西川善司の大画面☆マニア

第209回

液晶を忘れる映像体験。一新の4K画質「REGZA 58Z20X」

地デジ画質に感動。1080/120Hz対応でゲーム対応も進化

 2015年春より商用4K放送サービス「スカパー!4K総合」、「スカパー!4K映画」の放送が始まり、さらに今秋からは豊富な4Kコンテンツの配信に対応した映像配信「Netflix」もスタート。かつて「4Kコンテンツがない」と言われたものの、今では、見ようと思えば普通に4Kコンテンツにアクセスすることができるようになった。年内は間に合わないが、4Kブルーレイこと「Ultra HD Blu-ray」のソフトのリリースも2016年には開始されることだろう。

 そんな4K本格化が始まったこのタイミングで、各メーカーは4Kテレビ展開を本格化している。

REGZA「58Z20X」

 今回取り上げる東芝のREGZA Z20Xシリーズもそんな4Kテレビ製品の1つである。今回、評価機として借りたのは、58型の「58Z20X」。Z20Xシリーズは、65型、58型、50型の3モデル展開で、実売価格は、65型が65万円前後、58型が46万円前後、50型が38万円前後。インチ単価的には50型が一番お手頃だ。

設置性チェック〜進んだ軽量化。サウンド性能が劇的に向上

 今回は、筆者宅に58Z20Xを運び込んでの自宅の視聴となったわけだが、2011年モデルの「55ZG2」の前に設置した。

 58Z20Xは、58型なのだが、ディスプレイ部の寸法は130.2cm×77.1cm(幅×高さ)で、55ZG2の130.4cm×78.5cm(同)よりもわずかに小さい。これはZ20Xの狭額縁デザインの恩恵に他ならない。この狭額縁デザインは、他サイズモデルも同様なので、フルHDテレビからの4Kテレビへの買い替えを検討している人は、1サイズアップを検討してもいいだろう。

圧倒的な狭額縁。5〜6年前のモデルから画面サイズを1ランクアップしても設置が行なえるはず(写真は65Z20X)

 スタンドは、ディスプレイ部下部の左右端に脚部パーツをはめ込んだようなタイプで、設置点は左右二箇所ずつ、4点でディスプレイを支えるようなデザインとなっている。以前のREGZAのような、平板のような脚部や、バー状の脚部ではなく、随分とすっきりとしている。

 スタンドの背丈はとても低く、ディスプレイ部の下辺の高さは、最近のデザイントレンドに沿ってとても低い。設置台との隙間は、ディスプレイ部の左右端でブルーレイソフトのパッケージが5枚ほど入る程度の約63mm。スタンド脚部内側はディスプレイ部を支えるスタンドフレームがある関係でさらに低く、ブルーレイソフトのパッケージが4枚ほど入る約47mm程度の隙間となっている。

スタンドは細い脚部、左右で総計4点で支持する方式のもの

 額縁幅は上辺が約16mm、左右辺が約17mm、下辺がスタンドフレームを含まずで約13mmといった感じで、視聴位置からはほとんど額縁の存在が気にならない。

 重量はスタンド含んで約20.5kg。55型のZG2は同条件で25kgだったので、画面サイズがより大きい58型でこの重量は軽い。なお、定格消費電力は394W。年間消費電力量は197kWh/年。

 今回、設置に関しては開梱/組み立てこそ数人で行なったが、テレビ台への設置や移動は筆者が一人で行なえた。最近のテレビは狭額縁化だけでなく軽量化も進んでいるので、サイズアップへのハードルは以前と比べるとかなり低くなってきている。

 Z20Xのディスプレイ部の表示面はいわゆるクリアパネル(光沢パネル)に分類されるタイプだが、「ハイコントラストブラックパネル」と呼ばれる新開発の表面加工を採用している。

