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【新製品レビュー】

アイ・オー・データの硬派? なAndroid端末「alimo」

−家電リモコンやDLNAに対応


Androidプレーヤー「alimo(アリモ)」

 スマートフォンやタブレット端末のOSとしてすっかり定着したAndroid。最近ではカーナビや家電などの組み込みOSに採用する動きも活発になってきている。PC周辺機器メーカーのアイ・オー・データ機器も、AV家電的な位置付けでありながらAndroid OSを採用した「alimo(アリモ)」を、8月に発売した。

 直販価格は34,800円前後。一般的なAndroidタブレットよりはやや安めではあるが、最近のタブレットは低価格化が進んできており、とびぬけて安いというわけでもない。

 また、タブレットではなく、NTT東日本の「光iフレーム」も類似製品といえるかもしれない。だが、積極的に家電と連携する据え置き型端末というコンセプトでは、「alimo」ほど特化した製品はそれほど多くない。とりわけ、多種多様な家電製品を統合して制御できる赤外線リモコン機能や、DLNAクライアントなど、Android端末ではまだ珍しい機能を備えている。今回このあたりの機能を中心に、alimoを使ってみた。



■基本は横置き。厚みはあるが軽量で持ち運びは苦にならない

製品パッケージ

 本体の面積はB5サイズほど(230×40×120mm/幅×奥行き×高さ)、正面からの見た目はまさにタブレット端末といった趣。重量も470gと軽く、持ち運びに苦労することは全くないが、断面形状は直角三角形に近く、最厚部が40mmあることから、タブレットのように手で持ったときの軽快感はそれほどない。

 ディスプレイは7型/800×480ドットで、静電容量式のタッチパネルで、マルチタッチ操作にも対応する。本体脇にもホームボタンなどを備えているが、基本的にはタッチパネル操作となる。Androidのバージョンは2.2で、Androidマーケットにも対応する。

 縦向きでも使うことはできるが、基本的に横置きで利用することになる。フォトフレーム風に立てて使えるほか、手元で操作しやすくなるよう寝かせて使うこともでき、2通りの置き方で活用方法はさまざまに広がりそうだ。


手元で使いたいときは寝かせて使う。リモコンとして使う場合はこのスタイルだ 立たせるとフォトフレーム風に

 バッテリの持続時間はリモコンモード時で4.5時間、動画再生時で約2.5時間。スリープ状態でも約9.5時間と短いため、スマートフォンやタブレット端末と同じような感覚で放置してしまうと、半日で完全に電源が切れてしまう点には注意しておきたい。自宅のリビングなどいつでも充電できる場所で使うことを想定した製品と考えるべきだろう。

SDカードスロットとmicroUSBコネクター。右端に見えるのは電源ボタン サイドにはACアダプター端子とUSB、HDMIポートなどが並ぶ 巨大な赤外線発光部も備える

■ 赤外線リモコンのレスポンスは良好。シンプルだがわかりにくさも残るUI

赤外線リモコンを起動。画面一杯にボタンが配置されている

 「alimo」の目玉機能の一つが、赤外線リモコン機能による外部AV機器のリモート操作だ。専用アプリ「alimo HomeRemote」で、多数のメーカーのテレビやチューナ、録画再生機器、オーディオ機器のリモコンとして利用でき、画面上のボタンや物理キーで操作対象機器を制御できるようになっている。

 あらかじめ用意されている機器種別とメーカーを選択するだけですぐに利用できるのはうれしいところ。ただし、既存の候補からしか選択できないため、当然候補にないメーカー製の機器では利用できない。学習リモコンの機能も備えていないので注意が必要だ。対応メーカー/機器は製品ページで案内しており、14社のテレビ、3社のSTBなどに対応する。

 筆者の自宅にある機器で設定できたのは、東芝のテレビ「REGZA 37Z1S」のみだった。VICTORのDVDコンポ「EX-A3」やONKYOのiPod用ドックステーションなどは、あらゆる設定を試してみたもののやはり失敗。リモコン機能では複数の機器を登録して切り替えながら使えるが、今回はテレビの設定1つのみ登録した状態で試用した。

赤外線リモコン機能の設定画面。機器種別ごとに設定できる 機器種別を選択するとメーカー一覧が表示 赤外線をテスト送信して使用可能かどうか判定

 リモコンアプリを起動すると、画面は強制的に横置き表示となり、赤外線送信部を向こう側にした状態が正位置となる。画面上に表示されるボタンはレスポンスもよく、対象機器を軽快に操作できる。

中段をスクロールさせると残り2つの操作エリアが出現。下段に[テレビ]などの登録機器切り替えエリアを設けている

 テレビの付属リモコンではボタンのクリック感が堅めのせいか押してからワンテンポ遅れたり、連打すると全く反応しないこともあるのだが、「alimo」の画面上で操作した場合は比較的スムーズに操作できる印象だ。ボタンを連打しても素直に追従し、番組表なども快適に閲覧できる。なお、操作可能なボタンが多く1画面内に収まらなかったためか、画面の中段が左右にスクロールできるようになっている。

 操作する機器を5機種以上登録した場合は最下段の操作対象切り替えボタンも同様にスクロールできる。画面デザインがシンプルなこともあり、この部分は少しわかりにくく感じた。



