西田宗千佳の
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iPhone、Googleケータイなど最新端末のAV機能をチェック

~スマートフォンの各プラットフォームの特徴~


左から「HT-03A」、「T-01A」、「iPhone 3GS」

 iPhoneに刺激を受けたのか、この夏の携帯電話市場では、いわゆる「スマートフォン」が目立っている。

 今回は、その中でも注目度の高い3機種である、NTTドコモの「HT-03A」「T-01A」、ソフトバンクの「iPhone 3GS」の3機種を、「AV目線」で比較してみた。スマートフォンを選ぶ人の中には、外出先で映像や音楽を、様々な形で楽しむことを目的としている人も少なくないはずだ。

 「音楽を楽しむケータイ」というとiPhone、というイメージが強いが、NTTドコモの2機種は、それにどのくらい迫ることができただろうか。

 


■ iPhoneの影響が強い「タッチパネルケータイ」の登場

  それぞれのスペックは意外と近い。まずは、3機種の概要をおさらいしておこう。

 iPhone 3GSは、ご存じの通り、iPhoneの最新モデルである。ディスプレイも3.5型/320×480ドットのまま、サイズも外見も旧モデル「3G」とほぼ同じではあるが、中身はほぼ別物、といっていいほど進化している。フラッシュメモリの容量が8/16GBから、16GB/32GBへと倍増したほか、処理速度が大幅に向上し、内蔵のワークメモリも増えているため、操作が劇的に快適になっている。

iPhone 3GS。デザインや液晶サイズは昨年モデル「3G」をそのまま踏襲しているが、ハードウエア的には大幅な進化がなされている

 また、高性能化したCPUと内蔵カメラの性能を生かし、3Gまではできなかった動画撮影にも対応している。

 逆にいえば、進化点の多くは、OSが「3.0」へとアップデートしたことによるものが多く、ハードウエアのサポートを必要としているのは、動画撮影や音声コントロール、電子コンパスによる方角検知といった機能に限られる。

 そういう意味では、「高速化こそが旧機種との最大の差別化点」といってもいい。ライバルとして挙げたNTTドコモの2機種は、それぞれiPhoneの影響を受けて生まれた機種、といえる。

 特に注目が集まっているのが、“Googleケータイ”こと「HT-03A」だろう。OSに、グーグルが開発を主導する携帯電話向けOS「Android」を採用した、日本での最初の機種である。開発は、Windows Mobile搭載のスマートフォンを多く手がけていることで知られる、台湾のHTC。海外では「HTC Magic」と呼ばれる機種の、NTTドコモ版である。3.2型/320×480ドットの液晶に、320万画素のCMOSを使ったカメラ、電子コンパス搭載のGPS機能と、ハードウエアのスペックは、一見するとiPhoneに近い。色も黒と白で、iPhoneと同じバリエーションである。

Googleケータイこと「HT-03A」。サイズ的にも色合い的にも、iPhoneを意識していることが分かる端末だ。本体下部に、通話系のボタンと「トラックボール」が内蔵され、独特の使い勝手が実現されている。

 それに対し、「T-01A」は、「タッチセンサー液晶採用」、「薄型」という点をのぞくと、iPhoneに近い部分は少ない。ハードウエアスペックでは、他の2機種を大きく凌駕している。「T」の頭文字でおわかりのように、開発は東芝。OSには、スマートフォンではおなじみのWindows Mobile 6.1 Professonalが採用されている。カラーバリエーションは銀と黒の2つだ。

 ディスプレイは4.1型/800×480ドットと、他機種に比べぐっと大きく、CPUクロックも、スマートフォンとしては破格の「1GHz」である。だが、薄さは9.9mmであり、他の2機種よりも大幅に薄い。iPhone 3GSとHT-03Aが「横幅の広いストレート端末」といった印象であるのに対し、T-01Aは「板を持って電話している」かのような印象だ。正直少々大きすぎる、と感じたが、薄いため、ポケットなどへの収まりは、他の2機種より良く、その点は好ましい。

