイズを低減させるノイズリダクション機能の設定。「しない」「弱」「中」「強」「アクティブ」が選べる。デジタル放送視聴にはシーン応じてノイズ低減レベルを変化させる「アクティブ」がお勧めだ。Blu-ray視聴、ゲームプレイ、PCなどでは「しない」を奨励したい。なお、1080pソースにはデジタルNR自体を適用できない制約が設けられている。

 「3次元設定」はいわゆる時間方向のチラチラノイズを低減させる3次元Y/C-NRを調整するもの。アナログ放送、SDソース専用の機能で、あまり意識する必要はなし。こちらは「動画より」「静止画より」の他、バランスに配慮した「標準」が選べる。

 Blu-rayの操作感も記しておこう。

 Blu-rayの再生は、ディスクをドライブに入れることで自動的に始まる。ディスクを挿入してから実際の再生画面に切り替わる所要時間は約40秒で、意外に待たされる。Blu-rayソフトのディスク取り出し時、ディスクが排出されるまでの時間は8秒。録画したBlu-rayディスクを挿入して、Blu-rayのディスクメニューが出てくるまでが約26秒。ディスクをとっかえひっかえ活用する場合にはちょっと待たされる印象だ。

 録画モードは放送そのままを記録する標準モードの他、2倍、3倍、5倍、7倍モードが用意されている。2層BD-Rへの地デジ放送の標準モード録画は6時間を目安に……となっている。デフォルトの画質設定は5倍モードに設定されているので、デフォルトでは1層BD-Rで15時間、2層BD-Rで30時間の録画が出来ることになる。

「設定」-「機能切換」-「BD設定」メニュー 「設定」-「機能切換」-「BD設定」-「BD/DVD再生設定」メニュー
「設定」-「機能切換」-「BD設定」-「BD録画設定」メニュー

 録画モードの切り替えは「設定」メニュー階層下の「機能切換」-「BD設定」にて行なう必要がある。見ている番組をとっさに録画したいと思ったときには録画ボタンを押せば録画できるが、その録画モードはこのメニューで設定されたモードが自ずと採択される。ただし、番組表からの録画予約の場合には、予約単位で個別に録画モードを設定可能だ。

 気になる画質だが、5倍モード、7倍モードにて実際に録画して視聴してみた。5倍モードは、たしかに放送時と比べれば、色味、解像感の劣化は否めないが、SD状態と比べれば格段上質な画質で記録できている。バラエティ番組などをカジュアルに保存するのであれば必要十分だろう。7倍モードは動きが少ない映像であれば5倍モードと差は感じられないが、画面が動くと、とたんにブロックノイズが目立つようになる。コンテンツの保存という目的には5倍以下のモードで保存したい。7倍は残量の少ないディスクにどうしても長時間録画したい場合など、臨時用と考えるべきだろう。

 Blu-rayソフトとDVDビデオの再生も行なってみた。画質は良好。Blu-rayソフトの画質は普通に美しく、専用再生機に見劣りする部分はなし。通常の巻き戻し、早送りだけでなく、[10秒戻し]ボタン、[30秒送り]ボタンで時間固定長のタイムスキップ操作ができるのが便利。これは本来はデジタル放送の録画を視聴する際のCMスキップに用いるのだろう。DVDビデオのSD映像の再生品質も悪くない。ぼけすぎず、それでいて技巧的な輪郭強調もなく安心してみられる。

 テスト中、Blu-rayの録画番組再生中に予約録画時間がやってきたことがあったが、再生が中断され、速やかに録画へと移行していた。デジタルチューナはダブル搭載なので録画中もデジタル放送は任意のチャンネルを見られるので不満なし。音楽CDの再生にも対応。LC-40DX2のBlu-rayドライブはトレイ式ではなく、スロットインタイプなのだが、8cmサイズのCDも再生できる。

 


■ 画質チェック 〜AQUOS DS6と同等の高画質マスターエンジン搭載

 パネル解像度は1,920×1,080ドット。AQUOS DX2は40V型の本機からフルハイビジョンモデルとなる(32V型以下は1,366×768ドット)。液晶パネルはシャープ製なので、大まかなタイプ分けとしてはVA系パネルとなり、コントラスト感に優れる特性がある。かつてVA系は視野角に応じた色変調を生じる弱点をささやかれることがが、今ではなんの問題もない。実際、視聴した感じでは、斜めから見ても色の変化はほとんどない。

