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BHA、CD-RにS-VHS画質で2時間記録できる新圧縮方式「XVD」
-アイ・オーからハードウェアエンコーダカードが登場


XVDのロゴ
4月25日発表


 株式会社ビー・エイチ・エー(BHA)は25日、2時間のハイビジョン映像をDVD-R1枚分に圧縮できるという新ビデオコーデック「XVD」を発表した。2003年第3四半期には、コンシューマ向けソフトウェアエンコーダをリリースする予定。

 同時に、世界で初めてのXVDリアルタイムエンコードに対応したPCIキャプチャカード「GV-XVD/PCI」を株式会社アイ・オー・データ機器が発表した。5月31日の発売で、価格は37,000円。対応OSは、Windows 2000/XPとなっている。


■ CD-Rに2時間のS-VHSクォリティを記録可能

 XVD(eXtended-play Video Disc)は、DigitalStream-USAの開発した独自コーデック。米国で所有するパテントはBHAとDigitalStreamで50%ずつ所有し、ソースコードも共同で管理する。XVDを使ったビジネスパートナーを求めている段階。

 XVDの圧縮アルゴリズムはMPEGなどと同様、モーション補正アルゴリズムで冗長性を低減し、離散コサイン変換(DCT)を利用する。ただし、独自のウェーブレット技術に基づくキーフレーム圧縮アルゴリズム、ハイモーションとローモーションとでビットを最適に再配置するというVBRコントロールアルゴリズムを特徴とする。また、独自のオブジェクト/ブロックモーション予測アルゴリズムを確立するなど、「人の目に非常に優しい画質を実現した」という。

 発表会では、「圧縮ビットレート500kbpsでVHS相当、700kbpsでS-VHS相当、1MbpsでDVD相当」(720×480ドット、30fps)との説明があった。MPEG-2に対し、「DVDクオリティの画像を約7分の1の容量で実現する」という。S-VHS相当の700kbpsなら700MBのCD-Rに2時間、4.7GBのDVD-Rに14時間の映像が記録できる。

圧縮アルゴリズムの簡単な解説 DVD、S-VHS、VHS相当のビットレート DVD相当での他のコーデックとの比較

 対応解像度は、96×64ドットから1,920×1,080ドット。HD映像ならビットレート約3.5Mbpsで実現するとし、DVD-R1枚に2時間のHD映像記録が可能だという(ただし、同社の基準は1,280×960ドット、60fps)。

 音声は「XVD Audio」という独自形式になる。「64kbpsでCD音質を実現する」とし、MP3などと同じく、可聴範囲外の高周波成分を排除する圧縮方式を採用する。

 ただし、独自の高周波数解析や、入力シグナルにあわせたビットレートコントロールと周波数解析などを盛り込み、「従来以上の高音質を実現した」としている。現状では2chステレオのみに対応するが、将来的にはマルチチャンネルへの展開も考えている。

発表会場で公開されたHD映像 ソフトウェアエンコーダのみのWMV 9とエンコード速度を比較した

 同社ではXVDの優位性として、圧縮率の高さと、ハードウェアエンコーダが用意されているメリットを説いた。同社によれば、DVDクォリティを得るには、MPEG-4で約2.5Mbps、Windows Media 9(WMV 9)で約2Mbpsが必要。一方、XVDは約1Mbpsで可能とした。また、WMV 9ではまだハードウェアエンコーダが存在しない。

 CD-Rなどへの書き込み時に、プレーヤーを添付するのも特徴。配布先のPCがXVDコーデックをインストールしてない場合、専用プレーヤー「XVD Player」が自動的に立ち上がり、再生を開始する。また、XVDコーデックはWindows Media Player(WMP)に対応し、XVDコーデックのインストール後はWMPでの再生も可能。エンコード元ファイルの形式については、「WMPで再生できるすべてのフォーマットに対応したい」としている。

 BHAの吉原正治社長は、「動画が配信されるのが当たり前の時代になってきた。いまや動画の圧縮技術が強みになる。ライティングソフトでMPEG-2などを扱ってきたが、XVDと出会い、そのメリットに注目した」と挨拶した。

 また、アイ・オー・データ機器の細野昭雄社長は、「XVDに魅力を感じたのは、すでにハードウェアエンコーダが完成していたから。また、USBフラッシュメモリやMOなど、今まで映像と結びつかなかったメディアにもフォーカスを当てられる」とパートナー表明の動機を語った。XVDについては「映像メディアの革命。新たなビジネスチャンスと位置づけている」と解説した。なお、アイ・オー・データ機器はPC周辺機器におけるパートナーとして、特にアジアでの販売権利を所有している。

