西川善司の大画面☆マニア

第192回

40型4Kで最高のパーソナル4Kモニターに「REGZA 40J9X」

PCもゲームも4K! パーソナルTVならではの4Kの可能性

 4Kテレビラインナップの拡充に力を入れる東芝。今期の東芝REGZAの4Kモデルは、40型、50型、58型、65型、84型という幅広いサイズ展開を実施。競合メーカーが大型モデル中心に展開するのとは対照的だ。これは、4Kテレビに関心を寄せるユーザー層が広がったことに対応するためだ。

 特に今期の4K REGZAでホットトピックとなっているのは、競合メーカーが未だ手を付けていなかった40型モデルの40J9Xだ。

40J9X。狭額縁設計で意外にコンパクト。スタンド部もせり出し感がなく省スペース
40J9XとZ9Xシリーズ

 これまで4Kテレビは「リビングに置く、家庭で一番"エライ"大画面テレビ」として訴求されてきた。

 その意味で40V型は明らかに異質な存在である。そのため東芝でも50〜84型はREGZA Z9Xシリーズとして展開しているが、40J9XはZ9Xとは別のJ9Xシリーズと位置づけている。

 これは、昨今でにわかに大きくなってきた「パーソナルユース向け4Kテレビ」を求める声に応えるため。

 そうしたユーザー達は「4Kテレビとして使える4Kディスプレイ」を求めている。実際、2013年後半以降、PC向け4Kディスプレイ製品が登場するたびにPCユーザーは大きな関心を寄せてきた。

 40V型4K REGZAの40J9Xは、実勢価格で25万円前後。最安値では20万円を切るショップも出てきており、4Kディスプレイ製品としてみても安い。実際にはREGZAとしての4Kテレビ機能まで搭載されているわけだから、コストパフォーマンスは圧倒的である。

 今回はいつもの「大画面☆マニア」とはちょっと視点を変えて、この40J9Xを、そうした4Kディスプレイを欲するユーザー視点で紹介していきたいと思う。

テレビとしての40J9X

リモコンは今期REGZAから新デザインのものが採用された

 まずは、40J9Xの「テレビ製品」としての基本的なスペックから見ていこう。ディスプレイ部の外形寸法は91.8×6.7×55.0cm(幅×奥行き×高さ)、画面サイズは88.5×49.8cm。いわゆる狭額縁設計で左右と上部の額縁幅は実測で約14mm、下辺は突起部を除けば約18mmだ。

 液晶パネルは3,840×2,160ドットの4K解像度のVA型(垂直配向)液晶を採用する。比較的、安価な4KディスプレイがみんなTN型(ねじれネマティック)液晶を採用しているのに対し、40J9Xは、暗部階調特性に優れたVA型液晶を採用しているのがポイントだ。

 VA型液晶は、IPS型液晶と比較して視野角依存の色調変位があると言われるが、正面付近の視位置ではそれも問題にならない。パーソナルユースを想定するならば、むしろ、IPS型液晶よりもVA型液晶の方が暗部階調特性に優れる分、ディスプレイ的活用には向いていると言える。また、VA型の方が応答速度的にはIPS型よりも速い分、動画性能的には優れている。

大画面感、高解像感、一望感の全てを併せ持っている

 スタンド部は53.0×17.0cm。大型サイズのテレビとは違い、スタンドがあまり前後に突き出ていないので、机の上でもコンパクトに置ける。それこそ、ディスプレイ部の近場にキーボードなどを置く事すらできる。スタンドの背は低くブルーレイパッケージ4本分程度の厚み程度。なので、デスクトップに設置した際は、目の位置は、40J9Xのやや上側に来ることになる。

スタンド部にチルト(傾き)・スイーベル(首振り)機構はなく固定式なので、こうしたデスクトップ設置時の視位置関係に配慮するならば高さ調整や傾き調整は欲しかった気もする
背面
側面。厚みはそれなりにある

 バックライトは、現行の40型サイズモデルとしては唯一ともいえる直下型白色LEDバックライトシステムを採用する。狭額縁の関係で、最外周四辺の5mmほどが若干暗いくらいで、それ以外の輝度均一性は良好だ。