目立った滲みもなく美しい画素描画

 公称コントラストは2,000:1。これはネイティブ・コントラスト値。映像の立体感の表現は優秀。

 発色は純色表現はやや鋭い印象があるが、中間色は奇をてらわずにナチュラル系に収めた印象を持つ。肌色も黄味が強すぎず、かといってわざとらしい赤味もなく、透明感の漂う自然な感じ。ハイライトの白から"陰"の部分の茶までの繋ぎ方も美しい。

 階調表現は、液晶らしく、中明部以上のハイダイナミックレンジ感を基準に組み立てている印象。最暗部はLEDバックライトモデルやプラズマと比較すると若干浮いた印象はあるが、最暗部から中暗部への階調特性のリニアリティは好印象。映像全体としてみた場合の階調バランスはとてもいい。

 今回のAQUOS DX2シリーズには、AQUOS DS6シリーズに先行搭載されたシャープの新世代映像エンジン「高画質マスターエンジン」が搭載される。基本的な部分はDS6シリーズとほぼ同じだが、Wクリア倍速などは新しいアルゴリズムを導入するなどで、進化している点もあるという。また、DX2シリーズで新搭載した機能が「ぴったりセレクト」だ。これは、本体前面下部に備えた明るさセンサーで、部屋の明るさと色温度を自動検出し、視聴中の番組の種類や時間、映像シーンをリアルタイムに分析して、最適な画質/音質に調整するというものだ。コンテンツに合わせて画質モードを選択する手間が省ける、いわゆる“おまかせ”画質モードとなる。

 高画質マスターエンジンの搭載が、画質面における従来機(AQUOS DX1シリーズ)からの大きな進化ポイントといえる。高画質マスターエンジンは、AQUOS向けの新しい高画質化ロジックの総称であり、目的の違う複数の高画質化機能から成り立っている。1つは映像フレームに対して適応型の画質調整を行なう「アクティブコンディショナー」だ。

アクティブコンディショナーの概要

 これはガンマ補正、黒レベル調整、ゲイン調整、色補正をフレーム単位にリアルタイム最適化し、さらに映像内の動きに連動させてノイズ低減フィルターの動作も統合的に制御するものだ。

 特に効果が高いのが、映像内の動きに連動させたノイズ低減だ。撮影時などに混入するランダムノイズは時間方向の3Dノイズ低減フィルタで低減するのがセオリーとなるが、これを過度に効かせるとノイズは低減するが映像に糸引き状の残像が目立つようになる。アクティブ・コンディショナーでは、映像全体の動きに応じて、この3Dノイズ低減フィルタの効き方の強弱を制御するロジックを実装しているのだ。具体的に言えば、映像の動きが早くなればなるほどフィルタを弱めに掛け、遅くなればなるほど強めに掛ける。動きが早いとランダムノイズは目立ちにくくなるので実際にフィルタが弱めになっても問題がない。静止画はランダムノイズが目立ちやすくなるので強めにフィルタを掛けることになるが、映像が動かないので糸引き残像がでにくいので問題がない。アクティブ・コンディショナーの制御は、MPEGノイズ低減フィルタにも同種の制御を行なっているとのこと。また、動き検出に関してはピクセル単位ではなくフレーム単位で行なっている。

 モードの設定は「デジタルNR」を「アクティブ」に設定することで有効になる。実際に映像を見てみると、静止状態からカメラパンに移行する場合でも安定したS/Nが得られているのが分かる。若干テクスチャディテールが甘くなることもあるが、デジタル放送視聴時は概ね「アクティブ」設定でOKだと思う。

 AQUOS伝統の高画質化機能「なめらか高画質」も進化し、このアクティブ・コンディショナーの構成一要素として組み込まれている。

 「なめらか高画質」は、液晶画素駆動による光透過率制御とバックライト輝度制御を、映像表示に適した形で統合的に調整するもので、AQUOS DX2では制御アルゴリズムにリファインを施した新バージョンが実装されているのだ。コントラスト感を稼ぐためのバックライト制御ではなく、いわば「液晶パネル性能×バックライトダイナミックレンジ」の形で階調表現、色ダイナミックレンジの最大性能を得ようというテクノロジーなのだ。