■ DLNAによる再生レスポンスは比較的高速。対応コーデックの拡充に期待

 動画や静止画像、音楽再生が可能なアプリ「alimo MediaPlayer」も搭載している。本体にSDカードスロットとUSBポートを備えており、これらに接続したメモリ等に記録しているMPEG-4/3GPP形式の動画やJPEG/GIF/PNG/BMP形式の静止画像、MP3/WAVE/MPEG-4形式の音声ファイルを端末上で再生可能だ。ディスプレイ自体の性能によるものか、若干の色滲みが見られるものの、動画や静止画像を再生、表示したところではまずまずの画質だった。

 alimo MediaPlayerは、単にメモリ上のメディアファイルを再生するだけでなく、DLNAにおけるプレーヤー(DMP)やコントローラ(DMC)としても利用できる。この機能により、DLNAサーバー(DMS)に保管している写真データを次々に表示するフォトフレームとして「alimo」を活用したり、テレビと連携して大画面で動画鑑賞するといった楽しみ方もできるわけだ。

 さっそく自宅のWindows 7マシン(Core i3、メモリ4GB、IEEE 802.11n、DLNAサーバーにWindows Media Player 12を使用)をDMSとして設定し、再生を試みた。なお、「alimo」では具体的には下記の操作が可能となっている。

(1)「alimo」をDMPとして操作し、DMSにあるデータを「alimo」上で再生する
(2)「alimo」をDMCとして操作し、DMSにあるデータを外部DMR機器で再生させる
(3)「alimo」をDMCとして操作し、「alimo」内のデータを外部DMR機器で再生させる

 (1)は、たとえばalimo MediaPlayerでWindows 7マシン内にあるデータを検索し、選択したメディアファイルを「alimo」にロードして再生するというもの。(2)は、(1)と同様にWindows 7マシン内にあるデータを検索し、選択したメディアファイルをWindows 7マシンやテレビなどの外部DMR機器上で再生するというものだ。さらに(3)では、「alimo」に接続しているSDカードやUSBメモリなどにあるメディアファイルを、Windows 7マシンやテレビなどで再生することを意味する。

DLNAサーバー上の写真画像を一覧した状態 DLNAサーバー上の動画を一覧した状態

 まずは約2MBのJPEG画像(解像度2,592×1,936ピクセル)を表示させてみる。(1)の場合、筆者の環境では瞬時に表示され、(2)や(3)でもWindows 7マシンをDMRとした際には全くストレスなくすぐに表示された。ただし「REGZA 37Z1S」をDMRとした場合は、表示されるまでに数秒の待ち時間が発生した。これはREGZAのデータ読み込みや画像の展開処理などにかかっている時間が長いためと推察される。

 動画や音声ファイルの場合は実データを転送しながらのストリーミング再生となり、開始時にはバッファリングのための待ち時間が発生することがある。動画を再生させると、(1)ではビットレートやファイルサイズにかかわらずほとんどバッファリングせずに再生が始まった。(2)や(3)では、Windows 7マシンをDMRとした場合には、長くても数秒程度の待ち時間。REGZAで再生させた場合は10秒弱ほど待つことになったが、サウンドトラックを聴いたり尺の短い動画を次々に再生していくような使い方でない限り、イライラするほどではない。

画面右上の「Play To」ボタンを押すことでDLNAサーバー上でデータを再生可能 「alimo」に接続したUSBメモリ内の音楽ファイルも再生できる

 なお、動画の場合、対応ファイルフォーマットとされているMP4であっても、DLNA利用時は「alimo」上で再生できないことがある。手持ちのファイルに限っていえば、コーデックが「H.264/MPEG-4 AVC」形式のものは再生可能だったものの、それ以外のコーデックでは軒並みエラーが表示され再生できなかった。DMSが原因の可能性も捨てきれないが、他のAndroid端末でDLNAクライアントアプリ「Skifta beta」を使用した場合は再生可能だった。

 DLNAにおけるコーデックの問題はわりと発生しがちであるし、あらかじめ適切なコーデックに変換しておけば済むことでもある。とはいえ、マニュアルやWebサイト上では「MPEG-4(H.263含む)、3GPP」との記述があるだけで、DLNA利用時の動作条件や具体的な対応コーデックなどに触れていないのはやや不親切であるように思う。


■ “Androidらしい自由さ”も求めるユーザーに

 見た目や使い勝手にハードウェアメーカーらしい硬派な作りが垣間見える本製品。SNSなどと連携してさまざまな情報を表示できる「ガジェット」や、コミュニケーションアプリ「Skype」など、ライトユーザーも使いたくなる機能を備えてはいても、やはり「alimo」は「光iフレーム」のような既存の家庭向け据え置き型Android端末とは明確にユーザー層やコンセプトが異なるものだ。

 最初から家族全員が楽しんで使える、というより、ある程度ユーザーのコミットに任せるような部分があり、家電やDLNAを効率的に使いこなす道具を手に入れつつ“Androidらしい自由さ”も求めたいというユーザーにマッチしているように感じる。汎用機として様々な使い方が想定できるがゆえに、「タブレットを買っても、何が便利になるかわからない」という悩みも聞かれる。「alimo」のように用途を絞った端末であえて尖ったターゲットからアプローチする戦略もありなのかもしれない。


(2011年 9月 27日)

[ 日沼諭史 ]