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ポータブルヘッドフォンアンプは次のステージへ

−iPodデジタル接続の音は? フォステクス「HP-P1」


フォステクス「HP-P1」

 コアなファンを中心に根強い人気で、一つの市場形成に成功したポータブルヘッドフォンアンプ。使われているプレーヤーの中心はiPod系だ。プレーヤーとしてのシェアが大きいというだけでなく、そもそもiPodの音質に満足できない人達がポータブルヘッドフォンアンプと組合せ、高音質化を目指した事が、この市場の活性化の原動力になったと言ってもいいだろう。そして、そんな市場に新しい風を送り込む製品がフォステクスの「HP-P1」だ。キーワードは「デジタル接続」。

 これまでのiPod+ポータブルヘッドフォンアンプ接続の主流は、“Dock端子からのライン出力”。簡単に言えば、iPod内蔵アンプの性能に満足できないので、アンプに入力される前の音をDock端子から取り出し、外部のポータブルアンプでドライブしてしまおうという方法だ。iPodのイヤフォンジャックからの音をアンプに入力する事もできるが、その場合はiPod内蔵アンプを一度通った音を外部アンプで増幅する事になるため、満足できない音をさらに増幅してもあまり良い結果にならない。

 Dock接続により、アンプは内蔵より良いものが使えるようになった。だが、さらなる高音質を追い求めるのがマニアというもの。今度は増幅の前段階、音楽のデジタル信号を、アナログに変換するDACも、より良くしたいと考えるようになる。


 一方で、据え置き型のオーディオに目を向けると、iPodが高品位なオーディオソースとして活用され始めている。「Wadia170 iTransport」が切り開き、オンキヨーの低価格な「ND-S1」で一気に花開いたiPodデジタルトランスポートと呼ばれる製品だ。デジタル信号の状態でiPodから取り出し、外部の高品位なDACでD/A変換を行ない、iPod内の楽曲をピュアオーディオ・クオリティで楽しもうという動きで、最近は単体トランスポートだけでなく、AVアンプやミニコンポ、iPodスピーカーなど、一体型の製品でもiPodのデジタル接続は当たり前のものになりつつある。

 そうなると当然、「ポータブルでもデジタル出力したい」、「ポータブルでも良いDACでD/A変換したい」という欲求が出てくる。そんな夢を叶える製品が「HP-P1」(標準価格68,250円)だ。



■接続端子をチェック。iPod接続以外の活用も

iPhone 3GSと接続したところ

 HP-P1の特徴を一言で言えば、iPodとデジタル接続が可能なポータブルヘッドフォンアンプ。DAC内蔵ポータブルヘッドフォンアンプと表現しても良いだろう。内蔵DACは旭化成エレクトロニクス(AKM)が新開発した、32bit DAC「AK4480」を内蔵している。

 フロントパネルにはボリュームつまみ、ステレオミニのヘッドフォン出力、アナログ入力用のライン入力端子と、ここまでは普通のヘッドフォンアンプと同じ。その並びの中にUSB端子(Aタイプ)を備えており、ここにiPodを接続する。製品には短いDock-USBケーブルを同梱している。なお、デジタル接続対応iPodはiPhone 3/3GS/4、第2〜4世代touch、第4〜6世代nano、classicだ。アナログ入力も備えているため、iPod以外のプレーヤーとも接続できる。

 背面にまわると、ステレオミニのライン出力、光デジタル出力、ゲイン切り換えスイッチ(3段階)、DACのデジタルフィルタ切り換えスイッチ、USB(ミニB)端子を備える。このUSB端子は充電用で、デジタル接続には使えない。


フロントパネル。左側にiPod接続用のUSB端子を備えている 付属のUSB-Dockケーブル 背面。光デジタル出力、アナログ出力とデジタルフィルター切り換えスイッチなどを備えている

 アナログライン出力と光デジタル出力を備えているため、例えば、iPodの音を「HP-P1」のDACで変換後、アナログライン出力からアクティブスピーカーに繋ぎ、スピーカーで音を楽しむ事が可能だ。光デジタル出力を使えば、HP-P1を「iTransport」や「ND-S1」のようなデジタルトランスポートとして使え、単体DACやAVアンプなどとデジタル接続し、より本格的な高音質再生システムに組み込む事もできる。

