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第124回:International CES特別編

パナソニックの世界最大3D対応152型プラズマ
〜ソニーは3D有機EL、東芝は3D対応CELL TVを公開〜



 International CES 2010が現地時間7日より開幕した。編集部による総力レポートとは別に、大画面系、映像系、テレビ/プロジェクタ系の特報を、「西川善司の大画面☆マニア」として順次レポートしていく。


■ Panasonicの世界最大152型PDP。3Dにも対応

 米Panasonicブース中央では152型のプラズマを公開しており、多くの来場者の視線を集めていた。

パナソニックブース。多くの来場者が集まっている
 この152型PDPは、解像度が4,096×2,160ドット(4K2K)の正方画素系で、アスペクト比は業務用シネマ向け映像機器の規格であるDCI(Digital Cinema Initiative)で規定された17:9となっている。いわゆるフルHDの縦横2倍のQFHD(3,840×2,160ドット)ではない。

 2年前のCESで公開された150型のPDPと解像度が同じだが、2インチ分大きくなり、世界最大画面サイズ競争においてはパナソニックが自らの記録を更新したことになる。

 2年前の150V型PDPはパネル世代的にはPZ750と同世代と推測されたが、今回の152型は、この春より製品がリリースされる3D対応のものと、同等世代のPDPとなっている。

 黒浮きの原因となる各画素の予備放電をさらに低減させ、コントラスト比は500万:1を誇る。また、新蛍光体の採用で発光効率は2007年世代パネルと比較して4倍へと向上。これは同一輝度への到達時間が4倍に早められたことに相当し、さらに、発光減衰時間も従来比の3倍に早められた。つまり、早く光って早く消えるという理想的な短残光特性を実現したということだ。これはフレームシーケンシャルな3D表示には最適な特性と言うことになる。

 そう、この152型PDPは、3D対応のポテンシャルも有しているのだ。パナソニックブースには、この152V型PDPを用いた特設3Dシアターも設けられ、立体視デモまでもが体験できるようになっていた。

フルHDの4倍よりも左右に解像度が広い4K2Kに対応する152型PDP

 気になるのが4K2Kの3Dなのか……ということだが、結論から言えば「そうではない」とのこと。152型PDPのポテンシャル的には4K2Kソースの立体視も可能なのだが、CESの特設3Dシアターでは、4K2Kパネルを使ってのフルHD 3Dにとどまっていた。理由は「4K2Kのフレームを左眼用毎秒60コマ、右眼用60コマで安定伝送する3D再生システムがないから」とのこと。

 なお、同PDPの民生向け商品展開は予定されていないとのこと(型番も与えられていない)。今回はあくまで技術展示、コンセプト提案展示だということが強調されていたが、関係者によれば、ハリウッドをはじめとした映像製作のプロフェッショナル用機材としての商品化は想定されているという。ただし、価格や発売時期は未定だ。

アスペクト比は17:9
4K2Kのデモ映像は2Dのみ。3Dシアターでは4K2KパネルにスケーリングしたフルHD映像の3Dを上映していた


■ 3D対応になった第二世代CELL TV

 東芝ブースは、昨年のCEATECとイメージの近いCELL REGZA(北米ではCELL TV)一色のブース展開となった。

 日本に続き、北米地区でついに市場投入されるとあって、これを全面に押し出した格好だ。話が前後するが、北米に投入される「CELL REGZA」は、名称を「CELL TV」としている。米国市場では「REGZA」など、テレビ向けのサブブランドが他社を含めてあまり浸透していないことが理由だそうだ。

東芝ブースはCELL TV一色だ プレスカンファレンスで示されたCELL TVの位置づけ

 北米版での発売時期は2010年秋となる見込みで、日本では55型1機種展開だが、北米では65型が投入され、2機種のラインナップとなる見込みだ。欧州では小さいモデルが追加され、46型と55型の2機種となる。

リアル4倍速駆動×バックライトスキャンによる480Hz駆動相当に対応する
 正式に東芝からのコメントはないが、この欧州/北米モデルは、日本のCELL REGZAの次期モデルに相当するようだ。よって、以降の内容は、北米向け製品の仕様だが、「次の日本版CELL REGZAの仕様予測」と読み替えても良いかもしれない。

 北米向けCELL TVのトピックは、3D対応であること。方式はフレームシーケンシャル(左右の眼の映像を交互に表示する方式)で、アクティブ液晶シャッター付きメガネをかけて観るタイプとなる。そのため、液晶パネルも日本版CELL REGZAより世代が新しく、4倍速/240Hz対応になっている。240Hz駆動はリアル240Hz駆動で補間フレームが2枚挿入される方式。これにバックライトスキャンを組み合わせて疑似インパルス駆動をかませ、「480Hz相当の残像低減」を謳う。