ハイコントラストブラックパネル

 ただ、シャープがかつて採用した「モスアイパネル」のような徹底低減が行なわれているわけではなく、室内情景の映り込みは、暗部に出ると言えば出る。なので、相対する位置に照明器具や窓が来ないように設置したほうがいい。ただ、Z20Xは表示映像の明部の輝度がかなり高いため、従来よりは気にならないかもしれない。

 サウンドシステムは総出力46W(15W+15W+8W+8W)、マルチアンプ駆動による2ウェイステレオスピーカーを採用。フルレンジ(15W)×2、ツイーター(8W)×2の構成で、サブウーファはなし。

 フルレンジユニットは角形3.0cm×9.6cmユニット、ツイーターユニットはドーム型φ3.0cmで、出力46Wは近年の4Kテレビ製品としてみてもなかなかの高出力ぶりである。なお、ツイーターは軽量で高剛性なポリアミド系の合成樹脂素材であるノーメックス紙(化学メーカーのデュポン社製)を使っているとのこと。

新レグザサウンドシステム「RSS-AZ55」

 実際に音楽やテレビ番組のサウンドを聞いてみたが、テレビスピーカーとしては完成度が高いと感じる。フラットな周波数特性で低音から中音域までのパワー感も良好。別ユニットとして新設されたツイーターの効果は高音域の解像感に現れている。ハイハットやシンバルの音のアタックはもちろん、響き余韻のサステイン音まで、終始、粒立ちが素晴らしい。音楽番組もカジュアルに楽しむのであれば本体スピーカーで十分満足ができると思う。

 また、Z20Xに合わせてサウンドバーの新レグザサウンドシステム「RSS-AZ55」を発表しており、今回は一緒に試用した。このRSS-AZ55接続時、Z20X側のサウンド再生モードを「シンクロドライブ」設定とすると、高音再生をZ20X側のツイーターに担当させる3ウェイ再生となる。

 本体のみでもなかなかの高音質だが、RSS-AZ55と組み合わせることでサウンド再生品質の向上が実感できる。特に別体型のサブウーファの効果が高く、音声調整の低音強調をせずとも満足度の高い低音が得られていた。具体的にいうと、たとえばバスドラムやスネアドラムの低周波の皮の乾いた音が非常にリアルに聞こえる。

RSS-AZ55接続時に選択できるようになる「シンクロドライブ」設定を行なうとテレビ内蔵側ツイーターとの連動再生を行なってくれる
「RSS-AZ55」はテレビ本体の背面に設置することが許容される。もちろん前面に設置してもOK

 メインステレオユニットのサテライトスピーカーはそれほど大型サイズではないが、パワー感は必要十分。音量をかなり上げた大音量で聞いても破綻しない。ディスプレイ部の左右にやや離して設置することでワイド感が増して、より音場がリッチになる。

 RSS-AZ55は、実売35,000円前後で販売されており、なかなかハイコストパフォーマンスなオプションだ。Z20X導入時に映画やゲームサウンドを1ランク上にアップグレードする目的で検討してもいい。

接続性チェック〜PCゲームファン感涙? 業界初のHDMI 1080p/120Hz入力対応

 接続端子は、正面向かって左側の側面と背面側にある。

側面側の接続端子パネル。SDカードスロットなどもここにある
背面側の接続端子パネル

 HDMI入力は4系統。背面側にHDMI1、2があり、側面側にHDMI3、4が実装されている。HDMI入力は4系統全てが4K/60fps、Deep Color、x.v.Colorの入力に対応する。先代Z10XではHDMI3のみがHDCP 2.2対応だったが、Z20Xでは全HDMI端子がHDCP 2.2をサポートしている。なお、Z10Xで搭載していたMHL機能はZ20Xでは省略された。

 HDMI階調レベル設定、アンダースキャン設定(オーバースキャンのキャンセル)にも、もちろん対応。

 4K/60fps接続は、YUV=4:2:0での60fpsであれば「HDMIモード選択」設定はデフォルトのままでもいいが、YUV=4:4:4、あるいはRGB=8:8:8での接続にはここを「高速信号モード」に設定しておかなければならない。実際にNVIDIAのGeForce GTX980を用いHDMI経由での接続テストを行なってみたが、「高速信号モード」において4K/60fps接続をRGB=8:8:8,YUV=4:4:4の両方で正常接続を確認できた。