このクラス唯一の直下型バックライトシステム採用機。40J9Xの最大輝度は500cd/m2

 さて、改めていう必要も無いだろうが、40J9Xはテレビ製品だ。テレビとしても、REGZA Z9Xに迫るものを備えている。地上デジタル放送チューナは3基、BS/CSデジタル放送チューナは2基搭載されていて、このうちの2チューナ分の放送をUSB接続したHDDにダブル録画できる。最大対応容量は1台のHDDあたり4TBで、最大4台同時接続にまで対応する。

 なお、Z9Xシリーズとの違いは、設定した日数分を全チャンネル録画する「タイムシフトマシン」機能が省かれていること。録画関連機能で言えば唯一差が与えられている部分である。録画したコンテンツに対し、クラウド情報を応用して楽しむ「TimeOn」機能は搭載している。

 定格消費電力は230W、年間消費電力量は150kWh/年。直下型バックライトシステムを採用している関係で同画面サイズのテレビと比べると若干高めではある。ただ、その分、輝度スペックは高く、満足度は高い。

地デジや映画BDもREGZAの4K画質で

 PCディスプレイ的に活用してみると視距離50〜60cmのところにある40J9Xは、視距離2mのところにある55型よりも大きく見える。先ほど「PCディスプレイとして使うに十分な大きさ、大きすぎない」と述べたが、この視距離だと大画面性も損なわれていない。地デジなどの放送を視聴する場合も、2Kのテレビをリビングなどで離れて観るとの比べて迫力があり、近距離からの視聴にも耐える。

 となれば、映画やアニメを見たくなるもの。

色域を向上

 40J9Xの基本画質性能を評価するために実際に、実写映画「ダークナイト」とアニメ「星を追う子ども」を40J9Xで見てみた。

 発色は良好。REGZA Z9Xと同じ世代の広色域液晶パネルを採用しているため、赤、緑、青といった純色の鋭いばかりか、中間色表現も豊かだ。ハイビジョン色域とされるITU-R BT.709(sRGB相当)の「標準」モードも搭載しているので、オリジナル志向の画質も楽しめるが、新搭載の「4K広色域復元」モードでは、sRGB領域で自然に見えるところはそのままに、色域圧縮が起きているとおぼしき箇所だけを復元するために、「色が鮮やか」というよりは「リアルに見える」方向性の色再現をしてくれている。

「色域設定」を「色域復元」にすると、広色域液晶パネルの色域をフルに使うモードとなる
色域設定=標準
色域設定=色域復元。写真はsRGBで撮影されてしまうため差異はほぼ消失してしまっているが、実際にはこの紫の床のグラデーションがリアルに再現されていた

 この「4K広色域復元」は、PCディスプレイ的にデジタル写真を表示した際にも恩恵がある。実際に自分で撮影した情景を表示した場合、「標準」色域でも違和感のない表示なのだが、「色域復元」設定にすると途端にリアルさが増し「たしかにこうだった」という記憶が甦る。こうした機能は一般的なPCディスプレイにはないだけに重宝することだろう。

 REGZAと言えば超解像技術をテレビに持ち込んだ元祖的メーカーだ。40J9Xにも、最新のREGZA超解像技術が搭載されており、「陰影強化しました」感のようなわざとらしさもなく自然、まさに熟成画質といった風情。1ピクセルごとに超解像レベルを適正化する高度な適応型アルゴリズムが走っている恩恵もあって、元々ボケている箇所を先鋭化してノイジーにすることはないし、微細表現を視力が良くなったように見せてくれる。

絵柄解析・再構成型超解像技術について

 前出の「色域復元」の相乗効果もあってか、「微細テクスチャ復元」と呼ばれる質感表現に関連する超解像処理は陰影ディテールだけでなく色ディテールの表現力も高まっている。

 基本的に40J9Xの高画質化機能の大半は最新世代の4K REGZAであるZ9Xと同等なのだが、特定部分においては機能差異が与えられている。

 それがエリア駆動について、だ。

 84Z9Xを除く全てのZ9Xは、40J9Xと同じ直下型白色LEDバックライトシステムだが、Z9Xの方は、映像中の明暗分布に連動して部分的に白色LED輝度の明暗を制御する「エリア駆動」(ローカルディミング)に対応している。40J9Xは、直下型白色LEDバックライトシステムを採用しながらもこの機能は省略されているのだ。なので、明暗差の激しい映像におけるコントラスト表現などはZ9Xに一歩譲ることになる。実際、「ダークナイト」のチャプター17のダンスクラブ内のシーンはリズムに合わせて照明が明滅するのだが、40J9Xでは、上下の黒帯部分の黒浮き具合がその明滅に併せて変化していた。ただ、明暗差の少ない安定的に暗い夜や間接照明のシーンなどでは、VA型液晶の安定した暗部表現力の恩恵もあって、暗部情報量力とコントラスト表現力はうまく両立できている。

