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“Zooma!:ズームレンズ、ズームすること、ズームする人、ズズーンの造語”

第541回:ホームネットワーク活用No.1へ、東芝「DBR-Z150」

〜タブレット&スマホ連携の最安ラインならこれ〜


■期待のタブレット連携ソリューション

東芝BDレコーダ「DBR-Z150」

 今年のCEATEC、レコーダ部門で話題をさらったのは東芝だった。タイムシフトマシン機能を備えたレグザサーバー「DBR-M190/180」の登場、そして「映像ヲ解放セヨ。」のキャッチコピーで登場したレグザタブレットを組み合わせて、生番組・録画番組視聴、録画番組持ちだしという路線を打ち出した。

 これまでレコーダと外部機器の連携は、いろんな機能が実現された。携帯ゲーム機やワンセグ携帯に持ち出せるといった機能、あるいはケータイをリモコン代わりに活用したり、PlayStation 3とtorneでソーシャルネットワークとテレビ番組を組み合わせるという方法も出てきた。

 一方、東芝ではすでにAndroid/iOS用アプリ「RZタグラー」の提供により、ソーシャルネットワークをテレビライフに組み込んでいくというトライアルが動き始めており、むしろ映像転送があとからやってくる格好だ。

 CEATECで発表された東芝レコーダの発売日をおさらいしてみると、通常のBDレコーダである「DBR-Z160」と「DBR-Z150」の発売が10月から開始されており、タイムシフトマシン機能を備えたレグザサーバー「DBR-M190」、「DBR-M180」は12月中旬とまだ少し先。連携するREGZAタブレットは、7型のAT3S0が10月下旬から、10.1型の「AT700」が12月中旬発売予定となっている。

 今回は、先に発売されたブルーレイレコーダ「DBR-Z150」をお借りしてみた。同時期に発売の、タイムシフトマシンではない通常のBDレコーダは計4機種あるが、REGZAタブレットで番組視聴ができるモデルとしては、Z150が最安となる。

 発表時の店頭予想価格は9万円前後となっていたが、すでにネットの最安値では5万円を切り、4万5千円近くまで下がってきている。発売1カ月で半額になるなら店頭予想価格には一体何の意味が、と突っ込みたくなる部分もないわけではないが、安くなる分には消費者にとってはうれしい話だ。

 今回は新REGZAタブレットまではお借りできなかったが、東芝本社にて実際にレコーダからワイヤレスでのテレビ視聴をテストしてみた。それも踏まえて、新BDレコーダを見ていこう。



■すっきりした外観

 まず東芝のBDレコーダについて整理しておくと、HD DVD撤退を決めたのが2008年、それからBlu-rayへの転換を図り、2010年10月にRDシリーズ後継となるBlu-rayレコーダを登場させた。そして今年6月にもマイナーチェンジという格好で後継機を投入してきている。

 今回のレコーダは従来のRD型番ではなく、DBRという型番で統一されており、完全に新ラインナップとなっている。

 デザインも一新され、従来のようにフロントパネルの三角出っ張りがなくなり、スマートな外観となっている。フロントパネルは上が黒アクリル、下がシルバーヘアライン模様になっているが、別々に分かれるわけではなく、1枚のフタとして一緒に開く。

フロントパネルは上だけ、あるいは下だけ開きそうだが、実は繋がっている 天板にはおなじみ巨大Blu-rayロゴ

 昨今のレコーダは本体のボタンを極力排除する傾向があるが、東芝は録画・再生、ドライブ切り替えといったボタン類を配備している。そのかわり、電源ボタンもフロントパネル内に隠してしまうという大胆な設計で、パネルを閉じていれば外側にはボタンが全くないというデザインになっている。

 BDドライブはBDXL対応になり、他社と並んだ。BDXLはドライブの価格もずいぶん下がってきているが、いかんせんメディアがまだ1枚3,000円以上する。容量が4倍5倍に増えても、価格が通常のBD-Rより10倍から20倍高いとあっては、なかなか普及も難しいだろう。内蔵HDDは1TB。これで実売5万円は、かなり安いと感じられる。

ボタン類はシンプルだが、最低限の機能を押さえてある ドライブはBDXL対応に
あっさりした背面パネル

 背面に回ってみよう。チューナは地デジ、BS/CSともにダブルチューナ。端子類はアナログを減らしたことにより、ずいぶんシンプルになった。アナログ入出力を1系統ずつに整理したほか、D端子もなくしている。デジタルオーディオ出力は光だけとなった。極端なレガシー環境しかない場合のみ配慮し、あとはHDMIで、というシナリオのようだ。

 背面のUSBは増設HDD専用だ。前回は外部電源付きHDDが推奨となっていたが、今回はUSBバスパワーのみのHDDも使用できるようになっている。対応容量は最大で4TBまで。内蔵HDDが1TBなので、今すぐ増設の必要がある人はそれほどいないと思われるが、現在タイの洪水の影響でHDDの品不足が続いている。外付けHDDの増設は、もう少し様子を見てからにした方がいいだろう。

