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CATVの総合展示会「ケーブルテレビ 2003」が開幕
-CATVで地上デジタル放送を伝送、デジタルSTBも多数出展


開催期間:7月23日から25日まで

会場:東京ビッグサイト 西3・4ホール

入場料:無料


 国内ケーブルテレビ業界で最大規模の展示会「ケーブルテレビ 2003」が、東京ビッグサイトで開幕した。期間は7月23日から25日まで。主催は社団法人日本ケーブルテレビ連盟と社団法人日本CATV技術協会。CATV関連業者向けの展示が主だが、一般ユーザーも入場可能。なお、入場は無料だが簡易登録が必要となっている。

 同イベントは、ケーブルテレビ関連のハードウェアや各種サービスを展示する総合コンベンション。昨年までは池袋のサンシャインシティで開催されていたが、今回は東京ビッグサイトに会場を移した。出展規模は153社670小間。

 「ケーブル1本で変幻多才」をキャッチフレーズに、ブロードバンドインフラとして、映像や音声を使った双方向通信や、地上デジタル放送の再送信など、様々なサービスを提案している。


■ 地上デジタル放送インフラとしてのCATV

 CATVの新しいサービスとして、「地上デジタル放送の再送信」に注目が集まっている。既にお伝えした通り、7月22日にはジュピターテレコム(J-COM Broadband)が、2004年前半を目処に、関東エリアと関西エリアの全局において、地上デジタル放送の再送信サービスを行なうと発表している。

 CATVで地上デジタル放送波を再送信するには、現在2つの方式が検討されている。1つは地上デジタル放送の変調方式(OFDM)を変えずに、そのまま送信する「パススルー方式」。もう1つは、CATV局で受信したOFDMをCATVに適した変調方式(64QAM)に再変調して伝送する「トランモジュレーション方式」だ。

地上デジタル放送の特設ブースにある解説図。上図のように、地上デジタル放送の再送信には、パススルー方式(左)とトランスモジュレーション方式(右)の2種類がある

 どちらの方式も、地上デジタル放送1チャンネルを、従来のアナログ放送1チャンネル分(6MHz)の帯域で伝送可能。パススルー方式では、UHF帯域のみで伝送する場合は地上デジタル放送用チューナが利用できるが、施設が広帯域化されている必要がある。また、UHF帯域以外で伝送する場合は、加入者宅にUHF帯域に戻すアップコンバータが必要になる場合がある。

 一方トランスモジュレーション方式では、地上デジタル放送用チューナは必要ないが、CATV用のSTBが必要となる。しかし、地上デジタル放送を受信できるデジタルSTBを利用すれば、BSデジタル放送も受信できるというメリットがある。

 こうした状況を踏まえ、各社からは地上デジタル放送再送信用の業務用機器や、地上デジタル放送の受信に対応したデジタルSTBなどが多数参考展示されていた。

松下電器のパススルーシステム。信号を一度ダウンコンバートして不要信号を除去することで、隣接チャンネル伝送が可能になるという 同じく松下電器のトランスモジュレーションヘッドエンド マスプロのミッドバンド伝送ヘッドアンプ。OFDM方式を変更せず、ミッドバンドのチャンネルに周波数変換して協同受信設備に伝送する、チャンネルプロパー型の増幅器

DXアンテナの地上、BS、110度CSデジタル対応チューナ「DIR-300」。映像出力にD4端子を装備し、光デジタル音声出力、56Kモデムなど搭載する UHF帯域の地上デジタル放送を伝送できない施設では、伝送に使われたMID帯域をUHF帯域に戻すアップコンバータが必要になる。写真はDXアンテナのコンバータ「VUC-101」 地上デジタル放送に対応し、Webページのブラウジングなども可能なマスプロのデジタルSTB

□関連記事
【7月22日】J-COM、2004年前半に地上デジタル放送の再送信を開始
-関東/関西の14局でサービス提供
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20030722/jcom.htm