東芝開発のWindows Mobile端末「T-01A」。4.1型という大きなディスプレイが、良くも悪くも特徴。デザインは比較的シンプルで、「薄い板」のようだ

 3機種共通の特徴として、どれもが「日本の一般的な携帯電話向けコンテンツ」が利用できない、という点にある。ドコモのiモードや、auのEZweb、ソフトバンクのYahoo!ケータイなどの公式コンテンツ、着うたなどは利用できない。とはいうものの、PC用のサイトやサービス、PCで準備した動画や音楽のデータが使えるという大きな利点もある。

それぞれのサイズを比較してみた。iPhoneとHT-03Aはかなり似通ったサイズだが、T-01Aはかなり大柄。だが薄さに関しては、他機種のほぼ半分程度になっている

 


■ 「アプリ中心」のiPhone、「ネット中心」のHT-03A、T-01A

 まずは操作感覚をチェックしてみよう。

 特に、電源を入れるとすぐに表示される、「トップ階層」にあたる画面の構成を見ると、それぞれの性格の違いがはっきりしてくる。

 iPhoneは、「自分が使いたいアプリケーションをすぐに呼び出せる」ことを狙った、ランチャーをベースとしたものである、といっていい。

 それに対し、HT-03Aで目立つのは「Googleの検索窓」である。もちろん細かなカスタマイズはできるが、「アプリケーション」よりも「ネットの活用」を全面に押し出した構成、といえる。

 T-01Aは、iPhoneに近く、アプリケーションを呼びだすための、オリジナルのランチャーが全面に出た構成だ。ただし、iPhoneやHT-03Aのランチャーと違い、T-01Aのランチャーは「薄皮」のようなものだ。T-01Aを使いこなそうと思うと、結局はWindows Mobile標準のユーザーインターフェイスを活用する必要がある。両者の関連性は薄く、「接ぎ木」的な印象がぬぐえない。

iPhone 3GSのトップ画面(筆者私物)。「普段使うアプリをすぐ呼びだす」ことに注力した、ランチャー重視の画面だHT-03Aの標準状態でのトップ画面。ネットサービスとの連携を中核に置いている。ウィジェットが配置できるため、カスタマイズできる範囲が他機種に比べて大きいT-01Aのトップ画面。オリジナルのランチャーが搭載されている他、Windows Mobile標準の「Today」画面も利用できる

 動作速度も「三者三様」だ。

 反応速度では圧倒的にiPhone 3GSが早く、次にHT-03A。T-01Aは、CPUこそ高速なのだが、どうも動きが鈍い印象だ。

 ただし、動作が鈍く感じるとはいえ、T-01Aが「不快だ」というわけではない。特に、アプリケーションの起動や切り換えといった、基本的な部分の動作はさほど遅いわけではない。そういった部分では、HT-03Aの方が緩慢な印象を受ける。問題は、T-01Aの専用ランチャーの出来にあるようだ。タッチパネルを生かそうと導入したのだろうが、その狙いが成功しているとは思えない。

 OSそのもののUI設計も古くさく、iPhone以降のトレンドに乗れていない、という印象がぬぐえない。次バージョン「6.5」が搭載できなかった以上、どうしてもその辺りでは不利になる。

 だが、ディスプレイの広さから来る「情報量」は圧倒的で、特にウェブブラウズ時の効果は絶大だ。iPhoneやHT-03Aは、フォントレンダリングも美しく、ブラウザの性能も高いことから、液晶の解像度が低い割には相当に見やすいと思うが、それでも、ワイドVGAのT-01Aにはかなわない。また、Flashに対応しているのも、T-01Aのみだ。

 T-01Aには、標準で「NetFront」と「Internet Explorer Mobile」の2つが搭載されているが、前者はウェブの解釈能力と機能が高く、後者はFlash Lite 3.1に対応している、という特徴がある。ただし、NetFrontもIE Mobileも悪くはないが、iPhoneやHT-03Aで採用されている「WebKitベース」のブラウザーに比べると分が悪い。実はNetfrontも、Windows Mobile同様、大幅な機能アップを行った新バージョン「Netfront 4」の登場が控えており、こちらならばWebKit系にも劣らない、との話も聞こえてくるが、T-01Aに搭載されているのは4ではない。

