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【新製品レビュー】

ビデオカメラ搭載で生まれ変わった第5世代iPod nano

-光沢ボディで高級感もアップ。iTunes LPやFMなど新搭載


第5世代iPod nano

9月10日発売

AppleStore価格:17,800円(16GB)


 アップルは10日にiPodシリーズを一新。その中でも、中核モデルといえるのがiPod nano。2005年の登場以来第5世代目となる新nanoは、第4世代モデルと同サイズの筺体ながら、液晶ディスプレイを2型から2.2型に大型化。さらに、背面にビデオカメラ機能を装備するなど、大きな機能強化が図られている。

9色のカラーバリエーションを用意するiPod nano

 AppleStore価格は、8GBで14,800円、16GBで17,800円。従来の8GBモデルの価格で16GBが買えるようになるなど、コストパフォーマンスも向上している。

 ビデオカメラ搭載という機能強化に比べると、音楽関連の機能追加は少ないようにも思えるが、ソフトウェアもiTunes 9に更新され、自動レコメンド機能「Genius」を活かして、無制限のプレイリストを作成する「GeniusMix」を追加したほか、iTunes Storeの音楽配信においても、カバーアートや歌詞などを配信する「iTunes LP」もスタートした。

 10日に販売開始された第5世代iPod nano(16GBモデル)を購入し、新機能を中心に、その魅力を探った。

 


■ 光沢ある外装で高級感向上。液晶も大型化

 パッケージは従来モデルとあまり大きな変化はなく、同梱品は、イヤフォンとUSB-Dockケーブル、Dock接続用の専用アダプタのみ。iTunesをAppleのホームページからダウンロードするという点は、従来モデルと共通だ。対応OSはWindows XP/VistaとMac OS X v10.4.11以降。

パッケージ 同梱品

 外形寸法は38.7×90.7×6.2mm(横×縦×厚み)で第4世代モデルと同じ。重量は36.4gで、第4世代nanoの36.8gよりわずかだが軽くなっている。ボディデザインはほぼ同じなのだが、光沢感を高めた外装を採用したことで、並べてみるとかなり高級感が高まったように感じる。

 液晶ディスプレイ部は第4世代の2型/240×320ドットから2.2型/240×376ドットに大型化。さらに、背面にはビデオカメラを装備している。操作系はiPod nanoシリーズ共通のクリックホイールを踏襲。上部にHOLDスイッチを備えている。下部にDock端子とヘッドフォン出力を備えている点は、第4世代nanoと共通だが、従来はDockの右側にあったヘッドフォン出力が、左側に移っているなど細かな変更が行なわれている。

2.2型/240×376ドット液晶を採用 クリックホイールを採用
背面にビデオカメラ用のレンズ部とマイクを装備 厚みは6.2mm
上部にHOLDボタン 下部にDock端子とヘッドフォン出力を装備した
第4世代iPod nano(シルバー)と第5世代iPod nano(グリーン)の比較

 


■ iTunes 9で新コンテンツ配信対応。Geniusも強化

iTunes 9 iTunes StoreでiTunes LPを販売

 楽曲転送/管理ソフトのiTunesも最新バージョンの「iTunes 9」に一新した。iTunes 9の特徴は別記事でも紹介しているが、新機能「iTunes LP」に対応したほか、自動楽曲レコメンド機能の「Genius」の強化などが図られている。

 iTunes LPは、iTunes Storeで販売される特定のアルバムについて、音楽ファイルだけでなく、ライブパフォーマンスビデオや歌詞、アートワーク、ライナーノート、インタビュー、写真、アルバムクレジットなど、これまで以上に多くのビジュアルデータが提供され、iTunesライブラリ画面で楽しめるというもの。日本で販売されるのはNorah Jonesの"Come AwayWith Me"(1,800円)、TheGrateful Deadの"American Beauty"(2,200円)、The Doorsの"The Doors"(2,000円)、Tyreseの"Mayhem"(300円)のみとなる。

