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【特別企画】計画停電へのAV機器の対応を考える

−ポータブル機器などを活用。録画には細心の注意を


 東北地方太平洋沖地震の影響により、東京電力管内で14日から「計画停電」が始まった。東北電力管内も、25日に4月3日まで実施しないことが発表されたが、今後の実施が予想される。関東地区では4月末頃には一時解消される見込みではあるが、夏には再び大規模な実施が予想されており、かなりの長期間に渡って影響が及びそうだ。

 計画停電は、電力会社のサービスエリア内をグループに分けし、停電していくもの。詳細は、東京電力や東北電力、各地方自治体のWebサイトで情報提供されており、Yahoo!などのポータルサイトでも確認できる。

 AV Watchが扱っているテレビなどのAV機器は「生活必需品」ではないかもしれない。しかし、今回の震災でも、効率的に情報を一斉配信できるテレビの力は改めて認識させられた。だが、当然ながら停電中は使えなくなってしまう。ワンセグケータイであれば、バッテリ駆動でテレビを見ることができるが、その分ケータイのバッテリが減ってしまうという問題もある。

 また、停電でどうしても無理がでてくるのが、レコーダなどの録画機器だ。停電中は当然ながら録画予約を実行できない。テレビにおける録画対応機器が普及したのも、「タイムシフト」への需要の高さゆえだが、計画停電環境下では、録画という行為はかなり難しくなっている。

 電機メーカー各社の告知を見ても、基本的には電源を切り、コンセントを抜いた状態で停電に備えることを推奨している。特にレコーダの場合は、録画中に停電することへのリスクについて強く注意喚起を行なっている。

【電機メーカー各社の停電対応についての告知】
パナソニック
ソニー
シャープ
東芝
日立
三菱電機

 計画停電はいろいろな意味で、AV機器使いこなしの最も大きな課題となっているといえる。今できる対策を考えてみた。

 


■ ワンセグやポータブル機器を活用して「見る」

 テレビで情報を得るという点では、据え置きのテレビは基本的に停電中は使えない。そのため停電時にテレビを見るのに有効な方法となるのはワンセグだろう。バッテリ駆動のワンセグケータイやワンセグテレビは多く発売されているが、多くの人にとって身近なのはワンセグケータイ。

ワンセグ対応のauスマートフォン「IS03」

 実際に東北地方太平洋沖地震当日の11日の東京都内でもワンセグ利用者が目立った。利用集中により通信環境が悪化していたこともあり、多くの人が情報源としてワンセグをチェックしていたことが印象に残った。バッテリで動作し、ある程度動きながらでも受信できるワンセグの利便性が改めて確認できた。

 とはいえ、全てのケータイにワンセグが入っているわけでもなく、停電中の貴重なバッテリをワンセグ視聴だけで消費するわけにもいかない。そこで思いつくのが、ワンセグテレビ専用機として、パナソニックのビエラワンセグ「SV-ME870/SV-ME550」や、ソニーのブラビアワンセグ「XDV-W600」、ツインバードのZABBADYシリーズ「VD-J716W」といった製品。だいたい4〜6時間程度はバッテリ駆動可能なので、計画停電中の利用であれば十分カバーできる。

 同様にポータブルDVDプレーヤーやノートPCの一部でもワンセグ搭載製品があるので、こうした機器を持っていれば、計画停電中のテレビ視聴は可能だ。

 家庭内ではワンセグが受信しづらいという環境もあるかも知れないが、多くのワンセグテレビ製品は、外部アンテナ入力を備えている。こうした製品であれば、地デジが受信できる家庭であれば停電中でもワンセグ視聴が可能なはずだ。