[HDMIモード選択]を「高速信号モード」と設定することでHDMI 2.0系として機能する。ちなみに「通常モード」がHDMI1.4相当、「互換性優先モード」はHDMI 1.2相当の設定

 Z10Xから搭載された、REGZAならではの機能である2,560×1,440ピクセルの画面モードへの対応も引き続き継承されている。4K(3,840×2,160ピクセル)では、負荷が高すぎて30fpsどまりになってしまうようなハイスペックPCゲームでも、この2,560×1,440ピクセルモードにすれば60fpsに到達できるという場合は利用するといいだろう。

 ところで、筆者がテストした評価機では、どのプリセット画調モードに設定してもスケーリング処理がバイパスされてしまいカクカクのポイントサンプル表示になってしまった。東芝に確認したところ、「12月17日のアップデートで改善する」とのこと。Z20Xユーザーで2,560×1,440ピクセル解像度を利用しようとしているユーザーは今後のアップデート情報を要チェックして頂きたい。

 2,560×1,440ピクセル解像度への対応は、REGZA開発チームに筆者がリクエストを続けてきた機能だったのだが、実は、もう一つ、リクエストしてきた機能があり、それがついにZ20Xに搭載された。

 それは、HDMI経由での1080p/120fps(120Hz)入力への対応だ。

NVIDIAコントロールパネルの「解像度の変更」で「リフレッシュレート」を「120Hz」設定にしよう!

 ゲーム専用液晶モニターでは、120Hz入力に対応する機種も増えてきているが、日本のテレビ製品として、公式仕様として搭載されたのはZ20Xが業界初である。

 恐らくデフォルトでPCを接続しても60Hz(60fps)接続となってしまうので、PC側のGPUフロントエンドアプリを開き、明示的に「120Hz」設定を選ぶ必要がある。

 この機能は、「もともと液晶テレビの中堅以上のモデルは液晶パネル自体が倍速駆動120Hz対応。であれば、映像エンジン内で生成した補完フレームを生成する用途だけでなく、HDMIからも120Hz(120fps)入力できるようにすればPCゲームファンは喜ぶはず」と考え、各メーカーに提案した。提案から約1年、他メーカーにも提案していたが、一番乗りは今回も東芝REGZAだった。

 さて、実際に、幾つかのPCゲームで試してみたところ、グラフィックス設定オプションで「1,920×1,080ピクセルの120Hz」設定が選択できた。

Z20Xは、業界初の1080p/120Hz入力に対応! テレビがついにゲーム専用モニターと同等の機能を搭載してしまった!

 これでプレイすると「補間フレームではない、生フレームの120fps表示」となるので、補間エラーによるノイズもなく、残像の少ないスムーズな表示となって感動的であった。高速に背景がスクロールするレーシングゲーム、視界が縦横無尽に動くことになる戦闘系シューティングゲームなどでは絶大な効果を発揮する。今のところ、他のREGZAにもないZ20Xだけの特殊機能なので、PCゲームファンは要チェックである!

最近のPCゲームの半分くらいは120Hz(120fps)に対応。挙げればキリがないほど多い。画面写真はEAの「DEADSPACE3」。120Hz対応モニターに接続しないと、この120Hz項目は出てこない

 側面側にあるSDカードスロットは静止画/動画/音楽が収録されたSDカードの再生に対応。音楽はMP3やAACなどに対応し、静止画も4,096×4,096ピクセル以内のJPEGなどに対応するほか、新たに4K動画の再生に対応した。MPEG-2 TSはフルHD解像度までだが、MPEG-4 AVC/H.264、HEVC(H.265)では4K(3,840×2,160ピクセル)にまで対応している。東芝によれば、これら4Kコンテンツのデコードは、「4KレグザエンジンHDR」の内蔵デコーダが担当しているという。今回、USBメモリから4Kコンテンツを再生してみたが問題なく再生が行なえた。