 階調表現や輝度格差などを現在の映像信号規格内に圧縮している映像のダイナミックレンジを復元する「ハイダイナミックレンジ復元」機能はZ9Xにおいては、エリア駆動の性能を効果的に活用した映像表現を実践する。ところが、エリア駆動に対応しない40J9Xにも「ハイダイナミックレンジ復元」機能は備わっているのだ。

ハイダイナミックレンジ復元
40J9Xでの「ハイダイナミックレンジ復元」の振る舞い。エリア駆動がないので光を絞る方向で実現しているのが写真でもわかる

 ただ、Z9Xと40J9X、両者のハイダイナミックレンジ復元は映像の描き出し方が微妙に違う。Z9Xでは映像中の明るい箇所はLEDをブーストさせてよりきらびやかな表現を行うのだが、40J9Xでは、バックライト輝度はフレーム単位で明暗制御し、映像中の最明部を維持する形で、暗部の画素駆動を絞るような描画を行なう。わかりやすく言えば、Z9Xでは暗さ方向制御と明るさ方向制御の双方でハイダイナミックレンジ表現をするが、40J9Xは暗さ方向制御のみでハイダイナミックレンジ表現を行なうイメージだ。

 たしかに、暗室で視聴するならばこの差は大きく感じられるだろうし、暗いシーンの黒浮き量などにおいても違いが見られるかも知れないが、それなりの明るさの部屋で視聴する場合には大きな差異は感じない。PCディスプレイ的に活用する場合も同様だろう。

「映像メニュー」(画調モード)の一覧

 さて、映画やアニメを見る際の画調モードだが、定石的なオススメは「映画プロ」ということになるのだが、40J9Xでは、マスターモニターモードと呼ばれる映像制作現場のリファレンスモニター画調を模したモードを備えているのでこれを選択するのもいい。

 マスターモニターモードには「モニターD93」と「モニターD65」の2つがあるが前者は色温度9300Kのモード、後者は同様に6500Kのモードになる。具体的な活用方針だが、色温度9300Kモードは日本の映像制作現場でよく使われるモードで、後者はハリウッドなどで使われるモードになる。よって、「モニターD93」はドラマなどを初めとした日本のビデオコンテンツ向けで、「モニターD65」は洋画を初めとした映画コンテンツ向けに組み合わせるといいだろう。

 アニメなどは、色鮮やかな表現の方が見ていて楽しいのでコンテンツモードを「アニメ」に設定した上で画調モードは「あざやか」を選択してもいいと思う。

 実際、「星を追う子ども」をこのモードで見たところ、陽光に照らし出される自然の風景が、非常に伸びやかな輝度表現で楽しめた。40J9Xはエリア駆動はなくても直下型白色LEDバックライトなので、絶対的な輝度パワーは凄く高いので「あざやか」は彩度が高いだけでなく、明るく立体的に見えるのだ。

40J9XでPCゲームを4K/60Hzでプレイする! 2,560×1,440ドット対応の魅力も

 パーソナルモニターといえば当然考慮に入れたいのがPC。そもそもPCと40J9Xとの接続はどのように行なえばいいのか。基本的には4系統あるHDMI入力端子をメインに活用する。PC、そしてゲーム機との接続においてもこのHDMIを利用することになる。

背面の接続端子パネル
側面の接続端子パネル

 4系統あるHDMI入力は全てHDMI 2.0対応で4K/60Hz(60fps)の入力に対応している。x.v.Color、DeepColor、3D立体視、CECと言った主要機能にも全て対応する(ARCはHDMI1のみ)。うち、HDMI3のみHDCP 2.2対応で、デジタル4K放送チューナを接続するにはHDMI3の利用が必須条件となる。それ以外のHDMI端子はHDCP 1.4対応止まりであるため、従来のブルーレイ機器等の接続までの対応となる。PCとの接続では40J9XのHDMI入力のどの端子を利用しても問題がない。