 OSもブラウザも、新バージョンを控えた「端境期」である、というところが、T-01Aの不幸なところである。とはいえ、Windows Mobile用には、ネット上で様々なウェブブラウザーが公開されているので、この2つが気に入らない場合、自分で入れ替えることもできる。「自由度」ではトップといっていい。

iPhoneでのウェブブラウズ画面。フォントとウェブページのレンダリング品質が高く、液晶解像度が低い割に見やすいのが特徴。マルチタッチ対応なので、拡大縮小も容易だ
HT-03Aのウェブブラウズ画面。iPhoneほどフォントなどのクオリティは高くないが、十分に見やすい。オレンジの枠は、現在フォーカスの当たっているリンクの場所。T-01Aで、Netfrontを使った場合のウェブブラウズ画面。ディスプレイ解像度の高さは圧倒的で、横画面ではPCのような感覚だ
HT-03Aのトラックボール。豆粒のような大きさだが、操作感は良好。特に片手操作時に威力を発揮する

 HT-03Aは、iPhoneと比べると、動作が洗練されていない印象を受ける。ただし、Android搭載製品としては実質的に第一世代であり、すでに2年、3年と洗練を重ねたiPhoneと比較するのは、少々分が悪いかも知れない。

 iPhoneやT-01Aが、実質的にタッチパネルのみでの操作であるのに対し、HT-03Aの特徴は、「トラックボール」を搭載していることだろう。主にスクロールやメニュー選択に使うものだが、操作感はなかなかいい。ウェブブラウザでも、リンクを移動していって選択する、といった使い方ができるようになっている。タッチパネルの場合、どうしても「片手で持って、もう片手で操作」することが中心となるが、トラックボールでの操作の場合、「片手で持って、その手の親指で操作」がしやすい。より一般的な携帯電話の操作感に近いわけだ。タッチパネルは確かに便利だが、「やはり物理的に動くものは安心できる」と感心してしまった。

 ただし他方で、iPhoneと他の2機種には、ひとつ大きな違いがある。iPhoneがマルチタッチ(複数のポイントに同時に触れて操作できる)対応であるのに対し、他は対応していない、ということだ。操作の自然さではマルチタッチの方が有利であり、この点でもiPhoneに「一日の長」を感じる。

 


■ 出来ることは同じだが洗練度ではiPhoneに軍配、プレイヤーが選べるHT-03AとT-01A

 次に音楽・映像再生機能を見てみよう。

 iPhoneが音楽と親和性が高い理由は、もちろんベースが「iPod」であるからだ。iTunesと連携し、簡単に音楽データをiPhone内に転送し、聞くことができる。

 それに対し、HT-03AやT-01Aは、やはり基本的に「携帯電話」だ。どちらも、標準でメディアプレーヤー機能を持ってはいるが、iPhoneにおける、iTunesとiPod機能のような密な連携が存在するわけではない。とはいえ、T-01AはWindows Mobile搭載機であるので、Windowsパソコンを使っている場合には、Windows Media Player(WMP)との連携も可能であるし、HT-03Aも、パソコンからはUSBストレージクラスのデバイスとして認識されるので、WMPなどで楽曲を管理することができる。iTunes+iPodの持つ「洗練」こそないが、実際に使う分には、極端な機能差があるわけではない、といった印象だ。

 iPhoneで再生に利用するのは、「iPod」機能である。操作方法も機能も、iPodのものと同じである。逆にいえば、通常の場合それ以外のメディアプレーヤーソフトを利用することはできない。YouTubeやニコニコ動画といった動画共有サイトを楽しむ場合には、それぞれの専用ソフトを使う。

iPhoneの音楽再生機能。iPod touchでもおなじみの機能であり、操作方法や機能も同じだ

 それに対し、HT-03AおよびT-01Aでは、好きなメディアプレーヤーを自由に選べる。この点は大きな差といえるだろう。特にHT-03Aの場合には、ソフトウエアを専用サイトに集約した「Android マーケット」に端末内でアクセスし、好きなソフトを簡単に探してダウンロードできるため、より便利である。

