データで読み解く家電の今

4Kシフトの進むテレビ市場。金額では4Kが過半数で小型化へ

販売実績を基にしたデータから、国内家電市場の実態を検証する(協力:GfK Japan)

 今回取り上げるのは、家電を代表する商品でもある「テレビ」。高付加価値モデルでは、4K/HDRなどがトレンドになっているが、市場全体はどうなっているのだろうか?

ソニー4K BRAVIA「KJ-65Z9D」

 家電量販店の動向をみると、薄型テレビの販売台数は2009年から'11年にかけてエコポイント制度やアナログ放送停波の影響により⼤幅に拡⼤。その反動減を受け'11年以降は縮⼩基調にある。

 2016年は、前半こそ前年割れで推移したものの、7⽉以降はリオオリンピックの盛り上がりや4Kの販売拡大により、回復の兆しが見られる。GfK Japanの中⾥⾒慎⼀アナリストは「'16年の販売回復の背景としては、買い替え需要の増加が考えられる。テレビの買い替え年数はおよそ7-8年といわれており、特需があった'09年から'11年にかけて購入されたテレビが買い替え時期に入ってきていると見られる。こういった影響もあり、'17年からはプラス成長に転じる」と予測する。

買い替え需要に45型4KをおすすめするシャープAQUOS

 平均価格は'09年の110,000円から、'12年には52,000円まで低下した。しかし、'13年以降は上昇傾向にあり、'13年は61,000円、'15年には67,000円、そして'16年(1-11月)には77,000円となった。この背景にはテレビメーカー各社がシェアから利益重視の⽅向に転換したことや、4Kテレビの増加があると見られる。

 4Kテレビは'13年では数量でテレビ全体の1%、⾦額で4%だったが'15年に数量で10%、⾦額で32%を占めるまで拡⼤。さらに、2016年(1-11月)は数量で23%、金額では51%に達しており、順調に拡大している。「年末商戦の始まる11月は、テレビに占める4Kの数量構成⽐が30%を超過、特に46インチ以上の大画面に絞ると、90%近い水準に達している」(中里見アナリスト)という。

 また、4Kテレビをサイズ別に⾒ていくと、顕著なのは小型モデルの販売拡大。50型未満は'14年に登場したが、数量構成比は'15年に40%、'16年(1-11月)には51%と過半に達した。

40型のパナソニックVIERA「TH-40DX600」

 なお、HDRについては、「4Kテレビの内の⼤半の製品がHDRに対応しており、4Kの拡⼤に伴って販売が増加している。ただし、4Kというキーワードと⽐較すると、HDRはそれほど店頭で強く訴求されている印象はなく、消費者が4Kテレビを求めて購⼊した結果、構成比が拡大した」(中⾥⾒アナリスト)と分析する。3D対応製品のテレビに占める数量構成比は、16年11月で6%で、前年同月から5%縮小した。「一時期注目を集めた3D対応製品ですが、今では店頭での訴求も減少し、販売は緩やかに減少している」という。

東芝REGZA「49Z700X」

 また、インターネット対応も大きなトレンド。AndroidやFirefox OSなどのいわゆるスマートテレビの数量構成比は、11月で17%と、'15年同月から5%ポイント拡大した。

 GfK Japanの中里見アナリストは、「昨年Netflixが日本でサービスを開始するなど、有料の動画配信サービスがメディアに取り上げられる機会が増加した。テレビでインターネット上のコンテンツを楽しむことが徐々に浸透しており、ネット対応機能に対するニーズも高まってきていると見られる」と分析している。

出典「全国有力家電量販店の販売実績集計/GfK Japan調べ」