 USB端子は、背面にタイムシフト録画HDD接続用のUSB 3.0端子のUSB-A、Bがあり、通常番組録画用USB 2.0端子がUSB-Cとしてレイアウトされている。側面にもUSB 2.0端子があるが、こちらは汎用USB端子。前述した4Kコンテンツ入りのUSBメモリの再生テストは、このUSB端子で実践した。

 4K放送の録画は'15年11月の評価時点では行なえなかったが、12月17日からのアップデートで可能になるとのこと。

操作性チェック〜リモコンに[NETFLIX]ボタンを搭載

リモコンのデザイン、ボタン配置に大きな変更はない。赤文字の[NETFLIX]ボタンが追加されたことを除いては

 操作系は先代から大きく変わった部分はないが、リモコンの最上部に[NETFLIX]ボタンが搭載されたことが最大のトピックになる。

 Netflixはインターネットを利用したVOD(ビデオ・オン・デマンド)サービスで、Z20Xではこのボタンを押すだけで、なかなかのスピード感でNetflixメニュー画面に切り換えることができる。

 4Kコンテンツも徐々に追加されてきているので、4Kコンテンツを楽しみたい人はスカパー!プレミアムと合わせてチェックしていただきたい。Z20Xは、4K放送のChannel 4Kや、スカパー!4K総合/4K映画が視聴できるスカパー!プレミアムチューナーを内蔵している。

 また、音声入力による自然言語による検索機能も、Z20Xで引き続き利用が可能だ。

 電源オンから地デジ放送画面が表示されるまでの所要時間は実測で約4.0秒。地デジ放送のチャンネル切換所要時間は約1.5秒、HDMI間の入力切換所要時間は約3.5秒。いずれも、Z10Xから若干高速化された。

 表示遅延は、プリセット画調モード「標準」で約183ms、60fps(60Hz)で約11フレーム。プリセット画調モード「ゲーム」ではほぼゼロ。

プリセット画調モード「標準」で約183ms、60fps(60Hz)で約11フレーム
プリセット画調モード「ゲーム」ではほぼゼロ

 ちなみに、1080p/1440p/4Kの60Hz入力時の公称表示遅延は約10ms(60Hz時、0.6フレーム)、1080p/120Hz入力時は約0.83ms(120Hz時、0.1フレーム)となっている。

画質チェック〜映像エンジン刷新で画質が全方位に進化

広色域性能がさらに高められ、BT.2020規格色域カバー率は約80%

 Z20Xの液晶パネルは全モデル3,840×2,160ピクセル解像度のVA型液晶パネルを採用する。

 バックライトは広色域タイプを直下型バックライトシステムとして構成した新開発タイプを採用し、さらに液晶パネル側のカラーフィルターも広色域タイプとし、地球上の物体色を全てカバーできるBT.2020規格の色域規格を約80%満たす。ちなみに、デジタルシネマ規格の色域「DCI-P3」についてはほぼ99%のカバー率を誇る。

 実際、発色は良好だ。原色表現の最明色の鋭さもさることながら、暗部に沈むほとんど無彩色に近い領域でも深い色深度表現が実現できている。暗いシーンでも色情報量が多い表現ができているのはこの部分の性能が活きているからであろう。

「色域設定」は「色域復元」がお勧め。元画像の味わいを崩さずに広色域な映像が楽しめる

 また、冒頭で述べたように、Z20Xの液晶パネルには「ハイコントラストブラックパネル」というブランド名が与えられているが、これは液晶パネル側からの出射光の拡散反射を低減させたものになる。これは特に明暗差のはっきりした輪郭描写の部分で「くっきり感の違い」で視認することができる。微細なテクスチャ表現、髪の毛や毛皮のような1ピクセル単位の表現が鮮明に見えるのもこの「ハイコントラストブラックパネル」の恩恵だ。