40J9Xは4本のHDMIケーブル接続で4K/60Hz表示を実現するインターフェースボックス「THD-MBA1」にも対応。ただ、約20万円と高価で、一般の消費者にとってはあまり現実的なソリューションではない
THD-MBA1との接続用の専用端子

 ただ、現状、PC向けのグラフィックスプロセッサ(GPU)はHDMI2.0出力に対応しているものが殆どない。PC向けGPUは、現状は「4K/60Hz出力はDiplayPortで」というスタンスなので、RADEONもGeForceもHDMI端子は「HDMI1.4までの対応」というものが支配的なのだ。

 HDMI 1.4対応までということになると、4K出力は30Hz(30fps)までか、あるいは60Hz括りでいけば2,560×1,440ドット程度までの出力になる。

 ただ、最近、NVIDIAは、輝度情報(Y)だけを4Kフル解像度で出力し、色情報(色差:CbCr)をフルHD相当で伝送する「YUV=4:2:0の4K出力」をβ版ドライバ(GeForce 340.43 Driver BETA)でサポートした。これは、HDMI 1.4規格内でも60fps出力できるフォーマットになる。「YUV=4:2:0」は、ブルーレイやDVDなどの映像ソフトの多くで採用されているが、文字情報のようなドット単位のディテール情報の多いPCのデスクトップ画面では色解像度不足で偽色が出やすい。

 ただ、最近の実写テイストのリアル系グラフィックス主体のゲームであれば、気にならないかも知れない。そこで、今回はNVIDIA GeForce GTX780Tiを用いて、このYUV=4:2:0出力による4K-PCゲーミングを楽しんでみることにした。

 まず、大前提としてGeForce GTX780Tiで4K/60Hzするための準備だが、特に難しいことはない。

 前述したベータ版ドライバをインストールし、NVIDIAコントロールパネルの「解像度の変更」メニューから「解像度」を3,840×2,160ドットの4Kを選択し、「リフレッシュレート」を「60Hz」に選ぶだけだ。Windows 8の「画面の解像度」のプロパティの「詳細設定」階層下の「モード一覧」から選んでもいい。

NVIDIAコントロールパネルからの「YUV=4:2:0」モードの4K/60Hz出力設定
Windows 8の「画面の解像度」からも設定が可能

 正しく、4K/60Hz表示が出来ているかどうかは、40J9Xのリモコンの[画面表示]ボタンを押して出るステータス表示で確認するといいだろう。

RGB出力による4K/30Hz表示時
YUV=4:2:0出力による4K/60Hz表示時。エッジ部に若干に違いが見て取れる
HDMI 1.4のGeFocre GTX780Tiで4K/60Hz出力に成功。ただし、出力フォーマットはYUV=4:2:0

 実際に、この4K/60Hz接続状態でプレイしたのはUbisoftの「アサシンクリードIV・ブラックフラグ」だ。アサシンクリード・シリーズは、暗殺者の遺伝子記憶を巡る壮大なアドベンチャーゲームで、第4作となるこの作品は大航海時代を生きる海賊達がテーマとなっている。

 いちおうGeForce GTX780TiはウルトラハイエンドクラスのGPUなのだが、グラフィックスオプションを最高位に設定してプレイすると20fpsくらいが限度。さすがに800万ピクセルのリアルタイムレンダリングは負荷が高いようだ。グラフィックス設定レベルを下げていくと30fps程度にまで上げることが出来た。この他、「Need for Speed Rivals」や「BATTLEFIELD4」のPC版もプレイしてみたのだが、ほぼ同様の結果に。

アサシンクリードを4Kでプレイ中

 現状、ウルトラハイエンドクラスのGPUでも、単一GPU環境では、グラフィックス設定を最高位にした場合は、60fpsに届かないようだ。逆に言えば、単一GPU環境では、無理にYUV=4:2:0出力にこだわらず、HDMI 1.4でもフル解像度出力可能な4K/30Hz出力でもよいのかも知れない。