 一方、注意したいのはiPod接続以外のデジタル入力を備えておらず、HP-P1を単体DACとして使う事はできないこと。また、最近一部のポータブルアンプに搭載されているUSBオーディオインターフェイスとして動作する機能も無いので、PCの音を高音質再生するデバイスとしては使えない。ただ、PCからUSB経由で充電する事は可能だ。



■“デカイ”が、意外に扱いやすい

 筐体を手にした第一印象は「デカイ」の一言。第6世代iPod nanoと比べるとサメとコバンザメほどのサイズ差があり、iPhone 3GSと比べてもまだ一回り大きい。アンプと言うより、iPhone/iPodを載せる置き台という印象だ。

 しかし、プレーヤーを載せた状態で、持ち上げてみると少し印象が変わる。筐体天面の中央部分が凹んでおり、滑り止め(兼傷防止)の表面処理もされているため、iPhoneが非常に収まりよく、ピタッと重なった状態で持ち歩きやすい。なお、本体の外形寸法は75×130×25mm(幅×奥行き×高さ)。重量は約260gある。

筐体天面の中央部分が凹んでおり、滑り止め(兼傷防止)の表面処理もされている iPhone 3GSを重ねたところ。一回り大きいのがわかる 重ねた状態で横から見たところ。ピッタリと重なっているため、とても持ちやすい
他のポータブルアンプとの比較。中央がiBasso Audio「D12 Hj」、右がRSAの「SR-71A」 一番左がiPhone 3GS。やはりHP-P1が他の製品と比べ、一回り大きい

 もう1つ、取り回しを良くしているポイントは、専用ケースが付属する事。これが良く出来ており、アンプとプレーヤーを入れる場所が内部で分かれているほか、ケースに入れたままフロント/リアのボリュームや端子にアクセスできるよう、面ファスナーで固定するベロが沢山ついており、必要な部分だけをめくれるようになっている。

 さらに、ケースに入れたままプレーヤー本体を操作できるよう、中央に大きな空間が設けられており、iPhoneやiPod touchなどのタッチパネルに、ここからアクセスできる。ゴムでアンプとプレーヤーを拘束する製品では、タッチパネルをゴムが横断してしまい、操作性が落ちるが、このケースであれば問題ない。また、iPodとデジタル接続している場合、再生中にHP-P1の電源を切ると、接続していた第6世代nano/iPhone 3GSの再生も連動してストップした。プレーヤー側の停止忘れを防ぐという意味で、便利な機能だ。

付属のケースに入れたところ アンプとプレーヤーを一緒に収納できるようになっている 面ファスナーで留めるベロがフロント、リアに各2本ついており、必要な部分をめくって端子やボリュームにアクセスする
ベロを両方はずしたところ iPhone 3GSのディスプレイを出したところ。ケースから取り出さずに操作ができる ケース自体にカラビナなどを通して持ち運ぶと良さそうだ

 ポータブルヘッドフォンアンプを所有している人ならわかると思うが、プレーヤーとアンプを一緒に収納でき、ケーブルなども上手い具合に収納できるケースというのは探してもなかなか見つからないものだ。その点、使いやすい専用ケースが付属しているのは心強い。他社のアンプでも、こうした専用ケースを作って欲しいものだ。

 ケースにはカラビナなどを通すことができる穴も設けられており、このまま鞄などにぶら下げられるようになっている。だが、やはりケースに入れるとちょっとした弁当箱程度の大きさになってしまうため、上手な持ち運び方法を考える必要はあるだろう。




■さっそく聴いてみる

 ボリュームツマミが電源スイッチを兼ねており、ある程度まで回すとカチッと電源がONになり、緑色の電源インジケーターが点灯。アンプの内蔵リチウムイオンバッテリが残り少ない場合は、これが赤く点灯する。連続動作時間はiPod接続・ヘッドフォン出力している時で約7時間。充電所要時間は約5時間(アンプの電源をOFFにした状態での充電)。この電源インジケーターとは別に、天面のフロント寄りに“ステータスインジケーター”を備えており、iPodを接続している時は赤く点灯。この状態でUSB経由の充電も行なうとオレンジ色に変化。iPodを接続せず、充電だけしている時は緑になる。