 今回、The Doorsを購入してみたが、オリジナルアルバムの楽曲のほか、3曲の追加トラック、写真やライナーノーツ、全曲の歌詞、ミュージックビデオ「Break on through(to the other side)」、インタビュー映像などが付属する。

 iTunes上でThe Doorのアルバムを選択し、iTunes LPのアイコンをクリックすると、iTunes上で専用のブラウザ画面が立ち上がる。写真や歌詞、ライナーノーツや、スタジオで使ったデータシートなど様々な情報が集約されているため、アルバムについて知りたい情報があれば、かなりの部分をカバーできるだろう。

 ただし、The Doorsに関してはライナーノーツも歌詞も英語のみで、日本語の解説や歌詞の対訳は付いていない。これらに期待して“日本盤”のCDを購入していた人などにとっては物足りない仕様だろう。今後の対応を期待したいところだ。また、iPod nanoではビデオクリップ以外のiTunes LPで配信される各種情報は見られず、iTunes上でのみ再生可能となっている。

The doorsのiTunes LPトップ画面 The DoorsのiTunes LPに封入された写真 ライナーノートも確認できるが、英語のみ

 また、今回のタイトルはいずれもCDで買えば1,000〜2,000円強で販売されており、輸入版だけでなく日本盤も用意されている。価格面だけで言えば割安感は無いと言っていい。単にアルバム収録曲だけでない、ボーナスコンテンツにどれだけの価値を見出すかの判断が、iTunes LP利用の重要なポイントになりそうだ。とはいえ、iTunes Store上では、先行配信やボーナストラックなどの企画はすでに多く行なわれており、今後レーベルやアーティストの力の入れ具合次第で、iTunes Storeでの購入を後押しするような施策も多数生まれてくるだろう。

iTunesのGenius Mixで、自動プレイリスト化

 ユーザーの趣向を分析するGenius機能も強化され、ライブラリの中から、ユーザーと相性の良い楽曲を取り出し、自動的に最大12個のエンドレスミックスを作成してくれる「Genius Mix」機能が追加された。

 iTunesのGeniusをONにしておくと、「ロック」、「ポップ」、「ヒップホップ」、「ハウス」などのMixが自動生成された。今のところ、こうしたジャンルごとのMix自動生成機能として機能し、同期したiPod nanoやiPhoneからこれらのMixを選択し、再生可能となっている。個人的には、今のところあまり使い道が思い浮かばない。


音楽再生時にはCoverFlowも選択できる

 もうひとつのiTunes 9の新機能が、「ホームシェアリング」機能。iTunesの音楽や映像ライブラリを、自宅のPC最大5台で共有できるもので、PC同士を認証させ、自分のPCに入っていない家族のPC内のコンテンツを自分のPC上で再生したり、別のPC内の楽曲を自分のPCのライブラリに読み込む事も可能となる。複数のパソコンで楽曲管理している人にとっては重宝しそうだ。

 対応音楽形式は従来モデルと同じで、AAC(8〜320kbps)、MP3(8〜320kbps)、Audible(フォーマット 2、3、4)、Apple Lossless、WAV、AIFF。ビデオはMPEG-4 AVC/H.264とMPEG-4 SPに対応する。

 付属のイヤフォンは従来モデルとほぼ同じ。従来のiPodシリーズと音質傾向は変わらず、ソースを問わずにバランス良く再生できるだろう。イヤフォンをUltimate Earsの「UE700」に変更し、普段使っているiPhone 3GSと比較したところ、特に中高域の抜けが良く、チャンネルセパレーションも向上しているような印象を受ける。音像が一段前に出てくるような、パワフルさが感じられた。


音楽プレーヤーのトップメニュー Genius Mixも利用可能 音楽再生画面 ボイスメモ機能も装備している

 また、ビデオカメラ機能の追加とともに、マイクとスピーカーを搭載。スピーカーは、Dockコネクタ部あたりに内蔵しているようで、モノラルながら本体だけでもそれなりの音量で音楽を楽しむことができる。