 GeForce特有のYUV=4:2:0の表示の品質はゲームをプレイする限りでは偽色も感じず、十分にリアル4K感は味わうことが出来た。

 ちなみに、解像度を3,840×2,160ドットの4Kではなく、2,560×1,440ドットにして見たところ、40〜60fpsくらいまでに上がることを確認した。

2,560×1,440ドットの60Hz出力ならばHDMI 1.4でも行える。PCゲームはこの解像度でプレイするのもお奨めだ

 この「HDMI接続による2,560×1,440ドット対応」は、筆者が昨年から東芝にリクエストしていた機能の1つで、現行のテレビ製品ではREGZA Z9Xと40J9Xしか対応していない。

 2,560×1,440ドットは、PCゲームでは「フルHD+α」解像度として人気が高いわけだが、Z9Xと40J9Xではこれを超解像処理付きで4K画面にフル表示することができるのだ。単一GPU環境では、無理して4K出力をせず、2,560×1,440ドット出力した方が、高解像感とフレームレートのベストバランスなゲームプレイができるかもしれない。

40J9Xは最強のゲームディスプレイか〜倍速駆動対応で業界一の低遅延性能

 元々、REGZAは国内テレビメーカーとしては最も早くからゲーム用途に特化した機能を搭載してきた経緯がある。その集大成とも言えたのがREGZA ZP2シリーズで、発売当初はテレビ製品としては業界最速の遅延時間3ms(60fps時で約0.2フレーム相当)を実現していた。その後、ソニーのBRAVIA W650Aが「60fps時で約0.1フレーム相当」を謳い、事実上、ZP2の上をいくことになったが、まぁ、約0.1フレームも約0.2フレームも実用上は誤差レベルの違いでしかないし、こうした低遅延ブームが起きたことはゲームファンにとっては良かったと思う。その意味でREGZAの行なってきた功績は大きい。

 さて、そんなゲームとの深い関係性を持つREGZAだが、今季のZ9Xとこの40J9Xは、REGZA ZP2に相当するイノベーションを再び業界やゲームファンに提供するのではないかと思っている。

 かつての業界最速REGZA ZP2も、BRAVIA W650Aも、倍速駆動には対応していない。

 倍速駆動に対応するテレビでは、残像低減のために過去フレームと現在フレームの相関を求めて補間フレームを算術合成するプロセスが処理パイプラインに含まれる。通常は毎秒60コマで表示される映像を、算術合成した補間フレームを間に挟み込んで表示させて毎秒120コマの映像表示を行なうのだ。

新ゲームモードの映像処理について

 40J9Xの低遅延モード「新4Kゲーム・ターボ」モードの「ゲームダイレクト」モードでは補間フレーム合成は省略されるのだが、倍速駆動テレビでは、補間フレーム合成をしないときにでも、やってきた映像は処理フレームバッファに溜められる。その溜められる期間は理論値で1/120秒(8.33ms)だ。すなわち、倍速駆動テレビでは理論的に最短でも表示遅延時間が8.33msということになるのである。

 40J9Xでは、この理論値に迫る約10msの遅延時間を達成。60fps時でいうところの約0.6フレーム遅延に収めているのだ。これは倍速駆動テレビでは業界最速の値だ。0.6フレーム遅延は、ZP2の0.2フレームには及ばないが、依然1フレーム未満であり、実際のプレイにおいても「ほぼ遅延なし」と言っていいレベルだ。

 実際、今回、PlayStation 3(PS3)で「ストリートファイターIVアーケードエディションVer.2014」をこのゲームモードでプレイしてみたが、一切のもたつきは感じられず、快適にプレイできた。

 そして、今回、筆者がさらに特記したいのは、補間フレーム挿入ありのゲームモード、「ゲームスムーズ」だ。

「ゲームダイレクト」は補間フレームなしの低遅延モード。「ゲームスムーズ」は約1フレーム遅延が発生するが、補間フレームありで映像が滑らかになる

 40J9Xではこの「ゲームスムーズ」モード時でも公称遅延時間はわずか約19.2ms、60fps時で約1.15フレームなのだ。約1フレーム遅延といえば、一般的なメーカー製テレビのゲームモードに相当するスペックである。

 この補間フレームありのゲームスムーズモードでも「ストリートファイターIVアーケードエディションVer.2014」をプレイしてみたが、実感としての遅延はほぼなし。それよりも、相手の早い攻めも残像が少なくよく見えるようになるので、的確にガードしたり反撃が行なえるようになる。それこそ、若干だが勝率が上がったほど。