 この進化型なめらか高画質ではBDE(Bit Depth Expansion)も強化されており、着目しているピクセルの近接している周辺ピクセルに探索をかけ、グラデーション表現であることを検知すると、映像自体を加工せず、サブピクセルレベルで階調をなめらかに繋ぐ補正を掛ける仕組みが適用される。これにより、ディテールがつぶれることなくグラデーションだけを美しく描き出せるとしている。

 実際に映像を見てみると、夕闇空のような非常になだらかな混合色グラデーション表現において擬似輪郭が無く、とてもなめらかに描き出せていることを確認できる。また、人肌にもこの機能は効果的で、顔に影が落ちている部分などでは肌色が急激に茶色に変化していたりするが、そうした色味の違う色へのグラデーションが美しいのだ。

 高画質マスターエンジン構成要素の3つ目「Wクリア倍速」にも触れなければならないだろう。

 倍速駆動技術は液晶パネルの「ホールドボケ」が原因となる残像を低減するための常套手段として、いまや、多くの機種にて採用されてきているが、Wクリア倍速はシャープなりの発展形の倍速駆動技術になる。

 ホールドボケとは直前まで前フレームの映像を見続けた人間が、瞬間的に切り替わった次フレームを見たことで前フレームの知覚が脳に残ることで発生するもの。これを低減するために考案されたのが、前フレームと次フレームの間に算術合成したフレームを挟み込んで表示する「補間フレーム挿入技術」で、実質的にフレームレートを増加させ、現実世界の視界の「フレームレート無限大」に少しでも近づけてホールドボケを低減するアプローチだ。

 Wクリア倍速では、ボケが知覚されるのが主に輪郭付近であると言うことに着目し、その映像の輪郭に対し、補間フレーム生成の際に検出した動きベクトルに応じた輪郭強調を行なう。いってみればWクリア倍速は通常の倍速駆動に追加して、映像のボケが起こりうる箇所に対して適応型のインパルス駆動を行なうというイメージになる。

Wクリア倍速の動作ブロックダイアグラム

 実際にBlu-ray「ダークナイト」のオープニングのビル群の飛行シーンを見てみた。このシーンは単純な縦横スクロールではない、奥から手前への3Dスクロールのシーンとなるため、倍速駆動技術の善し悪しを推し量るのにとても有効なのだ。AQUOS DX2ではビルの細かい縦縞のモールド表現が振動せずスムーズに迫ってきている。ダークナイトは1080/24pソフトなので、このシーンのビルの輪郭の接近の動きにカクカクとした典型的なフィルムジャダーが知覚されやすいのだが、これもWクリア倍速の効果が素晴らしく、非常にスムーズになっている。Wクリア倍速の設定は「映像調整」-「プロ設定」-「QS駆動」の設定になるのだが、「アドバンス」設定がWクリア倍速モードに相当する。「強」設定ではピクセル振動が出ることがあるので活用するならば「標準」がお勧めだ。

 


■プリセット画調モードのインプレッション

【プリセットの画調モード】

 1,920×1,080ドットのJPEG画像をPlayStation 3からHDMI出力して表示した。撮影にはデジタルカメラ「D100」を使用。レンズはSIGMA 18-200mm F3.5-6.3 DC。撮影後、表示画像の部分を800×450ドットにリサイズした。
 
●標準

 コントラスト感、階調特性のベストバランスポジション。色温度も赤すぎず青すぎない調整で白は純白に近い。

 

 もっとも常用性に優れたモード。普段はこれでOK

 
●映画

 色温度がグッと低くなり、白に赤味が帯び始める。いわゆる典型的なシネマモード。階調特性は暗部の立ち上がりが早めで、暗部情報量を多く描き出したい思惑を感じる。人肌はしっとりとした味わい。「コントラスト感は標準」よりも抑えめ。

 

 人物主体の映画やフィルム時代の映画の視聴に適している。

 
●映画(リビング)

 「標準」と「映画」の中間設定的なチューニング。色温度は「標準」よりも若干下がるが気持ち赤味を帯びるだけで「シネマ」ほどではない。人肌は透明感が増し、「映画」よりもみずみずしく見える。

 階調特性は「標準」に近く、コントラスト感もそれなりに高い。最近のデジタル撮影された映画は「映画」よりもこちらの方がしっくり来る。

 
●ゲーム

 モード名の割にはとても普通な仕上がりの画調。見た目的には「標準」とよく似ているが、コントラスト感はやや抑えめ。目に優しいモードと言うことでバックライトパワーを抑えている印象がある。