ボリュームつまみの左下に電源インジケーター。天面のフロント寄りにはステータスインジケーターがある

 レビュー用に使ったヘッドフォン/イヤフォンはビクター「HA-MX10-B」、ソニー「MDR-Z1000/ZX700」、SHUREの「SE535」など。まずはアンプ部分の音の傾向をつかむため、アナログ接続(ライン入力)の音を聴いてみる。プレーヤーは第6世代nanoで、米ALO Audioのクライオ処理されたDockケーブルでアナログ接続している。比較相手は、いつもイヤフォン/ヘッドフォン試聴に使っているiBasso Audio「D12 Hj」(実売32,000円前後)だ。

 「D12 Hj」はデュアルモノ・オペアンプ、デュアルDACを搭載したハイエンドモデルで、ワイドレンジかつ分解能が高く、バランスもニュートラルな音作りだ。これと比べると、「HP-P1」も負けないクリアさ、分解能の高さを聴かせてくれる。「藤田恵美/camomile Best Audio」から「Best of My Love」を再生すると、ヴォーカルの口の開閉、音像の分離の良さ、音場の見通しはいずれもハイレベルで、アナログ接続でも十分高品位なアンプである事がわかる。

 音作りの傾向としては、「D12 Hj」よりも低域の盛り上がりが少なく、中低域がスッキリして聴きとりやすい。低域描写がおざなりというわけではなく、注意して聴くとベースの弦の振動が良く見える、情報量の多い低音が出ていることがわかる。全体的に色付けが少なく、あっさりした音作りで、マニア好みのバランスと言えるだろう。

 ここでいよいよデジタル接続(USB接続)に切り換えると、世界が一変する。一番変化するのが“音場の奥行き”だ。切り換えた瞬間、中央にあるヴォーカル音像の背後に果てしない空間が生まれる。何故それがわかるかというと、音像がシャープになり、ベースやギターの音像の隙間がしっかりと知覚できるようになり、その隙間から、音の余韻が広がっていく様子が聴き取れるようになるからだ。妙なたとえだが、録音スタジオの窓をあけて風通しがよくなったような感覚だ。

 そのため、切り替えた瞬間は、音がそっけなく、迫力が減ったように感じる。ボリュームが下がったような感覚にも近い。だが、よく聴くと、音が前に張り出し、派手に奏でる事で誤魔化されていた部分が克明に描写されている事に気づく。ギターの弦が震える様子や、ドラムセットを叩く「カコン」、「ココン」といったスティックの“固い木の音”など、描写がひとつひとつ丁寧だ。ヴォーカルの声も鮮明で、口の開閉だけでなく、口の中の湿気まで感じるようだ。聴力が良くなったかのようで、もっと聴きとりたい欲求が高まり、ついボリュームを上げてしまう。アナログ接続に戻すと、音像が団子のようにくっつき、鮮度が悪く、主に低域の情報量が低下。音場も狭くなり、そこに立つ音像も厚みが無く、カキワリのように平面的だ。

 デジタル接続でも、低音の量感が控えめなバランスに変化は無い。だが、低域の情報量が増加したことで、「Best of My Love」の1分過ぎから入るアコースティックベースの「グォーン」という中低域の膨らみの中に、固い“音の芯”のようなものと、それが量感のある反響音を産み出している事が聴き分けられる。すると、複雑な低音が持つ凄みのようなものを感じ、バランスは変わらないものの、意識の中での低音の存在感が増す。

 高域でも情報量の多さはよくわかる。わかりやすい体感方法として、耳の健康に良くないが、高域がキツめな曲を、ボリュームを上げて再生してみる。「D12 Hj」で耳が痛いと感じるくらいボリュームを上げると、当然ながら苦痛で聴いていられない。しかし、HP-P1のデジタル接続では、同程度のボリュームまで上げても、うるさい事はうるさいのだが、キツい高域の中にも、音の表情がしっかり描かれているので、痛いとまでは感じず、そのまま聴ける。分解能の高さが高域でもしっかり維持されているほか、レンジそのものが拡大している事も寄与しているのだろう。