デジタル顕微鏡を用いての接写写真。マルチドメイン化されたVA液晶画素が見て取れる

 直下型バックライトシステムのエリア駆動分割数は非公開とのことだが、東芝によれば「同画面サイズのZ10Xシリーズよりも増やしている」とのこと。

 スペック的には全白画面で800nit、映像の一部分が高輝度な場合の表現ではピーク輝度1,000nitオーバーの発光も可能だとしている。

 各LEDの発光輝度制御は、各LED部材の性能個体差を隠蔽しやすい、時間積分的なPWM(Pulse Width Modulation)制御を採用するのが一般的であり、REGZAも従来はそうだったのだが、Z20Xでは、制御難度の高いアナログ的な電流量制御も組み合わせる方式を思い切って採用している。

「ピーク輝度復元」設定は最明部の最大輝度を設定するもの。通常は「オート」で十分
Z20Xの直下型LEDバックライトシステムではPWMデジタル駆動と電流高低によるアナログ駆動を組み合わせることで、これまで苦手だった「暗く光らせる」事が可能に。結果、暗部階調の再現性が劇的に向上

 これは、何に効くかといえば、中暗部以下から最暗部・漆黒に至るまでの階調表現特性。

ユニフォミティ(輝度均一性)はまずまず。左右端が若干、暗い以外はほぼ均一性が保てている

 PWM制御による輝度調整とは、いわば明滅頻度による輝度調整である。なので暗く光らせるということは、発光頻度を減らす……というようなものであり、これは暗く光らせようとすればするほど視覚上、理論通りにいかないのだ。

 そこで、結局、あるLEDブロックの担当エリア内の大半が暗色でも、少しでも明るい表現が含まれていると、この明るい表現側にバックライト輝度を寄せることになり、これが黒浮きや暗い表現に光が漏れ及ぶヘイロー現象に起因することがあった。

 Z20Xでは、電流量の高低によるアナログ駆動も組み合わせることで、LEDを本当に暗く光らせることができるようになるため、前述の例でも暗い表現側にバックライト輝度を寄せることが可能になったのである。

手動設定はオフ相当に設定している。写真で撮影できる範疇を超えているため分かりにくいが、明るい箇所はより明るく輝き、暗部も正確な階調表現が行なえていた
照明器具のすぐ脇の漆黒の闇は、直下型バックライト採用機でも、うっすら明るくなる機種が多いのだが、Z20Xでは、ここがプラズマ並みに真っ暗となっていた。これには感動

 これは正直、効果が絶大であった。

 ブルーレイ「ダークナイト」のチャプター23の暗い取調室でのジョーカー尋問シーンも、プラズマテレビとほぼ同等の暗部表現が実現できており、漆黒の背景から浮かび上がる白いジョーカーの顔の不気味さが際立っていた。

アスペクト比4:3のSD映像やアスペクト比21:9のシネスコ比の映像を表示したときの黒帯部のバックライトを制御する設定が「レターボックス黒レベル調整」と「サイドパネル黒レベル調整」。オートにしておくと自動認識してバックライト輝度を低減させてくれる。これは映画を暗室で見るファンにとってはありがたい機能だ

 東芝が誇るハイダイナミックレンジ(HDR)復元機能はZ20Xでも健在。Z20Xでは先代までのHDR復元アルゴリズムを継承しつつ、圧縮されている高輝度領域を復元した際にノイズまでを鮮鋭化しないための適応型処理系を付け加えている。実質的にはHDR復元機能の地デジ映像への最適化を推し進めた……という捉え方でいいだろう。