 人肌の色乗りもよく透明感を感じる。モードの特質上、表示遅延の低減を狙い、ほぼ全ての高画質化ロジックがオフになっている(IP変換、フィルムモードは設定不可)。ゲーム機との接続時はもちろんのこと、ベースバンド映像の状態を確認したい時のモードとしても使い出があるはず。

 
●PC

 モード名の割に映像表示に合わせたチューニングになっている。色温度は青く飛ばさず、奇をてらわず純白にまとめている。階調特性は暗部を早めに立ち上げる「映画」モードっぽい特性になっているが暗部情報量とコントラスト感とのバランスは良好。発色は「標準」に近い印象。

 PCとの接続を前提としているので「ゲーム」同様、高画質化ロジックの多くがオフになっている(IP変換、デジタルNRは設定不可)。

 PS3とHDMI接続した時はHDMI階調としてリミテッド(16-235)モードが採択されていたAQUOS DX2だが、PCと接続したときにはちゃんとフル(0-255)モードが採択されていた。PCユーザーも安心だ。

 
●フォト

 最暗部から中暗部以下の立ち上がりを遅めにしており、全体的にコントラスト感を重視した画調。ただし明部のパワー感はある。コントラスト感と明部の情報量を際立たせるチューニングだ。

 全体的な発色傾向は「映画(リビング)」に似ている。人肌は透明感重視であまり赤っぽくしていない。色温度も赤すぎず青すぎずのベストバランス。モード名からすれば写真鑑賞用ということなのだろうが、あまり必要性を感じない。

 
●ダイナミック

 いわゆる典型的なシャープの「ダイナミック」モード。暗部をつぶし気味で輝度エネルギーの多くを明部描写に割り当てて、コントラスト感を際立たせることに情熱を注いだ画調だ。

 色温度は最高設定となり白は青みを帯び、人肌はかなり黄味を帯び始める。店頭で明るさを競うためだけのモードであり、家庭で使う必要性を感じない。

 

■ まとめ 〜1サイズ上の大画面DS6にするか、BD内蔵のDX2にするか

 こうしたオールインワンモデルは多機能性に走る関係で「画質は二の次」というスタンスの製品が多かったが、その意味では、AQUOS DX2は、最新世代の映像エンジンを内蔵したことで、画質性能も十分。今期AQUOSで画質が高評価なAQUOS DS6をリファインし、Blu-rayを内蔵させた全方位死角無しのAQUOSに仕上がっている。

 オールインワンで高画質、というコンセプトであるこの製品は、やはり、アナログテレビ製品からの買い換え派、デジタルAV初心者、それも出来るだけ全機能に対して上質を求めたい層にお勧めしたい。また、業界トップレベルの優秀な表示遅延の少なさを実現していることから、ゲームモニターとしての性能も十分である点も、強く訴求しておきたいと思う。

 ラインナップ中のお勧め機種だが、予算が許せばこのタイミングなのでフルハイビジョン(1,920×1,080ドット)モデルを推したいところ。となれば、40V型、46V型、52V型の3モデルになる。実勢価格でいうと、40V型のLC-40DX2が20万円台前半、46V型のLC-46DX2が32〜37万円後半、52V型が40万円〜46万円とばらつきがあるが、お買い得感で言えば今回評価したLC-40DX2ということになるだろう。

 なお、AQUOS DX2のBD無しモデルともいえるDS6シリーズは、同画面サイズ同士で比較すると、実勢価格でDX2に対して数万円安価になる。ある意味、最大の競合が兄弟機ともいえ、「一画面サイズ上のDS6か、画面サイズを我慢してBlu-ray付きにするか」……という判断を迫られることになる。ここはBDや録画の利用頻度などを考えて判断したい。

(2009年 10月 1日)

[Reported by トライゼット西川善司]

西川善司
大画面映像機器評論家兼テクニカルジャーナリスト。大画面マニアで映画マニア。本誌ではInternational CES他をレポート。僚誌「GAME Watch」でもPCゲーム、3Dグラフィックス、海外イベントを中心にレポートしている。映画DVDのタイトル所持数は1,000を超え、現在はBDのコレクションが増加中。ブログはこちらこちら。近著には映像機器の仕組みや原理を解説した「図解 次世代ディスプレイがわかる」(技術評論社:ISBN:978-4774136769)がある。


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