 リモコンはボタン類を比較する限り、前モデルのものと違いはない。シンプルリモコンが付属する点も同じだ。


リモコンは前作と同じ シンプルリモコンも付属


■操作性は変わらず

 RD型番でなくなったことで気になるのは全体の操作性だが、実は以前と全く同じである。番組表も変わらず最大8ch表示だ。

 予約録画は、リモコンの「録画」ボタンで一発予約が可能。ただ、重複予約に関しては、前モデルと同様確認画面が出る。そこから「R2で予約する」に進み、通常の予約画面で処理するという段取りである。

型番は変わったが操作体系は同じ R2の予約はいちいち予約画面が出る

 2つめの録画の時にどうするかをユーザーに問い合わせるのは、操作ミスを防ぐためということで譲ったとしても、「R2で録画」を選んだ時に、さらに設定画面を出す必要があるのか疑問が残る。そもそも一発予約はこういった操作を飛ばすためにあるものなので、ダブル録画になった時に大変煩わしく感じる。

 一発予約で設定される画質は、リモコンの「画質モード」を押して選択する。どの画質モードに変更されたかは画面上には表示されず、レコーダ本体のディスプレイ表示でしかわからない。

 このあたりも含めて、レコーダとしての基本機能はほぼ前回と同じと考えていいだろう。ただ従来機と大きく違うのは、新REGZAタブレットと組み合わせて放送・録画番組の視聴ができる「レグザリンク・シェア」に対応している事だ。

 また、これ以下の機種(DBR-Z110/DBR-C100)では、チャプタ編集などを含む「編集ナビ」が無く、W録両方に自動でチャプタを付ける「Wマジックチャプタ」が使えないなどの違いがある。また下位モデルはHDD容量がいずれも320GBと、Z150の1TBから比べると極端に少ないのが気になる。実売での価格差が1万円ぐらいしかないことを考えると、Z150はいい落としどころではないかという気がする。ただ、REGZAタブレットとの連携を見てから、と考える人も多いだろう。

 

モデル名 DBR-Z160 DBR-Z150 DBR-Z110 DBR-C100
実売 7万円前後 5万円前後 4万円前後 3万円前後
HDD容量 2TB 1TB 320GB 320GB
チューナ 地上/BS/110度CS×2 地上/BS/110度CS×1
USB HDD録画
2番組同時録画
(AVC可)

(AVC可)
Wマジックチャプタ
Blu-ray 3D再生
BDXL対応
レグザリンク・シェア
レグザAppsコネクト対応
編集ナビ

 



■タブレット連携に見る未来

 新REGZAタブレットは、10.1型の「AT700」と7型の「AT3S0」の2モデルが用意されている。すでにAT3S0のほうは発売済みで、AT700は12月中旬発売予定だ。今回東芝にお邪魔して拝見したデモは、AT700である。なお、AT3S0の方は発売済みだが、実はレコーダと連携するための「レグザAppsコネクト」のアプリがまだ公開されていないので、本体だけあっても実験できないのである。

 

7型の「AT3S0/35D」 10.1型「AT700/35D」

 

 公開予定のアプリは3種類。レコーダのチューナを使って現在放送中の番組が見られる「RZライブ」、レコーダに録画した番組を家庭内のWiFiで見られる「RZプレーヤー」、録画番組をタブレットにダビングして持ち出せる「RZポーター」だ。

 一方、タッチリモコンや番組にタグを付ける機能を持つ「RZタグラー」のバージョン2.0はすでに配布されている。RZタグラーは特にレグザタブレットでなくても利用可能だが、新しいアプリ3種類に関しては著作権保護機能の関係から、今のところAT700とAT3S0、スマートフォンの「REGZA Phone T-01D」のみが対応機種となっている。

 RZライブとRZプレーヤーは12月中旬から、RZポーターは少し遅れて来年1月下旬から配布予定だという。デモで体験したのは、RZライブとRZプレーヤーのみである。

 レコーダとの組み合わせというところでは、RZプレーヤーのほうが興味あるところだ。まずそちらから見てみよう。

 起動すると、DLNAのサーバー機能があるマシンが一覧で見える。テレビもHDDを繋いで録画できるものではDLNAサーバを搭載しているものがあるので、それらも一覧に出てくる事になる。ターゲットとなるレコーダを選択すると、タイトル一覧が表示され、番組をタップすると、再生が始まるという段取りだ。

RZプレーヤーを起動するとDLNA対応機が一覧表示される 録画番組一覧が表示される

 ここで気になるのは、レコーダなら自分で予約録画した番組しか表示されないからこれでいいが、全録できるレグザサーバーではどういう見え方をするのか、というところだ。そこはまだ非公開の部分で、単に全部の番組がダラダラと表示されるわけではない、ユニークな見え方を考えているという。こちらは製品がリリースされた後で、またテストする機会があるだろう。

 再生中の画面左側には、Twitterとの連動やタグリストへのアクセスボタンがある。Myタグリストを開くと、番組に関連するタグが表示される。気になるタグをタップすると、番組がその場所にジャンプするという仕組みだ。