定評のあるHDR復元機能はZ20Xでも健在。

 ブルーレイ「マッドマックス 怒りのデスロード」を見てみたが、砂漠の逆光シーンなどでは1,000nitオーバーのピーク輝度が冴え渡り、砂漠の乾燥しきった乾いた空気感が伝わってくるほど。意外に感動的だったのはチャプター9の夜の語らいのシーン。一般的な夜間シーンとは違い、このシーンは青のモノトーン色調で描写されているのだが、明るい青から暗い青までが幅広いダイナミックレンジで描かれており、単色表現なのに立体的かつ艶やかに見えるのである。

 ちなみに、Z20Xでは、HDR復元の効き具合は「アドバンスドHDR復元プロ」で設定出来「オフ-オン-オート」の設定が行なえる。オンとオートの違いはHDRの復元強度の違い。具体的には、オンの方が明暗差を広く取った画調になり、オートでは明暗差をそれなりに抑えつつHDR復元を行なう。オートの方が明るい印象を受けるが、これは明るい映像では明暗差を狭く取る分平均輝度が明るくなるため。HDRらしいHDR感を堪能したい場合はオンがお勧めだが、効きをマイルドに留めておきたい場合はオートがいい。

 東芝がブームの火付け役となった「超解像」機能は、Z20Xでも伝統の再構成型超解像技術を継承。ノイズレベルを自動検出して、そのノイズの大小に応じて超解像処理強度を変化させる「ノイズリダクション連携複数フレーム超解像」を搭載する。具体的にはノイズ量が多いと判断される領域についてはノイズの尖鋭化を避けるために超解像処理強度を弱め、逆にノイズが少ない箇所と判断される領域については強度を強めとする、というイメージだ。

ノイズリダクション連携複数フレーム超解像
2段再構成型超解像
動き追従ノイズパターン抽出型三次元ノイズリダクション

 さらに、ノイズリダクション(ノイズ低減)処理も、新機軸の「動き追従ノイズパターン抽出型三次元ノイズリダクション」を搭載する。

 従来のNR処理では画面内の絶対座標系で処理していたものを、映像の動きを追従し、着目しているピクセルが時間方向にどう動いてきたか、どう動くかまでに配慮してノイズ低減を行なうものになる。

 ちなみに、複数フレーム超解像は現在フレーム基準で前後1フレームの情報を参考にして処理を行ない、動き追従ノイズパターン抽出型三次元NRはこれに加え、さらにその前後フレームから1フレーム飛ばした2フレーム先のフレームを探査している(60Hz時)。

Z20Xの超解像動作イメージ

◎○●★●○◎

★が現在基準フレーム
超解像処理は現在フレーム★にくわえて●フレームの情報を元に処理する
動き追従ノイズパターン抽出型三次元NRは★と●に加えて◎も探査対象とする

 また、自己合同性超解像処理の適用先を、従来はエッジ傾きが0°〜45°にのみ対応していたものを、0°〜90°にまで拡大。東芝はこれに対し「マルチアングル自己合同性超解像」技術と命名している。

 エッジ付近に出やすいモスキートノイズに適用するノイズフィルタについても、エッジの傾きに適応させたフィルタカーネルを適宜選択するアルゴリズムへと改良。一般にフィルタ処理は加重平均演算と同等なのだが、この加重平均の重み付けをエッジの傾きに応じて適宜変化させるアルゴリズムにして、ノイズが存在する領域を積極的にノイズ低減しつつ、存在しない領域は原画像を保つようにしたのだ。これに対しては「絵柄構造適応型MPEG-NR」という名前が付けられている。

マルチアングル自己合同性超解像
絵柄構造適応型MPEG-NR

 この一連の「ノイズリダクション連携複数フレーム超解像」「動き追従ノイズパターン抽出型三次元NR」「マルチアングル自己合同性超解像」「絵柄構造適応型MPEG-NR」は何に効くかと言えば、地デジ放送(衛星放送も)だ。

 実際に店頭などで確認して欲しいのだが、地デジ放送の美しさは、かなり優秀である。それこそ冗談抜きでブルーレイ映像並みの鮮明度、解像感が得られている。Z20Xは4Kテレビではあるが、「地デジ放送を美しく見られるテレビ」としてもポテンシャルが高いと感じた。