■ 各社からデジタルSTBの新モデルが登場

 CATV放送自体のデジタル化も進んでいる。デジタル化には、大きく分けて「ReMUX方式」と「トランスモジュレーション方式」があり、前者は1本のトランスポンダ(衛星の中継器)に多重化されている複数の番組をCATV局側が番組単位で受信し、再編成・再多重して送出する方式。後者はCATV局側がトランスポンダ単位で受信して変調方式のみを変更し、そのまま視聴者へ送出する。前者はCATV局側の自由度が高く、後者はコスト面で優れている。

 パイオニアのブースでは、ReMUXとトランスモジュレーションの両方に対応したSTB「BD-V2TC」を展示していた。トランスモジュレーション方式採用し、C-CAS情報、EPGデータなどをパッケージ化して配信する「JC-HITS」に対応し、ReMUXや、デジタル番組配信サービス「i-HITS」(ReCAS方式)などもサポートする。「JC-HITS」の放送が開始されていないこともあり、発売日や価格などは未定。

 また、EPGやHD映像などに対応せず、価格を抑えたローエンドSTB「BD-V500」も参考出品されていた。価格は未定だが、従来の同社STBの50~60%程度になる見込み。年内の発売を目指している。

パイオニアのデジタル、アナログ両対応STB「BD-V2TC」。将来的には双方向通信やVODサービスなどにも対応するという。また、リモコンも従来の同社STBと異なる“かんたんリモコン”仕様(右側)も用意される ローエンドSTB「BD-V500」。価格は同社従来品の50~60%程度の見込み

ReMUX方式に対応した松下のBS、110度CSデジタル対応のSTB「TZ-DCH300」 エス・エイジャパンの低価格STB「Explorer 8200 SDJ」。HD映像に対応しないことで価格を抑えるという NECのデジタル、アナログ両対応のSTB「CM4110T」


■ そのほかのハードウェア

 ほかにも、日立国際電機のブースでは、地上デジタル放送のアナアナ変換で生じるオフセットビート障害を低減するキャンセラーが参考出品されていた。また、ソニーのブースでは実際の映像製作の現場を再現し、青紫色レーザーディスクを使った放送用システムを紹介していた。

日立国際電機のオフセットビートキャンセラー。アナログテレビの同一チャンネル混信障害として発生するオフセットビート障害(10kHz)を大幅に低減するという。中央がビート障害が出た画面、右がキャンセラーを通した画面

青紫色レーザーディスクを使った放送用システムを展示していたソニーのブース。実際の映像製作の現場を再現して紹介している


■ サプライヤーゾーン

 同イベントには、コンテンツサプライヤーのコーナーも設けられている。主な展示は放送内容の紹介がだが、番組出演者によるイベントや、限定グッズの配布など、一般客も楽しめるコーナーになっている。

ゲーム情報専門テレビのチャンネルBBのブースでは、ゲーム機が多数設置されており、自由に遊ぶことができる スペースシャワーTVのブースは、寿司屋を彷彿とさせる一風変わった外観 NHKのブースでは、巨大なドン・ガバチョがお出迎え

アナログキー局は、協同でブースを展開。地上デジタル放送開始までのスケジュールや、放送の仕組み、魅力などをアピールした 主に成人向けコンテンツを提供しているレインボーチャンネルのブース。看護婦やセーラー服のコスプレ姿の女性がステージに登場し、男性の観客で人だかりができていた

□ケーブルテレビ 2003のホームページ
http://www.catv-f.com/
□関連記事
【2002年6月12日】CATVの総合展示会「ケーブルテレビ 2002」が開幕
―各社の110度CS対応デジタルSTBが出揃う
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20020612/catv.htm
【2001年6月20日】CATVの総合展示会「ケーブルテレビ2001」開催
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20010620/catv.htm

(2003年7月23日)

[AV Watch編集部/yamaza-k@impress.co.jp]


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