ビエラワンセグ「SV-ME550」 ブラビアワンセグ「XDV-W600」 ZABADY「VD-J716W」

 ただ、ワンセグなので、サイズも小さく画質もいまいちだ。そうした際に注目したいのはフルセグチューナやバッテリを内蔵したポータブルテレビやBDプレーヤーだ。

 例えば、東芝のポータブルDVDプレーヤー「レグザブルーレイプレーヤー」のSD-P96DTはフルセグチューナやバッテリも内蔵しているので、単体でフルセグのテレビ視聴が可能だ。

 また、パナソニックのポータブルBDプレーヤー「DMP-BV300」はフルセグチューナを搭載するほか、バッテリ駆動に対応し、最長4時間の連続視聴が可能となっている。BD内蔵でDLNAなどの機能が多いこともあり、実売で7万円台と高価なのが難点ではあるが、停電時でも落ち着いてテレビを見られるという意味では注目したい製品だ。

 また、DMP-BV300からBDプレーヤーを省き、手かざしでの操作を可能にした「DMP-HV200(実売5万円前後)」も発売されている。こちらはバッテリ「DY-DB35」が別売(直販価格16,800円)となっている。

東芝「SD-P96DT」 パナソニック「DMP-BV300」 パナソニック「DMP-HV200」
ちょいテレ(DH-MONE/U2V)

 また、比較的低コストでの計画停電時テレビ対応としては、ノートパソコンでのワンセグチューナ活用も一つの選択肢だろう。バッファローの「ちょいテレ」やアイ・オー・データ、ロジテックのPC用ワンセグチューナは数千円で購入できる。

 ノートPCでのバッテリ運用が可能で、大抵の製品は録画にも対応しているので、レコーダとしても運用可能だ。

 また、消費電力は若干増えてもUSBバスパワーで動作するフルセグチューナもバッファローやアイ・オー、エスケイネットなどから発売されている。大手メーカー製のAVノートPCの多くもチューナを搭載している。ワンセグの画質に我慢できない場合は、こういった製品も選択肢に入ってくるだろう。録画対応の製品も多いので、計画停電中でも録画をしたいという場合も、ノートPCとチューナ製品の組み合わせは活用できそうだ。

 ただし、大型ノートPCの場合はバッテリ駆動時間が短い製品も多い。その点は注意したい。


バッファローのフルセグチューナ「DT-F200/U2W アイ・オー・データのテレキング「GV-MVP/FZ SKnetのMonsterTV UBS3

 リアルタイムで番組を見るなどの情報収集でなく、コンテンツを楽しむというのであれば、ポータブルプレーヤーやDVDプレーヤーなどで録画した番組やDVDを見るというのもいいだろう。ネットでの情報収集などもいいが、計画停電中は、基本的に家庭内のインターネット通信回線(モデムやルータなど)も止まる可能性が高い。携帯電話網などの通信キャリアの基地局は予備電源で動作する箇所もあるが、限りある帯域でもあるので、パソコンでの動画配信視聴などは極力控えたいところだ。


■ 計画停電で難しくなるレコーダの運用

 一方、より面倒な問題はレコーダだ。基本的に停電中は利用できないほか、録画中に停電が来てしまえば、機器トラブルの原因になる可能性もある。

ソニーのレコーダ「BDZ-AT900」 シャープ「BD-HDS63」 東芝「RD-X10」

 UPS(無停電電源装置)を活用するという手もあるかもしれないが、3月25日時点では計画停電時間は最大3時間と長い。低価格なUPSは基本的に安全に電源を落とす時間を確保するための製品なので、そんなに長時間はカバーできない。また1地域で計画停電が2回にわたることもあるので、現時点ではあまり有効な活用例とは言えないだろう。

 さらに現時点では計画停電の実施予定や実行については直前に決定されることが多く、それほど弾力的な運用はできない。東北、関東の計画停電実施地域では、録画という行為自体が非常に困難な状況といえる。

 そのため、前日や朝に計画停電の有無を確認し、停電時間にかぶらないように録画予約を行なうという作業が、面倒ながらどうしても必要だ。毎週録画やおまかせ自動録画系の機能の利用もなるべく控えたほうがいいかもしれない。