65型モデルの表示

512ブロックのエリア駆動対応
 バックライトは白色LEDの直下型を採用し、表示映像の輝度分布に適応しつつ最大のダイナミックレンジを得るためのエリア駆動に対応する。エリア駆動は512ブロック単位での制御となり、これは日本版CELL REGZAと同じだ。なお、今回、512ブロックエリア駆動が1ブロックあたり3×3LEDであることを公開したことで、北米版も現行の日本版も55型は4,608個もの白色LEDをレイアウトさせていることが判明した。この個数は65型、46型では変わる可能性がある。

 なお、各白色LEDが何ビットの階調制御なのかは公開されていないが、ダイナミックコントラスト値は900万:1を実現しており、公称スペックとして1,000cd/m2以上のピーク輝度を謳う。


拡散版を外した直下型バックライトのエリア駆動の様子 バックライトのみを近接撮影したところ
実際の製品版(右)と、エリア駆動される白色LEDのむき出し状態(左)の比較

 3D表示は左右眼120Hzずつのフレーム表示となるが、左右の映像それぞれに補間フレームを入れて表示させるかどうかは未定だという。いずれにせよ、Wスキャン倍速(バックライトスキャン)は組み合わされるという。

 3D対応テレビとなると、気になるのは表示する3Dコンテンツだ。北米版CELL TVでは、この春から本格的な提供がスタートする3D Blu-rayソフトに対応するという。RealD方式の3D放送も表示コンテンツになると思われる。また、これ以外に、CELLパワーを用いてのリアルタイムに映像を2D-3D変換できるというのも、大きく訴求されている。

 この変換機能は、補間フレーム生成の際に算出するピクセル単位の動きベクトルを深度値に変換するアルゴリズムをベースとしている。たとえば2つのフレーム間で、あるピクセルが大きく動いたとすれば、それは視点から近い位置と仮定する。逆に小さく動いたとすればそのピクセルは遠方にあると仮定する。これは3Dグラフィックスにおいて、カメラ・モーションブラーを生成する際にも用いられる定番アルゴリズムだ。

 東芝ではこの基本アルゴリズムを拡張し、CELLパワーを用いて、映像の内容について認識を行なうような、適応型の遠近認定処理を組み合わせているようだ。

リアルタイム3D変換機能の効果は意外に高い
 ブースでは実際に、2Dコンテンツを3Dにリアルタイム変換した映像を見せており、筆者もそのデモを体験したが、期待以上に効果が高いと感じた。過度に前後関係を強調しない自然な立体感で、特に奥行き方向に突き進む映像で効果が大きい。手持ちの2D映像ソフトの立体感具合をいろいろ試すだけでも相当楽しい機能だ。

 ただ、関係者によれば、この3D変換機能は、日本版次期CELL REGZAに搭載するか否か、微妙だという。というのも日本では映像の著作権者への許可ない変換(この場合は3D変換)行為は恣意的な編集と捉えられるからだそうだ。とはいえ、ここは折り合いを付けて是非とも搭載して頂きたいところ。

 現行の日本版CELL REGZAユーザーが気になるのは、初代機がファームウェアアップデートなどで、3D表示に対応できるのかという点だろう。これについては「未定」という返答が東芝のプレスカンファレンスでは出されている。ただ、筆者の取材によれば「技術的に不可能ではない」という関係者もおり、ユーザーからのリクエスト次第によって対応が変わるかも知れない。この点についてはユーザーは、今後、注目して欲しい。

 また、今回のCESでも、将来に向けた機能としてジェスチャー入力対応の3Dメニューがデモされていた。昨年のCEATECで公開されたものよりも認識精度がさらに向上したそうで、「製品実装に向けてさらに完成度が上がった」としながらも、「今年の北米版CELL TVには搭載されずその先になるのではないか」という慎重な見込みも示された。また、ブース内では4K2Kパネルを用いた、CELL TVの未来像も展示されている。

3Dジェスチャーインターフェイス 4K2Kタイプのデモ。フルHD映像を超解像処理を通して4K2Kパネルで表示している。左が処理前、右が処理後
こちらも4K2Kでの超解像比較。左が処理前のフルHD、右が処理後

 このほか、北米版CELL TVでは、ディスプレイ部とインターフェースボックス部とのワイヤレス接続や、ビルトインWi-Fi、ビルトインDLNAサーバー機能、USB映像再生、テレビ電話機能、SNS機能やネットテレビ/VOD放送局への対応、といった搭載機能が紹介されている。なお、北米版CELL TVでは、マルチテレビチューナーやタイムマシン録画機能は省略されており、、ここは日本のCELL REGZAと大きく異なっている。これは、北米では「地上波放送を録画して保存する」という文化が浸透していないためだ。