優れた低遅延性能で格闘ゲームも問題なし。「ゲームスムーズ」は約1フレーム遅延になるが補間フレーム付きで動きが見やすくなるので、こちらでプレイするのもあり

 この「ゲームスムーズ」は、騙されたと思って一度、使ってみて欲しい。ゲームファンは低遅延を重視するからこそ、補間フレーム機能を使ってこなかったわけだが、約1フレーム遅延で、このスムーズさが手に入れられるならばプレイヤーの力量や状況によってはかなりプラスに働くはずである。「補間フレーム」は40J9Xでは「敵ではなく味方」と言っていいと思う。

 この他、40J9Xには音楽ゲームファンに嬉しい機能が搭載されているので紹介しておこう。それは「音声低遅延モード」だ。

 音楽ゲームの多くは、動くマーカーと照準が重なった時にボタンを押すルールを採用しているが、プレイヤーは、このボタン押しを、そうした視覚タイミングだけでなく、楽曲側のリズム音のタイミングにも頼って実践している。

 ところが、実は、テレビ製品は、映像だけでなく音声の発音も遅延している機種が多いのである。

「コンテンツモード=カラオケ」は実は音声低遅延モード。ちなみに、フルHD以上の解像度を表示しているときはここは選べなくなっていた

 40J9Xに新搭載となった音声低遅延モードでは、そうした問題解決に乗り出した機能で、リニアPCM 48kHzの音声に限っては約15ms、60fps時で約0.9フレームの遅延に抑え込むことに成功している。

 このモードは本来はカラオケのために作り込まれたものらしく、設定は「コンテンツモード」にて「カラオケ」を選ぶことで機能する。とはいえ、音楽ゲームをよくプレイする人はこのモードの存在を覚えておいて損はない。それと「ゲームスムーズ」の遅延が約1フレーム、音声低遅延モードが約0.9フレームで近いので、こだわり派はこのモードの組み合わせてプレイすると映像と音声のタイミングがほぼ完全に一致するのでよいかも知れない。

40J9Xに感じる「パーソナル4K」の魅力

 いつもとは若干異なる大画面☆マニアの流れで進めてきた今回。いかがだったろうか。

 「40V型で4K」という画面サイズと解像度のバランスを気にする人もいるかもしれない。

 実際、普通のテレビ感覚で視聴距離を2メートルも取ると、画面サイズ的には没入感が得られるほどの迫力はない。ただ、これが1メートル未満になると変わってくる。近づいた分大画面感が増し、さらに「こんなに近づいてもドット感が分からない」といった感動までが得られるのだ。

 PCディスプレイ的に活用するために視距離を50cm〜60cm程度にまで近づき、PCのデスクトップ画面を映したときの見え方はどうか。

 これは、予想外なことに表示自体は細かすぎないし、画面サイズも大きすぎない。視界に画面全体のおおよそは見渡せるし、一方で首を少し動かせば見たいところを凝視も出来る。なによりフルHD解像度(1,920×1,080ドット)の4面分の広いデスクトップ空間が広く使えて便利だ。

 「細かすぎない」のは、よくよく考えれば当たり前で、40J9Xの40型4K画面は、20型フルHD画面を「田の字」風に2×2で配置した表示なのだ。今時、20インチのフルHD画面を「細かすぎる」とケチを付ける人はいない。逆に言うと20インチ、フルHD画面の操作感を4面分に広げて使えるわけだから、これが使いづらいはずがないのである。

 40J9Xは、素性自体は一線級のテレビ製品であり、普通にメインテレビとして使えるのだが、それでいてパーソナルモニターやPCディスプレイ的な活用に十分に対応する

 4K解像度のVA型液晶パネル、直下型バックライト採用、ダブル録画対応のフルスペックのREGZAで、価格が20万円そこそこと考えると、個人的には、パーソナル向けには今期ベストバイの4Kテレビであり、4Kディスプレイであると思う。

(協力:東芝)

トライゼット西川善司

大画面映像機器評論家兼テクニカルジャーナリスト。大画面マニアで映画マニア。本誌ではInternational CES他をレポート。僚誌「GAME Watch」でもPCゲーム、3Dグラフィックス、海外イベントを中心にレポートしている。映画DVDのタイトル所持数は1,000を超え、現在はBDのコレクションが増加中。ブログはこちら