 また、計画停電の対象外となる22時以降の深夜番組や、あるいは計画停電が少ない土日に絞った運用というのも一つの手だろう。

TBSオンデマンド。各社がテレビやPC、ケータイ向けなどにテレビ向けのオンデマンド配信サービスを実施している

 最近では、人気ドラマやアニメの場合はオンデマンド配信サービスも増えている。NHKオンデマンドを始め、日本テレビ、TBS、フジテレビ、テレビ朝日なども多くの番組を有料配信しているので、停電してしまった場合、録画失敗して見逃した場合などはこうしたサービスを活用してもいいだろう。おそらく、レコーダユーザーの「見逃し」はどうしても増えると予想されるので、この機会にテレビ番組のオンデマンド配信の一層の充実を期待したいところだ。

 レコーダだけでなく、録画対応テレビにも注意したい。HDD録画機能を搭載したレコーダでも当然同様の問題が生じるので、計画停電時間中の録画予約は控え、しっかりと停電時間を確認した運用を心掛けたい。

 また、録画用のUSB HDDやLAN HDD録画/ダビングを行なう機器においても注意が必要だ。例えば、アイ・オー・データは、「AVHD-UQシリーズ」や「HVL-AV(R)シリーズ」などのLAN/USB HDDをテレビ録画に使っているユーザーに対し「録画動作中に停電になると、以後の利用に支障をきたす恐れがあり、最悪の場合は保存データを消失する可能性がある」と呼びかけており、停電前にシャットダウンするように告知。バッファローも同様に、HDD搭載地デジレコーダ「DVR-1」や、TeraStation/LinkStationのユーザーに対し、停電による製品故障を防ぐため、あらかじめ製品を停止するよう案内している。

 停電時でも録画し、番組を手元に残したいという場合は、バッテリを搭載したノートPCとバスパワーの地デジ/ワンセグチューナを使った録画システムを構築するなどの対応が必要だろう。


■ 持続的にできる範囲の節電を

 計画停電については、夏に向けた制度の見直しなどが見込まれるなど、不確定要素が多い。東京電力管内においては14日の計画停電開始時よりも供給力のアップが行なわれたことや、ある程度運用経験を積んだことから、各グループにおける停電頻度は減少傾向にある。しかし、抜本的な解決が図られているわけではなく、長期化が予想されることもあり、今後も状況に応じた対応が必要になりそうだ。

 もちろん、ユーザーができるレベルでの節電はたくさんある。例えば照明を一段暗くすれば、その分テレビの輝度も抑えることもできる。最近のテレビで搭載している自動画質調整モードなども活用すれば、やや暗い環境にしても自動的に画質を調整してくれるはずだ。

 また、レコーダの利用頻度が減るとなれば、クイック起動モードを切るなどで待機電力を抑えることができる。シャープのレコーダでは、録画以外の操作をほぼオフにする「エコモード」を搭載した機種も多い。各社さまざまな省エネへの取り組みは進めているので、こうした機能を改めてチェックしてほしい。

 テレビやレコーダだけでなく、AVアンプなど比較的消費電力の多い機器においては、未使用時に主電源を切るなどのこまめな節電も心掛けたい。3月時点では18時から20時過ぎあたりまでが電力消費のピークといわれており、特にこの時間帯の省エネは意識したいところだ。

 また、「節電」がより一層意識される状況下にあるわけで、今後の家電メーカーの製品企画にも大きな影響を及ぼすだろう。今後の製品におけるさらなる低消費電力化とともに、電力の効率的な利用について、こうした状況下だからこそ生まれる提案に期待したい。

 一人一人の「節電」への取り組みは確かに重要だが、意気込みすぎて疲れてしまうのも問題だ。節電は重要だが、あまり気を張らずに持続的にできる取り組みを進めてほしい。


(2011年 3月 25日)

[ AV Watch編集部 臼田勤哉]