 Android マーケットは、iPhoneのAppStoreをAndroid上で実現したようなものだが、公開できるソフトを審査しているアップルと違い、こちらは制限が緩い。例えば、iPhoneのiPod機能を置き換えるメディアプレーヤーや、端末内の音楽ファイルから一部を切り出し、着メロを作成するソフトのようなソフトは、AppStoreでは公開が許されないが、こちらならOKだ。本体標準の機能を置き換えるようなソフトも用意されている。

HT-03Aの音楽再生機能。シンプルではあるが、使い勝手は良い。ファイルは本体内のストレージや、microSDカードに保存しておくHT-03A上から直接対応アプリケーションをダウンロードできる「Android マーケット」

 T-01Aの場合、アプリを探すのはちょっと面倒。Windows Mobile版AppStore「Windows Mobile Marketplace」も、新OS同様、まだ実装されていないので、ウェブブラウザを使って自分で検索して見つけ出し、インストールする必要がある。

 ただし、ことメディアプレーヤーだけの話をすれば、わざわざ変更する必然性は薄いかも知れない。T-01Aに標準で組みこまれているメディアプレイヤー「Kinoma Player」の出来が秀逸であるからだ。音楽や動画ファイルの再生の他、YouTubeやポッドキャストなどの再生も統合されている。操作も簡単だし、画面デザインもわかりやすい。

T-01Aに標準で組みこまれている「Kinoma Player」。AVファイルの再生やYouTube・ポットキャストの再生などが統合されており、使いやすい

 なおワンセグはいずれも標準機能ではないが、別売のチューナとの組み合わせでは、現状、iPhoneのみが対応できる。先日アイ・オー・データ機器から、PCと連携して、無線LAN経由で録画番組を転送して視聴するソリューションが発表されるなど、選択肢が増えつつある。

 


■ Bluetoothの制約が厳しいT-01A、iPhoneでは「曲送り」ができない

 ハード的に大きく違うのは、ヘッドホンの扱いだろう。iPhoneの場合には、通常のミニプラグがそのまま差し込めるが、HT-03AもT-01Aも、充電・PC連携に使う端子に対して付属のリモコンマイクを差し込み、さらにそこにあるミニプラグへヘッドホンを差し込む、という形になっている。この辺りも、「あくまで携帯電話である」という印象を強く受ける。

HT-03A付属のマイク内蔵ヘッドフォンアダプタT-01A付属のマイク内蔵アダプタ

 どの機種も大柄であり、Bluetoohに対応していることから、ワイヤレスでの音楽再生もテストしてみた。だが、その操作感は3機種で大きく異なっている。

T-01Aは、携帯電話網の通信とBluetoothの同時利用ができない

 もっとも厳しいのはT-01Aだ。ウェブブラウザやメーラーが通信をしていない時にはBluetoothが問題なく利用できるのだが、通信時には、Bluetoohが一切使えない。また、Bluetoothを使っている最中には、携帯電話網を使った通信に接続できない。理由は、NTTドコモが、パケット定額プラン「Biz・ホーダイ」を利用中に、パソコンなどをつないで使う「テザリング」を防止するための機能を組みこんでいるためだ。実質、これではBluetoohは使えない。

 同じドコモの端末でも、HT-03Aは違う。携帯電話網を使った通信中でも、問題なくBluetoothが利用できる。おそらく技術的な理由によるものだろうが、T-01Aだけが割を食っている印象だ。

 iPhoneも、HT-03A同様、通信中の利用に制限はない。ただし、通話や再生、音量の調整はできるものの、曲送り動作ができない。

 


■ CMOSのスペックは同じでも画質は大きく異なる

 最後の比較はカメラ機能だ。3機種とも、搭載しているCMOSセンサーのスペックは320万画素クラスであり、ほぼ同等だ。だが、画質や機能はそれなりに異なる。

 T-01Aはくっきりとした印象で、フレームレートもきちんと30fpsが維持されている。VGAサイズのMP4形式の他、携帯電話向けに、320×240/3gp形式でも記録できる。「ビデオエディタ」という編集ソフトも付属しており、簡単なカット編集もできる。ただし、クオリティは高くない。ビットレートが最大でも2Mbps程度であり、特に音声はモノラル8kHzで記録されるためだ。「携帯電話の動画と思えばこんなものか」というレベルである。