 最後、他社に対して品質面で若干負い目があった補間フレーム挿入倍速駆動も一新され、「4Kクリアダイレクトモーション480」へとリファインされている。

 東芝によれば、全体的なアルゴリズムを改善すると共に、上下方向の動きへの適応力を強化し、以前までよりも補間フレームエラーの発生確率を下げているとのことである。

 実際、いつもの「ダークナイト」のビル群を飛行するシーンでチェックしてみたが、以前のREGZAのような派手なピクセル振動は無くなった。

 いろいろと意地悪なテストを映像で仕掛けてみたところ、遮蔽物背後からオブジェクトが飛び出して来たときに、その遮蔽物との交差付近に糸引きが一瞬だけ出ることを確認。これを回避するには未来フレームに対するリプロジェクション処理にまで手を出す必要があるわけだが、さすがにここまでは手を出していないようだ。ちなみに、未来フレームからの逆補間はテンポラルリプロジェクションというが、そこまでやっている民生向けテレビ用映像エンジンは、現時点では他社製品にもない。

 いずれにせよ、補間フレーム処理が、安心して常用できるようになったことは大きな進化である。

あざやか
標準
サッカー/ゴルフ
アニメ
アニメプロ
ライブ
ライブプロ
映画
映画プロ
ゲーム
モニター/PC

液晶を忘れる新4K画質。地デジ画質の進化にも感動

 Z20Xを評価していて、画面全体が動くようなカメラワーク、特にフィギュアスケート、サッカー、バレーボールなどの画面が左右に動くシーンで液晶特有のボケが少ないことに気がついた。これは、前述した補間フレーム挿入による倍速駆動の恩恵も高いとは思うが、筆者は「動き追従ノイズパターン抽出型三次元ノイズリダクション」が効いているのではないかと睨んでいる。東芝によれば「動いているオブジェクトを視線で追ったときに知覚される、階調が糸を引くような残像感は、高確率でノイズリダクションが原因」とのことで、映像の動きに追従して適応型のNR処理を行なうZ20Xでは、そうした糸引き残像感を効果的に低減できているのだと思う。

 それと、個人的にリクエストしていた機能が搭載されたと言うことで、HDMI経由での1080p/120Hz入力対応機能は筆者からも大きくプッシュしておきたい。ハイフレームレートのゲームモニターが欲しくて、なおかつ4Kテレビも欲しいと言うことであれば、Z20Xはお勧めである。

Z20Xは映像エンジンを刷新。新エンジン「4KレグザエンジンHDR PRO」は開発に三年を要した力作である

 Z20Xは「4Kテレビの2015年後期モデル」という位置づけだが、映像エンジンが刷新されたことで、先代Z10Xと比較して、型番が+10されたイメージ以上の機能進化と画質改善が行なわれている。

 アナログ駆動を組み合わせ、暗く光らせる事が可能になった新バックライトシステムによるエリア駆動は、ついに黒表現でプラズマに肉迫し、暗部階調表現ではプラズマを追い越した感がある。液晶テレビで、暗室で暗いトーンの映画を見ても、液晶であることを忘れさせてくれる体験は新鮮であった。

 4K映像のデモ映像やHDR復元のデモ映像もよかったのだが、評価を通して最も驚かされたのは見慣れているはずの地デジ放送がとても美しく見えたこと。地デジ放送もここまで美しくなる……というのは、是非とも、店頭で確認していただきたい。

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(協力:東芝ライフスタイル)

トライゼット西川善司

大画面映像機器評論家兼テクニカルジャーナリスト。大画面マニアで映画マニア。本誌ではInternational CES他をレポート。僚誌「GAME Watch」でもPCゲーム、3Dグラフィックス、海外イベントを中心にレポートしている。映画DVDのタイトル所持数は1,000を超え、現在はBDのコレクションが増加中。ブログはこちら