 そのため、日本で録画用に使われている1TB+2TBのHDDは、北米版CELL TVでは1TBとなり、メディアサーバー用として活用。2TB HDDの代わりに、Blu-rayプレーヤー(再生専用機)が採用されている。

こちらは日本の現行CELL REGZAにアップデートにて提供予定の、低ビットレートのネット映像に適応できる超解像機能「Net Resolution Plus」のデモ。左が使用前、右が使用後


■ モノリシックデザインの新BRAVIAの秘密(1)

ソニーのブース

 ソニーがCESで、一枚板のようなモノリシックデザインを採用した新BRAVIAとしてLX、HX、NX型番を発表したのは既報の通りだが、ここでは、少々突っ込んだ情報をお届けしよう。担当者によれば、北米よりも日本への投入が先となり、CESで展示されているものと、およそ同じ仕様のモノが日本でも投入されるという。

 まず、LX、HX、NXの各ラインナップの共通仕様だが、パネル解像度は1,920×1,080ドット。バックライトは白色LEDをパネル外周に仕込んだ、エッジライトタイプだ。

 外観上の最大の特徴は「モノリシックデザイン」と命名された、表示面を完全フラット化してベゼル部との凹凸を完全に無くした造形にある。デザインのコンセプトは「電源を落としたときに完全な一枚板に見える」だそうで、これが「一枚岩の巨石」の意があるMonolithを語源としてモノリシックデザインと命名されたようだ。

LX900 HX900

バー状の設置台に乗せたNX800
 商品セットに含まれるスタンドは、一見普通の左右首振り機構付きのものだが、非常に背が低い。他社製品ではスタンド部から高い位置にディスプレイ部があるが、デザインとして不安定な印象を与えるのではないかと考え、ディスプレイがそのまま接地しているかのようなデザインにしたのだという。

 背が低いということは、通常の設置台に置くと、ディスプレイの位置も低くなってしまう。対策としてBRAVIAには、標準スタンドにディスプレイ部を最大6度の上向きに固定できる機構が付いている。ちなみに「ソファに座り、やや低い視線で楽に観られる」というのがモノリシックデザインの一大コンセプトなのだとか。

 なお、標準の背の低いスタンドとは別に、純正オプションで「ぶんちん」のような凹型溝を持つバー状の設置台も用意されている。このスタンドでは、左右の首振り機構はなくなるが、0度から上向き6度までの仰角は与えられるようになっている。また、スピーカー開口部がバースタンド側にめり込んでしまうが、出力サウンドは、ちゃんとバースタンド側から出るようなデザインになっている。

設置面に対して直角、視線に対して0度の設定から仰角約6度の上向き設置までに対応する 仰角6度として低い位置に設置し、視聴者はこれをおろし気味視線にてみるのがモノリシックデザインBRAVIAの奨励される視聴スタイル


■ モノリシックデザインの新BRAVIAの秘密(2)

 外観がほぼ同じLX、HX、NXだが、実は細かく見ると各モデル間で仕様が異なる。最上位がLXで、画面サイズは60/52/46/40型(XBR-60LX900/52LX900/46LX900/40LX900)のバリエーションが存在する。

 LXは240Hzの4倍速駆動に対応し、高速応答性を活かしてフレームシーケンシャル方式の3D表示に対応する。3D用の同期機構がビルトインされており、さらに2セットのアクティブシャッター式メガネも付属する。

 この他、ビルトインWi-Fi、BRAVIAインターネットビデオとウィジェットへの対応、DLNA対応などのフィーチャーがあり、映像エンジン世代は「ブラビアエンジン3」を搭載する。

 その次に来るのがHXで、画面サイズは52型と46型(XBR-52HX900/46HX900)。こちらも240Hzの4倍速駆動に対応し、フレームシーケンシャル式の3Dに対応。しかし、3D対応機能は別売の形で提供されるという。また、担当者によれば「エッジLEDバックライトを採用しながらのエリア駆動を実現している」とのことで、この部分は画質面ではLXを凌駕する部分となる。Wi-Fi機能は別売でUSB経由、そのほかの主な機能はLXと同じだ。

LX900は3D表示機能が標準搭載 900型番は同モノリシックデザイン採用機であっても、液晶パネルと表示面側ガラスとの隙間が小さく、これを透明樹脂で埋めているため、映像の解像感が良好