T-01A付属「ビデオエディタ」。撮影した映像をカットしたり、テロップを加えたりできる他、写真を組み合わせた「フォトムービー作成」ができる。
【サンプル動画】(4.1MB)
静止画

 同様に、編集機能を備えているのがiPhone 3GS。編集操作のしやすさはこちらの方が上だ。画面上をタッチし、その場所にフォーカスする機能がある点も評価できる。特にマクロ撮影で有効で、他機種より使いやすい。動画の記録形式は640×480ドットのMOV形式(MPEG-4 AVC/H.264)のみだ。画質・音質については、映像ビットレートが3.6Mbps程度、音声がモノラルAAC/44.1KHzと高いため、他機種に比べかなり有利になっている。こちらは「ちょっとフォーカスの甘いデジカメの動画」という印象である。

iPhone 3GSの動画編集画面。必要な部分だけをカットする、簡易編集だ。現時点では、撮影したファイルそのものを編集してしまい、「編集前のファイル」が残らない
【サンプル動画】(7.14MB)
静止画

 HT-03Aは、カメラに関しては少々厳しい。色合いが浅く、フォーカスも甘い上に、動画のフレームレートも20fps程度と低め。携帯電話で撮影した動画としても、さほどクオリティは高くない。なお、申し訳ないことに、今回はHT-03Aのサンプルファイルが用意できていなかった。

 どの機種も、ネットでの写真・動画の共有には配慮されている。

 特にiPhoneとHT-03Aは、メールやYouTubeとの連携が取られており、撮影してすぐにアップロードが可能だ。T-01Aの場合も、前出の「ビデオエディタ」から、YouTubeへムービーをアップロードできるようになっている。どちらも、動画の内容を確認してから、ワンタッチで他人と共有が出来て、非常に簡単だ。

iPhone 3GSからの動画アップロード画面HT-03Aからの動画アップロード画面

 


■ 「洗練」のiPhoneか、「自由度」のHT-03A、T-01Aか

 さて、結論である。

 やはり、iPhoneは伊達ではない。アップルのこだわりと歴史の両方が生きており、現状ではライバル2機種とは、大きな差が存在する。キャリアにこだわりがなく、現時点での完成度で選ぶなら、やはりiPhone 3GSがベストである。

 だが、それぞれの機種にももちろん魅力はある。HT-03AはGoogleのサービスとの連携や、AppStoreよりも自由度の高いAndroid マーケットの存在感が強い。年末に向け、複数のメーカーがAndroid搭載携帯電話を開発中と言われているが、その登場が待ち遠しい。ハード面でいえば、やはりトラックボールの操作感が魅力だ。ドコモの回線にこだわるなら、iPhoneでなくHT-03A、というのは十分に「アリ」な選択だし、機能に対する満足度も高いだろう。

 他方、ちょっと割を食っている印象があるのが、T-01Aだ。ハードとしての出来は悪くないのだが、OSやブラウザに「過渡期」的な厳しさを感じる。正直、発売を年末まで待って、同じハードウエアのまま、Windows Mobile 6.5やNetfront 4を搭載して発売した方が良かったのでは……と思う。

 だが、「OSとソフトをカスタマイズする」面でのノウハウは、歴史の長いOSだけに、Windows Mobileが一番多い。すでにWindows Mobile機を使っており、ソフトやノウハウ、こだわりを持っているのであれば、この機種を選ぶという選択肢もあるだろう。

(2009年 8月 6日)


= 西田宗千佳 = 1971年福井県生まれ。フリージャーナリスト。得意ジャンルは、パソコン・デジタルAV・家電、そしてネットワーク関連など「電気かデータが流れるもの全般」。主に、取材記事と個人向け解説記事を担当。朝日新聞、読売新聞、月刊宝島、週刊朝日、週刊東洋経済、PCfan(毎日コミュニケーションズ)、家電情報サイト「教えて!家電」(ALBELT社)などに寄稿する他、テレビ番組・雑誌などの監修も手がける。

[Reported by 西田宗千佳]