 これらの変化は、ピュアオーディオでDACをランクアップした感覚と当然ながら非常に良く似ている。山下達郎「アトムの子」のような、鋭い中高音が入り乱れるような楽曲では、個々の音を描き分ける能力がアップしている事がよくわかる。うねるようなスネアドラムの締まりのある低域の動きと、シャンシャンと頭上を飛ぶシンバルの高い音、その合間を自在に移動するスティックの動きが見えるようだ。これらの音の響きが広がる背後の空間の広さにも舌を巻く。

 アナログ接続に切り換えると、飛び交う動きが平面的になり、音場もギュッと狭くなり、目の前で生演奏を聴いていたはずが、山下達郎が2Dテレビに押し込まれてしまったように感じる。「D12 Hj」に切り替えると、低域の量感がアップするのもの、音場の狭さやレンジの広さなどは「アナログ接続のHP-P1」と大差が無い。高品質なDACでDA変換する事の圧倒的な利点を見せつけられた印象だ。

 もう一台の比較相手として、RSAの「SR-71A」も用意したが、クリアさや分解能の面では「HP-P1のアナログ接続」や「D12 Hj」よりも一歩劣る。だが、低域の元気の良さや、音の厚みが持ち味で、これはこれで小気味良いキャラクターだ。これら、アナログ接続のアンプ内で比べると、「好みで選べば良いな」と感じるが、デジタル接続のHP-P1が入ると“一つの壁を超えた音”と感じてしまうのは事実だ。

 HP-P1を1週間程度使っていて面白かったのは、情報量が多いためだと思うが、音量をある程度上げていると、歌の力が非常に強く、意識のかなりの部分を奪われる。喫茶店で聴きながら小説を広げたが、文字が頭に入らない。電車に乗ると、いつもの駅を乗り過ごしそうになった。オーディオショップなどでも、良い音でスピーカーが鳴っていると思わずその場にボーッと立ち尽くしてしまう時があるが、あの感覚と似ている。

 HP-P1の音に1点だけ注意点があるとすれば、先ほども書いたように、アンプ自身の音作りが非常にスッキリとしたバランスになっている事だ。デジタル接続ならではの情報量の多さを、そのまま伝えてくれるサウンドになっているが、ポータブルヘッドフォンアンプに対して「低域をモリモリにパワーアップしてくれるだろう」という先入観を持っていると、若干予想と異なる音と感じるだろう。このアンプは、低域の中の豊富な情報量を聴き込むような使い方が合う。

 また、接続するイヤフォン/ヘッドフォンでも印象が異なる。ソニー「MDR-Z1000/ZX700」で聴くと前述のようなバランスだが、ビクター「HA-MX10-B」やSHURE「SE535」では低の量感がアップするため、あっさり系のHP-P1でドライブすると、ちょうど良い補完関係が成立。“情報量が多く、低音もグイグイ出て気持ちいい”サウンドになる。試聴の際には、ニュートラル or 中高域寄りのモデルのほかに、低音がよく出るヘッドフォン/イヤフォンを持って行くと良いだろう。




■デジタルフィルターの音の違いを楽しむ

 音質面で面白い機能は、背面のスイッチでデジタルフィルターのタイプを切り換えられる事。「1」に合わせると、従来からのシャープロールオフ・フィルターと呼ばれる、従来からのデジタルフィルタ、「2」は、AKMが開発したプリエコーの無いタイプの「ミニマムディレイ・フィルター」の音を聴く事ができる。説明書では、このフィルターの音が「より生音に近い音」とされている。

 聴きながら切り替えてみると、微細な違いではあるが、確かに音が変化する。フィルター1の方が、太い線で描写したように音場と音像のコントラストが強く、立体感を感じやすい、“メリハリのあるわかりやすい音”だ。「2」は、音場全体に漂うサーッというノイズをかすかに感じ、音場と音像のコントラストが低く、言われてみれば「生っぽい音」のように聴こえる。クラシックやジャズなどはこちらの方が合うだろうか? 色々な曲で聴き比べてみるのも面白い。