 従来モデルと同様に、再生中の楽曲からGeniusプレイリストを作成することも可能。また、iPod nanoを振って(シェイク)、再生曲をシャッフルする機能も装備している。ただし、シェイク機能をONにしてイヤフォンを抜いている時に、iPod nanoを落とした場合、自動的にスピーカーがONになり、シャッフル再生をスタートしてしまうことがあり、やや戸惑った。

 ボイスレコーディングについても、以前は別売のマイク内蔵イヤフォンの利用が必須となっていたが、モノラルマイクを背面のレンズ部脇に内蔵したことで、本体のみでボイスレコーディング機能を利用可能となった。メニューの[エクストラ]-[ボイスメモ]から録音可能で、録音形式はAAC/128kbps(ステレオ)。

 


■ エフェクトを楽しめるビデオ機能

撮影時の利用イメージ。イヤフォンを挿している場合は、イヤフォンのプラグ部に指をかけるように持つとカメラに干渉せずに撮影できる

 第5世代nanoの最大の機能強化点といえるのがカメラ機能だ。機能としてはビデオ(動画)の撮影機能のみで、写真(静止画)が取れないという点が驚きだ。携帯電話をはじめとし、ビデオカメラとして利用できる多くのポータブル機器では、写真も撮れるのが当たり前と思っていただけに、しばらく写真の撮り方を探してしまった。

 ビデオの記録形式は、MPEG-4 AVC/H.264。記録解像度は640×480ドットで、フレームレートは30fps。オーディオ形式はAAC。特に画質モードなどは変更できない。

 メインメニューの[ビデオカメラ]を選択すると、ビデオカメラが起動。クリックホイールの中央を押すと、録画を開始する。

 撮影時に気をつけたいのは、指でレンズ部を覆ってしまうこと。基本的な撮影スタイルは、液晶に正対した形で、クリックホイールを右側に配置する形になる。ただし、この場合でもiPod nanoを支える右手がレンズに被り、映像に指が入ってしまうことが多い。

 慣れるまでは、かなりの確率で指がフレームに入ってしまうが、イヤフォンを挿している場合は、右手でイヤフォンのプラグ部をひっかけるようにして持つと、指でレンズで覆うことなく撮影できる。

メインメニューの[ビデオカメラ]からカメラ機能を呼び出し ビデオ撮影したビデオを選択 ビデオメニューから撮影したビデオを選択できる TV出力設定も可能

 640×480ドット/30fpsで、光学ズームも無いので、画質は専用のビデオカメラには及ばないが、シンプルな携帯カメラとしてはまずまずのクオリティで撮影できる。風になびく木の葉などが細かな情報量は抜けてしまうものの、明るい環境であればしっかりとした発色で楽しめる。ただし、手ぶれ補正機能は備えていないので、手ブレには注意して撮影したい。

動画サンプル(3.42MB) 動画サンプル(9.42MB)

 ユニークなのは、エフェクト。セピア、白黒、X線、フィルムグレイン、サーモメーター、監視カメラ、サイボーグ、凸(バルジ)、万華鏡、モーションブラー、ミラー、光のトンネル、凹、引き延ばし、渦巻きの15種類のエフェクトを適用できる。

 ビデオカメラを立ち上げて、ホイール中央を長押しすると、エフェクトの選択画面が現れる。ここで適用したいエフェクトを選ぶと、“X線”などのエフェクトを使った撮影が行なえる。エフェクトの効き具合はサンプルの通りだが、かなり面白い画像が撮影できる。

 
ビデオカメラでホイール中央を押して撮影を開始。長押しするとエフェクト選択が可能になる
サーモメーター(4.67MB) 万華鏡(2.97MB) サイボーグ(3.12MB)
光のトンネル(3.91MB) X線(4.69MB) フィルムグレイン(3.23MB)
セピア(1.04MB) 監視カメラ(3.73MB)