 HXにはさらに800型番が存在する。バリエーションとしては55型/46型/40型(XBR-55HX800/46HX800/40HX800)があり、エッジ白色LEDバックライト採用&エリア駆動採用といった基本的な画質面、3D対応などの機能面は前述の900型番と同じ。しかし、パネル表示面の加工が異なっている。

 具体的には、液晶パネルとモノリシックデザインを形成する表示面側のガラス面との隙間が大きめで、さらにこの部分が中空となっている。900型番では、液晶パネルが表示面側のガラスに限界まで近づけた実装になっていてギャップが小さく、さらにこのギャップを透明樹脂で埋め込んで中空部分光拡散やフォーカス力低下を防いでいる。

 実際に映像を見てみると、同じHXシリーズでも画質面でHX900とHX800では結構違うことがわかる。HX900の方がHX800と比較してコントラスト感が高く、画素描画もクリアに見える。映像を斜めから見た場合の画質は、液晶パネルと表示面側ガラスとの隙間の大小が特に効いてくるようで、違って見える。ここは選択の際の大きなポイントとなりそうだ。

こちらも液晶パネルと表示面側ガラスとの隙間が小さく、これを透明樹脂で埋めている。同じモノリシックデザイン採用機でもこれは900型番だけの高画質 HX900は立体視システムが別売り。エッジ白色LEDバックライト採用機ながらバックライトのエリア駆動に対応しているのが特徴

 LX、HXは2010年夏発売予定だが、3D対応を省略したモデルとしてNXがモノリシックデザイン採用BRAVIAとして先行して2010年春に発売が開始される。NXシリーズはバリエーションとしては、「KDL-60NX800」(想定価格4,600ドル)、「KDL-52NX800」(同3,400ドル)、「KDL-46NX800」(同2,800ドル)、「KDL-46NX700」(同2,600ドル)、「KDL-40NX700」(同2,100ドル)がラインナップされる。

 ビルトインWi-Fi、BRAVIAインターネットビデオとウィジェットへの対応、DLNA対応などのフィーチャーがあり、映像エンジン世代はブラビアエンジン3の搭載など、3D対応していない以外は、最上位のLXに肉薄するものとなっている。NX800型番とNX700型番との差異はパネル世代で、800型番は240Hz対応、700型番は120Hzまでの対応にとどまる。

NX800シリーズ。今春発売の3D未対応タイプ 表示面に近づいて斜めから撮影してみた。パネルと表示面ガラスの隙間が結構ある


■ ソニー、3D有機ELディスプレイを展示

 ソニーはほかにも、技術参考展示として有機ELを用いた3Dディスプレイの試作機を展示している。サイズは24.5型。解像度は1,920×1,080ドット。パネルの薄さは約7mmで、パネルタイプとしては、従来のスーパートップエミッション方式を採用しているというが、世代については非公開とのこと。

 3D表示方式はフレームシーケンシャル方式を採用。有機ELは液晶に対して応答速度的に圧倒的に優れるため、フレームシーケンシャル方式で問題となる反対側の眼用の映像が見えてしまうクロストーク現象を理想的に抑えられるメリットがある。

24型フルHDの3D有機ELも技術展示

 今回の試作機では、各片側の眼用の映像を表示した後は、すぐに黒挿入を行なっているそうで、これがクロストーク低減とクリアな立体視実現の鍵になっているという。

 実際に映像を見てみたが、非常に明るくクリアな立体像が体験できた。通常、フレームシーケンシャル方式では、左右の眼用のシャッターを交互に開閉するために、単位時間あたりに目に入射する光は半分になってしまう。これに対し、有機ELは十分なピーク輝度を持っているため、この弊害を感じさせない。

 今回の展示は製品化を想定したモノではないとのことだが、有機ELと立体視は案外相性が良いかもしれない。有機ELテレビは2007年末にソニーが発売した「XEL-1」以来、新製品が出ておらず、次世代機への期待感は高まっている。有機ELテレビの2世代目は3D対応になるのだろうか? 今後の展開に期待したい。

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http://av.watch.impress.co.jp/docs/news/20100107_341009.html

(2010年 1月 8日)

[Reported by トライゼット西川善司]

西川善司
大画面映像機器評論家兼テクニカルジャーナリスト。大画面マニアで映画マニア。本誌ではInternational CES他をレポート。僚誌「GAME Watch」でもPCゲーム、3Dグラフィックス、海外イベントを中心にレポートしている。映画DVDのタイトル所持数は1,000を超え、現在はBDのコレクションが増加中。ブログはこちらこちら。近著には映像機器の仕組みや原理を解説した「図解 次世代ディスプレイがわかる」(技術評論社:ISBN:978-4774136769)がある。


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