BHAの吉原正治社長 DigitalStreamからはCEOのAlan McCann氏が挨拶した アイ・オー・データ機器 細野昭雄社長


■ 「民生用CD-Rビデオレコーダ」の登場を示唆

 BHAが想定するビジネスフィールドは、「PCフィールド」、「CE(家電)フィールド」、「ストリーミングフィールド」の3つ。PCフィールドでは、アイ・オー・データ機器のハードウェアエンコーダカードに続き、夏にはXVDソフトウェアエンコーダがBHAより販売開始になる。また、アイ・オー・データ機器のサイト内では、GV-XVD/PCIの発売とあわせて、デコーダが無料ダウンロードできるようになる予定。

 CEフィールドでの具体的な動きはまだない。ただし、メーカー各社へのエンコーダチップの提供はすでに可能で、BHAではXVDの高圧縮率を活かした「CD-Rビデオレコーダ」を提案している。また、アイ・オー・データは「携帯端末などに展開後、最終的にはRec-Onのようなレコーダで採用したい」と話していた。

例としてVHSとのコンボCD-Rビデオレコーダが示された 会場にはBHAによるXVD CD-Rビデオレコーダを展示していた。GV-XVD/PCIと同じDSPチップを搭載している。左の写真の黒いプレーヤーは、市販のDVDプレーヤーを改造してXVDに対応したもの

 ストリーミングフィールドでは、コンテンツの省サイズ化と品質向上など、VODやライブストリーミングでの利点をアピールした。例えば、500kbps~1.5Mbpsでコンサートのライブストリーミングが可能。発表会場では、都内のスタジオと発表会場を結び、ミュージシャンの世良公則さんのライブストリーミングをデモンストレーションした。

 加えて、JAVAアプレットにしてWebに埋め込むなど、「企業TVCM」への展開を紹介した。また、株式会社レオパレス21の一部のSTBにXVDの採用が決定しており、2003年中の展開を予定している。

 ほかにも、ディスク製造の株式会社ディー・ティー・ジャパン(DTジャパン)が、カタログなどの無料CD配布ビジネスで名乗りを挙げており、2年間で2,500万枚の製造を見込んでいる。

 DTジャパンでは2002年7月から、XVDを利用した無料CD-ROM「cinemanavigator」を渋谷TSUTAYAで計20万部を配布している。これは映画情報を対象にしたフリーメディアで、トレーラーからWebページへの誘導を目的としている。プレーヤーをインストールする必要のないXVDはユーザーの利用率が高く、「(Webへの)到達率も非常に高い」(石田泰樹社長)という。

XVDについて世良公則さんは「質感が高く、音質も良い。ブラッシュアップして素敵なものにして欲しい」 渋谷TSUTAYAで配布されたXVD採用の「cinemanavigator」 DTジャパン 石田社長。「小容量の名刺型CD-ROMでも映像を多数収録できる。XVDならでは」


■ 外部入力からのリアルタイムエンコードが可能

 GV-XVD/PCIは、MPEG-2など各形式のファイルをXVD形式へのリアルタイムエンコードできるハーフサイズのPCIカード。BHAのソフトウェアエンコーダが提供されるまでは、XVDでエンコードが可能なのはGV-XVD/PCIのみとなる。

 TIの「TMS320C6415」をDSPに使用し、1分29秒のAVIファイルを2分10秒で変換する(Celeron 1.7GHz、メモリ256MB。映像700kbps、音声64kbps)。

世界初のハードウェアXVDエンコーダ「GV-XVD/PCI」 入力端子 カード背面

 生成ファイルの解像度は720×480/480×480/352×480/352×240ドットで、HD映像は作成できない。ビットレートは64kbps~3Mbps。入力可能なファイル形式は、MPEG-1/2、AVI、WMV、MP3、WMA、WAVEなど。

 記録音声はXVD Audioで、サンプリング周波数は32/44.1/48kHz、サンプリングレートは32/48/64kbpsに対応する。バンドルソフトは、変換ソフト「XVD Compressor」、リアルタイムキャプチャソフト「XVD Recorder」、編集ソフト「XVD Editor」など。XVD Editorはカット編集、CDライティング機能などを搭載する。

 カードには、S映像入力とコンポジット入力、ライン入力を備え、XVD Recorderを使った外部入力のリアルタイム録画も可能。

□BHAのホームページ
(4月25日現在、これらの件に関する情報は掲載されていない)
http://www.bha.co.jp/
□アイ・オーのホームページ
http://www.iodata.co.jp/
□ニュースリリース(GV-XVD/PCI)
http://www.iodata.co.jp/news/200304/gv-xvdpci/
□関連記事
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-ソニーがDVD+RWレコーダの国内投入を示唆
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20030327/dvdrw.htm

(2003年4月24日)

[AV Watch編集部/orimoto@impress.co.jp]


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