録画した番組を再生している様子。右側にツールが表示される タグリストの表示も可能。該当のシーンにジャンプできる
その場でタグの入力もできる

 もちろんタブレットの良さは、単に閲覧性の良さだけでなく、情報入力のしやすさもポイントとなる。自分のタグをその場で追記して公開することも可能だ。

 さて、ここまでの画面を見て何か違和感というか、これまでと違うなーという点に気づかれただろうか。実はタグリストを始めとするメニュー類が、テレビ画面の上にガンガン乗ってきているという事だ。

 テレビの画面に対しては、ARIBの規定により番組上に別のコンテンツを載せることができない。ARIB TR-B14 9.3に、以下のような記述がある。

 「放送番組及びコンテンツの提示中に、それと全く関係がないコンテンツ等を意図的に混合、または混在提示しないこと。例えば、提示中の放送番組の表示にその番組と全く関係が無いコンテンツや告知、広告を混合提示し、意図的にそのコンテンツや告知、広告が放送番組と一体であるかの様な誤解を視聴者に与える提示を行う機能がこれにあたり、テレビ放送画面とインターネットのブラウザ画面が一体であるかのように視聴者に誤解させるような機能を装備することなどを指す。なお、受信機の機能として、上記の様な誤解を与える事を目的とせず、ユーザーの操作により複数のコンテンツを一画面に同時提示する事、例えば 2画面表示、小画面表示機能はこれにあたらない。」

 したがってこれまでの「受信機(テレビ)」の画面上に映るネットとの連携機能は、すべてテレビ画面を縮小して端に寄せ、隙間を作ってから文字情報などを載せていた。torneなどもこの規定に従っているため、同じである。

 しかしタブレットは「テレビ」ではないので、ARIBの規定に入らない。したがってこのような形のオーバーレイができるわけである。使いたいときに画面の上に引っ張り出すインターフェースのほうが興ざめしないで済むというメリットがあり、番組の方にも有利ではないだろうか。そもそもテレビ番組の制作時には、画面の端10%ぐらいはテレビによっては映らないという前提で作っている。したがってその部分にアイコン程度が表示されても、番組の内容そのものに大きな影響はない。

 もう一つ、生で放送を見る「RZライブ」も見せていただいた。こちらは現在放送中の番組情報のほか、次の番組情報も見ることができる。番組がそろそろ終わりというころに見た場合、今の番組情報より次の情報のほうが重要だという考え方だ。


放送中の番組が視聴できるRZライブ Twitterとのリアルタイム連携が可能 現在の放送中の番組と、次の番組の情報が確認できる
画質切り替えは手動で行なう

放送中の番組なのでタグ情報は出てこないが、リアルタイムでTwitterの閲覧・投稿ができる機能が付いている。

 番組の伝送は、デフォルトでは1,280×720ドット/30p/12Mbpsとなっている。ほかにも、1,280×720ドットの8Mbps/6Mbps/4Mbps/2.4Mbps、640×360ドットの1.5Mbpsが選択可能。Wi-Fiの電波強度が低ければブロックノイズが出るので、その場合は画質切り替えからユーザーが自分で画質を落として視聴することになる。このあたりは自動でフレキシブルに変わってくれるとより快適だろう。




■総論

 正直なところ、レコーダとしてのZ150は他社と遜色のない出来ではあるが、機能的にそれほど引きがあるモデルでもない。ただ、タブレットやスマートフォンとの組み合わせを考えた時には、低価格ながら様々な連携ができるところがポイントである。

 自社製品同士しかサポートされていないという点は、そもそもDLNAのコンセプト的にどうなのーと思わないでもないが、現状の厳しい日本の運用規定に合致させるためには、ソフトウェアだけでは対応できないということであろう。

 タブレット用アプリのほうも、名前に「RZ」が付く割には、対応レコーダ側の型番が「DBR」で「RZ」が無いという状況になっており、このあたりもまだまだ整理が必要なようである。また、アプリ自体も、生放送と録画を見るのに別アプリに分かれているのもギクシャクした感じだが、これは手分けして開発を進めている結果であり、そのうち統合される可能性もあるだろう。

 なお、東芝と言えば忘れないうちにフォローしておかなければならない問題として、録画補償金裁判がある。これはアナログチューナがないレコーダはコピーコントロールされているので、録画補償金は必要ないのではないか、という点を争った裁判で、第一審の東京地裁では東芝側が勝訴している。次は知財高裁で、すでに3回の口頭弁論が終わり、判決が12月22日に言い渡されることになっている。

 進みゆくテクノロジーの前に法律が付いていけないことは、ネットの世界ではよくあることだが、テレビや音楽の世界では私的複製を巡って様々な思惑が錯綜する世界である。そうこうしているうちに、ダビングすることがナンセンスな時代に突入してしまう可能性が高く、その先陣を東芝が切っているという見方もできるだろう。

(2011年 11月 30日)

= 小寺信良 =  テレビ番組、CM、プロモーションビデオのテクニカルディレクターとして10数年のキャリアを持ち、「難しい話を簡単に、簡単な話を難しく」をモットーに、ビデオ・オーディオとコンテンツのフィールドで幅広く執筆を行なう。メールマガジン「金曜ランチボックス」(http://yakan-hiko.com/kodera.html)も好評配信中。

[Reported by 小寺信良]