 ただし、エフェクトは撮影前に選択しなければならず、撮影後の映像でエフェクトをかけて楽しむ、といったことはできない。撮影後に適用できればさらに活用の幅が広がると思うが、この点は残念だ。エフェクトをかけてしまうと、ディテールはほとんどわからなくなってしまうので、“記録”として残したい場合にはお薦めできないが、ギミックとして面白いし、“新しいiPod nanoはこんなに楽しめる”というわかりやすいサンプルになっていると思う。

 また、従来モデルと同様にMPEG-4 AVC/H.264、MPEG-4 SPのビデオ再生にも対応している。iTunes Storeで購入したミュージックビデオを再生してみたが、このサイズで見る限り画質に不満はない。液晶もワイド化され、シネスコ映像も画面中の表示領域が拡大していいるため、従来のiPod nanoより楽しみやすくなったといえる。

 


■ FMラジオや歩数計も新搭載

FMラジオ機能も搭載した

 また、FMラジオチューナも搭載した。設定はシンプルで、国名で日本を選んで周波数を合わせるだけ。クリックホイールを一回押すとホイールの回転で周波数選択に、もう一回押すとボリューム変更に切り替わる。オートスキャン機能は備えていないので、任意の周波数を選択したあとに、クリックホイールを長押しし、「よく使う項目」に登録する。

 登録を行なうことで、ホイールの左右を押すだけで、局の切り替えが可能になる。受信感度も良く、東京千代田区の編集部では東京近郊のFM局をほぼ全て楽しむことができた。なお、FMのアンテナとして、イヤフォンのコードを利用しているため、FMを楽しめるのはイヤフォン接続時のみとなる。付属のイヤフォンでなくても、アンテナとして利用できているようだ。

ラジオのトップメニュー ラジオの地域で日本を選択 「よく使う項目」に局を登録すると、 登録した周波数にクリックホイール左右でワンタッチ選局できる イヤフォンをはずすと受信不能に
ライブポーズ機能。18:04に17:59に戻って再生している 局を切り替えるとライブポーズを停止する

 FMラジオ機能の大きな特徴が、「ライブポーズ」機能。これは受信中のFM局の放送を最長15分間バッファリングしておく機能で、聴取時にほかの作業で席をはずしたい場合などに、クリックホイールの中央を押すことで、一時停止。最長15分バッファリングされているため、時間内に一時停止を解除すれば、続きの場所から聴取可能となっている。

 思いのほか便利な機能だが、他の局に切り替えると、一時停止中の番組はキャンセルされる。また、一時的なバッファリングだけで、FM番組そのものを“録音”する機能は備えていない。

 そのほか、新機能として「歩数計」を搭載。その日の歩数を検出し、カレンダーで一覧管理できるほか、体重を入力し、消費カロリー計算も可能となっている。また、Nike + iPod Sports Kitと組み合わせて、トレーニングの成果を記録することもできる。


歩数計を装備 目標歩数の設定も可能 カレンダーで日々の消費カロリーなども確認できる

 


■ 高級感と利用シーンの拡大が魅力

 デザイン的な変更はあまり大きくないため、一見地味にも見えるが、新機能を多数追加し、さらに魅力的なプレーヤーに仕上がった。ビデオカメラの使い勝手もユニークだが、FMや歩数計の完成度も高い。特に、歩数計の搭載により、“自分の行動記録”も測定できるようになったことは、“いつも持ち運ぶポータブル機器”としての魅力をさらに高めたように感じる。

 価格的にも8GBが14,800円、16GBが17,800円と、グッと安価になった。ボディの高級感も向上しており、隙が無くなったiPod nano。いまやウォークマン以外の競合の勢いがほとんどなくなりつつあるポータブルオーディオ市場だが、他社の反撃にも期待したいところだ。


(2009年 9月 11日)


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