■禁断(?)の三段重ね。デジタル出力も高音質

禁断(?)の三段重ね。これを日々持ち歩くのは、工夫や覚悟が必要だろう

 ここで1つ、気になる事がある。HP-P1にはアナログ出力が備わっているので、ここに別のアナログアンプを接続してみた。

 試しに「D12 Hj」とアナログケーブルで接続してみると、情報量の多さがありながら、「D12 Hj」の馬力のある低音が楽しめるようになる。だが、接続が増える事の弊害なのか、残念ながらクリアさ、分解能の高さはHP-P1内蔵アンプで聴いた方が一枚上手。ハッとするような鮮度の高さは減退してしまう。

 色々な音が楽しめて面白いのだが、iPhone 3GSとHP-P1、D12 Hjを3段重ねした姿は、もはやポータブルとは言えないサイズで、これを持ち歩くのは現実的とは言えないだろう。

 また、HP-P1は光デジタル出力を備えているため、ポータブル単体DACと組み合わせる事も可能になる。その際は「iPod」+「HP-P1(デジタルトランスポートとして使用)」+「単体ポータブルDAC」+「単体ヘッドフォンアンプ」という4段重ねに発展。「そこまでやりますか?」という世界に突入する。各機器の薄型化や、収納ケースなどの工夫でなんとかする事は可能だとは思うが、個人的には“DAC内蔵ヘッドフォンアンプ”が、最も現実的な解ではないかと思う。


iPodデジタルトランスポートとして使えるのも魅力だ。写真はオンキヨー「ND-S1」

 一方で、光デジタル出力は屋内で活躍できる。冒頭で書いたように、HP-P1をデジタルトランスポートとして使い、外部DACに繋いでオーディオ機器として活用するわけだ。オンキヨー「ND-S1」と、光デジタル出力のクオリティの違いもチェックした。どちらも極めて高音質だが、HP-P1の方が若干コントラストが高く、ND-S1は中域の張り出しが強く感じる。見通しや音場の奥行きはHP-P1のほうが広大に感じた。

 このデジタル出力を使い、「HP-P1+iPod」を、ピュアオーディオのメインソースとして使い、外出時は「HP-P1+iPod」の組合せを、そのまま持って外に出るという使い方もアリだろう。

 また、iPhoneやiPod touchと組み合わせている場合は、流行りのネットワークオーディオにも対応できる。iPhone 3GSで「PlugPlayer」とDIXIMの「DMC」というアプリでテストしてみたが、iPhone 3GS自身をDLNAのメディアレンダラーとして指定し、ネットワークHDDに蓄積した音楽を再生すると、接続しているHP-P1から、ちゃんとデジタル信号で出力された。この組合せであれば、ノートPCや単体ネットワークプレーヤーを使わず、ワイヤレスのピュアオーディオシステムが簡単に構築できるというわけだ。




■結論

 デジタル接続の、高音質化への貢献は大きく、アンプのキャラクターを超えた根本的な音質の向上を実感でき、ポータブルヘッドフォンアンプが新しい段階に入った事を印象付けるモデルと言える。ポータブルヘッドフォンアンプの愛好者はもとより、多くの人に聴いて欲しいクオリティだ。

 問題は、専用ケースがあるとはいえ、かなり大きなサイズと、68,250円という価格だろう。実売は既に6万円程度に下がっているが、それでもポータブルヘッドフォンアンプとしてはかなり高価な部類だ。しかし、HP-P1の場合は、高価なポータブルアンプと、iPodデジタルトランスポート、さらにDACと、3つの機器をセットで購入した事と同じであり、機能を考えると妥当な価格とすら感じる。欲を言えばUSBオーディオ機能も内蔵していれば、よりお得感が出たと思うが、PCのiTunesに入っている曲はiPodにも入っているわけで、PCオーディオ機能を使わない人も多いだろう。

 個人的に一番期待したいのは、やはりコンパクト化だ。このサウンドをより多くの人に聴いてもらうためにも、今後のモデルで改善して欲しいポイントだ。また、DACとアンプが一体化しているからこそ、アンプのキャラクターが異なるモデルや、ユーザーがオペアンプ交換などで音に手を入れられるようになると、さらにマニア心をくすぐる製品になるだろう。


(2011年 4月 22日)

[ AV Watch編集部 山崎健太郎 ]