標準価格:オープンプライス
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なお、お借りしたのはほぼ製品版とのことだが、仕様が変更される可能性もゼロとはいえないので、その点はご了承いただきたい。
■想像より大きい筐体 まず、最初に見た正直な感想は、「写真で見るより大きい」。製品写真での印象では、ゲームキューブより一回り大きい程度と勝手に思っていたのだが、実際に見ると二回りは大きい。数値で表わすと、ゲームキューブが150mm×161×110mm(幅×奥行き×高さ)、「Q」は180×217×198mm(同)。 また、ゲームキューブではACアダプタ方式を採用しているのに対し、「Q」は電源を内蔵していることもあって、重量もゲームキューブ(約1.4kg)の2倍以上の約3kgと結構重い。デザインは、最近のAV機器で流行っているミラーデザインをフロントパネルに採用。本当にピカピカに光っている。真正面から見ると、蚊取り線香を入れる「蚊遣り豚」に似ていると個人的には思った。
なお、「Q」はゲームキューブのソフトが動くというだけでなく、ハードウェアの互換性も重視されている。背面に「DIGATL AV OUT」を搭載するほか、底面には「ハイスピードポート」、「シリアルポート1」、「シリアルポート2」を、ゲームキューブとまったく同じ位置に配置。
将来これらのポートに対応した周辺機器が発売されても、信号的にはもちろん、物理的にも装着できないという心配はなさそうだ。ただ、この互換性を確保するために、デザインの自由度がある程度奪われてしまったのではないかと思われる。
■DVD機能はハードウェアで搭載 では、「Q」はどうやってDVDビデオの再生機能を実現しているのだろう? DVDビデオが再生できるゲーム機の先輩「プレイステーション 2」では、プレイステーション 2上で実行されるソフトウェアによりDVD再生を実現していた。 しかし、「Q」ではまったく違う方法をとっており、専用DVDプレーヤーと同じ機能を持つ基板を丸々搭載して、DVD再生を可能にしている。DVD再生には、ゲームキューブの機能はまったく使われない。 つまり、ゲームキューブ基板と、DVDプレーヤー基板を1枚ずつケースに内蔵し、DVDドライブや、出力端子、電源などを共有。それを、スイッチで切り替えているというイメージになる。松下では「Q」のことを、「DVD/GAME PLAYER」と呼んでおり、DVDプレーヤーの中に、ゲームキューブ機能を内蔵したと思ったほうがよさそうだ。 DVDプレーヤーとしての機能は、松下の普及価格帯のDVDプレーヤー「DVD-RV31」(実売2万円弱)とほぼ同等。ドルビーデジタルのサラウンド効果を2chでシミュレートする「Advanced Sorround」、サブウーファ端子に低音を出力する「Bass Plus」、ちらつきを抑えて劇場スクリーンの映像に近づける「Cinema Position」、センターチャンネルの音声レベルを上げ、セリフを聴き取りやすくする「Dialogue Enhancer」の「ABCD機能」を搭載している。 また、DVDプレーヤー用の専用リモコンが付属しているので、操作性や機能面では普通のDVDプレーヤーと思って差し支えない。ただ、このリモコンはDVD専用となっており、ゲームキューブの操作はまったくできない。
もちろん、ゲームキューブのコントローラで、DVD機能を操作することもできない。この点でも、プレイステーション 2とまったく異なっている。
■DVDは色差出力ができない DVDとゲームキューブモードの切り替えは、自動認識ではなく手動。「メディアを読みにいってどちらのディスクか判別するより、手動で切り替えた方が速いので、あえて手動にした」とのこと。 ゲームキューブへの切り替えボタンは、本体とリモコン両方に搭載されている。DVD/CDを再生する場合は、再生ボタンを押すことで切り替わる。現在どちらのモードかは、本体上部の液晶に表示されるほか、ゲームキューブモードではコントローラポートの周りが青く光るので、離れたところからでも容易に確認できる。
なお、誤操作防止のため、ディスクを入れてモードを切り替えて再生すると、トレイをオープンしない限り、モードを切り替えられないようになっている。また、「Q」の特徴の1つである、30分から120分まで30分刻みに設定した時間にブザーが鳴る「ゲームタイマー機能」は、DVDモードでは使用できない。 映像と音声の出力端子は、S映像、コンポジット、アナログ音声(2系統)、光デジタル出力、そしてDIGITAL AV OUTを背面に搭載。ゲームキューブでは、S映像/コンポジット/アナログ音声は、アナログAV出力にまとめられており、別途専用ケーブルが必要だ。また、音声がアナログAV出力にしか出力されていないため、DIGITAL AV OUTを使用してD端子(コンポーネント)で接続する場合でも、必ずアナログAV出力ケーブルを用意しなければならなかった。その意味では、D端子以外(コンポーネント)は一般的なケーブルで接続できる「Q」は、使い勝手の面で優位といえる。 ただし、前述のように、ゲームキューブとDVDの機能がそれぞれ独立しているため、下表のように使用できる出力端子が異なってしまう。特に、DIGITAL AV OUTにはゲームキューブの出力しかできず、DVDをコンポーネント接続することはできないので注意が必要だ。 つまり、ゲームキューブモードをD端子で接続する場合、DIGITAL AV OUTに加えDVD再生用にコンポジットかS端子も接続しなければならない。また、AVアンプなどに光デジタル出力で接続する場合は、DVDの音しか出力されないため、ゲームキューブ用にアナログ音声も接続する必要がでてくる。
■DVDを再生してみる 実際のDVD/CDの再生操作は、付属のリモコンのほか、本体上部にも主な操作ボタンが設けられている。また、本体前面のボタンは、「Advanced Sorround」、「Bass Plus」、「Cinema Position」、「Dialogue Enhancer」と、ほとんどがDVDプレーヤー用となっている。
DVDプレーヤーとしての使い心地は、専用DVDプレーヤーとまったく同じで、なんの違和感もない。設定画面も、松下のDVDプレーヤーと共通なので、同社のDVDプレーヤーを使ったことがあれば戸惑うことはないだろう。
再生画質と音質は、普及価格帯のDVDプレーヤーのレベル。ただし、コンポーネント出力できない点で、専用DVDプレーヤーに劣るともいえる。また、書き込み可能なメディアの再生チェックも行なった。結果は下表の通り。特に、DVDについては、DVD-Rしか再生できなかった。
■買いかどうか? 「Q」の直販価格は39,800円。ゲームキューブが25,000円であることを考えると、DVDプレーヤー部の値段は14,800円ということになる。DVDプレーヤーとして、その価格帯の性能、機能は十分にある。「ゲームキューブのゲームがやりたくて、ちょうどDVDプレーヤーも欲しかった!」という人にとっては、うってつけの製品といえる。 ただ、残念なのは、現在販売されている専用DVDプレーヤーでは入門機でもほとんどが可能なコンポーネント出力ができないことだ。この点は割り引いて購入を検討する必要があるだろう。 また、単体で置いた場合には存在感があっていいのだが、AVラックに入れるのは難しい形と大きさ。ゲーム機として、必要な時だけ取り出してTVに接続して使うか、AV機器のようにラックなどの定位置に置くのか。判断に迷うところだ。
□松下電器のホームページ (2001年11月30日)
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